インフォデミック(infodemic)とは?【意味を簡単に】問題点

インフォデミックとは、ネットを通じて真偽不明の情報が大量に拡散されることです。ここではインフォデミックについて、解説します。

1.インフォデミック(infodemic)とは?

インフォデミック(infodemic)とは、SNSやネットなどを通じ、噂やデマなどを含めた真偽不明の情報が大量に拡散される現象のこと。インフォメーション(Information)と、パンデミック(Pandemic)を組み合わせた造語で、世界保健機関が新型コロナウイルス感染症に関するデマを含む情報の拡散を、インフォデミックと呼んだことがはじまりです。

インフォデミックの事例

新型コロナウイルス感染症におけるインフォデミックの事例を、下記の5つから解説します。

  1. トイレットペーパーの買い占め騒動
  2. 香川県高松市のスーパーへの風評被害
  3. メタノール中毒による死亡事故
  4. 新型コロナウイルスでゾンビ化
  5. インフォデミックを原因とする詐欺事件の発生

①トイレットペーパーの買い占め騒動

「新型コロナウイルスの影響で、中国から紙の輸入が途絶え、トイレットペーパーが品薄になる」というデマが日本国内で拡散されたことがきっかけです。

トイレットペーパーの買い占めが起こり、スーパーなどの店頭からトイレットペーパーが消えました。実際はトイレットペーパーの98%が国内で生産されており、供給力になんの問題もなかったのです。

②香川県高松市のスーパーへの風評被害

創業者である会長夫妻が新型コロナウイルスに感染して隔離されている「うわさ」による風評被害のこと。

感染と隔離の噂がSNSを中心に広まったため急激に客足が遠のき、スーパーの売上が減少したのです。スーパーは「デマである」といった噂を否定する貼り紙をして対応しました。

③メタノール中毒による死亡事故

イランで起こったインフォデミックのこと。メタノールは体内で分解された際に有害な物質を発生させます。

「新型コロナウイルスにはメタノールなどアルコール消毒液が効く」というデマが広まり、「消毒液を飲んだ数千人が搬送される」「搬送された人のうち、数百人が死亡した」という惨事が起こったのです。

④新型コロナウイルスでゾンビ化

マレーシアで、「新型コロナウイルスに感染するとゾンビ化する」といったデマが拡散した事件です。

マレーシア保健省は、「感染者はゾンビのように振る舞わず、感染しても回復できる」とデマを否定しました。しかし新型コロナウイルスに関するデマを拡散したとして、逮捕者まで出る騒ぎにまでなったのです。

⑤インフォデミックを原因とする詐欺事件の発生

インフォデミックを原因とする詐欺事件も発生しています。

  • 「マスクを無料で配布します」と、フィッシングサイトへ誘導する
  • 「マスクを販売します」と誘い、クレジットカード情報を入力させたりATMの操作をさせたりする
  • 「水道管に新型コロナウイルスがついており、その除菌に数万円かかる」と保健所職員などを名乗り、お金を請求する

インフォデミックとは、不確かな情報が大量に広がること。新型コロナウイルスの世界的蔓延により誕生しました

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2.インフォデミックの問題点

不確かな情報が大量に拡散されることを意味するインフォデミックには、問題点があります。ここでは下記2つの問題点について解説します。

  1. 陰謀論の浸透と長期化
  2. 差別意識が強まる

①陰謀論の浸透と長期化

  • 「人口調整を目的としてウイルスを人為的に流布した」など、さまざまな陰謀論がネットを通して瞬時に拡散され、社会に浸透する
  • 一旦浸透した陰謀論は、その真偽を確かめられることなく長期間、社会に拡散し続ける

そのため、社会を混乱に陥れます。

②差別意識が強まる

新型コロナウイルス感染症では、下記のような差別が生じています。

  • ウイルスの発生源が中国でありアジア地域でも流行しており、アジア人がウイルスを拡散しているといった人種差別が起きた
  • 「新型コロナウイルスをまき散らしている」など、医療従事者に対して差別が繰り返されている

インフォデミックが抱える問題点は、「陰謀論の浸透と長期化」「差別意識が強まる」の2つです

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3.インフォデミックの原因と対策

インフォデミックには、考えておくべき原因と対策があります。下記2つの観点から解説しましょう。

  1. 何故インフォデミックは生み出されるのか
  2. インフォデミックに対して個人はどう対策すべきか

①何故インフォデミックは生み出されるのか

インフォデミックが生み出される理由は、フィルターバブルが働くからです。フィルターバブルとは、利用者の好みに合う情報を提示し、合わない情報を遮断する機能となります。偏った情報環境により、誤った情報でも拡散されやすくなるのです。

中高年層でデジタルコミュニケーションが浸透

インフォデミックが生み出される理由は、中高年層でデジタルコミュニケーションが浸透してきた点もあります。

コロナ禍で社会のデジタル化が加速され、はじめてSNSを利用する中高年層が一気に増加しました。利用者の増加に比例して拡散される情報も増加するなか、インフォデミックも拡大化していったと考えられます。

情報収集媒体に偏り

インフォデミックが生み出される理由には、情報収集媒体の偏りも考えられます。「今の社会は情報が多すぎる」と感じている人が多いなか、若年齢層を中心に「自分が知りたいことだけ知っておけばいい」と考える人が増えているのです。

情報過多を避けるため、情報源を少なくしたり情報を比較検討したりしないといった傾向が、インフォデミックの増幅を伸長させています。

②インフォデミックに対して個人はどう対策すべきか

インフォデミックに対して個人がすべき対策とはなんでしょうか。3つの対策について解説します。

SNS上でのシェアに慎重になる

SNSといったネット上にあふれる情報に対し、下記のようなファクトチェックを習慣化するのも重要です。

  • 読んだ後、反射的にシェアしない
  • 情報の発行元をたどり、情報元になった記事を精読する
  • ひとつの情報に対して、複数サイトでその真偽を確認する

政府機関・自治体などの公式情報を確認する

たとえばTwitterの場合、「本当に政府機関や自治体の認証済みアカウントの情報か」を確認するのです。認証済みアカウントかどうかの判別は、アカウント名の横に水色のチェックマークの有無を見ればかんたんにわかります。

自分の頭で考える習慣を持つ

情報に関して、下記のように自身で考える習慣を持ちます。

  • 情報が真実であると鵜呑みにしない
  • 自分の周りにあふれる情報に振り回されない
  • 事実を確認し、理論を冷静に裏付けていく
  • 情報の真偽を自分の頭で考える

個人がすべき対策は、「SNS上でのシェアに慎重になる」「政府機関・自治体などの公式情報を確認する」「自分の頭で考える習慣を持つ」の3つです

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4.インフォデミックに対する企業の取り組み

インフォデミックに対する企業の取り組みがあります。ここでは対策をしないリスクとともに、対策を行っている企業の事例を2つご紹介します。

対策をしないと事業停止のリスク

企業がインフォデミック対策をしない場合、事業停止のリスクがあります。ウクライナでは2015年に電力会社を狙ったサイバー攻撃により、下記のような事件が発生しました。

  • 悪意でコールセンターに電話を集中させたためで電話回線がパンクし、利用者からの問い合わせができなくなった
  • 停電などの異変の問い合わせができず、3時間の停電で140万人が影響を受けた

対策の事例

インフォデミックへの懸念に対し、Facebookといった主要なプラットフォーム事業者7社は、2020年3月17日に「ウイルスに関する詐欺や誤情報に共同で対処する」「プラットフォーム上のコンテンツの信頼性を高める」といった共同声明を表明しました。

ここでは、それ以外の取り組みとして2社を例に挙げ、対策の事例をご紹介します。

Google

Googleは、新型コロナウイルスワクチン接種に関する誤った情報について、事実確認への取り組み支援として基金を創設しました。最大300万ドル相当の国際的な基金で、事実確認を求める読者拡大ためのプロジェクトの受付を行っているのです。

プロジェクトの審査は、学術やメディア、医療や世界保健機関当局者など14人の構成員が担います。

丸富製紙

丸富製紙は、新型コロナウイルス感染症拡大によるトイレットペーパー買い占めデマに対し、写真付きで「トイレットペーパーの在庫あります!」とツイートしました。

この取り組みは、「インフォデミックに対し、正しい情報を多くの人に分かりやすく伝えた」「デマを収束に導いた」として、2020年のエンゲージメントボリュームランキングで2位を記録しました。

企業がインフォデミックに対応しない場合、事業停止のリスクがあります。企業は積極的にインフォデミック対策を行う必要があるでしょう

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5.インフォデミックに騙されないための心得

インフォデミックに騙されないための心得があります。下記3点について解説しましょう。

  1. メディアリテラシーを向上させる
  2. メディアリテラシーを構成する5つの原理
  3. あやしい情報は「さぎしかな」でチェック

①メディアリテラシーを向上させる

テレビ・新聞・SNSなどあらゆるメディアからの情報を正しく理解し、取捨選択して活用する能力のこと。インフォデミックに騙されないためには、メディアリテラシーが不可欠です。

②メディアリテラシーを構成する5つの原理

法政大学キャリアデザイン学部の坂本旬教授によるメディアリテラシーを構成する5つの原理は、下記のとおりです。

  • すべてのメディアメッセージは構成されている
  • メディアメッセージは、創造的な言語とその原理を用いて作られている
  • メディアメッセージは、多様な人々によって、多様に感じ取られる
  • メディアメッセージは、価値観と視点を有している
  • ほとんどのメディアメッセージは、力や利益を得ることが目的となってつくられている

③あやしい情報は「さぎしかな」でチェック

あやしい情報は、「さぎしかな」でチェックしましょう。

  • 「さ」は作者の「さ」で、誰がメッセージを作ったか
  • 「ぎ」は技法の「ぎ」で、どんな創造的表現技法か
  • 「し」は視聴者の「し」で、ほか視聴者がどう理解をするか
  • 「か」は価値観の「か」で、どんな価値観やライフスタイルが表現、または排除されてい
    るか
  • 「な」はなぜの「な」で、なぜメッセージが送られてきたか

インフォデミックに騙されないためにも、3つの心得を覚えておきましょう