GTDとは? 意味、項目、基本ルール、手順について 重要なプロジェクトをすぐやるための時間管理術

インターネットの普及によって、地理的・時間的な垣根がなくなり、私たち現代人は昼夜を問わずメールや電話で連絡が取れるようになりました。365日働ける環境になった今、ビジネスパーソンの多くが自分の抱えている仕事に忙殺されているのではないでしょうか。

ビジネスパーソンは下記のような多くの仕事を抱えています。仕事を効率よく分類・管理して行動に移すのは、期日管理なども含めて非常に神経を使う作業でしょう。

  • 今日やるべき資料作成
  • いつか依頼しようと思っている仕事
  • 必ずかけなければならない電話
  • 明日以降の予定やスケジュール、会議の日時の把握

やるべきタスク管理、みなさんは具体的にどうしていますか? スケジュール帳やカレンダーに手書きでメモをする、アプリなどのスケジューラーツールに入力する、TO DOリストを作ってタスク整理をするなど方法は人それぞれでしょう。

しかしこれらは、自分の記憶にあるデータを羅列したものに過ぎません。やるべきことを羅列してあるストレスフルな手帳を常に抱えながら、効率よく仕事をこなすことはできるのでしょうか。

GTDはタスクを整理することでストレスフリーな状態をつくりだし、やるべきことだけに専念できる画期的なシステムです。忙しいビジネスパーソンこそ効率的にタスクを管理できる仕事術「GTD」について知っておきましょう。

1.GTDとは?

GTD(Getting Things Done)とは、タスクやプロジェクトを整理して管理する仕組みのことです。直訳すると「仕事を成し遂げる」という意味になります。具体的には単に「成し遂げる」だけではなく「効率良く成し遂げる」ことができるように導くやり方です。

例えば、頭の中に複数のタスクが混在しているとしましょう。

  • 今すぐアクションにうつすべき仕事
  • あとで取り組もうとしている仕事
  • 他部門との調整が必要な案件
  • 何かのついでに処理しようと思っている軽微なもの

これらをすべて頭の中に抱えた状態で目の前のタスクに没頭することはなかなか難しいです。いろいろなことが気になって注意力が散漫になったり、集中力が途切れたりして、効率を重視しながら仕事を進めることができなくなります。

GTDが活用できる場面

GTDは、単に仕事を完結させるだけではありません。自分が抱えている仕事やタスクなどを効率よく管理し、常に自分の頭の中を整理して目の前のやるべきことにのみ集中できる環境をつくるトリガーです。

これは、個人のタスクだけでなく、会社のプロジェクト管理などにも応用できます。いかに効率よくプロジェクトの各要素を分解して完了まで導くか、という道しるべにもなるため、GTDは多くの企業で注目されているのです。

GTDはどのようにできたか

GTDのシステムを開発したのは、アメリカ・ルイジアナ州育ちのデビッド・アレン(David Allen)です。30代半ばまでにさまざまな仕事に就いた経験を活かして、生産性向上コンサルタントとしての地位を確立しました。

現在は政府機関から大手企業までを対象に、個人と組織に対して生産性を向上させるサービスを提供しています。デビッド・アレンの提唱するGTDを自分のものにして、効率よくタスク管理をするためには、GTDの基本となるステップを知ることは欠かせません。

2.GTDの基本となる5ステップ

GTDには、基本となる5つのステップがあります。どのような要素で構成されているのか、それぞれのステップごとに詳しく見ていきましょう。

  • STEP.1
    収集
  • STEP.2
    処理
  • STEP.3
    整理
  • STEP.4
    レビュー
  • STEP.5
    実行

STEP.1 収集

最初に、自分の頭の中で管理していたすべてのタスクを可視化させます。下記のようなことを書き出すのです。

  • 取り掛かろうと思っていたこと
  • 検討課題として保留していたもの
  • いつか役に立つだろうと頭の隅に置いていたもの
  • 新製品やサービスのアイディア
  • 毎朝こなしている特定の業務

書き出す際、パソコンや携帯のアプリ、手帳やカレンダーなどへ手で書くなどいろいろな方法を活用しましょう。

すべて書き出すことが重要

ここで重要なのは、自分の頭の中で繰り広げられている思考のすべてを書き連ねるということです。「ちょっと気になる」「今はそんなに重要ではない」といったタスクでもかまいません。

この作業を丁寧に行うことは、後のGTDシステムの完成度に大きく左右します。初めての作業では、とにかく手間がかかり面倒くさくなってしまうかもしれませんが、1時間ほどかけて丁寧に行ってください。

ここで書き出して収集したタスクは、すべてインボックスにいったん保存しましょう。GTDにおけるインボックスとは、アイデアやタスクが発生したときに保存する場所という意味です。

いつも同じ場所に保存することで、データを確実に蓄積できます。パソコン内なら専用のフォルダーなどを作る、紙で管理する場合には、ボックスやトレー、ファイリングなどがおすすめです。

STEP.2 処理

続いてのステップは処理です。アウトプットしたさまざまなタスクを分析し、処理することに着手します。つまり、ステップ1で収集したランダムな箇条書きを下記のような指標をもとに分類・処理していくのです。

  • 今すぐやるか、あとでやるか
  • 自分がやるか、他人に任せるか
  • 重要なタスクか、優先順位はどうか

タスク処理に非常に有効なマトリクス

それが「アイゼンハワー・マトリクス」です。アメリカ第34代大統領であるアイゼンハワーが使った時間管理のマトリクスで、タスクを「緊急」と「重要」の2つの項目に分けて処理していきます。さらに、4つのカテゴリーに処理し、細かく見ていくのです。

  1. 重要かつ緊急
  2. 重要だが緊急でない
  3. 重要でないが緊急
  4. 重要でなく緊急でない
①「重要かつ緊急」

このカテゴリーには、直近1~2週間以内に取り掛からなければならない切羽詰ったタスクを仕分けします。報告書の締め切りや支払い期日など期日管理されているタスク、顧客から催促されている案件などが当てはまるでしょう。

見出し5:②「重要だが緊急でない」

たとえばいつまでというわけではないけれど時間があるときに必ず取りかかろうと思っていることなどが該当します。仕事で使う資格の取得や語学の勉強、たまっている名刺の整理などをイメージするとわかりやすいかもしれません。メタボの検査で指摘を受けた人は健康管理のためのダイエットなどもこのカテゴリーに入れてもよいでしょう。

③「重要でないが緊急」

なかなかイメージがわかないかもしれません。対外的にはそんなに重要ではないけれど、やっておかないと一日がスムーズに始まらないといったルーティンの業務が該当します。

④「重要でなく緊急でない」

これは、「あったら便利かな?」と思うグッズを買うとか、「ぶらりと温泉でも行きたいな」といったようなことをイメージしてください。

4つに分けたタスクをさらに処理する

アイゼンハワー・マトリクスは、4つのカテゴリーに処理されたタスクをさらに処理していきます。まず「重要でなく緊急でない」という4つ目のカテゴリーに入れられたタスクを破棄します。それは、重要でないタスクに気を取られるより、重要なタスクに全神経を注ぎたいからです。

さらに「重要である」と処理した2つのタスクへの時間配分に細心の注意を払います。「重要かつ緊急」のタスク処理の時間を最小限にし、「重要だが緊急でない」として緊急性が低いばかりに後回しされてきた重要なタスクに時間を多く割けるようにするのです。

アイゼンハワー・マトリクスを使って処理をすれば、重要なのに長年取り組んでこなかった本来やるべきタスクにも光を当てることができます。これは、GTDの優位性を感じる大きなポイントといってもよいでしょう。

STEP.3 整理

ステップ3は、整理です。アイゼンハワー・マトリクスで4つのカテゴリーにタスクを処理しただけでは、GTDの完成とはいえません。

ステージ分け

まず、それぞれのカテゴリーの中に納まっているタスクをビジネスとプライベートなどのステージごとに仕分けします。

同じ期日が迫った重要なタスクでも、「顧客への提案書を作成する」といったビジネス上のタスクと、「家族旅行の代金を支払う」といったプライベートなタスクが混在していては、自分の置かれているタスク状況を正確に把握できません。ビジネスのなかでも、プロジェクトごとにまとめ直すなど、それぞれが管理しやすい仕分け方法を探してください。

優先順位をつける

ステージごとの仕分けが済んだら、優先順位をつける作業に移動します。タスクに①、②、③といった番号をつけ優先度が高いものから順に並べて整理しましょう。それぞれのタスクには締め切りなどの期日も一緒に設定してリマインダーにセットすることを忘れないようにします。

抽出したタスクを、確実に実行に移し結果を出すためにも日付のほか、定期の案件なら1週間ごと・1ヵ月おきにといった周期も併せて確認します。優先順位に並べられ、さらに期日管理もされているとなれば、あとは実行に移すだけ。そのタスクは確実に結果を生み出すでしょう。

STEP.4 レビュー

GTDは、一度タスクを収集、処理、整理すれば終了という手法ではありません。PDCAのように、一定のサイクルでまわす必要があります。いったん処理したタスクや未処理のタスクを俯瞰して見直す作業が欠かせないのです。

タスクはずっとその性質を同じにしているとは限りません。上司が変わる、データが更新された、計画の変更など、多様な理由でその性質は変化します。定期的にタスクのレビューを行うことで、最新の課題が把握できますし、GTD内の情報を更新すれば、GTDの内部は常にすっきりするでしょう。その際、不要なタスクはゴミ箱に捨てます。

STEP.5 実行

これで、GTDの手法を使って自分の頭の中に混在していたタスクが抽出・整理されました。さらに、締め切りといった期日管理まで終わったら、いよいよ実行のときです。優先順位の高いものから、着実に実行していきましょう。やるべきことを明確に把握したあとは自分の持っている力を100%投入するだけです。

頭の中には、目の前のやるべき案件以外はありません。なぜなら、その他の気になっているすべての事案はGTDによって、収集・処理・整理されているからです。ストレスフリーの状態で取り組んだ仕事は、きっと今までにない大きな成果が得られるでしょう。

3.GTDを始めるには?

GTDを始めるにあたり、必要なものはありますか? という質問をよく耳にします。答えは、NOです。GTDを始めるのに、特別に準備してもらうものはありません。手帳でも、カレンダーでも、ペーパーでも何でもかまいません。自分の頭のなかのタスクを書き出すものがあれば、それがGTDの始まりになるのです。

GTDに疑問を持つ人もいるのでは?

でも、こんなふうにお考えの方もいるのではないでしょうか?「TO DOリストを挙げることが一番大変なのだよ」と。たしかに、頭の中に引っかかっているタスクをすべて書き連ねていく作業は、少なからず時間を要します。

「そんなことに時間をかけるくらいなら、ひとつでも多く仕事をしたほうがいいじゃないか」と思われるのも無理はありません。たしかに自分の頭の中にある案件の数がごくわずかであれば、リストなど作らず即実行したほうが、結果は早く出ると考えられます。

このようにGTDにかける時間や労力を考えて疑問を持つ人もいるでしょう。しかし、下記のような状況ではどうでしょうか。

  • タスクの数が多い
  • ビジネスとプライベートが混在
  • より効率を追求して仕事に取り組みたい

このような状況時頭の中のメモリーが満杯では、それ以上の負荷がかかる高速な処理機能が期待できないことは予想がつきます。

GTDは大きな設備投資や難しい理論や指標を用いない

GTDは、手順に従ってこなすべきタスクを可視化していくだけで、効率よく懸案事項を進展させることができる仕事術です。

またGTDは、個人のタスク管理に留まらず、会社のプロジェクトといった集団向けのタスクにも効果を発揮します。会社といった集団のなかでは、いわゆるコミュニケーションの基盤になるコンテキストをいかに共有できるかが問われるでしょう。

GTDの手法を賢く利用すれば、プロジェクトに関わるさまざまなコンテキストを高いレベルで共通認識させることができるのです。個人もしくは集団の内側に混在しているタスクを書き出し、整理整頓していくという手間を惜しまず、丁寧にGTDの手法で進めていくことが、効率よく仕事を成し遂げるポイントとなります。

4.GTDで効率よく処理するコツ

GTDは、業務の効率を上げて「仕事を成し遂げる」ための手法です。より高い効率性を追求するために、いくつか押さえておきたいポイントがありますのでご説明しましょう。

GTDは、タスクを整理する仕事術ですが整理のしすぎには注意を払わなければなりません。例えば、箇条書きにしたタスクの数が多すぎて実行に移すことが不可能になる場合などが該当します。箇条書きにするタスクを列挙しすぎる、もしくは内容を細分化しすぎるなどは要注意です。

収集と処理のステップをわける

GTDの収集と処理を明確に分けることも重要です。効率を重視するあまり、タスクをメモしながら同時に重要度や緊急度で仕分けしているケースを目にします。でも、それでは冷静な判断ができず、かえって効率が下がります。

すべてのタスクを抽出したあと、全体を見つつ個々の案件を重要度や緊急度別に冷静に処理していく手順を守ることが重要でしょう。

集中力が切れたらストップする

GTDを実践するなかで最も大切なことは、集中力が切れたらいったんストップする、ということです。

GTDの各ステップは、それぞれ時間をかけて取り組まなければならないもの。特に、収集・処理・レビューは手間と時間がかかります。集中力を出したとしても、ときに注意力が散漫になることもあるでしょう。

その場合には勇気を持って、GTDの手法にかかわる作業をいったんストップしてください。少し時間を置いてリフレッシュした頭で再度GTDに取り掛かれば、きっと精度の高いタスク管理が実現できます。

レビューはルーティン化する

付け加えるとすれば、レビューはルーティン化することが望ましいということでしょう。「最近、レビューをしていない」などの状況は、せっかく整理整頓したGTD内のタスクの鮮度を落としてしまいます。

思いつきのようにランダムにタスクをレビューするよりもコンスタントにレビューしたほうが、小さな変化にも柔軟に対応できます。タスクの見落としといったミスも防ぎやすくなるでしょう。

レビューを怠らないためのコツ

毎週金曜日の夕刻にレビューの時間を設けるなど決まりを作るとよいでしょう。週末のレビューで翌週のタスクを整理し直せば、月曜日から効率よく業務が進められます。毎週が難しいようであれば、最低でも月末といった1ヵ月単位でのレビューを行いましょう。

5.GTDの注意点

個人でのタスク管理はもちろんですが、GTDを全社的に導入しようとする企業も多くあります。事業規模が大きいほどプロジェクトの数も多く、それらを効率的に管理する必要が出てくるからです。

そんなとき注意したいことがあります。それは全社一律のルールのもとでGTDを押し付けてはならないということです。

GTDは鮮度が命

GTDは、今やるべき仕事に集中するための時間とタスク管理術です。つまりそれは各現場で今最も望まれているやり方でやるのが一番いいということを示しています。

人事部や統括部が決めた画一的なルールのもとでGTDを実施してしまえば、GTDが持つ本質を捻じ曲げかねません。各現場で、「今、何が必要なのか」「何をするべきなのか」を適宜把握しGTDに反映してこそ、GTDの優位性は守られます。あくまで現場重視の姿勢を保つ、それを目標とすることを忘れないでください。

まとめ

GTDについてご理解いただけたでしょうか?

ビジネスシーンからプライベートまで、私たちはさまざまなタスクを背負って生きています。パソコンやスマートフォンの普及で便利になった分、深夜にメールでコンタクトを取らねばならなくなったり、外出先でも携帯電話の着信音を気にしたりしなければなりません。

グローバル化のもと、企業は地球規模でビジネスを展開していますから、やらなければならないことは24時間待ったなしで迫ってきます。自分のやるべきことや考えるべき案件は、将来に向けてもますます増えていくでしょう。

そんなとき、自分が「今、何をすべきか」「何を放置していてかまわないのか」といった仕事の選別を的確に行うことが非常に重要です。GTDは、それらタスクの優先順位を可視化し、タスクにまみれた頭を混乱から解放してくれます。やるべきことに専念できるストレスフリーな状況は、まさにGTDの大きな産物でしょう。

GTDに大きな設備投資は不要で、紙とペンなど記録できるものさえあればスタートできます。その手軽さは大きな魅力です。GTDが自然と生活に溶け込んでいけば、あなたのビジネスライフは大きく前進するに違いありません。