内省とは?【意味を簡単に】反省との違い、「深める」とは?

内省という言葉をご存知でしょうか? 内省は反省という言葉とよく似ており、自分の考えや言動などを省みる、といった意味があります。

ここでは、

  • 内省の意味
  • 反省との違い
  • ビジネスにおける内省力の必要性や鍛え方
  • 内省の方法

などについて解説します。内省について理解し、ビジネスに役立てましょう。

1.内省の意味とは?

内省(ないせい)とは、自分の心と向き合い、自分の考えや言動について省みることです。

自分の心の中を見つめ、何をどう思いどう感じたかを改めて熟考する、というと分かりやすいでしょうか。また感情論ではありません。自分の気持ちを分析することとなります。

社会人として知っておいたほうがいい言葉の一つといえるでしょう。

内省の本来の意味(リフレクション:reflection)

内省は、現実に起こったことを客観的に振り返り、そこから窺える自分自身を見つめることです。この内省を英語にするとリフレクションとなります。

意味には、

  • 過去の行為などについて深く考え直す
  • 鏡に映った自分や物事

などがあります。ビジネスにおいては、現場から離れた際に自分の言動を振り返ることを意味します。

誤解・誤用されやすい「リフレクション」の意味

「リフレクション」という言葉は、反省、振り返り、内省などと訳されることが多いですが、反省というと過去への志向と批判性が強く出るでしょう。そのため、自分の弱点を探すことが多くなってしまいます。

一方、振り返りでは過去を省みることが、内省では自分の内面を見つめることのみが強調されてしまうことが多いようです。内省は、日本語の持つ言語感覚ではなかなか表現しにくい言葉ともいえるでしょう。

リフレクションとは? 意味や使い方、具体的なやり方を簡単に
人はさまざまな経験を通して成長していくものですが、その経験を大きな成長につなげるためには、自分の行ったことに対する「振り返り」をしっかり行うことが重要です。ここでは、企業の人材育成にとって大切な振り返...

反省と内省の違い

反省と内省は似ているように思いますが、実は異なるものです。

  • 反省:自分の間違った考えや言動などを振り返り、周りに「これがいけなかった」と伝えるための考え方
  • 内省:自分自身と向き合い、自分の考えや言動を振り返り、気付くこと

内省は何がいけなかったのかを把握するとともに、どうすればいいのかに結び付けられる考え方です。また内省では、自分の心に素直になって向き合うことも重要となります。

内観と内省の違い

内省や反省などと似ている言葉に、自分を観察するといった意味を持つ内観があります。自分の考えや言動、感情を観察することが内観ですが、どのように行うのでしょう。

内観は、心を落ち着け、自分自身を振り返ることで可能です。内観ができるようになると、自分の心と素直に向き合い、自分自身の考えや言動を振り返り、さらにそれらを分析し次につなげる内省が可能になります。

内省的とは?

内省的とは自分自身の内面を見る様子です。自分のしてきたことを振り返り、思考や感情について省みる様子のことをいいます。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは?

・1on1の進め方がわかる
・部下と何を話せばいいのかわかる
・質の高いフィードバックのコツがわかる

効果的に行うための1on1シート付き解説資料をダウンロード⇒こちらから


【評価業務の「めんどうくさい」「時間がかかる」を一気に解決!】

評価システム「カオナビ」を使って評価業務の時間を1/10以下にした実績多数!!

●評価シートが自在につくれる
●相手によって見えてはいけないところは隠せる
●誰がどこまで進んだか一覧で見れる
●一度流れをつくれば半自動で運用できる
●全体のバランスを見て甘辛調整も可能

カオナビの資料を見てみたい

2.ビジネスで重要な「内省力」の鍛え方

自分自身の考えや言動などを振り返り、次につなげる内省は、ビジネスにおいて非常に重要なことです。内省をする力である内省力があるとないとでは、スキル含む自分の成長が変わるでしょう。

ビジネスにおける内省力の意味や重要性、内省力のメリット、内省力の鍛え方について解説します。

なぜ内省するビジネスパーソンは成長するのか?

多くの人が生涯に職場で過ごす時間は、7万から10万時間に及びます。それだけ過ごす職場で成長することで人生そのものもさらに楽しくなるでしょう。そのためには内省が大切なのです。

内省によって学び、成長するためにも、職場で内省ができるようになるとよいでしょう。

キャリアを築く上で重要!

キャリアを築くには、内省が欠かせません。

  • 自分に問いかけながら、自分が目指していることを明確にする
  • 自分が望んでいることについて把握する
  • 望んでいることが本当に実践されているか、自分は正しい方法で行っているかを常に振り返る・考える

こうしたことが自己の成長につながります。チャンスやトラブルの際に内省を行えば、キャリアを築くことに役立つのです。

内省を行うメリット

職場で自分自身の仕事内容や方法、思考などについて振り返ることは、どのようなメリットをもたらすのでしょう。 内省は、経験を「見識」に変え、以降に役立てることが可能です。

また振り返ることで、

  • 自分は正しい仕事をしているか
  • 正しい方法で目標に向かっているか

を確認できるため、間違いや後悔を避けることもできます。

内省の方法

内省をする方法は、以下の通りです。

  1. 質の高い「問いかけ」
  2. 対話型のワークショップ
  3. 行動を計画し、行動を内省する
  4. レゴ

方法とともに内省をする際の注意点や効果的に行うためのポイントについても紹介しましょう。

①質の高い「問いかけ」

内省の質を上げるには建設的でクリエイティブな「良い問いかけ」が大切です。

  • 仕事上で自分が誇れる点はどこか
  • 何か一つ変化させるとしたら何をすればいいか
  • 人間関係を修復するために一つだけ行うとすれば何か
  • この仕事に対してどういった気持ちがあるかといった自分の感情

についての質問を自分にしていくことが問いかけです。

質問リスト(例)

良い問いかけをするにはどういった質問をするとよいのでしょうか。代表的な例をいくつか紹介します。

  • この状況の中で、何が自分の役割か
  • この経験からどのような知識やスキルを学んだか
  • どのような結果を、いつまでに出したいのか
  • この瞬間から、新しく始めること、やめることは何か
  • ひどい経験の中で学んだことは何か
  • 失敗してもトライしてよかったことは何か
  • 相手の立場から自分はどのように見えているか
  • 自分のことを助けてくれる人、認めてくれる人はいるか
  • 将来の夢を叶えるために、明日何を始めたらいいいか
  • どのように成長していきたいか

内省を行う際には、以上のような質問を行ってみるとよいでしょう。

②対話型のワークショップ

対話型ワークショップの方法を説明しましょう。手順は以下の通りです。

STEP.1
リフレクション
話し手と聴き手のルールを確認したら、内省と気付きを促す質問と対話をします。直近1週間の出来事を1人3分程度で話します。
STEP.2
ダイアローグ
テーマに基づいた情報をファシリテーターが紹介します。もし複数回開催していて、前回の開催時に宿題があった場合は、それを発表します。それが終わったら、それぞれの意見や経験、悩みなどを話し合います。ファシリテーターはそれぞれの発言を引き出しながら、自分の思いを話します。
STEP.3
ディープダイブ
ファシリテーターはテーマに関連した議題を提案し、議論をします。その際、ファシリテーターは答えを出さずに、経験談や理論を提供し、議論が深まるようガイドをします。
STEP.4
ラップアップ
ワークショップでの内省、議論から学んだこと、気付き、今後やるべきだと思ったことなどの振り返りメモを作成します。最後に次回のテーマや宿題を発表します。

③行動を計画し、行動を内省する

行動を計画できても実行しないと意味がありません。大事なのは、行動を内省することだからです。

行動しない理由には、

  • 忙しかった
  • 時間がなかった
  • 計画が良くなかった

などが挙げられます。こうした理由について思い当たる人も多いのではないでしょうか。

しかしこれらは言い訳ですし、これらによって行動しないとなると自己成長は望めません。それに言い訳は反省でも内省でもなく、行動できなかったことを自分に都合のいいように言っているようなものです。

また言い訳は、「できない」というマイナスイメージを人に与えることともなります。

さらに、行動できない言い訳をしているうちに自分自身のマイナスイメージも強くなり、「自分はできない人間だ」「これをやってもどうせできない」といった思考回路になってしまうのです。

④レゴ

社会に出て仕事をするようになると、本音と建て前を覚えます。子どもの頃の無邪気で、自分の夢や目標を正々堂々と口に出していた頃とは違い、心にフタをして周りの状況を把握し、言葉を選んで話すようになるのです。

それは悪いことではありません。しかし繰り返すことで、本来の心の声を押し殺してしまうこともあるのです。それはまるでレゴで作った三角形の一番上のフタのようなもの。外からは見えないよう、フタをしている状態といえます。

言い訳はフタの下にある純粋な心を隠す言葉なのです。言い訳をして自分の弱音を隠してしまえば、本音や本当の思いは隠れたままで、良くない循環となります。フタを外し、本当の気持ちや事実を認識することが必要です。

注意点:内省を目的に内省しない

内省をする際に注意したいのは、内省を目的とした内省にならないようにすることです。内省を扱った研修の場合、反省大会になることもあります。そうならないためにも、状況をよく把握して内省をすることが重要です。

たとえばレゴのブロックの先端に立つ自分は崖っぷちに立っていると想像して、それを作る過程を振り返ります。その過程において、話をし、振り返ることで、見えてくるものがあるでしょう。それが本来の内省につながるのです。

効果的な内省をするためのポイント

ポイントは以下のようなものです。

  • 自分の言動、現在の状況や在り方などについて説明をする際、自分が無意識に行っていることを俯瞰的な視点で眺める
  • 自分の考えや感じたことを表出させる

こうしたことで、内省できます。しかし、いきなり内省を始めても内容が整頓されておらず混乱してしまうこともあります。まずは自分の置かれている状況や思考をまとめるとよいでしょう。

Excel、紙の評価シートを豊富なテンプレートで楽々クラウド化。
人事評価システム「カオナビ」で時間が掛かっていた人事業務を解決!
【公式】https://www.kaonavi.jp にアクセスしてPDFを無料ダウンロード

3.ストレングスファインダーRでの「内省」の才能を解説!

「人は自分の弱みを改善するよりも、自分の強みに意識を向けそれを活かすことで最大の能力を発揮する」という考え方があります。通常は、自分の弱点を改善することを大事にする、といった思考が優先されるものでしょう。

それとは違った考え方に基づいて開発されたストレングスファインダーRというツールがあるのです。アメリカで世論調査と組織コンサルティングを手がけるギャラップ社が開発した、ストレングスファインダーRについて紹介しましょう。

「内省」の才能の持ち主とは? 考え方や行動の特徴

内省が得意な人とそうでない人がいます。内省の才能がある人には、考えるのが好きで頭脳活動を好む、自分の考えをさまざまな方向から捉えるのが好きという特徴があります。脳の「筋肉」を刺激し、縦横無尽に頭を働かせることが好きなのです。

このような頭脳活動は、問題を解く、アイデアを出す、あるいは相手の感情を理解するときに発揮されます。

「内省」が上位資質である人へのアドバイス

内省が上位資質である場合、

  • 深く頻繁に考える
  • 知的な会話ができる人と定期的に会話をする
  • 毎日数分でいいので、自分の考えをまとめる時間をつくる
  • 自分のアイデアをリストアップ

などを行いましょう。文章を書くことは考えをまとめる方法として良い方法です。

「内省」が下位資質である人へのアドバイス

内省が下位資質である場合、

  • 自分がどのように情報を処理し、物事を決定しているか、を振り返る
  • 誰か他の人と対話や議論を重ねる

などを行いましょう。サポートしてくれる人を見つければ、自分のアイデアについて質問をしてもらったり、違った視点を提案してもらったりすることでアイデアを深められます。

下位資質の場合、自分で決定する前に、評価してもらうパートナーを見つけ、話し合うことをお勧めします。

「内省」の資質を持つ人の適職

内省の資質を持つ人は、あらゆる方向から思考をめぐらせ、考えることが好きであるため、長期的なプランニングなどが得意といえるでしょう。このような特徴を生かせるのは、目的をより深く熟考した上で長期的なプランニングをする仕事です。

ストレングスファインダーRでは自分の強みを診断するテストがあります。診断によって、強みを生かせる仕事を発見できるでしょう。

内省のQ&A

内省とは、現実に起こった出来事を客観的に振り返り、そこから窺える自分自身について見つめ直す行為をいいます。リフレクションとも呼ばれます。 もともと内省には、鏡に映った自分・物事という意味があります。自分自身と向き合い、言動を振り返ることで、自ら気付きを得ることを目的とします。
「反省」とは、誤った考えや言動を振り返り、必要に応じて周囲に周知する行為です。 一方「内省」とは、みずから気付きを得ることを目的に、客観的な視点から自己の言動を振り返ることをいいます。反省行為と同じく自分の内面に向き合うものの、そこに自己批判的な意味合いは含まれません。
自分の内面にみずから問いかけることが内省の基本です。その問いかけの質を向上させることに重点を置きましょう。 建設的でクリエイティブな問いかけをするには、記事内の質問リストを参照し、真似てみることからはじめましょう。「将来の夢を叶えるために、明日何を始めたらいいか」「この状況の中で、何が自分の役割か」など、過去・現在・未来の自分の姿を浮き彫りにすることができます。 また、対話型のワークショップも有効です。二者以上の対話のなかで、自分自身を相対的に見つめ直すことができるはずです。