法人登記とは? 取得方法、必要書類、流れ、変更するタイミング

法人登記とは会社を設立する際に必要な手続きのひとつです。ここでは法人登記の目的や取得、検索の方法、必要書類やかかる費用などについて解説します。

1.法人登記(会社登記)とは?

法人登記とは会社の概要情報を登録、一般開示できるようにすること。法人登記は法律上義務づけられている手続きであり、「会社登記」と呼ばれることもあります。

法人登記の目的

法人登記の目的は設立した会社の情報を一般公開して信頼維持を図り、かつ安心して取引できるようにすること。

登記情報は誰でも自由に閲覧できます。ビジネスシーンでは、取引先の実態を確認したり、金融機関から融資を受けたりする際、会社の信頼度を測る要素になるのです。

株式会社をはじめ、合同会社や合資会社などの持分会社、一般社団法人やNPO法人なども法人登記を行う必要があります。

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2.登記簿謄本と履歴事項全部証明書の違い

「登記簿謄本」とは、記録された登記情報を複製して証明した書類のこと。近年、電子データ化した登記記録を印刷したものを「履歴事項全部証明書」と呼ぶものの、実質的にはどちらも同じ書類です。

履歴事項全部証明書には現在有効な登記情報にくわえ、過去に変更された登記情報が掲載されています。

登記簿謄本が必要になるケース

登記簿謄本は、以下のようにさまざまなシーンで提出を求められます。

  • 賃貸オフィス契約時に会社の代表者や資本金などを確認する
  • 役員変更や本店移転など登記申請の際、現在の会社状況を確認する
  • 補助金申請や金融機関から融資を受ける際

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3.会社・法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)の取得方法

登記簿謄本は法務局窓口で直接申請できるほか、郵送やオンラインによる取得も可能です。ここでは具体的な取得方法や注意点について説明します。

  1. 法務局窓口で申請
  2. 郵送で提出申請
  3. オンラインによる取得

①法務局窓口で申請

法人の登記簿謄本は法務局窓口(登記所)で取得できます。法務局には物件所在地による管轄地域があり、登記簿謄本の取得は他法務局の管轄でも取得可能です。

取得方法は法務局の窓口に備え付けてある「登記簿謄本交付申請書(登記事項証明書交付申請書)」を記入、申請するだけです。取得には1通600円の手数料が発生します。

②郵送で提出申請

登記簿謄本は、法務局窓口に出向かなくとも請求できます。そのひとつが郵送による提出申請です。

「登記簿謄本交付申請書(登記事項証明書交付申請書)」に必要分の収入印紙を貼り、法務局に郵送します。切手を貼った返信用封筒の同封が必要、かつ郵送期間が生じるため取得に少し時間はかかりますが、直接法務局に足を運ぶ必要はありません。

③オンラインによる取得

郵送ではなくオンラインによる取得でも、法務局に行かず登記簿謄本を申請できます。通常、取得時に1通600円の手数料がかかりますが、オンライン請求の場合は500円(郵送費込)、オンライン申請で窓口受領の場合は480円です。

もちろん窓口での待ち時間はありません。

参考 登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続が便利です法務局

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4.法人登記の検索方法

会社設立時は自社や取引先の登記情報がすぐに必要になるケースもあります。以下のオンラインサービスを使えば、法務局に行かなくても登記情報を確認できるのです。

  1. 国税庁法人番号公表サイト
  2. 法人検索システム
  3. 登記情報提供サービス
  4. 登記ねっと

①国税庁法人番号公表サイト

会社の名称や所在、法人番号を検索する際、もっともベーシックなのが「国税庁法人番号公表サイト」を使った検索です。同サイトでは名称や所在地、法人番号などの基本情報だけでなく、法人登記のおおまかな変更履歴もわかります。

取引先が本当に実在している会社なのか、企業規模はどれくらいかなどをすぐに確認できるのです。

②法人検索システム

中小機構法人検索システム」は「国税庁法人番号公表サイト」で開示している法人番号や会社の名称、所在に「独立行政法人中小企業基盤整備機構(略称:中小機構)」が独自に収集した情報を追加して、データベース化したものです。

中小企業庁が定める「中小企業支援機関」に属している会員に対して業種や資本金、従業員数などの追加情報を公開しています。

③登記情報提供サービス

先に触れた「オンライン申請」はWeb上で書類の郵送を申請できるサービスです。これに対して登記情報をパソコン画面上で確認できるのが「登記情報提供サービス。本サービスでは以下に関するリアルタイムの情報を確認できます。

  • 不動産登記情報の全部事項
  • 建物図面・各階の平面図
  • 動産譲渡登記事項概要ファイル情報および債権譲渡登記事項概要ファイル情報
  • 不動産登記情報の所有者事項
  • 地役権図面

④登記ねっと

登記・供託オンライン申請システム」通称「登記ねっと」でもインターネット経由で申請、確認が可能です。法人登記の手続きをはじめ、不動産登記の手続きや電子公証手続きなどにも対応しています。

申請および請求時は基本、申請用総合ソフトのインストールが必要です。ただしインストールに費用は発生しません。Web上から登記事項証明書を交付請求できますが、利用時間に制限があるため注意が必要です。

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5.法人登記の必要書類

法人登記の申請にはさまざまな書類が必要になります。一体どのような書類なのか、それぞれについて解説しましょう。

  1. 登記申請書
  2. 登録免許税納付用台紙
  3. 定款
  4. 登記すべき事項を記載した書面や電子媒体
  5. 発起人決定書
  6. 就任承諾書
  7. 取締役の印鑑証明書
  8. 印鑑届出書
  9. 資本金の払込証明書

①登記申請書

会社設立を法務局に伝える書類のこと。会社の名前(商号)や事業所所在地、登録免許税の金額や添付書類の一覧などを記載します。申請書様式は法務局のWebサイト「商業・法人登記申請手続」からダウンロード可能です。

②登録免許税納付用台紙

登録免許税を納める際、現金納付した領収証や収入印紙を貼り付ける台紙のこと。登録免許税納付用台紙に決まった様式はありません。極端な話、A4サイズの白紙に現金納付した領収証や収入印紙を貼り付けるだけでも登録免許税納付用台紙になります。

③定款

会社の基本ルールをまとめた書類のことで、組織活動の目的や決まりごとを記載するのです。こちらも決まった書式はないものの、「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3点に注意して作成する必要があります。

④登記すべき事項を記載した書面や電子媒体

登記申請書の記載にかわって、登記すべき事項を電磁的記録媒体に記載して提出するのも可能です。これを「登記すべき事項を記載した書面や電子媒体」といいます。

一般的には書面で提出しますが、CD-RやDVD-Rなど記録媒体での提出も可能です。ただし電磁的記録媒体の種類や記載の文字コード、書式などが細かく定められているため、しっかりと確認しておかなければなりません。

⑤発起人決定書

商号や本店所在地、事業目的などが発起人全員の合意にもとづいて決定されていると証明する書類のこと。「発起人会議事録」あるいは「発起人同意書」と呼ばれることもあります。

定款に本店所在地の最少行政区画(東京都新宿区など)までしか定めていない場合、この決定書をもって番地を含む詳細な住所を示すのです。定款に番地までの本店所在地が記載されている場合は添付不要となります。

⑥就任承諾書

会社の役員に就任すると承諾した証明のこと。一般的には以下の3枚を用意します。

  • 「代表取締役の就任承諾書」:代表取締役に就任すると承諾した証明
  • 「取締役の就任承諾書」:取締役への就任を承諾した証明
  • 「監査役の就任承諾書」:監査役に就任することを承諾した証明

ひとりの取締役が代表取締役を兼務する場合、「取締役の就任承諾書」のみでも可能です。

⑦取締役の印鑑証明書

取締役会を設置していない場合は取締役全員の、取締役会を設置している会社は代表取締役の「印鑑証明書」が必要です。

定款を作成、認証を受けた際に取得した印鑑証明書と同じであるものの、印鑑証明書の有効期限は3か月のため、期限切れに注意しなくてはなりません。

⑧印鑑届出書

法人実印を届出、法人実印に効力を持たせるための書類のこと。テンプレートや記載例は法務省のホームページに掲載されています。

書類の作成にあたって特段注意が必要な項目はありません。しかし左上の押印が不鮮明だと印鑑届書を受理してもらえないため、鮮明に押印しましょう。代理人が提出する場合、代理人の認印を押印し、届出人欄の「代理人」にチェックします。

⑨資本金の払込証明書

定款に記載されている資本金が確実に所定の銀行口座に振り込まれていると証明する書類のこと。以下の書類をそろえ、各ページに割印のうえ製本します。

  • 資本金払込の際に作成した銀行通帳の表紙のコピー
  • 表紙をめくった裏表紙のコピー
  • 入金確認がわかるページのコピー
  • 表紙に「払込証明書」であることの記載

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6.法人登記にかかる費用

法人登記にかかる費用は、会社の種類や外部委託の有無によって大きく変わります。以下3つの視点から、法人登記にかかる費用について説明しましょう。

  1. 資本金
  2. 法定費用
  3. 各種証明書にかかる手数料

①資本金

ビジネスを運営する元手となるお金のこと。現行の会社法では資本金1円から会社を設立できます。しかし事業開始時に運営資金を捻出しなくてはなりません。よって一般的には一定額を準備したうえで登記手続きを進めます。

なお登記費用は資本金の0.7%あるいは15万円のどちらか、少ないほうの金額となります。そのため資本金が約2,140万円を超えると設立費用も高くなるのです。

②法定費用

前述した資本金の0.7%か15万円、どちらか少ないほうの金額が発生する「登録免許税」や、作成した定款が公証役場で認証を受けるための「定款認証代」などが含まれます。

定款認証代の目安は10万円程度で、これには認証手数料や謄本証明書などの料金が含まれているのです。またこのうち4万円は定款に貼る収入印紙代となります。よって電子定款を選択すれば、この部分は不要になるのです。

③各種証明書にかかる手数料

必要に応じて、各種証明書の手数料が以下のとおり発生します。なかには書面請求とオンライン請求とで金額が異なるものもあるため、あらかじめ確認しておきましょう。

  • 登記事項証明書(謄抄本):書面請求600円、オンライン請求送付500円、オンライン請求窓口交付480円
  • 登記事項要約書の交付:450円
  • 筆界特定:筆界特定書の写し550円、450円、手続記録の閲覧400円

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7.法人登記手続きの手順

法人登記はどのように進めるのでしょう。3段階にわかれる手続きについて、注意点とともに見ていきます。

  1. 会社概要の決定および印鑑購入
  2. 定款作成
  3. 登記申請

①会社の概要の決定と印鑑購入

はじめに会社の基本情報を決めていきます。おもな項目は以下のとおりです。

  • 会社名(商号)
  • 事業目的
  • 本社所在地
  • 資本金
  • 発起人
  • 会計年度(事業年度)

あわせて各種手続きに必要な印鑑を用意します。法人設立登記の申請に必要な会社の実印、法人口座の開設に必要な銀行印、請求書や納品書などに押印する角印などを同時に用意しておくと、のちの手間が省けます。

②定款作成

先に定めた会社の概要をもとに、会社を運営するうえでのルールをまとめた「定款」を作成します。定款には以下6項目の「絶対的記載事項」をすべて記載しなければなりません。ひとつでも記載漏れがあると定款としての効力を発揮しないため、注意しましょう。

  • 会社名(商号)
  • 本社所在地
  • 発起人の氏名または名称、住所
  • 発行可能株式総数
  • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
  • 事業の目的

株式会社は定款認証手続きが必要

合同会社や合資会社、合名会社の場合は不要ですが、株式会社は公証人による定款認証の手続きが必要です。

これは定款の記載が正しいものであるかどうかを第三者が証明することで、認証手続きは本社所在地を管轄する法務局または地方法務局の所属公証人が実施します。

定款案や発起人全員の実印、発起人全員の印鑑証明書や謄本代などを用意のうえ、事前に公証役場と日時を調整しましょう。

③登記申請

必要書類を用意のうえ、本社所在地を管轄する法務局に登記申請すれば手続き完了です。登記申請は原則として代表取締役が、資本金払込後2週間以内に行い、不備がなければ7~10日ほどで登記が完了します。

その後は申請した法務局で登記事項証明書や印鑑カードを取得し、税金や社会保険関係の手続きなどを進めていきましょう。

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8.法人登記の注意点

法人登記を行う際、何に気をつけたらよいのでしょう。2つある注意点について解説します。

  1. 代表取締役が法人登記の手続きを行う
  2. 書類に不備がないか確認する

①代表取締役が法人登記の手続きを行う

法人登記の手続きは原則、代表取締役が行います。合同会社の場合は代表社員です。代表取締役が慌ただしいから友人や秘書がかわりに行う、のは原則として認められません。

ただしどうしても都合がつかない場合、代理人による申請も可能です。その際、代表取締役が第三者に手続きの代行を委任するための「委任状」が必要です。なお司法書士や弁護士に法人登記を依頼する際、この限りではありません。

②書類に不備がないか確認する

法人登記に必要な書類は、それぞれに不備がないか提出前に必ず確認しましょう。とくに以下は不備、忘れの多いポイントです。

  • 収入印紙の貼付を忘れていないか
  • 登記申請の事由が発生する日付が到来しているか
  • 万が一不備があった場合に備えて、連絡先の電話番号を記載しているか
  • 申請書類の押印漏れはないか
  • 申請書の提出先に間違いはないか

申請先を誤ると受理されない

法人登記の申請先は本社所在地を管轄する法務局です。万一異なる管轄の法務局に申請した場合、書類内容に不備がなくても申請は受理されません。事前に法務局のホームページで、管轄地域をしっかりと確認しておきましょう。

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9.法人登記の変更・更新のタイミングと方法

法人登記申請後、登記事項に変更があった場合、すみやかに変更手続きを行わなければなりません。これを「変更登記」と呼ぶのです。ここでは変更登記のタイミングとその申請方法について説明します。

変更・更新のタイミング

法人設立登記に記載した内容になんらかの変更があった場合、変更登記の手続きが必要になります。具体的には次のような場合です。

  • 本社が移転した
  • 会社名(商号)を変更した
  • 役員の変更、あるいは氏名や住所情報を変更した
  • 新規事業をはじめた
  • ストックオプションの金額に変更があった
  • 株式分割があった

申請期限

登記事項に変更が生じた場合、原則として2週間以内に変更登記をしなければなりません。これは会社法第915条1項に定められており、変更登記を怠った場合、会社法違反として過料100万円以下が課される可能性もあります。

法人登記変更の申請方法

法人登記変更の申請方法は、以下の3つです。

  1. Webサービスを利用する:書類作成から申請まで、最短当日で済ませられる
  2. 書類作成から法務局提出までを自分で行う:費用を抑えられるが登記の知識が必要
  3. 司法書士に依頼する:専門家に依頼するため安心できるが、専門家報酬を支払う必要がある