人事労務管理とは? 人事管理と労務管理の違い、業務内容、人事労務管理システムについて

人事労務管理とは、社員の賃金や福利厚生などを管理すること。今回は、人事管理と労務管理の違い、業務内容、人事労務管理システムについてご紹介します。

1.人事労務管理とは?

人事労務管理とは、社員個人を対象とした「人事」と会社全体を対象とした「労務」をあわせたもの。現在は一般的に、「人事労務管理」と呼ばれるものの、戦前までは「人事管理」と「労務管理」は別個で取り扱われていました。

ここからは、人事管理と労務管理の関係性とその業務範囲について見ていきます。

人事管理と労務管理の関係性とは?

人事労務管理の目指すべきところは、優秀な人材の確保により、生産性が向上し、働く環境が良くなるという好循環。企業の資源は「ヒト・モノ・カネ」とよくいわれます。人事労務管理は「ヒト」を管理する仕事です。

「人事労務管理」とまとめて呼ばれます。しかし「人事」は人材の評価が中心で「労務」は社員の労働に関する手続きなどが中心といったように、分かれているのです。また組織の規模が大きくなるほど、一般的に人事と労務は細分化されます。

人事労務管理の業務範囲とは?

人事労務管理の業務範囲は、下記のとおりです。

  • 人材の確保:企業の成長に合わせ、適切な採用活動を行い、人材を確保する
  • 人材の配置:適材適所に人材を配置し、異動や昇格を管理する
  • 人材の育成:ポジションに合ったスキルが身に付くようサポートする
  • 給与に関する管理:給与計算から年末調整、企業年金などの事務手続きを行う
  • 職場環境の最適化:福利厚生の充実や労働時間の管理を行い、働く環境を改善する

人事労務管理は経営資源における「ヒト」の問題に取り組むため、状況に応じた柔軟な人材マネジメントが求められます

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2.人事管理と労務管理の違いをそれぞれ解説

人事管理と労務管理は混同されがちですが、2つとも業務内容には大きな違いがあります。人事は採用や評価などを中心とする一方、労務は勤怠管理や給与計算などを中心に行うのです。

ここからは、それぞれの管理の対象とその業務内容、そして各業務にはどのような人が向いているのか、解説します。

人事管理は一人ひとりの社員に対する業務

人事管理は、社員一人ひとりを対象とした管理。企業にとって、社員は非常に大切な存在で、社員なしでは事業を継続できません。

その大切な存在である「ヒト」の管理を行うのが人事管理の仕事で、採用や人員配置、人事評価を適切に実施し、把握します。最近では、企業ブランディングを重視した企画立案や制度の導入も人事管理に求められているのです。

人事管理の具体的な業務内容

「人材によって組織を活性化させる」という目的のもと、人事管理は下記のような業務を行います。

  • 採用活動:新卒から中途までの年間の採用計画を立て、経営計画に沿って人材を確保する
  • 人材の育成:社員のレベルに合わせて研修を実施する
  • 人材の評価:属人的ではない評価基準を作成する
  • 人事異動:人材の適切な配置のために、人事異動を決定する

人事管理に向いている人とは?

人事に向いている人は、何よりも明るい人。その理由は、会社の顔となって採用活動を行うなど、対外的な活動が多いからです。面接での人事担当者の印象が悪ければ、会社の印象まで悪くなる可能性もあります。

そのため、人事担当者は人間性が重視されるのです。また、社員一人ひとりと深くかかわり、会社全体の仕組みや方向性を理解する知識が必要となります。

労務管理はすべての社員に対する業務

労務管理は、組織を対象とした働く環境を最適にするための管理。すべての社員が働きやすい環境を作るために行動します。

人事管理と比べると裏方になるものの、労務管理がしっかりとできていない会社は、社員のモチベーションが低く離職率も高いため、重要な仕事といえるでしょう。また労務は保険などの手続き業務だけと思われがちですが、さまざまな相談の解決にも取り組みます。

労務管理の具体的な業務内容

「労働者が安心して働ける組織づくり」という目的のもと、労務管理では下記のような業務を行います。

  • 勤怠管理:社員の出勤や欠勤状況を把握する
  • 給与計算:社員の賃金を計算する
  • 保険などの手続き:健康保険や雇用保険などの手続きを行う
  • 安全衛生管理:労働安全衛生法に基づき、安全かつ衛生的な労働環境を作る
  • 健康診断の実施:定期的に健康診断を実施し、社員に結果を通知する

労務管理に向いている人とは?

労務に向いている人は、コツコツと丁寧に仕事を行える人。特に給与計算は、決められた期間内に正確な計算をする必要があるのです。

また働きやすい環境にしていくため、労働基準法など専門的な知識も必要となります。労働基準法などは改定される場合もあるため、つねに学ぶ姿勢が大切です。新しい知識を身に付けることが好きな人にも向いているでしょう。

人事管理と労務管理は、どちらも社員管理という共通点があります。しかし人事は「対個人」、労務は「対組織」と業務に大きな違いがあるのです

3.人事労務管理の注意点と会社における重要性

人事労務管理を行う際、「法律や法令の遵守」「つねに改善意識を持つ」「厳重に情報を管理する」などが求められます。ここからは、人事労務管理における注意点と会社におけるその役割の重要性について見ていきましょう。

人事労務管理と社員の束縛はイコールではない

「社員の情報を把握している」「コンプライアンスを順守する」ためにも、度が過ぎた管理には注意しなければなりません。管理も度が過ぎると柔軟性に欠け、監視体制が構築されてしまいます。

人事労務管理に携わる社員もほかの社員と同じ立場であると忘れてはいけないのです。そのため自制心を持ち、責任ある行動が求められるでしょう。

もしも労務管理をする担当がいなかったら

人材だけがよくても、生産向上のための働きやすい環境が整っていなければ好循環とはなりません。各部署でも勤怠管理はできるものの、労務管理担当者がいない場合、企業全体として社員一人ひとりがどのような労働を提供しているか、把握できなくなります。

労務担当がいないと、社員のモチベーション低下につながり、最終的には人材不足に陥り、事業継続が困難となってしまうのです。

人材が定着する組織をつくる

「社員が働きやすい環境を整える」「人材育成」など、つねに改善していこうという意識が必要です。たとえば近年注目されているハラスメント問題について、つねに対策を講じ、発生防止に努めなければなりません。

また働き方改革に伴って残業時間を減らすため、ITツールを駆使した施策も着目されています。このように時代の変遷と共に最適な職場環境を追求することが、生産性向上にもつながるでしょう。

人事労務管理の質が向上すると、企業の収益性や安定性につながります。労務担当者は、将来を見据え、より良い会社づくりに貢献することが大切です

4.業務を快適にする人事労務管理システムとは?

人事労務管理システムは、個人情報や人材マネジメント、社会保険などの手続きを一括管理できるため、業務効率化が図れるのです。

これまで人事労務管理システムは、大企業における導入が多かったといえます。しかし現在、マイナンバー制度の施行などにより中小企業での導入も増加傾向にあるのです。それでは、システムの詳細について見ていきましょう。

社員情報の収集がかんたんになる

マイナンバーを始めとした個人情報は、社員が直接入力できます。これによって人事担当者の負担が大幅に軽減するのです。

社員によって入力された個人情報は、社員名簿として集約されます。また住所変更や扶養変更などの手続きを行うたびに、自動で社員情報が更新されるのです。つねに最新かつ正確な社員名簿が保てます。

人事業務と労務業務の連携がしやすい

人事労務管理システムでは、部門をまたいで採用や勤怠、評価や給与、労働条件などを一括管理できます。データが一元化されるため、人事業務と労務業務の幅広い業務をカバーし、生産性も向上。

企業ごとに必要な業務を組み合わせた柔軟なシステム運用も可能です。またマネジメント層に必要な情報を迅速に提供できます。

各種申請手続きをWebで申請できる

社会保険や雇用保険などの手続きをWebで申請できるため、役所へ行く必要がありません。たとえば入社手続きを行う前は、雇用契約をオンラインで締結。これにより、紙でのやり取りや管理、押印などが一切不要となるのです。

入社手続き以外にも帳票作成や、電子申請義務化に含まれる手続きに対応しているため、すべて社内で完結できます。

人事労務管理システムを導入するメリット

人事労務管理システムを導入すると、煩雑な雇用契約や入社手続きなどがペーパーレスとなり、時間とコストを削減できます。それ以外にも、業務効率化やセキュリティの強化、人的ミスの削減や人材育成などのメリットが得られるのです。

では、それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

業務の効率化

データを一括管理できるため、業務が効率化します。各種書類作成業務などの効率化が見込まれ、人事担当者だけでなく申請する社員の負担も軽減するでしょう。

また社員と人事担当者間での煩雑なコミュニケーションが減るため、社内全体の生産性が向上。従来まで手入力だった作業も自動化するため、人件費の削減にもなるでしょう。

セキュリティの強化

しっかりとしたセキュリティで、個人情報などの機密データを守れます。システムに登録された情報はすべて暗号化され保存されているのです。

さらにサーバー本体でも暗号化を行っているため、セキュリティは非常に高く、安心して利用できるでしょう。外部からのサイバー攻撃といった不正アクセスも検知し、防御します。

ミスの削減

給与計算や書類作成の自動化により、手入力において発生する計算ミスなどを削減できます。社員が入力した個人情報や勤怠情報なども自動で転記されるため、労務リスク発生予防対策になるのです。

経験の浅い担当者や社員でも、やるべきことやタスク漏れなどが確認できるような画面設計となっており、業務におけるミスを極力抑えられます。

人材育成

人事情報をデータ化するため情報が引き出しやすくなり、評価の効率化につながります。社員情報を複数の人事担当者間で共有して、新しいプロジェクトメンバーの決定に活用できるのです。

また昇給・昇格時の判断基準がより客観的になるでしょう。さらには社内で不足しているスキルを把握すると、求人の際にも条件が絞り込みやすくなります。

人事労務管理システムを導入する際は、どのような業務を改善したいのかなど目的を明確にし、自社に合ったシステムを見つけましょう

5.よりよい人事労務管理業務を行うために

より良い人事労務管理業務を行うには、法令や求人市場の変化などに対応できる担当者であることが大切です。会社を発展させ、さらなる成長を望む場合、徹底した人事労務管理が欠かせません。

最後に、人事労務担当者としてステップアップできる方法をご紹介します。ご紹介した方法を参考に、信頼される担当者を目指してみてください。

専門的な本などで人事労務管理に必要な知識を深める

労務においては、労働基準法などの専門的な知識が必要となります。ここでは、労務担当者におすすめの本をご紹介しましょう。

  • 基礎編:「人事・労務の実務がまるごとわかる本」望月健吾/日本実業出版社、給与計算・就業規則など労務担当者が知っておくべき最低限の業務内容を分かりやすく説明している
  • 応用編:労務のバイブル 月刊誌「労政時報」、社会人にとっての日本経済新聞のように、労務担当者にとっての必読書

人事労働管理に役立つ資格を取得する

人事担当者が取得すると役立つ資格は、国家資格のキャリアコンサルタント。社員のキャリアプランやキャリアアップの相談に対して、的確なアドバイスを行う専門資格です。

また労務担当者は、社会保険労務士の取得をおすすめします。社会保険労務士の目的は、法令の円滑な実施や事業発展と労働者福祉を助けること。実務だけでは学びきれない知識を習得するために、資格取得を目指すことは有意義でしょう。

どのような人事・労務担当者になりたいのか、キャリアプランをしっかり立て、知識習得や資格取得をすることが大切です