社員のエンゲージメントが低下するのはなぜか? エンゲージメントを高める目的、メリット、必要性について

社員が会社の方向性に共感し、自発的に貢献したいと思う意欲を示した「エンゲージメント」。なぜ社員のエンゲージメントは低下してしまうのでしょうか。ここではエンゲージメントを高める目的や、その必要性について改めて確認します。

1.社員エンゲージメントの定義

社員エンゲージメントの定義は、「企業に対する社員の信頼度」と表現できます。社員エンゲージメントは社員の幸せを頂点に置き、会社の収益性や生産性を高めるための概念で、中核には「関わり」や「関係性」、「信頼」といったキーワードが存在するのです。

社員エンゲージメントが高い状態とは?

社員エンゲージメントが高い状態とは、業績の向上に対して社員が積極的にかかわりを持ち、会社に活気が出てきている状態のこと。仕事に幸せを感じて意欲的に取り組める、社員が抱くこのような期待感を通して仕事の質を上げ、顧客満足度の向上につなげます。

社員エンゲージメントを高めると、顧客満足度の向上と共に離職率の低下につながります。新規人材採用にかかるコストを下げ、会社の資金をより有効的に活用できるといった面もあるのです

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2.なぜ今、社員の幸福を考えるべきなのか?

「エンゲージメントと企業業績に関する研究」によると、社員エンゲージメントが1ポイント向上すると営業利益率が0.35%向上すると分かりました。つまり業績と社員の幸福は比例関係にあるといえます。

仕事に対する動機や価値が一律に考えられなくなってきた昨今、社員エンゲージメントはかんたんに高まりません。だからこそ社員エンゲージメントの向上は必要であり、また他社にはない企業ブランディングになるともいえるのです。

会社への心理的価値はかんたんに変わりません。つまり社員エンゲージメントを高めると、企業としての競争力も高まるといえるのです

3.日本企業において社員エンゲージメントの向上が火急の課題に

日本企業の社員エンゲージメントは世界でも最低基準にとどまっています。終身雇用が事実上崩壊している現代の日本では、社員エンゲージメントの向上は火急の課題なのです。

しかしなぜ、社員エンゲージメントを高める必要があるのでしょうか。ここでは4つの要因からその理由を見ていきます。

企業を取り巻く競争環境が変化している

一部を除いたほとんどの業界において、日本の国内市場は成熟しきっています。「与えられた目の前の仕事だけを頑張れば会社は成長していく」残念ながらそんな時代は終焉を迎えてしまいました。

企業を取り巻く競争環境は刻々と変化しており、国外に飛び出るなど現状以外に糸口を見つけなければ、企業の持続的な成長は不可能です。そのなかでエンゲージメントの低い企業と高い企業、社員がどちらを選ぶかは火を見るよりも明らかでしょう。

優秀な人材に対する獲得競争が熾烈化している

日本労働市場のオープン化も要因のひとつです。優秀な人材がよりよい待遇を求めて転職する状況も決して珍しくありません。今や転職はキャリアアップのチャンスですらあり、労働人口の減少も進んでいます。

人材の獲得競争に勝ち残るためには、社員エンゲージメントの向上が必須になってくるのです。

マネージャー層や役員層まで転職市場が拡大している

何も転職は若手だけのものではありません。近年の転職市場はマネージャー層や役員層にまで拡大しています。

会社の先行きが見えず、やりがいも見出せないまま目の前の業務だけが増えていくといった、エンゲージメントの低い会社にいつまでも残りたいと思うマネージャー層や経営層は、果たしてどの程度存在するのでしょうか。

もはや場当たり的な待遇改善や高い報酬など一方的な関係性では、人材をつなぎとめておけないのです。

社員の生産性向上が注目されている

国内の大企業においても、社員の生産性向上が課題として挙げられています。「労働生産性の国際比較」によれば、日本の一人当たりのGDPは先進7ヶ国の中で最下位です。

これにはさまざまな要因が考えられますが、そのひとつにエンゲージメントの軽視があります。明るい将来を描けず、仕事へのモチベーションも上がらない状態で、果たして社員は生産性を上げられるでしょうか。

日本企業の業績低迷を招いた要因のひとつに「エンゲージメントの軽視」があることを、ここで改めて認識しておきましょう

4.企業が社員のエンゲージメントを高める目的

企業が社員のエンゲージメントを高める目的の頂点にあるのは、会社全体のパフォーマンス向上です。社員のエンゲージメントが高まると、社員は会社に対して信頼を寄せ、自分自身の仕事に誇りを持ちます。

その誇りが社員の自発的な行動につながり、最良の状態をユーザーに届けるのです。サービスに満足したユーザーは、会社の収益性や生産性を高めるためのサイクルを造り出すでしょう。これこそがエンゲージメントを高める目的です。

社員エンゲージメントは双方向性の高い概念です。企業が社員のエンゲージメントを高めると、企業全体の組織力も強くなります

5.エンゲージメントが高い社員と低い社員の違い

エンゲージメントが高い社員と低い社員には、どんな違いがあるのでしょうか。下図はコーン・フェリー社による社員エンゲージメントの調査において、エンゲージメントの高い社員と低い社員の差分が大きかった設問を抜き出したものです。

ハイライトしたものは直属の上司、つまり中間管理職に関する項目となり、大半を占めている状況が見て取れるでしょう。この調査から分かる内容は「管理職の振る舞いによって、社員エンゲージメントの高低に違いが出る」ことです。

社員のエンゲージメントが低下する仕組み

社員エンゲージメントの向上には3つのポイントがあります。

  1. 信頼関係から生まれる安心感が双方に存在する
  2. 前向きなキャリアを想定できる
  3. 個人の成長と組織の発展が連動しているという実感が得られる

社員に「情緒的なケアが不足しており安心感を持てない」「仕事に対するフィードバックがないためキャリアビジョンを描けない」「情報が共有されず役に立っている実感もない」と思われる管理職のもとでは、エンゲージメントが低下してしまうのも当然です。

なかでも「仕事に対するフィードバック」と「情緒的なケア」は、社員エンゲージメントを高めるために重要な項目です

6.社員のエンゲージメント向上施策を行うメリット

社員のエンゲージメントを高めるというのは、社員と会社の関係を対等にし、お互いが同じ方向に向かって成長することでもあります。

自分の仕事が正当に評価されない、何のためにこの会社で仕事をしているのか分からない、そんな思いを抱いた社員が、企業全体の生産性を高めるために自発的な行動をしようと思うでしょうか。

エンゲージメント向上の施策を行うメリットには、生産性の向上や組織力の強化、ひいては商品やサービスの品質向上なども含まれているのです。

社員のエンゲージメントを高めると、顧客満足度や品質も向上します

7.働き方改革で社員のエンゲージメントはどう変化する?

近年、「働き方改革」の名のもとで業務改善に取り組み、社員エンゲージメントを高めようとする会社も増えました。働き方改革が目指すのは、エンゲージメントという概念から企業と社員とのあり方を見直し、労働生産性と労働意欲を高めること。

働き方改革によって、社員のエンゲージメント、つまり働きがいや生きがいの実感を目指す取り組みが期待されているのです。

社員エンゲージメントを高めるうちに、「労働=苦役」という概念から解き放たれる日が来るかもしれません