ジタハラ/時短ハラスメントとは?【わかりやすく解説】

働き方改革の影響を受け、残業削減や有給の消化問題改善などさまざまな部分で変化が生じる現在のビジネス社会。その中で、時短ハラスメントという新たなハラスメントが浮上してきました。

ここでは、そもそも時短ハラスメント=ジタハラとは何か、そのジタハラによる問題点や解消に向けた対策について解説します。

1.ジタハラとは?

ジタハラとは、労働時間の短縮によって生じるハラスメントのこと

働き方改革を進める上で、避けては通れない「長時間労働」の問題。長時間の労働を抑制し、残業を減らすべく組織改革に取り組む企業が増加傾向にあります。

しかし、残業時間削減のための具体的な策もないままに、社員に「残業をするな」「定時に帰れ」などと退社を強要している企業も存在するのです。

長時間労働見直しのための施策を講じず退社を強要すると、持ち帰る残業が増え、社員のの士気が下がるといった問題が頻発してしまいます。

ジタハラの正式名称

ジタハラは「時短ハラスメント」の略。時短は「時間短縮」の略で、一般には「労働時間の短縮」のことを指します。

ハラスメントとは?

ハラスメント(Harassment)とはいろいろな場面で行われる「嫌がらせ、いじめ」のこと。

種類やシチュエーションはさまざまですが、他者に対する発言・行動などが本人の意図とは関係なく、相手を不快にさせたり尊厳を傷つけたり不利益や脅威を与えたりることを指します。

相手がどのように感じ、考えるかは人によって異なるもの。この点を正しく認識し、他者への思いやりと配慮を持って行動することこそが、ハラスメントの防止につながると考えられているのです。

2018年の流行語にノミネート

「時短ハラスメント(ジタハラ)」は、2018年の第35回「現代用語の基礎知識」選ユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされ、話題になりました。

このことからも、世間の時短ハラスメントに対する注目度の高さがうかがえます。一方で流行語大賞のノミネートで初めてジタハラという言葉を知った、ジタハラ問題について考えるきっかけになったという人の声も多数上がっているのです。

働き方改革の裏で生まれたハラスメントとして、対策に乗り出している企業も少なくありません。

ジタハラとは「時短ハラスメント」の略。流行語大賞にノミネートされるなど、世間からも注目を集めている問題です

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2.ジタハラの実態

2017年11月に高橋書店が発表した調査によると、「あなたの会社で『働き方改革』(長時間労働の改善)に関する取り組みが導入されたことにより、困っていることはありますか?」という質問に対し、4割が「働ける時間が短くなったのに、業務量が以前のままのため、仕事が終わらない」と回答しました。

また「仕事を家に持ち帰った」「顧客に迷惑をかけてしまった」という経験を持つ人や、「仕事へのやりがいが減った」「具体的な現場の対策・体制がまだ整っていないため、スタッフ間で混乱が起きたことがある」など、仕事が回らず現場がパニックに陥るケースもあることが浮き彫りになったのです。

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3.ジタハラで起こる事例・訴え

具体的なジタハラの被害はどんなものがあるのでしょうか。事例を見ていきましょう。

業務量は変わらないのに

管理職から「早く帰れ」「残業は月●時間までに収めること」「成果はこれまでと同様に出せ」などと強く促されるものの仕事量は変わらず、またこれまでもらえていた残業代の支給も減ったというAさん。

仕事が終わらず自宅に持ち帰って処理することも多く、働くモチベーションが下がってしまっていました。

残業時間を減らせるよう業務効率化をするはずが、管理職による長時間労働に至る業務フローやプロセスの見直しなどの対策が取れておらず、単純に帰宅や残業時間の制限を促したため、「ジタハラ」になってしまっていたのです。

自殺に追い込まれる人も

2016年12月、自動車販売会社の男性店長(48)は、会社側から「仕事を早く終わらせろ」と迫られる一方で「従業員は早く帰せ」と言われる典型的なジタハラの末、過労自殺をしました。

男性店長は当時うつ病に罹患しており、「私を殺したのは会社」という書き置きを残していたといいます。

後に労災認定されたこの痛ましい事件のように、特に責任感が強く真面目なビジネスパーソンほど時間短縮の指示に強いプレッシャーを感じるのです。ジタハラは単なる「嫌がらせ」ではなく、過労死にまで発展しかねない根深い社会問題のひとつといえます。

さまざまな訴えや悲痛な事件から、ジタハラの実態が明るみに出てきました。過労死にまで発展するジタハラは、現代社会の根深い社会問題だといえます

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4.ジタハラの問題点

ジタハラ対策を考える前に、まずジタハラの問題部分を洗い出しましょう。

対策をせずに強要

働き方改革で業務効率化や人材配置、業務量の調整などの業務見直しを行わず、残業時間削減だけを行うと、仕事が定時に終わらない可能性が高まります。

残業時間を短くしても業務が終わるような対策を取らず、ただ安直に「残業時間を減らせ」と強要すれば、ほかにしわ寄せがいくのは当然でしょう。

また、社歴や経験の浅い人はいつまでたっても育たず、本人も成長が実感できないため、働きがいを感じることも減ります。会社も、必要としている人材が育たない、中堅層の負担が大きくなり人材損失のきっかけになってしまうという負の循環に陥るのです。

サービス残業が増える

対策を講じないため仕事が終わらなくなると、タイムカードを定時に押してそのままサービス残業を社員に強要することになります。

特にジタハラで問題になっているのは、無理やり社内から追い出され、結果的に家に仕事を持ち帰ったり、レストランやカフェで残業をせざるを得なくなったりしてしまっているという状況。

持ち帰り残業については残業代として請求できない雰囲気の企業が多いため、社員の負担は増えていきます。中には残業禁止令が出たことで、部下に振るはずだった仕事を自ら自宅に持ち帰って片付けることになる中間管理職も多いようです。

何の対策も講じずただ「残業時間をなくす」「定時に帰る」を実施すると、業務が終わらなくなります。そしてそのしわ寄せは、社員に向かうのです

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5.ジタハラを解消するための対策

深刻化するジタハラ問題を解消するには、どのような対策を取るとよいのでしょう。具体的な対策について解説します。

社員一人ひとりが見直し

企業側が対策を講じるのはもちろんですが、社員一人ひとりが業務を見直すのも有効です。なぜ残業するほど自分に業務が集中しているのかを見直した結果、実は一人で仕事を抱え込んでしまっていた、ということもあり得ます。

その際は、同じプロジェクトや部署の人に頼んだり任せたりできる仕事がないかを検討してみましょう。

次いでスケジュールの把握も重要です。作業に遅れがないか、効率化が図れる作業はないか、を個人でも検討すると同時に、プロジェクト内で進捗状況を共有し、プロジェクト内での問題と捉えて対策を検討します。

これによって、見直しと同時に個々で行える対策を講じるため、チームの中で個々の状況が共有ができるようになります。

業務量の把握

ここからは企業側の施策として対策するべきことを挙げていきます。まず各社員の業務内容と量を可視化することから始めましょう。

仕事が一定の社員に偏っていないか、あるいは必要のない業務がないかを確認します。改善できる点があれば改善し、業務量全体から残業となっていた量を減らせるような体制にしましょう。

たとえばバックオフィスの場合、ITツールなどを利用して業務を効率化し、1人当たりの仕事量を減らします。

営業職などなら、外出先からでも参加できるWeb会議システムや、リアルタイムでコミュニケーションが取れるチャットツールなどの利用を検討して業務効率化を図りましょう。

モチベーションを下げない工夫と対策

労働時間が減った環境で業務のクオリティを確保するために、時間内でどう仕事を片付けていくのか、業務効率化できることはないか、職種ごとにできることはないかなど、対策を講じていきます。

優先順位を付ける作業を行う際は、プロジェクトや部署全体、会社全体で業務を仕分けましょう。社員一人の判断や自助努力だけでは改善を図るのが難しく、モチベーションを下げてしまうことも懸念されます。

また改善対策に際して、適切に社員間もしくは部門間のコミュニケーションを取って連携しましょう。それにより、対策が機能しやすくなります。

相談窓口を設ける

ジタハラが続き社員のモチベーションが低下すると、離職につながる可能性が高まります。離職率の上昇は採用コストの上昇につながるため、企業活動にも悪影響を及ぼすのです。

また離職しなくとも、心や身体を壊して休職してしまうことも。近年、SNSや企業の口コミサイトにより、企業の悪評は高速で広がります。これによって企業のブランドイメージが低下する可能性は高いのです。

ジタハラによって退職者や休職者を出すことのないよう、匿名で相談できるような相談窓口を設けるなどの対策を取りましょう。

トップ層で改革について意識共有

長時間労働を続けていると、労働基準監督署から指導を受けることもあります。とはいえ指導を受けないためにジタハラ対策をするのでは意味がありません。

社員が心地よく働ける職場はおのずと業績も向上すると考え、プラスの連鎖を生み出すためにも、トップ層で意識を共有するのです。経営陣や人事労務担当者は、現場の事情を把握しづらいという課題もあります。それでも時間を設けて課題把握に動きましょう。

現場の声を聞くことなく独断で時短政策を進めてしまえば、ジタハラを防ぐことは難しくなります。

ジタハラ問題を解消するには、社員一人ひとりの工夫と企業の真摯な改善努力が必要です