公益財団法人とは? 略し方、一般企業との違い、事業内容

公益財団法人とは、公益を主な目的とし活動している法人のことです。役割や事業内容、一般企業との違いなど詳しく解説します。

1.公益財団法人とは?

公益社団法人とは、公益(不特定かつ多数の者の利益)を主な目的とし、活動している法人のこと。

自法人の利益追求だけでなく、社会にさまざまな好影響を与える事業を行います。公益社団法人を設立した場合、税制上の優遇措置や社会的信頼の面で多くの恩恵を受けられるのです。

構成員

公益財団法人の構成員は次のとおりです。

  • 理事…業務執行の決定、代表理事などの職務の監視
  • 監事…理事の職務執行を監査
  • 会計監査人…計算書類などの監査
  • 評議員…評議員会の構成員
  • 社員…基本的な構成要素

理事は3人以上、監事は1人以上、評議員は3人以上を設置します。理事や監事、評議員の定数は法律上、上限がありません。

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2.公益社団法人の略し方

公益財団法人の略称は(公財)、カナで略すときは(ザイ)となります。似た名称の一般財団法人は(一財)、公益社団法人は(公財)と略されます。

公益社団法人の銀行での略語

銀行での略称は、社名の前…ザイ)、社名の途中…(ザイ)、社名の後…(ザイ となります。銀行によって略称が異なります。

公益社団法人の英語での略語

英語での略称は「a public interest incorporated foundation」。名刺表記は「○○ foundation」と略す場合が多いです。

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3.公益財団法人の役割

公益財団法人は非営利部門の活動を担う代表的な主体で、サービスを提供する主体は3つあります。

  1. 行政部門:法律と予算にもとづくことを条件とし公平・公正なサービスを提供
  2. 営利部門:収益を生み出すことを前提とし、不採算の分野には対応しない
  3. 非営利部門:行政部門と営利部門のような制約が少ないので柔軟な活動を展開可能

非営利部門では多様なサービスを提供できるため、社会のニーズも満たせるでしょう。

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4.公益財団法人と一般財団法人の違い

一般財団法人とは、一定の財産(寄付も含む)に対して法人格が与えられた団体のこと。

設立する人が価額300万円以上の財産を拠出し、その財産を事業の目的のために運用していくことが法人設立の条件です。事業内容や公益性の有無は問われません。

公益財団法人は、一般財団法人のうち行政庁から公益性を認められた法人です。

設立方法

一般財団法人は、300万円以上の財産の拠出が必要になるといった条件はあるものの、登記手続きを行うだけで設立が可能です。また事業内容に法律上の制限はありません。

一般財団法人から公益財団法人になるには、公益財団法人の認定に関する法律に定められた公益認定基準を満たし、行政庁または都道府県知に認定を受ける必要があります。

事業報告義務

公益財団法人は行政庁の監督を受けるため、毎年度の定期提出書類を行政庁に提出します。定期提出書類には、事業計画書等(事業計画書、収支予算書など)と事業報告等に係る提出書類があるのです。

一般社団法人と財団法人は、行政庁から監督を受けないため、このような定期的な報告義務は一切ありません。

税制

公益財団法人は、公益事業が目的のため法人税法上の収益事業から除外され、非課税となります。

民間企業などの法人から寄付を受けた場合は、寄付金の一部を損金として算入できるため、分課税対象額が減少し課税額も減少するのです。個人からの場合、所得控除や税額控除があります。一方、一般社団法人は収益事業のみ課税といった措置があるのです。

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5.公益財団法人と一般企業は何が違うのか?

公益財団法人と一般企業(株式会社)の大きな違いは、利益の分配です。公益財団法人は、公益目的事業を行うため分配はありません。一方、株式会社の場合、利益が出れば株主に配当金という形で利益を分配します。

公益財団法人は公益認定基準を満たし行政庁の認定を受ける必要がありますが、一般企業は登記のみで会社を設立できます。

仕事内容や雇用形態

公益財団法人で働く人は、職員または団体職員と呼ばれ、期間雇用は契約職員、嘱託職員と呼ばれるのです。仕事内容は、現場職か事務職に大別されます。

  • 現場職:専門性が高く資格を要する業務です。たとえば作業員、分析や研究員、保管検査員などが該当。
  • 事務職:専門分野をサポートするアシスタントや、総務や経理などを行う一般事務

設立資金

公益財団法人の設立するためには、まず一般財団法人の設立が必要です。条件は設立する人が価額300万円以上の財産を拠出し、その財産を事業の目的のために運用すること。

一般企業の場合、資本金1円からでも設立できます。2006年の法改正によって最低資本金制度がなくなり、最低1円でも起業できるようになりました。

収入源

公益財団法人の収入源は公益事業のほか、会費や寄付収入などがあります。一般企業の収入源は販売や役務、サービスなどの営業活動による収益です。また投資活動や財務活動による本業以外で収益が出る場合もあります。

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6.公益財団法人の事業内容

公益財団法人は公益を目的とした23事業に限定されます。大きくわけると「現場」と「事務」です。仕事は官公庁や行政から委託を受けた検査や監督、作業などの仕事が多いため、現場職は専門性が高く資格を有する特殊な業務が多くなっています。

公益目的となる23事業

公益目的となる23事業には、次のようなものがあります。

  1. 国の発展につながる学術や芸術、科学技術やスポーツなどの振興と支援事業
  2. 高齢者や障がい者、生活困窮者を支援する事業
  3. 事故や災害防止、犯罪防止や治安維持に関わる事業
  4. 日本の国土や海外の開発途上国の地域を経済的に支援する事業
  5. 物資やエネルギーの安定供給、国政の健全運営を確保するための事業
  6. 男女平等や自由思想につながる事業
  7. 世界中で推進するSDGsにかかわる事業

事業内容は民間有識者により決定

公益財団法人の事業内容は明確な法律基準から決定するのではなく、民間有識者の判断により決定します。

行政庁が公表している「公益目的事業のチェックポイント」といった一定基準があるものの、行政庁は「チェックポイントは留意点であり基準ではない」と表記しているのです。よって民間有識者の主観や心証で決まるともいわれています。

利益額に制限あり

遊休財産の保有制限という利益額の制限があります。公益法人が各事業年度末に保有する遊休財産額が、その年度の公益目的事業会計における経常費用額を超えてはならないという制限です。

設立にて、この遊休財産額が1年間の公益目的事業の費用を超えてはいけません。超えた場合、公益認定が取り消される可能性もあります。

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7.公益財団法人の認定基準

公益財団法人の認定には、公益社団法人および公益財団法人の認定などに関する法律で指定されている、18の基準を満たす必要があります。

主な認定基準

主な公益認定基準は次のとおりです。

  • 主たる目的は公益目的事業を行う
  • 公益目的事業に係る収入がその実施に要する適正な費用を超えないと見込まれる
  • 公益目的事業比率が50%以上であると見込まれる
  • 遊休財産が一定額を超えないと見込まれる
  • 同一親族等が理事または監事の3分の1以下である

公益認定取消し等の場合、公益目的で取得した財産の残額相当額の財産を類似の事業を目的とするほかの公益法人に贈与する旨を定款で定めている

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8.公益財団法人のメリット

公益財団法人のメリットは税制上の優遇や社会的信頼の向上、名称の独占などがあります。詳しく解説しましょう。

  1. 税制上の優遇
  2. 社会的信頼の向上
  3. 名称の独占

①税制上の優遇

下記2つの税制優遇措置を受けられます。

  • 収益事業課税…税法上定められた34の事業のみ課税。また34の事業でも公益目的事業に該当する場合、収益事業の範囲から除外される
  • みなし寄付金…収益事業から公益目的事業に対して利益の繰入計算を行った場合、法人内の資金移動でても寄付金とみなして計算できる

②社会的信頼の向上

設立には審査が必要なため、社会的信用性が高いです。公益財団法人というだけで、世間は国から認められた信頼できる団体だというイメージを抱くでしょう。

社会的信用が高まるため、企業や行政機関との関係性が有利に働き、行政からの委託事業を受けやすくなります。また寄付金を集めやすいというメリットもあるのです。

③名称の独占

公益財団法人は法律に定められた公益認定基準を満たし、行政庁または都道府県知に認定を受ける必要があります。

公益財団法人という名称を使用できることを「名称の独占」といいます。認定を受けた法人だけが使用できるもので、社会的信頼性が高い法人という印象を世間にアピールできます。ほか類似団体との大きな差別化も可能になるでしょう。

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9.公益財団法人のデメリット

公益財団法人にはデメリットもあります。

  1. 事業活動に制約
  2. 行政庁の指導監督

①事業活動に制約

公益目的事業23種に該当する事業のほか、次のような制限があります。

  • 収支相償…原則、利益を発生させてはならない
  • 公益目的事業費率50%以上…法人全体の事業費に占める公益目的事業の費用の割合が50%以上である
  • 遊休財産の保有制限…保有財産の内、公益目的事業や収益事業に使用しない財産の額が一定額以下である

②行政庁の指導監督

公益財団法人は、行政庁の指導監督として立入検査を受ける必要があります。

  • 法人の運営が不特定多数の者の利益の増進に寄与しているか
  • 運営手続きや会計は適切か

立入検査の時期は、認定後1回目は1~3年以内に実施されます。2回目以降の立入検査については前の立入検査の3年以内に実施すると定められているのです。

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10.公益財団法人の設立方法

公益財団法人の設立方法の手順について解説します。

STEP.1
一般財団法人の設立
まず一般財団法人を設立します。その手続きは次のとおりです。なお設立するための最少人数は評議員3名、理事3名、監事1名の合計7名になります。

  • 定款を作成し公証人の認証を受ける
  • 設立者が財産(300万円以上)の拠出を行う
  • 定款に従い、設立時の評議員、理事、監事を選任する
  • 理事と監事が設立手続きに不備がなかったか、調査する
  • 代表理事が事務所を登記する
STEP.2
公益認定申請
公益社団法人として認定してもらうため、必要書類を作成し、内閣総理大臣または事務所所在地の都道府県知事に認定申請の手続きを行います。申請に必要となる主な書類は次のとおりです。

  • 公益認定申請書
  • 定款
  • 事業計画書および収支予算書
  • 事業計画書および収支予算書に記載された予算の基礎となる事実を明らかにする書面
  • 事業に必要とされる許認可証
  • 財産目録
  • 公益目的事業を行う為に必要な経理的基礎を有すると証する書面
STEP.3
登記
申請を受けたあと、公益認定委員会が審査し、認定されると認定書が交付されるのです。認定されたら2週間以内に事務所所在地の登記所に、3週間以内に従たる事務所の登記所に、法人の名称を変える移行の登記を行います。

移行の登記をした日から公益財団法人になるのです。また認定が認められなかった場合、改善をすれば再申請できます。