減価償却とは? 対象となる資産、メリット・デメリット、仕訳の方法、計算方法、注意点について

減価償却は、経理面にてよく耳にする言葉です。一体どのような事柄なのでしょうか。対象となる資産やメリット・デメリットなどから解説します。

1.減価償却とは?

減価償却とは、固定資産の購入にかかった費用を使用可能期間にわたって分割して計上する会計処理のこと。

事業に必要な設備や機械装置、備品などのうち、時間の経過とともに価値が減少する資産を「減価償却資産」といいます。この資産を購入するために発生した費用は、使用可能な期間にわたって分割して計上する必要があるのです。

な使用可能期間は「法定耐用年数」として、財務省令の別表に定められています。一方、土地や骨董品など時の経過によって価値が減少しない資産は「減価償却資産」に含まれません。

減価償却の目的

減価償却の目的は、適正な費用配分を行い、毎期の損益計算を正確に行うこと。減価償却は所定の方法にしたがって規則的、計画的に行う必要があります。

たとえば取得した機械装置を3年間にわたって製品製造に使用する場合、購入した年に一括で経費に計上するのではなく、分割した費用が年度ごとに発生しているものと見なします。

対象となる資産

減価償却の対象となるのは以下の条件を満たす資産です。

  • 使用可能期間が1年以上、かつ取得価額が10万円以上の有形固定資産:設備、建物、工場、工具、備品など
  • 使用可能期間が1年以上、かつ取得価額が10万円以上の無形固定資産:ソフトウェア、特許権、商標権など
  • 使用可能期間が1年以上、かつ取得価額が10万円以上の生物:樹木、家畜など

対象とならない資産

時間経過によって価値が減少しない資産は、減価償却の対象になりません。

  • 建設中の資産:建物が完成し、使用を開始してからはじめて対象となる
  • たな卸し資産:在庫全般は販売した際に売上原価として計上する
  • 美術品や骨董品、土地や借用権:景気の変動で価値の変動はあるものの、時間の経過による減少はないと考えられている

固定資産の取得にかかった費用全額をその年の費用とせず、使用可能期間にわたって分割計上する会計処理を「減価償却」といいます

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2.減価償却を知るうえで必要となる用語

「減価償却費・取得価額・耐用年数」など、減価償却に関するいくつかの用語があります。いずれも減価償却について知るうえで欠かせない知識です。ここでは減価償却に必要となる用語の意味とそれぞれの特徴について、説明します。

減価償却費

「減価償却費」とは、固定資産を取得した際にかかった原価を一度に経費計上せず、資産を使用できる期間(耐用年数)に応じて分割し、毎年少しずつ計上していく費用のこと。経理上、減価償却資産を仕訳する際に「減価償却費」という勘定科目を使用します。

取得価額

「取得価額」とは、減価償却資産を取得する際にかかった金額のこと。資産そのものの購入代金のほか、資産を購入するにあたって発生した購入手数料や荷役費、資産を使うためにかかった工事費や試運転費用なども「取得価額」に含まれます。

耐用年数

「耐用年数」とは、減価償却資産の使用可能期間のこと。資産の効用持続年数と考えると分かりやすいでしょう。耐用年数はパソコンなら4年、事務机や事務いすなら15年と「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」によってそれぞれ定められています。

事業供用日

「事業供用日」とは、減価償却資産を使い始めた日のこと。一般的に資産本来の目的のために使用開始した日を指します。機械を工場内に搬入した日や据え付け、試運転にあてた日などは基本、事業供用日になりません。

未償却残高

「未償却残高」とは、減価償却資産を取得するのにかかった費用のうち、まだ減価償却されていない金額部分のこと。未償却残高は「取得価額-前年末までに計上している減価償却費の累積額」で算出できます。

減価償却では特に「いつから使い始めたのか・使用可能期間は何年か」が重要になります。事業供用日や耐用年数、取得価額などの意味は必ず理解しておきましょう

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3.減価償却のメリット

さまざまな用語を理解したうえで行う減価償却費の計上。難しく聞こえますが、正しく理解しておけば節税につながる可能性もあるのです。ここでは減価償却にともなうメリットを3つ説明します。

  1. 節税になる
  2. 資産が残る
  3. 損益を把握できる

①節税になる

減価償却費を毎年の経費として計上すると、耐用年数期間中の利益を抑えられます。また中小企業の場合、取得価額が30万円未満の減価償却資産は「少額減価償却資産」として即時全額経費として計上可能です。これを「少額減価償却資産の特例」といいます。

②資産が残る

毎年減価償却費を計上しても、実際に毎年現金が減るわけではありません。損益決算書に記載する額は費用として留保され、課税される心配はないのです。あくまで会計上の処理となるため、実質的には資産が手元に残ります。

ただし当然ながら、減価償却費と同額の資金が企業内に存在すると確約するものではないため注意しましょう。

③損益を把握できる

車や機械などの固定資産を減価償却せず購入年度に全額費用として計上した場合、購入年度の収益は大きく減り、翌年から収益が増えます。この状態では固定資産への投資が収益にどのような変化を与えたのか、正しく把握できません。

減価償却によって、収益と費用のバランスを正しく把握できるようになるのです。

減価償却のメリットは、「節税になる・資産が残る・損益を把握できる」の3つです

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4.減価償却のデメリット

減価償却には節税効果や損益把握などさまざまなメリットがあるものの基本、企業側への税制上のデメリットはありません。ただし同年度に多くの減価償却資産を購入した場合、会計処理上の手間が増える可能性もあります。

  1. 会計処理に手間がかかる
  2. 税制法の改定に伴うアップデートが必要

①会計処理に手間がかかる

前述のとおり、減価償却資産にはそれぞれ耐用年数が定められています。減価償却費を計上する際は、耐用年数を資産ごとに確認しなければなりません。

特に不動産管理会社やリース会社の場合、減価償却資産を購入する機会が多いため余裕をもった会計処理が必要です。

②税制法の改定に伴うアップデートが必要

減価償却では毎年一定の金額を費用計上します。しかし税制法などは頻繁に改定されるため、改正のたびに会計処理を見直す必要があるのです。

2015年に改定された税制改正大綱では、一部の減価償却資産における定率法(残存価格を一定の割合で減価償却処理する方法)が廃止され、定額法一本となりました。しかし今後、耐用年数の見直しが発生する可能性も考えられます。

減価償却による税制上のデメリットは特にありません。ただし税制法の改定にともなう会計処理の見直しや、会計処理上の手間が増える点はデメリットといえます

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5.減価償却の仕訳方法

減価償却では対象となる資産、対象とならない資産をそれぞれ把握したうえで仕訳を行わなければなりません。仕訳は減価償却費を固定資産から直接差し引く「直接法」と、減価償却累計額を計上する「間接法」の2つで行います。

仕訳とは何か

「仕訳」とは簿記上の取引を「借方」と「貸方」に分け、それぞれの取引を勘定科目に分類して仕訳帳に記入すること。日々の仕訳によって記録した取引は、最終的に「貸借対照表」や「損益計算書」などの決算書にまとめられます。

仕訳では取引を「借方」と「貸方」のふたつの側面から見ていけます。結果、企業にとって何が増えて何が減ったのかを明確にできるのです。

直接法

「直接法」とは、固定資産から減価償却費を直接差し引く方法のこと。たとえば営業用車両の減価償却費10万円を計上した場合、直接法では以下のように仕訳を行うのです。

  • 借方:減価償却費10万円(車両運搬具の減価償却費が10万円発生したと考える)
  • 貸方:車両運搬具10万円(車両運搬具の価値が10万円目減りしたと考える)

直接法ではかんたんに現在の資産を把握できます。

間接法

「間接法」とは、固定資産を減らすのではなく、減価償却累計額を計上する仕訳方法のこと。同じく営業用車両の減価償却費10万円を計上した場合、以下のように仕訳を行うのです。

  • 借方:減価償却費10万円(車両運搬具の減価償却費が10万円発生したと考える)
  • 貸方:減価償却累計額10万円(固定資産の減価償却費として10万円発生したと考える)

減価償却における直接法と間接法の違いは、もとの固定資産価額が残るように表示されているかどうか。これまでの償却費が分かりやすい点から、決算書の表示には「間接法」を用いるのが一般的です

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6.減価償却の計算方法

減価償却の計算方法には一定の割合で減価償却処理を行う「定率法」と、毎年同じ額で計上する「定額法」の2つがあります。ここでは「定額法」と「定率法」について詳しく解説しましょう。

定額法

「定額法」とは、減価償却の対象となる固定資産の購入代金を毎年一定の額で計上していく計算方法のこと。定額法では「償却費=取得価額×定額法の償却率」で償却費を算出できます。

耐用年数5年の物品を200万円で購入した場合、償却費は全額を5分割した20%。つまり毎年40万円ずつを5年間償却していく方法です。

定率法

「定率法」とは初年度に大きな金額で計上し、その後一定の償却率を掛けて徐々に償却額を減少させていく方法のこと。定率法では「償却額=未償却残高×定率法の償却率」で算出できます。

耐用年数5年の物品を200万円で購入し、償却率が0.4だったケースを見てみましょう。

この場合、初年度の減価償却費は200万円×0.4=80万円ですが、2年目は(200万円-80万円の未償却残高)×0.4=48万円、3年目は(200万円-初年度の80万-2年目の48万)×0.4=288,000円と続きます。

減価償却資産の内訳によっては「定額法」と「定率法」のどちらを使用するか明記されているものがあります。計算する際は注意が必要です

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7.減価償却にまつわる注意点

減価償却は税制にかかわる項目であるため、税務調査で指摘されるケースも少なくありません。ここでは減価償却で特に注意する点を4つ説明します。

  1. 償却方法の選定
  2. 中古資産の耐用年数を定める際
  3. 生物の耐用年数を定める際
  4. 中小企業の特例

①償却方法の選定

減価償却方法を選定する際は「減価償却資産の償却方法の届出書」が必要です。減価償却の方法には「定額法」と「定率法」の2つの計算方法があることは前述のとおり。届出を行うと、減価償却資産ごとに定率法と定額法を選べます。

提出先は所轄の税務署、新たに法人を設立した場合の提出期限は設立第一期確定申告書の提出期限日です。

中古資産の耐用年数

減価償却資産がつねに新品だと限りません。中古資産を取得した場合の耐用年数は法定耐用年数ではなく、その資産が使用可能な期間を合理的に見積もった年数となるのです。なお使用可能期間の見積りが困難な場合、以下の簡便法が適用されます。

  • 法定耐用年数のすべての年数を経過している場合:法定耐用年数の20%に相当する年数
  • 法定耐用年数の一部を経過している場合:経過年数を差し引いた年数に、経過年数の20%に相当する年数を加えた年数

生物の耐用年数

使用可能期間が1年以上、かつ取得価額が10万円以上の生物や果樹も減価償却の対象となり、耐用年数が定められています。この場合、生物が成熟したと考えられる年齢を設定し、その年齢から減価償却を行うのが一般的です。

  • 農業使役用の牛:満2歳を成熟年齢とする
  • 小運搬使役用の馬:満4歳を成熟年齢とする
  • りんご樹:満10年を樹齢とする
  • ホップ:満3年を樹齢とする

中小企業の特例

中小企業が30万円未満の減価償却資産を取得した場合、一定の要件を満たしていれば「取得価額損金算入の特例」が適用されます。対象となるのは2006年4月1日から2022年3月31日までの間に取得して事業に供した資産です。

ただし適用年度の取得価額合計が300万円を超える場合、300万円に達するまでの取得価額合計額が限度となります。

減価償却を行う際は、資産ごとに耐用年数が異なる点に注意しましょう。あわせて税制法の改正がないかも随時確認しておきます

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8.減価償却で困ったときは

減価償却については各自治体をはじめ、さまざまな窓口で相談を受け付けています。税制にまつわる事項は非常に複雑です。減価償却で困った際は、無理に仕訳せず、国税庁や商工会議所、税理士などに相談するとよいでしょう。

国税庁(税務署)に相談する

国税庁(税務署)では税制にまつわるあらゆる相談を受け付けています。国税庁のホームページでは税金の種類ごとに質問の一般的な回答を調べる「タックスアンサー」や、土日、夜間も利用可能な「チャットボット」などを用意しているのです。

もちろん電話での相談や、電話で回答が困難な内容についての面接相談も受け付けています。十分な面接時間を設けるため、面接相談には事前予約が必要です。

商工会議所に相談する

商工会議所では仕訳の方法から確定申告の手続きまでさまざまな相談に応じています。もちろん減価償却費の計算方法についても相談可能です。

専門相談員は、前述した「中小企業に対する取得価額損金算入の特例」や個人事業者のための措置などにも精通しています。商工会議所に相談すると、税制についての正しい理解を深められるでしょう。

税理士に相談する

設立したばかりの中小企業や個人事業主の場合、確定申告における減価償却で悩む場合も少なくありません。税金にまつわる法律はひんぱんに改正されるため、減価償却で困った際は自社内で解決しようとせず、税理士に相談するとよいでしょう。

複雑な処理が必要な減価償却は時間がかかるだけでなく、ミスが生じる可能性も高いです。税理士に相談すれば確実で間違いのない方法で進められます。

減価償却で困った際は、無理に仕訳せず、国税庁や商工会議所、税理士などに相談して、確実かつ間違いのない方法をアドバイスしてもらいましょう