イニシアティブとは? 例文、イニシアティブをとるためのポイント

イニシアティブとは「先導」や「主導権」といった意味を持つ言葉のこと。ここではイニシアティブの使い方やイニシアティブの取り方などを解説します。

1.イニシアティブとは?

イニシアティブとは、「先導」や「主導」という意味を持つ言葉のことで、英語の「initiative」に由来しています。しかし「構想」「計画」「戦略」「やる気」といった意味もあるため、シーンによって異なる意味で使われるのも珍しくありません。

日本では「主導権」の意味で用いられる場合が多く、「リーダーとして物事を進めるうえで必要な能力」という意味で使われるときもあるのです。前者では「イニシアティブをとる」、後者では「イニシアティブが必要」などと表されます。

英語のinitiativeの意味

「initiative」における本来の意味は、上述した「先導」や「主導権」「計画」などが挙げられます。根本的な意味に関して日本で使われる「イニシアティブ」と大きな違いはありません。

英語の「initiative」で多い用途のひとつは「構想」や「戦略」で、「Plan(計画)」のように使います。また「自発性」という意味で使うときも多く、この場合は「motivation(やる気)」に近いニュアンスとなるのです。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは?

・1on1の進め方がわかる
・部下と何を話せばいいのかわかる
・質の高いフィードバックのコツがわかる

効果的に行うための1on1シート付き解説資料をダウンロード⇒こちらから


【評価業務の「めんどうくさい」「時間がかかる」を一気に解決!】

評価システム「カオナビ」を使って評価業務の時間を1/10以下にした実績多数!!

●評価シートが自在につくれる
●相手によって見えてはいけないところは隠せる
●誰がどこまで進んだか一覧で見れる
●一度流れをつくれば半自動で運用できる
●全体のバランスを見て甘辛調整も可能

カオナビの資料を見てみたい

2.イニシアティブの意味やシーンの違いによる使い分けと例文

イニシアティブという言葉には幅広い意味を持ちますが、前後の文脈やあとに続く動詞で見わけられるのです。ビジネスでよく見る3つのパターンと、そのほかの2パターンを例に挙げて、使い分けと例文を説明しましょう。

「イニシアティブを取る」は先導の意味で

「先導」「率先」という意味合いで使用されるケース。先導や率先といった意味でイニシアティブという言葉が使われる際の例文は、下記のとおりです。

  • 彼女のイニシアティブな行動はプロジェクト成功の大きな要因となった
  • 交渉においてはイニシアティブを取ることが重要だ

なお「イニシアティブを取る」「イニシアティブを握る」という表現では、権力的な意味を持ちません。あくまでも「リードする」だけで、「先導する姿勢」や「主体性」などと置き換えられます。権利としての「主導権」を指す場合、表現が異なるのです。

「イニシアティブを発揮する」は主導権の意味で

当事者間に権力が存在し、リードする側が有利な立場にいる状況では、「主導権」という意味で使用される場合もあります。このときの例文は下記のとおりです。

  • 交渉では当社がイニシアティブを発揮しなければならない
  • この件でイニシアティブを発揮するには徹底した市場調査が必要だ

先に解説した「主導」や「率先」との違いは、相手との間に立場や役職などの力関係が生じる点。

たとえば「会議でイニシアティブを発揮した」といった場合、「発言者が、上位の立場であることを利用して会議を主導した」状況を示します。なお英語の「initiative」にはこのような立場の違いが含まれません。

「戦略的イニシアティブ」は計画の意味で

「構想」「戦略」「計画」といった意味で使用される場合、「先導」や「主導権」とは表現が明確に異なるのです。たとえば以下のような例文になります。

  • 企業の成長において、戦略的イニシアティブの明確化が不可欠だ
  • 個々の社員にはイニシアティブに沿った行動が求められる

また国際的な活動や団体の名称にもイニシアティブという語が使われ、英語でも日本語でも「○○イニシアティブ」と表記されます。たとえば以下のような名称です。

  • 国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP Finance Initiative)
  • 気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative)

スポーツのシーンで用いるイニシアティブ

スポーツにおけるイニシアティブでは、「相手との力関係にもとづく有利や不利」を示す場合がほとんどです。そのためスポーツでビジネスのような「先導」や「率先」といった意味で使われるのは極めて稀といえます。この場合の例文は下記のとおりです。

  • 序盤にイニシアティブを握ったことが勝因となった
  • 一度奪われたイニシアティブを取り戻すのは難しい

このときの「イニシアティブをとる」は「自分がリードして有利に進めること」を意味し、「イニシアティブをとられる」は「相手にリードされてしまうこと」を指します。

政治的シーンで用いるイニシアティブ

政治では、「国民発案(国民の発議権を認める制度で、参政権を有する人が憲法や法律の改正案などを提出できる)」という意味で使われる場合もあります。国民発案という意味での代表的な例は、下記のとおりです。

  • 社会を変えるためにはイニシアティブの行使が不可欠である
  • イニシアティブを起こして憲法改正案を提案しよう

日本の国政にてイニシアティブは認められていませんが、地方政治では「地方自治法」や「市町村合併特例法」で許可しています。実際に総務省の資料では、案件が議会で否決された際、住民投票にて可否決定することをイニシアティブと表記しているのです。

Excel、紙の評価シートを豊富なテンプレートで楽々クラウド化。
人事評価システム「カオナビ」で時間が掛かっていた人事業務を解決!
【公式】https://www.kaonavi.jp にアクセスしてPDFを無料ダウンロード

3.イニシアティブの類語と対義語

使用シーンや分野によって詳細な意味合いが変化するイニシアティブは、類義語と対義語も少なくありません。類義語を知っておけば、イニシアティブを使うシーンが見わけやすくなります。

イニシアティブの類義語

イニシアティブを「計画」や「国民発案」という意味で使う場合、前後の文脈から推察しやすいです。しかしそれ以外は意味が似通ってしまいます。よってシーン次第では、イニシアティブではなく類義語を使用したほうが伝わりやすい場合もあるのです。

ここではそのなかから下記3語について説明します。

  1. リーダーシップ
  2. 率先
  3. 積極的

①リーダーシップ

「先導」「率いる」といった意味でイニシアティブを使う場合の類語は、「リーダーシップ」です。ただし両者のニュアンスは異なります。

リーダーシップが持つ意味は「リーダーとして全体を統率すること」ですが、イニシアティブという言葉の意味において、「リーダーであること」は必ずしも重要となりません。

そのためリーダーという明確な役割を持たない人が物事を先導する場合、イニシアティブという語を使うといった使いわけがなされます。

②率先

「主体的」という意味でイニシアティブを使う場合の類義語は、「率先(そっせん)」です。率先とは先頭に立って行動を起こすこと。

率先を用いた熟語に「率先垂範(上司やリーダーが先頭に立って下の人へ模範を示すこと)」があります。よって上位の役職や役割を担う人に対して「率先」と使うのです。対してイニシアティブという言葉の意味に、権力の有無や上下関係は含みません。

③積極的

「主体的や「やる気」という意味でイニシアティブを使う場合の類語は、「積極的」です。物事を先導や主導していくさまは、積極的な行動に見えます。

しかしイニシアティブが主に「行動そのもの」を示すのに対し、積極的は「性質」を表すのです。たとえば人の積極性を表す際は一般的に、「君はイニシアティブだね」ではなく「君は積極的だね」と表現します。

イニシアティブの対義語

イニシアティブという言葉には先導や主導、主導権や国民発案、構想や計画、戦略ややる気といったさまざまな意味があります。つまりそれぞれの意味において、その対義語が存在するのです。

たとえば「計画」の対義語は「運用」や「実行」など。「国民発案」の対義語は「レファレンダム」で、これは議会をとおさず直接の国民投票で可否を決める制度です。ここでは「主導」や「先導」という意味に対する語として、下記3つを解説します。

  1. 追従、追随
  2. フォロワーシップ

①追従、追随

イニシアティブが「個人や集団を先導する」という意味で用いられる場合の対義語は、先導される側を示す「追従(ついじゅう)」や「追随(ついずい)」です。追従は「他人のいうことにそのまま従うこと」、追随は「前方を行く者のあとを追うこと」。

それぞれの対義語を使った例文は以下のとおりです。

  • 全体がリーダーに追従することはプロジェクトの成功に不可欠だ
  • あの企業は、ほかの追随を許さないほど業界でトップを走っている

②フォロワーシップ

「リーダーシップ」という意味でイニシアティブが使われた場合の対義語は、「フォロワーシップ」です。

フォロワーシップとは、「リーダーやほかのメンバーを主体的かつ自律的に支援すること」で、目的はリーダーやメンバーをサポートして組織を活性化し、効果を高めること。

よってフォロワーシップは、「追従」のように「リーダーの指示にただ従う」という意味とは異なります。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

4.仕事でイニシアティブをとるためのポイント

ビジネスではときに上司や取引先、同僚などに対する「先導」や「主導」、つまりイニシアティブをとる必要があります。イニシアティブをとるには、相手を納得させる準備や行動が欠かせません。ここでは仕事でイニシアティブをとるためのポイントについて説明します。

  1. 目的を持つ
  2. 自分の意見を言う
  3. 視線を落ち着かせる
  4. よき聞き役になる
  5. 問題の解決、再発防止に取り組む
  6. 根回しをする
  7. 自分と周囲の両方のベネフィットを考える
  8. 決断力を持つ

①目的を持つ

他者を先導したり集団をまとめたりするためには、まず自分が目的を明確にしなければなりません。目的は方向性を決める際の大きな基準となるからです。方向性が決まれば、それを実現するための行動や手段なども考えていけるでしょう。

目的が定まらないままイニシアティブをとろうとして行動しても、周囲には無計画な行動に映ってしまいます。

②自分の意見を言う

イニシアティブをとるためには自分の考えていることを他者に伝える能力が不可欠です。自分の意見を述べず他者の言うままにまかせることは「追従」で、イニシアティブな行動ではありません。

「率先」や「先導」してくためには課題に対して積極的に発言する必要がありますし、「リーダーシップ」という意味でのイニシアティブをとる場合も、リーダーとして積極的な発言が求められます。

③視線を落ち着かせる

会議といった複数の人が集まるシーンでイニシアティブをとるには全員の視線を一点に集め、落ち着かせることも効果的です。人の視線は常に落ち着ける場所を求めており、会議では全員の視線が一点に集中する場合も少なくありません。

たとえば会議でホワイトボードに文字を書くと全員の視線がホワイトボードに集中します。これを利用して全員の視線が自分のほうに向くようコントロールすれば、イニシアティブをとりやすい雰囲気を作り出せるのです。

④よき聞き役になる

一対一の会話でよき聞き役になると、イニシアティブがとれます。一対一の場合、聞き役であっても会話をコントロールできるからです。

話す側が自分の意見や考えを述べたとき、聞く側は相手の話に応じて相槌や質問といった応答を行います。聞く側が質問を工夫して投げかけると、相手を否定せずに別の観点や考え方などへ誘導できる場合があるのです。

⑤問題の解決、再発防止に取り組む

問題の解決や再発防止など優先度の高い問題に取り組むと、イニシアティブに効果的です。優先度の高い問題に対して取り組む際、どうしても周囲の協力が必要となるため、そのような人たちに対してイニシアティブをとりやすくなります。

また問題の解決や再発防止を図る過程では議論の場が設けられる場合も多いです。そのような場で積極的に発言すればさらにイニシアティブをとりやすくなるでしょう。

⑥根回しをする

根回しをして自分にとって有利な状況を作り上げておくと、イニシアティブをとりやすくなります。集団にてイニシアティブをとるには、多くの仲間や理解者が必要となるからです。

たとえば会議であれば事前に参加者に根回しをしておくと、自身が話しやすい雰囲気を作り出したり、自分の意見を後押ししてもらったりといった効果が期待できます。

⑦自分と周囲の両方のベネフィットを考える

自分のアクションにて自分だけでなく周囲にもベネフィット(利益、恩恵)が発生するか、考えなければなりません。

よくある失敗例のひとつとして挙げられるのは、自己の目標達成に向かって突っ走り、イニシアティブをとろうとして周囲を無理に巻き込んだ結果、ほかの人へ損害を与えてしまったりというケース。

このような事態を避けるためにも、自体自分と周囲のベネフィットについてよく考え、Win-Winの関係を築くことが重要です。

⑧決断力を持つ

多くの人を先導するには決断力を持つのも重要です。そのため迅速かつ的確な決断ができるよう、日ごろからその能力を磨いておく必要があります。

またイニシアティブをとる人の決断によって導き出された答えは、集団をよい方向へ導くものでなければなりません。よい決断を行うためには、比較対象の選び方や長所・短所の見極め方などの重要性を理解することも大切です。