ナレッジトランスファーとは?【方法について解説】

ナレッジトランスファーとは、特定の知識を別の人に伝え、組織での共有を目指すこと。そのメリットやポイント、対象となるナレッジやおすすめのツールなどを詳しく解説します。

1.ナレッジトランスファーとは?

ナレッジトランスファーとは、特定のナレッジを所有者から必要とする別の人へ移転すること。個人に蓄積されたナレッジを組織内で共有・活用して、競争力の向上を目指す仕組みです。

英語表記ではKnowledge Transferで、日本語に訳すと知識の移転になります。頭文字を取って「KT」もしくは「ナレトラ」と呼ばれる場合もあるのです。ナレッジトランスファーの類語にはスキルトランスファーがあります。

スキルトランスファーとの違い

スキルトランスファー(Skill Transfer)とは、ある技能や技術を社内で共有すること。ナレッジトランスファーと似た概念で、おもに業務の引き継ぎの際に使われる用語です。「スキトラ」と省略する場合もあります。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは?

・1on1の進め方がわかる
・部下と何を話せばいいのかわかる
・質の高いフィードバックのコツがわかる

効果的に行うための1on1シート付き解説資料をダウンロード⇒こちらから


【評価業務の「めんどうくさい」「時間がかかる」を一気に解決!】

評価システム「カオナビ」を使って評価業務の時間を1/10以下にした実績多数!!

●評価シートが自在につくれる
●相手によって見えてはいけないところは隠せる
●誰がどこまで進んだか一覧で見れる
●一度流れをつくれば半自動で運用できる
●全体のバランスを見て甘辛調整も可能

カオナビの資料を見てみたい

2.ナレッジトランスファーのメリット

ナレッジトランスファーのメリットは企業競争力の向上です。

ナレッジトランスファーが成功すると、ある個人が保有する知識や技術が、組織内に還元できます。それにより組織単位でのスキル向上や業務の効率化、生産性向上などが得られ、企業が他社より優位に立てると期待できるのです。

またナレッジトランスファーのノウハウや経験などは形式知化して継承されます。そのため属人的な業務や情報について、誰もがわかる状態で社内に蓄積できるのです。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

3.ナレッジトランスファーの対象となるナレッジ

ナレッジトランスファーの対象となるナレッジは、下記の2つです。それぞれについて解説しましょう。

  1. 暗黙知
  2. 形式知

①暗黙知

「経験や勘、直感などにもとづく」「かんたんに言語化できない」「言語化しても、その意味がすぐ伝わらない」「個々人が言葉にされていないものとして保持している」知識などで、「経験的知識」とも呼ばれているのです。

暗黙知を継承する具体例には、日本の企業文化が当てはまります。職場での指導や業務外での休憩時間・宴会といった暗黙知を継承する場がたくさんありました。

②形式知

文章や計算式、図表などで説明できる知識のことで、明示的知識とも呼ばれています。特徴は、「客観的にとらえられる」「言葉や数式など論理的構造で説明できる」点です。

たとえば「自動車の運転でブレーキを踏む・アクセルを踏む」といった方法は他者に説明できる知識なので、形式知になります。

一方、初心者とベテランドライバーの技術を比較する場合、言語化して他者へ説明するのは困難なため、暗黙知になるのです。

Excel、紙の評価シートを豊富なテンプレートで楽々クラウド化。
人事評価システム「カオナビ」で時間が掛かっていた人事業務を解決!
【公式】https://www.kaonavi.jp にアクセスしてPDFを無料ダウンロード

4.ナレッジトランスファーのポイント

ナレッジトランスファーのポイントは何でしょうか。それぞれについて解説しましょう。

  1. 経営主導で進める
  2. 移転しやすい環境を整える
  3. 担当者・移転する範囲を決める
  4. 時間・心理的コストを削減する

①経営主導で進める

ナレッジトランスファーを進める際、最初から経営主導で組織をあげて行うとよいでしょう。全社員にもその重要性が伝わりやすく、ナレッジ共有を自分ごととしてとらえる社員が増えるからです。

全社から集まったナレッジ広く普及させるため、社内報やグループウェアでナレッジについて説明する場を設けると、さらに共有意識が高まります。

②移転しやすい環境を整える

ナレッジ共有のための環境を整えると、社員が積極的にナレッジを発信する意識も高まります。たとえば「ナレッジトランスファーの手順書作成」「ナレッジに関するルールの設定」「情報共有ツールの導入」などです。

「何から始めたらよいかわからない」と社員が迷わないよう、あらかじめ取り組みやすい環境を用意しましょう。

③担当者・移転する範囲を決める

専任の担当者を決め、そのうえで情報の必要性や現場で活用できるかを見極めて、ナレッジ共有の範囲を決めます。

ナレッジ共有は片手間でできるほどかんたんではありません。ナレッジ共有の定義をしっかりと認識している人物を担当者に選びましょう。

担当者はナレッジ共有の効果を検証しながら進め、情報の必要性や現場で活用できるかを見極めながら、ナレッジ共有の範囲を決めていきます。

④時間・心理的コストを削減する

全社でのナレッジ共有に、ハードルの高さを感じている社員もいるはずです。トップ層やナレッジトランスファーの推進者が積極的にナレッジを共有し、社内全体にナレッジ共有の文化を作りあげていくとよいでしょう。

また日々の業務に手一杯で、ナレッジ共有に取り組めない社員もいると考えられます。そういった社員のため、手間をかけずにナレッジ共有ができるテンプレートを準備するのも重要です。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

5.ナレッジトランスファーの進め方

ナレッジトランスファーはどのように進めるのでしょう。研究者のナンシー・ディクソン氏が5つの基準から分類した知識の移転方法を5つ紹介します。

  1. 戦略移転
  2. 専門知移転
  3. 連続移転
  4. 近接移転
  5. 遠隔移転

①戦略移転

頻度の低い非定型業務から得たナレッジを再利用する方法のこと。M&Aのようにまれにしか起こらない戦略的業務に関して、暗黙知と形式知を担当するチームができるようにする方法です。

スペシャリストがナレッジの収集や解釈、変換すべて行うことを推奨しています。

②専門知移転

頻度の低い定型業務から得た専門的な形式知を、個人やチームの間で移転させる方法のこと。

トピックごとにわかれた電子フォーラムの開催を推奨しています。移転される知識は形式知かつ専門性が高いため、質疑応答や参加者同士の議論の場を設ける必要があるのです。

詳細な知識移転の方法は、ナンシー・ディクソン氏が2000年に刊行した『Common Knowledge』で紹介しています。

③連続移転

チームがある状況のもとで進めた業務から得た知識を、同じチームが別状況で同じ業務を行う際に連続して活用する方法のこと。

方法としてミーティングの定期的な開催を推奨しています。形式知だけでなく、経験やノウハウなどの暗黙知を共有する必要があるため、文書での移転は困難だからです。その際、チームメンバー全員が参加し、メンバー同士で互いに批判しないようにしましょう。

④近接移転

ひんぱんに繰り返す定型的業務から獲得した形式知を、同じような業務を行う別のチームに移転し活用できるよう移転する方法のこと。対象は形式知なので、情報共有ツールによる伝達が移転のおもな方法になります。

しかし全業務のナレッジを移転しようとするとツール上に情報が錯綜するでしょう。まずは利用状況をモニターして、ナレッジの利用者や対象範囲を絞ります。

⑤遠隔移転

あるチームの頻度の高い業務から得たナレッジを、別のチームの非定型業務で活用できるように移転する方法のこと。

遠隔移転で扱われるナレッジは暗黙知が移転の対象となります。そのためナレッジを保有しているメンバーが組織内を移動しながら、双方向のやりとりを通じて共有する方法が推奨されているのです。

また遠隔移転は一方的な移転ではなく移動先での意見交換がひんぱんに起こります。よって移出元のナレッジを増やす効果もあるとされているのです。

Excel、紙の評価シートを豊富なテンプレートで楽々クラウド化。
人事評価システム「カオナビ」で時間が掛かっていた人事業務を解決!
【公式】https://www.kaonavi.jp にアクセスしてPDFを無料ダウンロード

6.ナレッジトランスファーに最適のツール

社内でナレッジトランスファーを成功させるためには、どのようなツールを選べばよいのでしょう。

  1. Stock
  2. NotePM
  3. esa

①Stock

ノート機能にテキスト情報や、画像やファイルなどでナレッジを作成して移転先のチームと共有すれば、誰でもかんたんにナレッジトランスファーが実行できます。

タスクやメッセージ機能を利用すれば、情報が分散せずつねに整理された状態になるでしょう。シンプルなツールなので、ITの専門知識がなくてもかんたんに始められます。

Stockの料金

フリープランは無料かつ人数制限無しというStockの入門プラン。お試しですべてのプランで使えるノート、テンプレート機能、メール自動転送機能を体験できます。ノート数が40まで、テンプレート機能が3つまでといった制限があるので注意が必要です。

エントリープランは5人以下の利用で、月額1,980円。利用できるノート数、テンプレート機能が無制限になり、機能や容量が追加されます。さらにプランが上がるにつれ、利用できる人数・機能・容量などが増えていくのです。

②NotePM

ウィキペディアのように、社員がさまざまな情報を書き込み蓄積していくツールです。高機能エディタとテンプレートで、バラバラなフォーマットを標準化してくれます。

矢印や吹き出しなど、マニュアル作成に便利な画像編集機能もそなえているため、Web上でかんたんに作成できるのです。Word・Excel・PowerPoint・PDFなど、ファイルの中身も全文検索可能。キーワードを入力すれば欲しい情報がすぐ見つかります。

NotePMの料金

ユーザー数に応じたシンプルな料金プランを設定しています。

  • ユーザー8人までのプランは1カ月4,800円
  • ユーザー25人までのプランは1カ月1万5,000円
  • ユーザー50人までのプランは1カ月3万円

いずれも初期費用は0円、ストレージ容量追加オプションは+10GBあたり月額1万5,000円。プランのアップグレードはいつでもできます。無料で招待できる参照専用ゲスト数は、ユーザー数の3倍までの人数です。

③esa

自律的なチームビルディングを目指したいときにオススメです。とりあえず作成中でも公開し、そのあと何度も更新して情報を育て、情報が育ったらきちんと整理するといったスタイルになっています。

履歴が残るので、同じページを何度も更新して戻りたいバージョンに戻ったり、最新のアップデート情報を正確にメンバーに伝えたりするのも可能です。複数のメンバーで文書作成・バージョン管理を行いたいときにも向いています。

esaの料金

1ユーザーにつき月額500円で、2カ月間(60日間)は無料トライアル期間です。学生や教員、教育機関向けの無償のアカデミックプランも用意されています。

またサイトからの登録ではクレジット情報を入力しない限り、無料トライアルから自動継続になりません。そのため安心してトライアルできるでしょう。ほかの有料情報共有ツールと比べると非常にシンプルな料金体系で、価格も良心的です。