ジョブリターン制度とは?【わかりやすく解説】メリット、助成金

ジョブリターン制度とは、復職を希望する退職者を再雇用する社内制度。人材確保の新たな手法として注目されています。

1.ジョブリターン制度とは?

ジョブリターン制度とは育児や両親の介護、または配偶者の転勤といったやむを得ない理由で退職した社員が復職を希望した際に、再雇用する社内制度のこと。企業によっては「再雇用制度」や「キャリアリターン制度」、「カムバック制度」などとも呼ばれます。

再雇用された社員は慣れた職場環境で働けることと、企業は新規採用せずに人材を確保できることがメリットです。しかしジョブリターン制度自体はまだ日本で浸透しておらず、厚生労働省の「平成29年度雇用均等基本調査」によれば、制度が導入されている企業は全体の約3割程度にとどまっています。

再雇用に注目が集まる

労働人口が減少傾向にある昨今、人材確保の有力な方法として、一度退職した人材を再雇用するジョブリターン制度が注目を集めています。一度自社にいた人材ということもあり、即戦力として活躍できるからです。また企業は再雇用する人材の能力を把握していますし、再雇用される側も規則や風土などを熟知しています。そのため自社に馴染めないなどのミスマッチ問題が起こる心配がありません。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは?

・1on1の進め方がわかる
・部下と何を話せばいいのかわかる
・質の高いフィードバックのコツがわかる

効果的に行うための1on1シート付き解説資料をダウンロード⇒こちらから


【評価業務の「めんどうくさい」「時間がかかる」を一気に解決!】

評価システム「カオナビ」を使って評価業務の時間を1/10以下にした実績多数!!

●評価シートが自在につくれる
●相手によって見えてはいけないところは隠せる
●誰がどこまで進んだか一覧で見れる
●一度流れをつくれば半自動で運用できる
●全体のバランスを見て甘辛調整も可能

カオナビの資料を見てみたい

2.ジョブリターン制度のメリット

人手不足の解消以外にも、ジョブリターン制度にはさまざまなメリットがあります。企業側だけでなく雇用される側にもメリットがあるため、制度がうまく運用できるのです。ここではジョブリターン制度導入のメリットを5つ説明します。

採用や教育にかかるコストが抑えられる

新たに人材の採用や教育をする必要がなくなるので、これらにかかるコストが削減できるでしょう。再雇用される側は一度自社で働いた経験があるため、社内規則や社内制度、社内システムなど基本的なことを把握しています。そのため新入社員のような教育を行う必要がありません。退職前の部署や業務に戻るならば、仕事内容も把握しているため即戦力となるでしょう。

社外の知見を自社に活かせる

再雇用される社員が自社を退職したのち、ほかの企業で働いていた場合、社外の知見を自社の課題解決に活かせることがあります。スキルや資格はもとより、規則や制度、教育や研修などについて、自社にない考え方や手法などを取り入れられる可能性があるのです。同業の知見ではなかったとしても、自社で応用できないかを検討してみましょう。

社員の信頼を得られる

「一度自社を辞めても復職できる企業」として社内外から信頼度が上がるでしょう。出産や育児で復職介護や育児で仕事を辞めても、また働ける可能性があれば既存社員は安心して働けます。そのため自社への信頼やエンゲージメントは向上するでしょう。

社外の人には「退職した社員も大切にしている企業」と印象付けられるため、企業価値の向上につながる可能性もあります。

企業のイメージがアップする

ジョブリターン制度は社内へのアピールだけでなく、社外に対するアピールにもなるため、企業のイメージ向上につながります。ワークライフバランスの充実や女性の活躍促進が求められる昨今、ジョブリターン制度を取り入れて現代のニーズにあった対応ができる企業だと世間にアピールできるのです。

自社のコーポレートサイトにCSRや採用ページを設けているならば、ジョブリターン制度について記載することも検討しましょう。

低コストで運用できる

ジョブリターン制度の運用コストは低く抑えられます。周知手法は、自社のホームページや広報誌、社内向けの通知や書面、退職者向けのウェブサイトなどで、これらを整備する程度で運用できます。さらに東京都であれば「育児・介護からのジョブリターン制度整備奨励金」を申請できるので、より運用コストを削減することも可能です。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

3.ジョブリターン制度のデメリット

ジョブリターン制度にはデメリットも存在します。企業側や再雇用される側にはメリットがある一方で、現在働いている社員にとっては不満を与えてしまう可能性があるのです。この点をいかに解決していくかが、制度を運用するポイントになるでしょう。

現職の従業員が不満を感じる

ジョブリターン制度で再雇用した社員の待遇に対して、既存社員が不満を感じる可能性があります。たとえば一度退職した社員の待遇が、既存社員の待遇と同等あるいは上回る場合、既存社員は不公平に思うかもしれません。ひいては制度や報酬制度に疑問を持つことも。

勤続年数や離職期間、業務内容や能力などに応じて、待遇や評価の基準を決めておきましょう。

安易な退職を誘発する

「辞めてもまた再雇用してもらえる」と思い、安易に退職してしまう社員が出る可能性もあります。「嫌になったら辞めればいい」と考えるようになると、仕事に対するモチベーションも低下するでしょう。

一方企業は、再雇用した社員に対し、「また辞めるのではないか」という懸念を抱えます。そのため「やむを得ない理由、またはキャリアアップを目的として自社を退職した人」に対象を定めている企業もあるのです。

新たな価値観の創造や技術導入が遅れる

ジョブリターン制度に頼りすぎると、新たな知識や技術、ノウハウなどを取りこぼす可能性があります。新規採用者が少なくなるほど、これらの情報が入手しにくくなるからです。とくにシニア層を再雇用した場合、離職期間が長くなるほど、その人材の価値観や知識、ノウハウや成功体験などがすでに時代遅れのものになってしまっている可能性があります。このようなケースでは、ジョブリターン制度が思うような成果につながらないかもしれません。

雇用形態を整備する必要がある

働く人材のニーズに合わせて、さまざまな雇用形態を用意しておく必要があります。ライフスタイルの変化によっては、希望する雇用形態が変わることがあるからです。たとえば退職前は非正規雇用だったが再雇用では正規雇用のフルタイムを希望するケースや、逆に再雇用後は短時間やテレワークを希望するケースなどが考えられます。想定されるケースに応じた雇用形態を整備しておきましょう。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

4.ジョブリターン制度を導入する際の注意点

ジョブリターン制度を導入していたとしても、うまく活用できていない企業も少なくありません。その理由には「再雇用する際のルールを明確にしていない」や「ワークライフバランスに配慮した制度になっていない」、「そもそも社員に対して十分な周知を行っていない」などが考えられます。

再雇用のルールを明確化

再雇用する場合のルールを明確にしておきましょう。たとえば以下のような項目が挙げられます。

  • 勤続年数の年数
  • 退職の理由
  • 退職前の評価
  • 退職期間
  • 懲戒処分の有無

再雇用の条件が明確になっていないと、社員が安心してジョブリターン制度を利用できません。また既存社員の不満や不公平感、あるいは安易な離職を防止するためにも必要です。

子育てや介護と両立できる環境の整備

育児や介護など仕事を両立できるように、報酬制度や評価制度、就業規則などを整備する必要があります。育児や介護は長期にわたることが多いため、再雇用時に両立しなければならない人も多いからです。

とくに以前フルタイムで働いていた人であれば、家庭と仕事を両立しながらまったく同じ労働条件で働くのは難しくなります。このような環境を整備しておけば、再度退職してしまうリスクを減らせるでしょう。

積極的な制度周知

ジョブリターン制度を使ってもらうためには、制度を社内外へ周知することも大切です。制度導入の際には、必ず全社員が目にする場所で告知を行い、だれが見ても理解できる内容でルールや使い方を記載するようにしましょう。

社員が制度について疑問を持った時、質問できる場所や手段についても忘れずに明記しておきましょう。同時にコーポレートサイトや専用ウェブサイト、SNSなどで社外に対して周知しておくと、すでに退職した社員に伝わる可能性が高まります。

多様な雇用形態を用意

なるべく多くの人材がジョブリターン制度を使えるようにするためには、それぞれの事情や要望をくみ取り、可能な限りその条件にあった働き方を提供しましょう。介護や育児以外に、配偶者の転勤やキャリアアップなどの理由で退職した場合は、また異なる要望が出てくることも考えられます。その場合は転勤や出向に関する規程の整備や、スキルアップ研修などが必要となるかもしれません。

再雇用後のキャリア形成

以前のキャリアを維持したまま復職できる環境を用意することも大事な要素です。ジョブリターン制度を利用して再雇用されたとしても、一度形成されていたキャリアを再度積み上げていかなければならないのでは、社員にとって自社に復職するメリットがありません。

同じキャリアで戻ってこられた方が社内での活躍も期待できますし、本人も安心して仕事に復帰することができるでしょう。そのため「離職後○年までは退職前の役職で再雇用を認める」というルールを設けている企業もあります。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

5.ジョブリターン制度を導入している企業

近年、ジョブリターン制度を導入している企業は多数存在しています。各企業で制度の内容は異なりますが、自社にジョブリターン制度を導入する前の参考として、さまざまな企業のジョブリターン制度の導入事例を6つ紹介します。

株式会社ニトリ

家具やインテリア用品を販売している株式会社ニトリでは、2014年7月にジョブリターン制度を導入。利用するための条件として、「勤続年数2年以上かつ退職してから15年以内」としています。退職理由にも基準を設けており、「結婚・出産・育児・介護」といったやむを得ない理由や「転職・留学」などキャリアアップを理由で退職した人の復職を認めています。

株式会社明治

大手食品会社の株式会社明治では、2020年の4月1日から「リ・メイジ制度」という名称でジョブリターン制度を導入。この「リ」は「再び」を意味する英語表記の「Re-」であり、再雇用で組織の活性化や成長を繰り返していくことを表しています。こちらの制度を利用できる人は、3年以上勤務した正社員に限定されているのが特徴です。

大同生命保険株式会社

生命保険会社である「大同生命株式会社」は、2011年からジョブリターン制度を導入。「勤続3年以上の社員で、結婚・配偶者の転勤・育児・介護を事由として退職した人」を再雇用の対象としています。同業他社と比べて大同生命の業務は異なるため、働いたことのある人材を再雇用することは即戦力につながる、という考えのもと導入されました。

キリンホールディングス株式会社

大手飲料メーカーの「キリンホールディングス株式会社」は、2020年に「キャリアリターン制度」を導入。再雇用のための条件に「早期退職希望者や懲戒解雇されたなどの特別な場合を除き退職の理由は問わない」としており、自己都合で退職した場合でも制度を利用できるのが特徴です。なお「退職後5年以内」や「総合職社員あるいは経営職社員としての勤続が3年以上」という条件も設けられています。

株式会社 山形銀行

地方銀行である株式会社山形銀行は、2020年からジョブリターン制度を導入。制度を利用するための条件は「勤続年数が3年以上」と「退職後7年以内」をいずれも満たすことです。山形銀行も「原則退職理由を問わない」としており、自身のキャリアアップが目的といったような自己都合の退職であっても、再雇用を受け入れています。

帝人株式会社

繊維事業者である「帝人株式会社」は2007年という早い段階から、「HELLO AGAIN制度」という名称のジョブリターン制度を導入。再雇用の条件は「結婚、出産、育児、介護、配偶者の転勤を理由として退職した従業員」です。帝人では2015年時点で25名が制度を利用。なかにはパートナーの海外転勤でやむを得ず退職したのち復職し、現在は管理職で活躍している人もいます。