事業税とは? 【わかりやすく解説】個人事業主、法人、計算

事業税とは、個人事業主や法人の所得に応じて課税される地方税のことです。ここでは、事業税について解説します。

1.事業税とは?

事業税とは、各都道府県へ納める地方税のことで、都道府県で税率が異なるのです。各都道府県が確定申告を個人事業主や法人の所得に応じ税額を計算し、納税通知書を送付します。そして集まった事業税は、各自治体での活動に使用されるのです。

事業とは?

生産や営利を目的に、組織や会社を「反復性・継続性・独立性」のある形で営むこと。給与を得る会社員が従事する業務は該当しません。

事業所税との違い

事業所税とは、事業所に対し課税する税金のこと。事業規模が計算のベースになっており、市区町村内にある事業所で事業を行っている法人や個人に納税義務があるのです。事業所税には、下記の2つがあります。

  1. 事業所の床面積に応じ課税する、資産割
  2. 従業者の給与総額に応じ課税する、従業者割

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2.個人事業税と法人事業税の違い

個人事業税と法人事業税には、下記のように違いがあります。

  • 法人事業税:原則、すべての収益事業に対し課税される
  • 個人事業税:地方税法に定められた業種のみに課税される。個人事業では、290万円の事業主控除が認められている

個人事業主

個人で事業を営む人のことで、税務署に開業届を提出して申請します。働き方改革における働き方のひとつとして注目されているのです。

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法人

法律で自然人と同等の権利義務を認められた組織のこと。たとえば株式会社や合名会社などがあります。法人を設立するには、定款や法人登記といった必要書類の準備、許認可申請や資本金の準備が必要です。

法人の種類

法人は種類によって出資者の責任範囲に違いがあるのです。大きくわけると下記2種類に分類できます。

  1. 公共団体や独立行政法人など行政を目的とした活動を行う、公法人
  2. 営利法人や非営利法人、一般的な起業といった活動を行う、私法人

また営利法人は下記のようにわかれ、

  • 株式会社
  • 合同会社
  • 合資会社
  • 合名会社

非営利法人は、下記のようにわかれます。

  • NPO法人
  • 一般社団法人
  • 一般財団法人

税金の仕組みの違い

個人事業主と法人は、税金の仕組みに以下のような違いがあります。

  • 個人事業主:地方税法といった税法で定められた事業に、個人事業税が課される。税率は事業により異なる
  • 法人:事業で利用する公共サービスや公共施設に対する経費の一部負担を目的に、法人事業税が課される。税率は法人の種類や規模などにより各都道府県で異なる

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3.個人事業税とは?

都道府県に納付する地方税のこと。課税対象は、法律で定められた70業種のみです。ここでは下記について、解説します。

  1. 個人事業税の申告期限と方法
  2. 個人事業税の課税対象職種と税率

①個人事業税の申告期限と方法

原則、毎年2月16日~3月15日までの1か月間に行います。もしそれぞれが土・日曜日もしくは国民の祝祭日である場合、翌日か翌々日の月曜日を期限になるのです。

対象期間は、提出年の前年1月1日~12月31日。提出の方法として挙げられるのは、「所轄税務署に出向いて書類を手渡す」「郵送する」「e-TaxによるWeb申請」です。

必要書類と添付書類

必要書類と添付書類は以下のとおりです。

  • 簡易版の確定申告書である確定申告書A、またはどの所得の申告にも対応するB
  • 本人確認書類
  • 所得の証明ができるもの
  • 所得控除や税額控除の適用が証明できるもの
  • 還付がある場合のみ銀行口座がわかるもの

個人事業主の場合、事業所得の申告に対応しているのは申告書Bのみです。よって新奥書Bを利用します。また青色申告か白色申告かで、添付する書類が異なるのです。

白色申告

白色申告とは会社員や個人事業主、年金生活者など納税義務のあるすべての人が対象となる確定申告の基本方法です。確定申告書と収支内訳書が必要で必要書類の項目が少なく、簡易な記載方法が認められています。

ただし特別控除制度がなく、赤字繰り越しもできません。

青色申告

必要書類が複雑になる反面、要件を満たせば節税となる特典を受けられる確定申告のこと。青色申告の必要書類は以下のとおりです。

  • 確定申告書B
  • 本人確認書類
  • 青色申告決算書
  • 所得控除のための所得証明書
  • 支払調書(提出義務なし)

申請する場合、開業から2か月以内に税務署へ「青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。

②個人事業税の課税対象職種と税率

課税対象職種ごとに各都道府県で税率がわかれています。

  • 物品販売業や保険業、製造業などの第1種事業は5%
  • 畜産業や水産業、薪炭製造業の第2種事業は4%
  • 医業や弁護士業、司法書士業、デザイン業、理容業などの第3種事業は5%
  • 第3種事業のうち、そのほかの医業に類する事業、装蹄師業は3%

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4.個人事業税の計算方法

個人事業税は、「(売上-経費-事業専従者給与-各種控除)×税率」で算出します。税率は、該当する事業の税率を当てはめましょう。ここでは下記について、解説します。

  1. 各種控除
  2. 納期と納税方法
  3. 事業税が減免されるケース

①各種控除

個人事業税には以下のような控除があります。

  • 青色申告者の損失の繰越控除
  • 被災事業用資産の損失の繰越控除
  • 機械や車両などの譲渡による損失に対する事業用資産の譲渡損失控除、譲渡損失の繰越控除
  • 事業者と生計を一にする15歳以上の親族で、事業に従事する者がいる場合の事業専従者控除
  • 年額290万円の事業主控除

②個人事業税の納期と納税方法

個人事業税は、都道府県から送付される納税通知書をもとに原則、8月と11月の2回にわけて納付します。ただし税額1万円以下の場合は、8月にすべて納付するのです。納税方法として、窓口やコンビニ、クレジットカードや口座振替での納付が認められています。

③事業税が減免されるケース

事業税が減免されるケースは、下記のとおりです。

  • 地震、洪水といった自然災害にあったとき
  • 生活保護を受けているとき
  • 自分や生計を共にしている家族に、高額な医療費を払ったとき
  • 本人や扶養する家族に障がい者がいるとき

なお減免措置を受けるためには、納税者が期限日までに都道府県の税事務所へ申請する必要があります。減免措置に該当するかどうか、早めに確認しましょう。

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5.法人事業税とは?

事業で道路や港湾、消防や警察など、公共サービスや施設を利用する際にかかる経費の一部を負担する税金のこと。一部例外を除き、原則、事業を行うすべての法人に納税義務があります。

法人事業税の納付先は、各地方自治体です。ただし法人所得が赤字の場合、納付義務はありません。

法人事業税と法人税、法人住民税の違い

法人事業税と法人税、法人住民税は「法人税等」と呼ばれます。3つの内容について見ていきましょう。

  1. 法人税
  2. 法人事業税
  3. 法人住民税

①法人税

会社の課税所得に対して課される税金のこと。国税であるため、納税先は国になるのです。法人税は下記にわかれ、法人自身が申告する申告納税方式となっています。

  • 各事業年度の所得に対する法人税
  • 各連結事業年度の所得に対する法人税
  • 退職年金等積立金に対する法人税

具体的な税額は、「課税所得×法人税率」で算出可能です。

②法人事業税

事務所や事業所がある都道府県が、法人の事業活動に対し課する税金のこと。下記のような内容で構成されています。

  • 企業の所得に課される「所得割」
  • 企業規模に応じて課される「付加価値割」と「資本割」

法人事業税は、一部を除き原則、事業を行うすべての法人に課税されます。申告納付期限は、各事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。

③法人住民税

地域社会の費用負担を法人に求める税のこと。法人市民税や法人県民税ともいい、所在地の都道府県及び市町村が課税します。また法人住民税の内訳は下記のとおりです。

  • 法人の資本金等の額により区分される都道府県民税
  • 法人の資本金等の額と従業者数で払う税金の額により区分される市町村民税

そして法人住民税には下記があります。

  • 法人税額に応じて課税される法人税割。赤字の場合は課税されず、税率は標準税額と制限税率の範囲内で決められる
  • 資本金の額や従業員数などに応じて課税される均等割

法人税割も均等割も地方税であるため、税率は公共団体ごとに設定されています。

法人事業税の納税義務者と税率

法人事業税の納税義務者は原則、事業を行うすべての法人です。ただし下記のように状況によって課税されるかどうか、変わるのです。もちろん、法人の種類や規模で税率が異なります。

  • 学校法人、特定非営利活動法人などの公益法人:収益事業を行っている場合のみ課税される
  • 同窓会、青色申告会など法人格のない社団や財団:収益事業を行い、法人とみなされた場合のみ課税される

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6.法人事業税の計算方法

法人事業税の計算方法は、「課税標準額(所得等)×税率」です。ここでは法人事業税の計算方法について、解説します。

  1. 外形標準課税
  2. 収入割
  3. 法人事業税の申告期限と納税方法

①外形標準課税

資本金1億円超の法人を対象とした課税制度のこと。まず法人事業税の2分の1を所得割(所得が基準)にて課税します。そして残りの2分の1を付加価値割(法人が生み出した付加価値が基準)と資本割(資本金といった金額が基準)で、課税徴収するのです。
で徴収します。

所得割や付加価値割、資本割は、法人における外形が基準のため、外形標準課税と呼ばれているのです。

②収入割

「電気事業法にもとづく許可を問わず電気を現に供給している電気供給業」「ガス供給業」「保険業」を行う法人に課される税のこと。各事業年度の収入金額を課税標準として課されます。

課税標準となる収入金額は「収入すべき金額の総額-控除すべき金額」で、収入割額は「収入金額×収入割の超過税率」にてそれぞれ算出するのです。

③法人事業税の申告期限と納税方法

法人事業税の申告期限は原則、事業年度終了日の翌日から2か月以内となります。また法人事業税の納付方法は、下記のとおりです。

  • 納付書に現金を添えて税務署の窓口で納付
  • 都道府県や市区町村の窓口で納付
  • コンビニや郵便局などで納税
  • クレジットカード、ATM、インターネットバンキングなどの電子納税