厚生年金保険とは? 加入義務、各種年金制度との違い

厚生年金保険とは、民間企業で働く人を対象とした公的年金制度のことです。厚生年金保険加入の義務やメリット、ほか年金制度との違いについてみていきましょう。

1.厚生年金保険とは?

「厚生年金保険」とは1942年につくられた、民間企業で働く人を対象とした公的年金制度のこと。国民年金に上乗せして管理と運営がなされています。給与や賞与から保険料を計算し、労働者と使用者間で折半して保険料を支払う仕組みです。

厚生年金保険は70歳まで加入

厚生年金保険は国籍や性別にかかわらず加入できます。ただし年齢制限があり、満70歳になる日に被保険者としての資格がなくなり、継続加入はできません。

なお65歳からは「老齢年金」を受給できるのです。ただし老齢年金受給者が厚生年金保険の適用事業所で働いている場合、70歳までは厚生年金保険に加入する状況になります。

「厚生年金保険」は民間企業で働く労働者のための保険です。加入には年齢制限があり、70歳を迎えると加入の資格がなくなります

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2.事業所における厚生年金保険の加入義務

厚生年金保険には、事業所における加入条件がいくつかあります。ここでは、下記2つのパターンと加入を怠った場合の罰則についてご説明します。

  1. 任意で加入できる事業所
  2. 加入が義務付けられている事業所

①任意で加入できる事業所

厚生年金保険は、すべての事業所で加入が必須というわけではありません。つまり義務付けられていない事業所では、任意で保険に加入できます。このような事業所では、半数以上の労働者が同意すると任意加入が可能です。

このように任意で保険に加入する事業所を「任意保険事業所」といいます。ただしこの場合は事業所単位で保険に加入するため、同意しなかった人にも保険への加入義務が発生するのです。

②加入が義務付けられている事業所

厚生年金保険への加入が義務付けられている事業所は、つねに働いている労働者を5人以上抱えている個人事業所と法人事務所で、「強制適用事業所」と呼ばれています。

法人事務所はたとえ労働者を雇用しておらず事業所内に経営者しかいない場合でも、厚生年金保険に加入しなければなりません。なお農林漁業やサービス業は、対象から除外されます。

加入を怠った場合の罰則について

加入する必要があったにもかかわらず厚生年金保険に加入する義務を怠った場合、厚生年金保険法に設けられた罰則にしたがって、処罰される可能性があります。

違反した場合、最大で過去2年間の労働者の保険料を一括で納付しなければなりません。また加入を怠っていたと発覚した時点で該当の労働者が退職していた場合、その労働者の保険料についても遡及して支払い義務が発生する場合もあります。

厚生年金保険には、加入についてさまざまな条件があるのです。もし加入しなければならない条件を怠った場合、処罰される場合もあるので注意しましょう

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3.厚生年金保険における被保険者とは?

厚生年金保険における「被保険者」とは、どんな人なのでしょう。被保険者の定義と加入条件、現在被保険者の条件を満たしていないケース、パートタイマーやアルバイトのケースなどについて見ていきます。

被保険者の定義

厚生年金保険に加入している適用事業所内で働いている70歳未満の労働者は、国籍や性別、そして年金を受け取っているかどうかに関わらず、「被保険者」という扱いになります。ここでいう「働いている」というのは、その事業所内で働いており、給与や賃金をもらっている人のことです。雇用契約書の有り無しなどは関係ないため、たとえば採用して日が浅く、まだ試用期間中という肩書であったとしても賃金が発生している限りは適用されます。

被保険者ではない場合

現時点では被保険者として認められていない人でも、条件次第で被保険者として認められます。たとえば日雇いで勤務している人は被保険者として認められません。しかしその人が1カ月を超えて使用されるようになった場合、その日から被保険者となります。

また2カ月以内の期間を定められて使用される人も、被保険者とはなりません。ただし所定の期間を超えても引き続いて使用された場合、被保険者として認められます。

スキー場や海の家など季節的業務で4カ月以内に使用される人や、臨時的事業の事業所に使用される人も同様です。

アルバイト・パートタイマーの場合

アルバイトやパートタイマーは基本、被保険者になりません。しかしその事業所内で常用的に使用関係がある場合、被保険者として認められます。

また1週間の所定労働時間と1カ月の所定労働日数が、その事業所内で同じ仕事に従事している正規労働者の4分の3以上である場合も被保険者です。これらの条件を満たしていなくとも、以下5つの条件をすべて満たしていれば、被保険者として認められます。

  • 1週間のうちの所定労働時間が20時間を超える
  • 雇用が1年以上見込まれる
  • 月給が88,000円以上である
  • 学生でない
  • 特定適用事業所か任意特定適用事業所に勤めている

非正規労働者でも一定期間で継続した雇用があれば常時雇用とみなされるため、アルバイトやパートタイマーでも被保険者として認められます

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4.厚生年金保険料の算出方法

厚生年金保険料は基本、普段の給与と賞与から「標準報酬月額」と「標準賞与額」と呼ばれる金額を計算し、そこに保険料率(現段階では18.3%)を掛けて算出します。この「標準報酬月額」と「標準賞与額」について詳しく見ていきましょう。

標準報酬月額について

「標準報酬月額」とは、特定月の報酬を平均したもの。厚生年金保険加入者が受け取る給与を、厚生年金保険料額表の報酬月額区分から当てはめて決めるもので、厚生年金保険料額表は都道府県別で変わります。

現在の標準報酬月額は、1等級の8万8,000円から31等級の62万円まで。「標準報酬月額」に当てはめられる給与は、基本給や残業手当といった報酬にくわえ、会社が提供している寮費や食事代などの現物給与も含めています。

標準賞与額について

「標準賞与額」は原則、賞与の総額から1,000円未満を切り捨てた金額です。たとえば賞与支給額が9,990円の労働者は、標準賞与額は9,000円になり、その9,000円が健康保険料と厚生年金保険料の対象となります。

標準賞与額の範囲は、支給1回(同じ月に2回以上支給されたときは合算)につき、150万円が上限です。なお雇用保険料の計算に標準賞与額は使われず、1,000円未満の値を含めた額に対して雇用保険料率を掛けて計算します。

厚生年金保険料は、「標準報酬月額」と「標準賞与額」に保険料率を掛けると算出できます

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5.厚生年金保険の給付について

厚生年金保険の給付にはいくつか種類があります。ここではそのなかから下記2つとそれぞれの厚生年金で受け取れる金額、そして「最低請求」について見ていきましょう。

  1. 遺族厚生年金
  2. 障がい厚生年金
  3. 障害厚生年金・遺族厚生年金で受け取れる金額
  4. 裁定請求とは

①遺族厚生年金の場合

「遺族厚生年金」が支給される条件は3つです。

  • 被保険者が亡くなったとき、もしくは傷病が原因となってその初診から5年以内に亡くなったとき
  • 老齢厚生年金を受給する資格期間が、25年以上ある者が亡くなったとき
  • 1級もしくは2級の障がい害厚生年金を受け取れる人が、亡くなったとき

遺族厚生年金の支給は残された子供や妻を強く保護する意味合いがあります。そのため厚生年金保険の被保険者である妻が亡くなった際、夫へ遺族厚生年金が支給されるケースは少ないようです。

②障がい厚生年金の場合

「障がい厚生年金」が支給される条件も3つです。

  • 障がいの原因やケガについて、最初に医師の診療を受けた日が厚生年金の加入期間中の出来事だった場合
  • ある程度の障がいの状態にある場合
  • 今までの保険料の納付状況に関するもの

「初診日の前々月までの期間において、公的年金加入期間の3分の2以上は保険料の納付か免除がなされている」または「初診日に65歳未満で、初診日の前々月までの1年間で保険料の未納がない」いずれかが条件になります。

③障害厚生年金・遺族厚生年金で受け取れる金額

障害厚生年金と遺族厚生年金はどちらも、定額ではありません。「報酬比例の年金額」と呼ばれる保険料を収めた期間と保険料額をもとに計算されるため、年金額は個人ごとに変わるのです。

そのほか最低保障や年齢に応じた支給額の適正化や遺族の人数によっても、変わってくるでしょう。

④裁定請求とは

「裁定請求」とは年金を受給するために行う請求です。「老齢厚生年金」を受け取れる時期が近づくと、本人宛てに最低請求書が送られてきます。請求書に本人確認のための書類などを添付して、企業年金に提出しましょう。

「遺族厚生年金」も「障害厚生年金」も支給される条件はさまざまです。支給される金額も定額ではなく、きちんと算出されて支給されます

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6.厚生年金保険に加入するメリット

厚生年金保険を含む社会保険に加入すると、どのようなメリットが生じるのでしょう。ここでは社会保険に加入すると発生するメリットについて、労働者と事業主との立場から見ていきます。

労働者におけるメリット

まずは労働者のメリット5つです。

  1. 老後に老齢年金を受け取れる
  2. 障がいを負うといった状況の際、障がい厚生年金を受け取れる
  3. もし自分が死んでしまっても遺族が厚生年金を受け取れる
  4. 傷病手当金といった医療給付の数が、国民健康保険よりも多い
  5. 仕事中にケガや疾病をしたときには労災保険、失業したときには雇用保険から労働者に給付が行われる

会社におけるメリット

次に会社のメリット3つです。

  1. 雇用の条件を適切に整えることにより、優秀な人材を確保できる可能性が高まる
  2. 社会保障の充実により、労働者が安心して働ける環境を提供できる
  3. 会社同士の競争に公平性を確保できる

また保険料の支払いが経営上の負担になる場合もあります。しかし支払った保険料は、会社の経費として計上できると認められているのです。

社会保険に加入すると、労働者側と会社側、双方にメリットがあります。それぞれのメリットについて再度確認してから加入しましょう

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7.厚生年金保険と各種年金制度の違いについて

厚生年金保険とそのほかの年金制度では、どのような違いがあるのでしょうか。ここでは厚生年金保険を軸に、ほかの年金制度との違いについて解説します。

  1. 国民年金との違い
  2. 企業年金との違い
  3. 厚生年金基金との違い

①国民年金との違い

厚生年金保険と国民年金の違いは、加入対象者と保険料で、具体的な違いは下記のとおりです。

  • 厚生年金保険:厚生年金保険の加入条件を満たしている事業所で働いている人が加入対象。保険料は個人ごとで変わる
  • 国民年金:20歳から60歳までの国民ならば必ず加入しなければならない年金制度。保険料は一定で年度ごとに見直しがされており、令和2年度の保険料は月額16,540円

②企業年金との違い

厚生年金保険と企業年金の違いは、加入対象者と保険料で、具体的な違いは下記のとおりです。

  • 厚生年金:法令で加入の義務が定められている
  • 企業年金:各企業が独自に行っている年金制度で公的なものではない。通常の国民年金や厚生年金保険にプラスされるもので、労働者に対する老後の備えや保障を手厚くする制度。企業が行う私的な年金制度ゆえ、加入条件や種類が異なる

③厚生年金基金との違い

厚生年金基金は厚生年金保険と名前が似ているものの、分類から見ると企業年金と同じ私的年金となります。各企業の希望によって加入でき、老後の国民年金と厚生年金保険にプラスされるという仕組みでした。

しかしバブルの崩壊や資産運用の悪化といった理由から、厚生年金基金の年金を支払いが困難になる企業が多数見られるようになったのです。このような状況から2014年に改正康生年金保険法が施工され、現在の厚生年金基金は実質廃止されました。

「国民年金」と「厚生年金保険」は公的な年金、「企業年金」と「厚生年金基金」は企業が運営する私的な年金となっています

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8.厚生年金保険における各種事務手続きについて

厚生年金保険に加入していると、国からの支援としてさまざまな手当を受けられます。ただし支給を受けると厚生年金保険料が調整される場合もあるのです。申請の際は相談窓口に尋ねてみましょう。

  1. 傷病手当金
  2. 高額療養費
  3. 埋葬費
  4. 相談窓口を利用する場合

①傷病手当金

傷病手当金は、ケガや病気などで就労できないとき、生活を保障する手当金のこと。受給の条件は以下のとおりです。

  • 病気やケガのため療養中である(自宅療養も含む)
  • 休業中であり、仕事に就けない状態である
  • 療養開始から連続して4日以上仕事に就けていない

会社を休んでから4日目以降の日に対して傷病手当金が支給され、仕事に復帰できるようになるまで給付が続きます。支給額は標準報酬月額の3分の2程度。給料をもらっていても傷病手当金よりも少ないときは、その差額が支給されます。

②高額療養費について

「高額療養費」は、1カ月あたりの自己負担の医療費が一定額を超えたとき、超えた分を健康保険から高額医療費として給付されるもの。

企業側で事前に全国健康保険協会へ「健康保険限度額適用認定申請書」の手続きをしておくと、医療機関を受診したときに支払う医療費の自己負担を限度額でとどめられます。

③埋葬費について

「埋葬費」とは、被保険者が不幸にも亡くなってしまった際に支給されるもの。健康保険組合にて手続きを行うと、1人につき5万円の支給を受けられます。

請求自体は遺族の名前で行うものの、手続きを行うのは遺族ではなく企業です。なお被保険者の扶養家族が亡くなった場合、「家族埋葬料」として同額が支給されます。

④相談窓口を利用する場合

厚生年金保険の手当について相談窓口を利用する際は、自身の年金手帳と身分証明書を持参しましょう。自分ではなく家族についての相談であれば、相談対象者の委任状が必要になる場合もあります。

相談窓口の営業時間は年金事務所によって違いますので、あらかじめ確認しておきましょう。遅いところでは午後7時まで営業しているところもあるようです。

厚生年金保険に加入していると、さまざまな手当を受けられます。しっかり把握しておきましょう