減価償却費とは? 減価償却の目的や減価償却費の耐用年数、減価償却できないものについて

減価償却費とは、時間の経過とともに価値が薄れる固定資産を、使用可能な期間に従って少しずつ計上する勘定科目のことです。減価償却費について、目的や耐用年数などから解説しましょう。

1.減価償却費とは?

減価償却費とは、固定資産の価値の低下を事前に考え、その額を会計期ごとに見積もる費用のこと。

一般的に土地を除く資産は、使い続けるうちに経済的な価値が下がります。こうした価格の低下を事前に考え、使用可能な期間に従って見積もった費用を「減価償却費」と呼ぶのです。

減価償却の意味

減価償却とは、固定資産を取得した際にかかった費用の回収を図る会計上の手続きのこと。支払額の全額をその年度の費用とせず、耐用年数(使用期間)に応じて分割して計上します。

詳細は後述しますが、ここでいう耐用年数(使用期間)は実際にその資産を使用する期間ではなく、法律によって品物ごとに定められた期間を指しているのです。

減価償却の目的

減価償却の目的は、時間の経過とともに価値が減少する固定資産の取得費用を公平に分配して、費用収益対応(費用および収益を明瞭に分類し、各収益項目と関連する費用項目を損益計算書に表示する)の考え方を実現すること。

たとえばある飲食店が100万円の厨房機器を買ったとしましょう。厨房機器はその先何年も使えるもので、100万円をそのまま購入した年の経費として計上するという考えは、適切な経費の計上といえません。減価償却には、毎年の利益を正確に表す目的もあるのです。

一般的に、長期的な使用を想定して購入した固定資産は、使う年数に応じて少しずつ費用にすべきだと考えます。この考え方が減価償却です

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2.減価償却の方法と計算方法

減価償却の計算方法4つのうち、3つを紹介しましょう。定額法と定率法は耐用年数つまり時間を基準として考えた計算方法で、、生産高比例法では生産高を基準に考えます。

  1. 定額法
  2. 定率法
  3. 生産高比例法

①定額法

定額法とは、減価償却の対象となる固定資産の購入代金を、毎年同じ額で計上していく計算方法のこと。無形固定資産(法律用の独占権利や施設権利、営業権利のこと)の計算方法は、この定額法に限定されています。

定額法には、計算が単純で償却額を算出しやすいメリットがある一方、収益力が低下した後年には負担比率が高くなるというデメリットが存在するのです。

定額法の計算方法

定額法では、次の計算式を用いて償却額を算出します。

償却額=取得価額×定額法の償却率

耐用年数5年の物品を200万円で購入したケースを例に見ていきましょう。定額法では、購入代金を耐用年数の期間で同額ずつ償却し、耐用年数5年の場合、償却率は全額を5分割した20%。つまり5年の間、毎年40万円ずつ償却していくことになるのです。

②定率法

定率法とは、初年度に大きな金額で計上し、その後一定の償却率を掛けて徐々に減少させていく方法のこと。

機械装置や器具備品、航空機や建物附属設備などの有形固定資産は、定額法と定率法のどちらにするか選べますが、一般的には定率法が使われるのです。償却率は固定資産の取得価額や法定耐用年数によって異なります。

定率法の計算方法

定率法では、次の計算式を用いて償却額を算出します。

償却額=未償却残高×定率法の償却率

こちらも定額法と同じく、耐用年数5年の物品を200万円で購入したケースを例に見ていきましょう。

償却率0.4の固定資産の場合、初年度の減価償却費は200万円×0.4=80万円です。2年目は200万円-80万円の未償却残高に0.4の償却率を掛けた48万円、3年目は(200万円-初年度の80万-2年目の48万)×0.4で288,000円と続きます。

③生産高比例法

生産高比例法とは、生産高を基準に考える方法で、車や飛行機、鉱業用機械など、総利用時間や生産高が物理的に確定できる固定資産の減価償却を算出する際に用いられます。

1年間の減価償却費を月割り計算する定額法、定率法に対して、生産高比例法では月割計算を行いません。

生産高比例法の計算方法

生産高比例法では、次の計算式を用いて償却額を算出します。

減価償却費=(取得原価-残存価額)×当期の実際生産高÷見積総生産高(総利用可能量)

見積総走行距離10万kmの車両運送具を50万円で購入し、生産高比例法を用いて算出するケースを例に考えてみましょう。なお残存価額は取得原価の10%で、初年度の走行距離は4,000km、2年度は20,000kmです。

  • 初年度の減価償却費=(50万円–5万円)×4,000km÷10,0000km=18,000円
  • 2年度の減価償却費=(50万円–5万円)×20,000km÷10,0000km=90,000円

減価償却の計算方法には、耐用年数を基準として考えた「定額法」と「定率法」、生産高を基準として考えた「生産高比例法」があります

3.減価償却の耐用年数とは?

減価償却の耐用年数、つまり固定資産が使用できる期間として法的に定められた年数は、構造や用途によってさまざまです。日本の税法では、固定資産の種類別に法定耐用年数を規定しているため、計上前に必ず確認しましょう。

有形減価償却資産の耐用年数

固定資産には「有形固定資産」と「無形固定資産」の2種類があり、それぞれ次のように区別できます。

  1. 有形固定資産:事業のため、長期にわたって使用する目的で保有する資産
  2. 無形固定資産:直接経営には利用されないものの、収益力や法律で価値が認められた権利資産

それでは、有形固定資産にかかる減価償却費について解説しましょう。

器具・備品の耐用年数

器具や備品などの固定資産にかけられた耐用年数は、10年以下が大半です。なかには20年の法定耐用年数を有するものもありますが、限定的といえます。代表的な項目とそれにかかる耐用年数は、以下のとおりです。

  • 耐用年数15年:事務机、事務いす、キャビネット(主として金属製のもの)
  • 耐用年数8年:事務机、事務いす、キャビネット(その他のもの)
  • 耐用年数6年:冷暖房用機器
  • 耐用年数5年:電子計算機(その他のもの)
  • 耐用年数4年:電子計算機(サーバー用のものを除くパーソナルコンピュータ)

車両・運搬具の耐用年数

車両運搬具の耐用年数は、一般的に5年程度です。

【一般車両(特殊自動車や次の運送事業用等を除く)】
  • 耐用年数5年:その他の貨物自動車
  • 耐用年数4年:総排気量が0.66リットル以下の小型自動車、ダンプ式の貨物自動車
  • 耐用年数3年:2輪・3輪自動車
【運送事業用・貸自動車業用・自動車教習所用の車両】
  • 耐用年数5年:乗合自動車
  • 耐用年数3年:貨物自動車にあっては積載量が2トン以下、その他のものにあっては総排気量が2リットル以下の小型自動車

建物の耐用年数

土地に定着して建設された事務所や営業所などの建物は、構造や建物の素材によって変わります。

【事務所用のもの】
  • 耐用年数50年:鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造のもの
  • 耐用年数41年:れんが造、石造又はブロック造のもの
【農林業用のもの】
  • 耐用年数14年:主としてコンクリート造、れんが造、石造又はブロック造の果樹棚又はポップ棚
  • 耐用年数10年:土管を主としたもの(農用井戸やかんがい用配管など)

生物の耐用年数

会社員にはなかなか馴染みのない概念ですが、生物も有形固定資産として耐用年数が定められているのです。

自動車や建物と同じく、寿命によって期間が定められていると考えれば分かりやすいでしょう。生物が成熟したと考えられる年齢をそれぞれに設定し、成熟した年齢から減価償却がスタートします。

牛の耐用年数

牛の耐用年数は一般的に4年から6年です。

  • 耐用年数6年:繁殖用の役肉用牛
  • 耐用年数4年:繁殖用の乳用牛

※どちらも畜改良増殖法に基づく種付証明書、授精証明書、体内受精卵移植証明書又は体外受精卵移植証明書のあるものに限る

  • 耐用年数4年:種付用の牛:※家畜改良増殖法に基づく種畜証明書の交付を受けた種おす牛に限る
  • 耐用年数6年:その他用の牛

馬の耐用年数

馬の耐用年数は、主に繁殖用と種付用、競走用に分かれ、耐用年数は4年から8年です。

  • 耐用年数6年:繁殖用の馬(家畜改良増殖法に基づく種付証明書又は授精証明書のあるものに限る)
  • 耐用年数6年:種付用の馬(家畜改良増殖法に基づく種畜証明書の交付を受けた種おす馬に限る)
  • 耐用年数4年:競走用の馬
  • 耐用年数8年:その他用の馬

なおペットショップに代表される販売用の馬は棚卸資産になり、減価償却を行えません。販売目的として飼育している食肉用の豚や牛も同じです。

豚の耐用年数

豚の耐用年数は一律3年で、役割による耐用年数の違いはありません。牛や馬と同じく、成長して本来の役割を果たせるようになった時点で減価償却が始まります。

なお動物園の動物も同じように減価償却が行われます。動物の赤ちゃんが、生まれてから動物園で披露されるまでにかかった金額が取得価額、お披露目が始まってからが減価償却のスタートです。

樹木の耐用年数

寿命として使用できる期間が定められているという意味では樹木も生物と同じで、樹木にも固定資産としての耐用年数が定められているのです。生物と同じく、成熟したと考えられる樹齢から、樹木の減価償却がスタートします。

りんご樹

りんご樹の耐用年数は、役割によって大きく異なります。

  • 耐用年数20年:わい化苗を用いたわい化りんご
  • 耐用年数29年:その他のりんご
ぶどう樹

ぶどう樹の耐用年数は、栽培条件によって2つに分かれます。

耐用年数12年:温室ぶどう

耐用年数15年:その他のぶどう

かんきつ樹

かんきつ樹の耐用年数は、温州みかんとその他のかんきつ類に分けられます。

  • 耐用年数28年:温州みかん
  • 耐用年数30年:その他のかんきつ類

固定資産における耐用年数は「固定資産評価基準」によって税法で細かく定められています。同じ品物でも用途や材質によって耐用年数が異なるので、必ず事前に確認しておきましょう

4.その他資産の耐用年数

耐用年数が定められた固定資産には、前述した有形固定資産以外にもさまざまな資産があります。イメージしやすいものが、事務所やテナントなどの内装工事に代表される「他人の建物に対する造作」や「ソフトウェア」です。

ソフトウェアの耐用年数

ソフトウェアつまり物質としての形はないものの、コンピュータに一定の仕事を負わせるためのプログラムには、利用目的に応じた耐用年数があります。

  • 耐用年数3年:複写して販売するための原本、または研究開発用のもの
  • 耐用年数5年:その他のソフトウェア

ソフトウェアは形のないものですが「情報の価値が減少していく」という意味で固定資産となり、減価償却の対象となるのです。

他人の建物に対する造作の耐用年数

借りている建物に新規店舗をオープンしたり、事務所を開設したりして内装工事を行う場合、会計処理はどうなるでしょうか。内装工事のうち、建物付属設備に該当するものには「建物付属設備」の耐用年数が適用されます。

他人の建物を貸借し、その建物に対して造作を行った際は、造作の種類や用途、使用材料などを考慮して合理的に見積もらなければなりません。

ソフトウェアや他人の建物に対する造作にも減価償却費の計上が必要です。適切な減価償却を行い、資産の消耗を費用化して、固定資産の資産価値を正しく評価しましょう

5.タイミングによって異なる減価償却費

減価償却費は、固定資産を購入するタイミングによって次の4つの取引内容に分かれます。それぞれ計算の対象となる期間や耐用年数の有無、考え方などが異なるため、確定申告や年末調整の際に慌てないよう、事前に確認しておきましょう。

  1. 年の途中で購入した場合
  2. 中古で購入した場合
  3. 処分した場合
  4. 売却した場合

①年の途中で購入した場合

年の途中で固定資産を購入した場合、購入した月の翌月から減価償却費の計算対象となります。9月に耐用年数4年、価格40万円のパソコンを購入したという例から見ていきましょう。

年の途中で購入しても、減価償却費は購入した月から12月末までで計算します。定額法の場合、1年あたりの減価償却額は単純に40万円÷4年=10万円です。

②中古で購入した場合

それまで他の誰に使われていた資産、つまり中古資産は当然ながら資産として価値が下がり、残りの使用可能な期間も短くなります。そこで取得した時点でその後使用可能な年数を見積もり、中古資産用の耐用年数を個別に計算する必要があるのです。

なお購入した中古品の取得価額が新品の50%以上だった場合、法定耐用年数がそのまま減価償却期間になります。

③処分した場合

残存する資産を耐用年数の途中で処分した場合、どのような計上が必要になるでしょうか。この場合、帳簿上の未償却残高をゼロにするための処理を行わなければなりません。

勘定科目は、固定資産を廃棄処分した際に発生した損失を計上する「固定資産除却損」です。固定資産除却損を計上すると、残存簿価の分だけ課税所得が減少するため、節税につながります。

④売却した場合

減価償却中の資産を売却した際の計上は基本、処分した場合と同じで、売却した価額が未償却の残高より高いか低いかで処理方法を判断するのです。

売却した固定資産の価額が未償却の残高より高い場合は「未償却残高」と「売却益」に分けて計上します。反対に損失が出た場合は「未償却残高」と「売却損」に分けて計上するのです。

減価償却費は、「年の途中で購入」「中古で購入」「処分」「売却」4つの取引内容に分かれます

6.減価償却しないもの

土地や美術品、骨とう品など、時の経過により価値が減少しない資産は、減価償却できず、いずれも売却、破棄するまで資産として計上します。そんな減価償却しないものについて、見ていきましょう。

土地

減価償却しないものの代表として挙げられるのが土地です。建物は使用によって損傷し、万が一使用しなくても、時の経過によって老朽化が進むため、資産としての価値が変動します。これは器具や備品、生物や樹木なども同じです。

しかし土地そのものが使用や時の経過によって減価すること(価値がなくなること)はありません。土地が減価償却できないといわれるのは、この考え方によるものです。

美術品

古美術品や古文書、出土品や遺物など、歴史的価値または希少価値を有し、代替がきかないものも減価償却できません。しかしこれらの判断は非常に困難です。

そこで、国税庁は原則として1点の価額が100万円以上の美術品を「非減価償却資産」とし、減価償却しないと定めています(時の経過による価額減少が明らかなものを除く)。

なお美術品の取得価額には美術品そのものの価額のほか、額縁などの付属品や運送費、据付費、購入手数料などの費用なども含まれるのです。

土地の上に存在する借地権や地上権、地役権などの無形固定資産も減価償却はしません。電話加入権や棚卸資産、未使用の資産なども減価償却の対象外となります