ローコード開発とは? デメリット、ツール、プラットフォーム

ローコード開発とは、できるだけプログラムコード(ソースコード)を使用せずにシステム開発を行うことです。ローコード開発のメリットとデメリット、ツールやプラットフォームなどについて解説します。

1.ローコード開発とは?

ローコード開発とは、システム開発において可能な限りソースコードを記述しないで進める手法のこと。

従来、プログラミングでは主にテキストエディタを使ってコーディングしてきました。しかしローコード開発では GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)ツールなどでコーディングします。

GUIツールでは、ドラッグ&ドロップといったかんたんな操作でテンプレートやパーツなどの選択や配置が可能。細かくカスタマイズしたい箇所には、コーディングを行えます。ソースコードを入力する手間を省けるので、短期間で開発できるようになるのです。

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2.ローコード開発が注目される理由

ローコード開発が注目される理由として挙げられるのが、システム開発の迅速化です。迅速化が求められる背景には、市場やニーズの変化が加速した点が挙げられます。

サービスのリリースに何か月もかかってしまうと、ビジネス機会の喪失につながる恐れがあるのです。ローコード開発は、コーディングの工数を削減してスピーディーに開発できるので、サービスの提供の迅速化を実現できます。

またローコード開発は一般的なシステム開発と比較すると開発期間が短くなるので、その分、人件費の削減にもつながるのです。

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3.ローコード開発のメリット

ローコード開発は、開発期間の短縮のほかにも、セキュリティ面や人材面でメリットを得られます。ここではローコード開発のメリットについて説明しましょう。

  1. 開発期間の短縮
  2. セキュリティ対策の負担を削減
  3. エンジニアスキルに関係なくシステム開発が可能

①開発期間の短縮

すでに用意されているパーツをブロックのように組み合わせてプログラミングできるため、開発期間や工程を短縮できます。

たとえばサントリーグループが行ったローコード開発では、マスターメンテナンス画面の開発工数を約25%短縮。Salesforce社では、システムの開発期間を57%も削減したというデータも出ています。

ソースコードの手入力が減るため、入力ミスによるエラーやバグも減り、修正工程も削減できるのです。一方、ソースコードによるカスタマイズも可能なため、ノーコード(まったくコーディングを行わない開発)と比べて自由度が高くなります。

②セキュリティ対策の負担を削減

ローコード開発で一定のセキュリティ対策を講じやすくなるため、セキュリティ対策の負担を減らせます。

自社でセキュリティシステムをフルスクラッチ開発(新規開発)する場合、ログイン認証や不正検知、アクセス制限やログ管理などさまざまな機能を開発しなければなりません。

ローコード開発であれば、専門の業者が提供しているツールに備わっている機能を利用できるのです。エンジニアは一部のセキュリティを構築するだけで済み、業務の負担も軽減されます。

③エンジニアスキルに関係なくシステム開発が可能

ローコード開発ならば、高いエンジニアスキルがなくてもシステム開発が可能です。

一般的にシステム開発は、高度なプログラミングスキルが必要になります。開発するシステムが大規模あるいは複雑になるほど、能力の高いエンジニアを多く確保しなければなりません。

しかしローコード開発は、すでに用意されているパーツを組み合わせるだけなので、プログラミング初心者でもシステムを開発できます。

提供されているローコードプラットフォームによっては、非エンジニアのスタッフでも開発できるため、毎回エンジニアの手を借りる必要もなくなるのです。

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4.ローコード開発のデメリット

ローコード開発を実施する際、デメリットを理解しておくことも大切です。ここではローコード開発の主にデメリット3点を説明します。

  1. プラットフォームに対応していない操作は不可
  2. ツールの知識が必要
  3. 複雑な要件や動的なアプリには不適当

①プラットフォームに対応していない操作は不可

ローコード開発では、提供されるプラットフォームの機能に依存します。よってプラットフォームで用意されていない機能やデザインは実装できません。

実装できない部分について、ソースの入力からカスタマイズするのも可能ですが、その分、工程は増えてしまいます。カスタマイズ箇所が多いほど、スケジュールも伸びますし、コーディングスキルの高いエンジニアも必要になるのです。

これではローコード開発を使う意味が薄れてしまうでしょう。

②ツールの知識が必要

ローコード開発を行う場合、ツールを使用(操作)する知識が必要です。ローコード開発では、新しいプログラミング言語を習得するよりも迅速に開発を進められます。一方、ツールの使い方を習熟しておかなければならず、教育に時間とコストがかかるのです。

またプロジェクトマネージャーは、開発するシステムの内容に合わせた適切なプラットフォームを選択しなければなりません。さらに選んだツールの機能によって、必要な工数の計算方法も変わってくるのです。

つまりプロジェクトメンバー全員が、事前にツールの知識を得ておく必要があります。

③複雑な要件や動的なアプリには不適当

ローコード開発は、複雑な設計や要件が求められるアプリの開発に向きません。なぜなら、ローコード開発向けツールの機能に限りがあるからです。

たとえば動的なチャートを含むコンテンツのような開発では、ツールの機能不足によってコーディング工程が増える可能性もあります。

またローコード開発ツールは、UIやUXを細かに設定できない点もデメリット。そのためビジュアルを重視するコンテンツ開発では、カスタマイズで工程が増えてしまいます。

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5.ローコード開発とノーコード開発の違い

ローコード(Low-Code)開発とノーコード(No-Code)開発の最大の違いは、開発過程でコーディング作業を行うかどうか。

ローコード開発はコーディングの割合が低い開発手法、ノーコードはコーディングを行わずGUIのみで開発する手法です。そのためノーコードでは、部分的なコーディングも行いません。

ノーコード開発は、プログラミングスキルを持たない一般社員も開発を進められるため、スキル面で有利でしょう。ローコード開発ではコーディングが発生しうるので、プログラミングスキルを習得しているエンジニアが必要です。

カスタマイズ面では、ノーコード開発はソースコードをまったく使用しないため、柔軟なカスタマイズや機能の追加が難しく、自由度が低くなります。ローコード開発ではソースコードを書けるため、必要な機能をコーディングで実装でき、拡張性が高くなるのです。

ツール面では、ノーコードツールが不利な傾向にあります。日本語対応のGUIツールは、ローコードツールが多いからです。

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6.ローコード開発の将来性

ローコード開発は、ノーコード開発とフルスクラッチの「よいとこどり」の手法といってもよく、今後も多くの企業で導入されていくと考えられます。

システム開発で求められるのは、質とスピードです。流動性が高い現代社会において、いかにスピーディーにサービスを提供できるか、はユーザー獲得のカギを握ります。

ローコード開発は、GUIによる効率化とコーディングによる柔軟なカスタマイズが可能なので、スピード性と質の両方でバランスが取れる開発手法なのです。エンジニア不足で開発期間が延伸するリスクも抑えられます。

ただしシステム開発の規模や要件によっては、ノーコード開発が最適とは限りません。

そのためノーコード開発は「小規模で機能が複雑でないシステム」、ローコード開発は「中規模である程度のカスタマイズが必要なシステム」、フルスクラッチは「大規模でカスタマイズが多くなるシステム」と使いわけられていくでしょう。

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7.ローコード開発ツールとは?

ローコード開発ツールにはさまざまな種類があります。下記3つのツールを説明しましょう。

  1. Microsoft PowerApps
  2. AppSuite
  3. Kintone

①Microsoft PowerApps

Microsoftが提供しているビジネスアプリ作成向けのローコード開発ツール。GUIとExcelに似た操作(関数)でアプリを作成できます。Office 365に含まれるツールなので、ExcelやPowerBIなどのビジネスツールと連携できる点もポイントです。

「Office 365」「Microsoft 365 Apps for enterprise」などのライセンスを持っていると無料で使用できるほか、誰でも30日間は無料トライアルを試せます。

②AppSuite

「desknet’s NEO」というグループウェアを提供するネオジャパンが提供するノーコード開発ツール。非エンジニアでも、グリッド線に沿ってパーツをドラッグ&ドロップで配置していくだけでアプリを作成できます。

ほかにもExcelやWordsで作成された紙データを読み込んで入力フォームを作ったり、既存のアプリを複製して編集し、別のアプリを作ったりするのも可能。CSVファイルの読み込みや、外部システムとの連携などにも対応しています。

クラウド版とパッケージ版があり、いずれも無料トライアルを利用可能です。

③Kintone

日本のサイボウズが提供しているローコード開発ツールです。サンプルアプリが100種類以上用意されており、手間をかけずに業種や職種に合わせたオリジナルアプリを作成できます。

ドラッグ&ドロップでかんたんに操作できるうえ、プラグインやJavaScript/CSSを使ったカスタマイズ、API連携などの拡張機能も使えるのです。

30日間の無料トライアルでもすべての機能を利用できるため、ツールの比較検討がしやすくなります。

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8.ローコード開発プラットフォームとは?

ビジュアルモデリングを活用した開発基盤のこと。ビジュアルモデリングとは、ソースコードに一切触れず、モデリング言語で作られたパーツをドラッグ&ドロップするだけでプログラミングを行うことです。

ローコード開発プラットフォームとローコード開発ツールは混同されがちであるものの、2つは意味が異なります。

  1. ローコード開発ツール:プログラムを作成するツール自体(ソフトウェアなど)を指す
  2. ローコード開発プラットフォーム:プログラムの作成だけでなく、運用保守までをサポートする「aPaaS(Application Platform as a Service)」サービスを指す。つまりより広範囲の工程を軽減でき、非エンジニア人材を投入できるようになる

そのため近年、ローコード開発プラットフォームを利用する企業は増加傾向にあります。2018年時点での国内導入率は8.5%だったところ、2022年には38%まで上昇しているのです。