FemTechとは? 意味、領域、背景、導入事例、政府や自治体の支援について

FemTechとは、女性特有の生きづらさをテクノロジーで解決する商品やサービスのこと。ここではFemTechの領域や背景、自治体の支援などについて解説します。

1.FemTechとは?

FemTechとは、ヘルスケアや妊娠、出産など女性特有の健康に着目したサービスやシステム、商品などのこと。アメリカのリサーチファーム「Frost & Sullivan」の報告によると、FemTechの市場規模は2025年までに5兆円規模になると予想されています。

FemTechの意味

FemTechとは、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)を掛け合わせた造語のこと。

「女性が抱える健康問題をテクノロジーで解決するサービス」や「女性特有の悩みの解決」「女性や美容に関するテクノロジー」ともいわれています。総じて女性の健康や生活の質向上を目的とした技術を指すのです。

FemTechの類義語

FemTechと似た言葉に「インクルーシブデザイン」と呼ばれる用語があります。インクルーシブデザインとは、特別なニーズを持った当事者とプロのデザイナーが協力して考案した商品やサービスのこと。

高齢者や障がい者、外国人など従来のデザインプロセスから除外されてきた人々を巻き込んでデザインします。平均的なデザインでは気づけなかった発見やヒット商品を生み出す手法です。

女性が抱える健康問題の実態

財団法人女性労働協会が2004年に報告した「働く女性の健康に関する実態調査結果」によれば、月経痛が「かなりひどい」「薬を服用しなければならないほどひどい」と回答した女性は全体の約30%。

45歳以上の回答者のうち約70%が何かしらの更年期症状を経験したと回答しています。労働者の健康問題に取り組むにあたって、女性特有の課題は避けて通れない問題といえるでしょう。

FemTechはこれまでどこかタブー視されていた女性特有の健康課題に真っ向から取り組み、これらをテクノロジーで解決する商品やサービスを指します

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2.FemTechの領域

女性の社会進出が進み、働く女性の健康問題が取り上げられるなか、FemTechの注目度は年々増加しています。女性特有の健康課題といっても、具体的にはどのような領域を指しているのでしょうか。

ここでは次の3つの側面から、FemTechの領域について説明します。

  1. 生理
  2. 不妊
  3. 更年期障がい
  4. セクシャルウェルネス

①生理

「生理」とは、およそ1か月の周期で子宮内膜が剥がれ落ち、出血を伴って体外へ排出されることです。貧血や生理痛(月経痛)、不正出血や月経前症候群(PMS)などの生理に関するトラブルは、年齢や環境を問わずつねに女性に付きまといます。

そもそも女性の健康は女性ホルモンの変動による影響を大きく受けます。このホルモン変動を意識した管理が必要とされているものの、女性の一生を通した包括的支援は不十分というのが実際のところです。

②不妊

「不妊」とは、妊娠を望む健康な状態の男女が性交をしているにもかかわらず、一定期間(1年間)妊娠しない状態のこと。不妊治療には身体的な苦痛や精神的な落ちこみや経済的な負担も大きいため、不妊で悩む人は少なくありません。

また不妊状態については「家族や親しい友人にも打ち明けづらい」「妊娠や出産に関する情報が氾濫している」というのもあり、悩みは深まる一方です。

③更年期障がい

「更年期障がい」とは、男女とも40歳を過ぎた頃から見られる自律神経失調症に似た症候群のこと。性ホルモンの分泌量が低下し、体調不良や情緒不安定などの症状を引き起こします。

男性にも起こり得るものの、女性に比べて男性は性ホルモンの分泌量が緩やかなため、気づきにくいといわれています。身体的症状として挙げられるのは、のぼせや顔の火照り、動悸や息切れ、頭痛やめまいなどです。

④セクシャルウェルネス

「セクシャルウェルネス」とは、その名のとおり「性に関する健康」のこと。セクシュアリティに対して身体的、社会的に健康な状態を意味するのです。

女性の社会進出の観点から「セックスや避妊」「生理や更年期」などどこかタブー視されていた性に関する諸問題、女性特有の健康課題に関する取り組みが注目されています。

女性特有の健康問題に対応し、女性が働きやすい社会環境を整備していくことが、生産性や業績の向上に結び付くと考えられているんどえす。

企業が健康経営の質を高めるためには、女性特有の健康課題に対する取り組みが欠かせません。月経に伴う労働損失は約5,000億円ともいわれています

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3.FemTechが注目される背景

FemTechが注目される背景には、ライフサイクルを通じて男性とは異なる健康上の問題に直面する、女性特有の課題があります。ここではFemTechが注目される背景について、4つの側面から説明します。

  1. 女性の健康問題への関心
  2. ジェンダーの不平等の解消
  3. 女性による女性のためのビジネスの隆興
  4. テクノロジーの変革

①女性の健康問題への関心

2019年に内閣府が発表した「女性の健康に関する世論調査」によれば、女性の健康課題について関心があると回答した者の割合は約77%。

性年齢別に内訳を見ると「関心がある」と回答した女性の割合はどの年代でも非常に高く、男性もおよそ3割が「関心がある」と回答しました。幅広い層が妊娠出産や月経による心身の変化など、さまざまな健康面での関心、不安を抱いていると分かります。

②ジェンダーの不平等の解消

FemTechの注目度は国際的なジェンダー不平等解消の動きに合わせて年々高まっています。21世紀を迎え、経済や政治のグローバル化の進展は、女性に雇用や能力向上の機会を提供しました。

すべての政策や事業は男女それぞれに異なる影響を及ぼすという前提をもって、男女それぞれの立場から課題やニーズ、インパクトを明確にするプロセスを「ジェンダー主流化」といいます。この「ジェンダー主流化」は国際社会の基本方針です。

③女性による女性のためのビジネスの隆興

経済産業省は全国10地域に「女性起業家等支援ネットワーク」を構築。仕事と家庭の両立に課題を抱えている、事業化の方法がわからないといった女性に、身近なロールモデルを提示したり、仕事と家庭の両立支援を行ったりしています。

④テクノロジーの変革

身の回りのあらゆる事象がデータ化され、インターネットにつながる仕組みが構築されるIoTの普及によって、新たなビジネスモデルが次々と出現。

なかには従来のビジネスモデルが先進的なデジタル活用によって破壊された事例もあり、あらゆる企業がFemTechをはじめとするビジネスモデルの変革を意識するようになりました。

FemTech拡大の背景には、ジェンダー不平等の解消やテクノロジーの変革、女性健康問題への関心などさまざまな要因があります

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4.FemTechを導入している企業

どのような企業がどのようなシーンにて、FemTechを導入しているのでしょうか。ここでは生理日管理ツールをはじめ、さまざまなFemTech関連のサービス、商品を開発している4つの企業について説明します。

  1. エムティーアイ
  2. トリプル・ダブリュー・ジャパン
  3. ガデリウス
  4. THINX(シンクス)

①エムティーアイ

エムティーアイは、生理日管理や体調記録ができるモバイルサービス「ルナルナ」を開発。約800万人の女性が使用するこのサービスでは、生理日予測や体調記録、妊娠や出産、育児に関するサポートを提供しています。

800万人のビッグデータ分析から排卵日、妊娠確率の高い日を予測し、日本の新生児100万人(年)のうち、約10%の誕生に貢献しているんどえす。

②トリプル・ダブリュー・ジャパン

トリプル・ダブリュー・ジャパンが開発したのは、尿のたまり具合に応じて通知を届ける排尿予測デバイス「Dfree」。

尿のたまり具合をリアルタイムでモニタリングし、利用者のQOL向上と自立支援につなげたこのシステムは、まさにヘルスケア部門にIoTを利活用した事例のひとつです。本システムを活用した結果、オムツ交換回数の削減や皮膚トラブルの軽減にも成功しました。

③ガデリウス

ガデリウスでは、加齢や出産に伴う尿失禁トラブルに関して筋肉を周期的に収縮させて強化し、女性の尿失禁治療ができる器具を開発しました。

本機器は薬事承認を受けている電気刺激装置と同様の効果が期待できるにもかかわらず、服を着たまま座位で治療を行えるのです。女性だけでなく、男性尿失禁患者に対する有効性も報告されています。

④THINX(シンクス)

2014年にニューヨークで誕生した「THINX(シンクス)」は、生理期間中でも従来の生理用品をつけずに生活できる下着を開発しました。女性特有の生理トラブルとして、生理用品によるかぶれやかゆみなどの肌トラブルなどがあります。

吸収体が4枚構造になった本製品ではナプキンが不要。生理時はもちろん、下半身の手術後にも最適なアイテムとして、世界中から支持されています。

FemTech関連のサービスや商品は、女性が日常的に抱えている健康問題の解決だけでなく、消費を通じた女性のエンパワーメントにも影響を与えているのです

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5.FechTech企業に対する政府・自治体の支援

FemTechを推進しているのは企業だけではありません。政府や自治体でも、FemTech推進のためさまざまな取り組みが行われています。ここでは政府や自治体がFemTech企業に支援している事業施策について説明します。

経済産業省:フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金

経済産業省ではFemTech製品やサービスを活用した企業に対してその経費の一部を補助する「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」を実施しています。

目的は、補助事業によってサポートサービスの普及にかかわる課題を解決し、人材の多様性、中長期的企業価値を向上させること。

受給の条件は「日本に拠点を有している」「審査委員会を設置したうえで的確にFemTech事業を遂行できる組織や人員を有している」などです。

福島県:女性・若者向け創業補助金

福島県では豊かな感性を持つ女性および地域の将来を支える若者の起業を支援するための「女性・若者向け創業補助金」を実施。持続的な経済活動を新たに創りだすための事業計画を提出した者に補助を行う制度です。

応募要件は「福島県内に移住する女性または若者が新たに創業する事業」であること。事業の独創性や実現の可能性が示せれば、補助金の支給を受けられます。

ほかにも名古屋市による「女性活躍推進セミナー」や、厚生労働省による「女性活躍推進法の改正」など、各自治体や政府でさまざまな支援を実施しているのです

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6.FemTech導入のために企業がすべきこと

各企業がFemTechに則した商品やサービスを開発するためには、女性のニーズをくみ取れる仕組みづくりやダイバーシティ経営が重要になります。ここではFemTech導入に向けて企業が意識すべきポイントについて説明しましょう。

ダイバーシティ経営の推進

「ダイバーシティ経営」とは、性別や年齢、国籍や価値観などが異なる多様な人材を生かしてイノベーションを生み出し、価値創造につなげる経営のこと

FemTech導入を検討している企業において「ダイバーシティ経営」と「サステナビリティ」は避けてとおれない課題です。

社員の多様性を高めることは最終的なゴールではありません。企業はFemTech導入にあたって女性が活躍できる土壌を増やし、積極的に意見を取り入れられる環境づくりが重要になります。

当事者が活躍できる環境づくり

FemTechの導入に向けて、企業は「悩みを抱える当事者にとっての働きやすい環境」を整える必要があります。

女性活躍推進法は成立したものの「妊娠や出産で辞めてしまう女性社員が後を絶たない」「せっかく復帰しても長続きしない」といった課題を抱えていないでしょうか。

課題解決には制度づくりだけでなく、それを利用しやすい環境づくりも大切です。自社に仕事と育児を両立しやすい制度や職場環境が整っているか、当事者にやりがいが感じられる仕事を与えられるかなどを今一度確認してみましょう。

女性管理職の登用

FemTech導入には女性管理職を増やし、女性当事者のニーズに合ったサービスが企画されやすい風土を築くことも必要です。

企業価値の向上、経済の活性化には女性の活躍推進が必要不可欠。ゴールドマンサックスは「女性就業率が男性就業率と同レベルまで上昇すれば、GDPは10%押し上げられる」とも述べています。

また役員に女性がいる企業のパフォーマンスは高い傾向にある点からも、FemTechの導入にて女性管理職の登用が必要だとわかります。

FemTech導入に向けてダイバーシティ経営の推進、女性管理職の登用を進められれば、自ずとその取り組みが自社の魅力となり、他社との差別化を図れるでしょう