社員エンゲージメントを高めるには? 具体的な方法、成功事例

優秀な人材の流出に歯止めをかけるには、従業員エンゲージメントを高めることが重要です。ここでは実際にエンゲージメントを高める方法や、施策の具体例などを見ていきましょう。

1.エンゲージメントとは?

エンゲージメントという言葉は、シチュエーションによってさまざまな意味に解釈され、ときには単なる約束や契約、婚約といった意味を持つ場合もあります。

しかし企業活動に使われるエンゲージメントは「顧客の注意や興味を引きつけながら、企業と顧客のつながりをより強固なものにする」といった意味が含まれるのです。

エンゲージメントは「愛着」や「思い入れ」とも言い換えられます。従業員と会社との信頼を意味する言葉です

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2.社員のエンゲージメントを高める方法

社員のエンゲージメントを高めるには、どんな施策を講じる必要があるのでしょう。エンゲージメントの高い企業に共通しているのは、「社員が企業のビジョンを共有し、相互に尊敬しあえる関係を築けている」こと。

ここでは企業と社員の間に立ち、双方の架け橋として役割を果たす管理職(リーダー)の存在に注目してみましょう。

部下のモチベーションに合わせてリーダーシップの手法を変える

エンゲージメントを高めるには、部下の状態やモチベーションに合わせてリーダーシップの手法を変える必要があります。ベテランが揃う部署と、経験の浅い社員が揃う部署とを比べた場合、リーダーが使う手法が大きく異なるのは想像に難くありません。

そもそもエンゲージメントとは、一方的なものではなく会社と社員の双方に関係を問う概念です。リーダーシップの発揮方法と社員エンゲージメントの間には、切っても切れない相関があります。

リーダーシップの種類

指導力や統率力などと表現されるリーダーシップは、以下のスタイルに大別されます。

  1. 指示命令型:詳細を明確にした指示命令に基づいたスタイル
  2. ビジョン型:組織のベクトルを合わせるスタイル
  3. 関係重視型:人との調和を重視するスタイル
  4. 民主型:コミットメントを高めるスタイル
  5. 率先型:自ら率先するスタイル

①指示命令型

一方的に細かい指示を出してメンバーを動かすのが指示命令型です。コントロール性が強いため、差し迫った状況以外で多用するとメンバーのモチベーションを下げ、消極的な社員を生み出してしまう恐れがあります。

しかしトラブル発生時やクレーム対応時など、危機的な状況にうってつけなのがこのスタイルです。肯定的なフィードバックを行う、手順だけでなく目的を説明するなどして、臨機応変に使いこなしましょう。

②ビジョン型

その名のとおり、組織の理念やビジョンに向けて基準を設定するのがビジョン型です。目的や将来性が見えない仕事は、エンゲージメントを高めるとは言い難い状況でしょう。

ビジョン型は部下への動機づけを行う際に効果を発揮するスタイルですが、理念やビジョンは一度の説明だけでは浸透しない点に注意が必要です。また双方に信頼関係がなければ聞き流される恐れもあります。

日頃から部下の話に耳を傾けると同時に、ビジョンを明快に伝えるためのスキルを養っておきましょう。

③関係重視型

関係重視型は、チーム内に仲間意識や協調性をもたらします。仕事よりも人、業績よりも組織の調和、と情緒的なつながりを大切にするスタイルです。

面倒見がよく、チーム内で衝突や揉めごとがあった際に効果を発揮しますが、その反面厳しい判断ができずただの仲良し集団にならないよう注意しなくてはなりません。目標やビジョンを掲げて方向性を指し示すビジョン型スタイルと併用すると、効果的です。

④民主型

部下の参加を促して、意見や考え方を取り入れながら業務を進める民主型スタイルでは、部下の参画意識を高められます。

定期的にミーティングを開き、チームのやり方や懸念に耳を傾けると、社員は「自分の意見が会社に認められている、会社に必要とされている」と認識します。

意思決定に時間がかかるといったデメリットも存在しますが、反対意見にも耳を傾けるため、中長期的にエンゲージメントを高めるのです。

⑤率先型

人の背中を見て学ぶタイプの部下に効果的なのが、よき先輩・よき手本となって模範を示す率先型です。部下のやる気が高い、部下と過ごす時間が長いときに効果を発揮します。

しかし率先型のリーダーは自己の専門スキルが高く、自身と同じレベルを部下に求める傾向にあるのです。意欲の低いメンバーは、圧倒されて怖じ気づいてしまう場合もあるので注意しましょう。ビジョン型との併用も効果的です。

社員全員のエンゲージメント向上のために

エンゲージメントの向上に理想的なリーダーシップはひとつではありません。これらすべてのスタイルを使いこなせることが大切です。組織の状況変化によって使い分けられるよう、まずは今の状況にマッチしたスタイルを選んで実践してみましょう。

エンゲージメントを高めることに成功している企業は、権威自体に意味がないことを知っています。焦らずに一つずつリーダーシップスタイルの数を増やしましょう

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3.エンゲージメントの向上に関する成功事例

エンゲージメント向上に成功した企業の事例を見ていきましょう。

ある外食産業の会社では「リーダーシップスタイル診断」と「組織風土診断」を用いて、職場環境や雰囲気を意味する組織風土の評価には6つの軸がある、前項にあげたリーダーシップスタイルの本数と組織風土に相関がある点を明らかにしました。

これは同時にエンゲージメントの向上には組織の生産性、さらに言えばリーダーシップを持った存在が大きな鍵を握ることを裏付けています。

従業員の定着率と顧客満足度

外食産業は、従業員の定着率とエンゲージメントが直結しやすい業界として知られています。

下図からは、メンバーがその組織に所属していることに誇りを持っている、そして柔軟性があって成果に応じた公正な評価が行われている組織、つまり組織風土スコアの高い企業は、離職率も低いと分かります。

またこの調査では、組織風土スコアの高い企業は同時に顧客満足度も高いと明らかになりました。離職率が低く顧客満足度が高い、どちらもエンゲージメントの向上には欠かせない要因です。

店長のリーダーシップの型

エンゲージメントが高い店舗の店長は、どんなリーダーシップスタイルを発揮しているのでしょうか。

下図でハイライトしているのは、それぞれのリーダーシップスタイルの発揮度が高いものです。組織風土スコアが高い、つまりエンゲージメントが高い店舗の店長は、複数のリーダーシップスタイルを使いこなしていると分かります。

6人に共通しているのは、ビジョン型と関係重視型のスタイルを兼ね備えている点。

エンゲージメントを高めるには、組織の理念やビジョンに向けて成果をはかり、仕事に目標や将来性を明示した「ビジョン型」と、チーム内の情緒的なつながりに重きを置いた「関係重視型」のリーダーシップスタイルが必要なのです。

エンゲージメントの向上には、民主型や育成型のリーダーシップスタイルも強く影響しています