従業員エンゲージメントを高める経営戦略とは? 経営層が意識すべきエンゲージメント向上の目的について

シーンによってさまざまな意味に解釈される「エンゲージメント」。ここでは経営指標としてのエンゲージメントや、経営層が意識すべきエンゲージメント向上の目的に注目します。

1.エンゲージメント経営とは?

エンゲージメント経営とは、社員と企業の信頼関係や愛着心をベースにした経営のこと。単なる人事施策ではなく、近年日本でも注目されるようになってきた企業経営の根幹に据えるべき重要課題です。

ビジネスにおける重要な経営指標「エンゲージメント」

日本企業の問題として、仕事に熱意を持てない社員の比率の高さが挙げられます。エンゲージメントという考え方を経営指標に取り入れなかった結果、離職率の増加や生産性低下などの問題に直面しているのです。

しかしその一方で、社員エンゲージメントを経営指標のひとつとして真摯に受け止め、労働生産性にプラスの影響を与えている企業も少なからず存在しています。

エンゲージメント経営では、経営陣が社員エンゲージメントを重要な経営指標のひとつと考えて取り組むことが重要です

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2.企業がエンゲージメント経営を行う目的

エンゲージメント経営を行う目的は、社員と企業の関係性を再構築してパフォーマンスの最大化につなげること。社員が組織と自分の仕事に熱意を持つと、自社のサービスや製品に誇りを持つため、ユーザーに最良の状態で届けられます。

企業は社員が期待する価値を提供できているか、社員は仕事に熱意を持ち自発的に貢献しようとしているか、双方からの視点を持ってエンゲージメントを向上させることが必要になるのです。

エンゲージメント経営を行うと、企業ブランディングにつながります。従業員エンゲージメントは顧客満足度に比例するのです

3.従業員エンゲージメントを高める経営戦略

従業員エンゲージメントを高めるため、経営層はどのような経営戦略を講じればよいのでしょうか。

従業員エンゲージメントは、自分が所属する組織と仕事に熱意を持って自発的に貢献しようとする社員の意欲です。会社の明るい将来が思い描けず、社外に転職のチャンスが転がっている状況で、果たして社員の自発的な意欲が期待できるでしょうか。

必要なのは、期待を媒介にして双方が幸福な関係を築ける経営戦略です。

なぜエンゲージメント向上において経営戦略が重要なのか?

エンゲージメントが高い会社の従業員は、自分たちの仕事が誰かの役に立っている、顧客に提供する体験的価値に自信を持っている、といった自負を持つ傾向にあります。これは客観的、理性的な基準によるものではなく、非常に主観的な考えです。

従業員エンゲージメントのレベルを計るのは、戦略の適正さという理性的な思考ではありません。会社に信頼感を持てるかという従業員の主観的な考えなのです。

エンゲージメントを高める経営戦略に戦略の適正さは求められていません。さらに主観的な、琴線に触れる戦略が重要となってきます

4.社員のエンゲージメントに悩む経営者のリアルな声

ここでは従業員エンゲージメントに悩む経営者の具体的な声を、2つ紹介します。2つに共通するのは、すでに現場レベルでの業務改善努力にて解決できる話ではないということ。エンゲージメントの向上には、経営層の意識改革が重要だと分かるでしょう。

大手機械メーカーの経営者の場合

大手機械メーカーの経営者は、戦略や方向性の低さに危機感を持ち、社運をかける意気で改革に取り組んでいました。しかしこの改革意義や新たな戦略は、社員に浸透しなかったのです。

なぜ浸透しなかったのでしょうか。原因は、会社全体で仕事の優先順位がつけられなかったためです。

儲からなくなった事業に従来と同じ労力をかける一方、生き残りのための新たな事業が追加されていきました。業務量が追加的に増えていくにもかかわらず、不要な業務を捨てられなければ、社員が疲弊し戦略に目を向ける余裕が失われていくのも当然でしょう。

問題の起点は、全社的な戦略の不在なのです。

大手素材メーカーの経営者の場合

この大手素材メーカーでは、物事を決めるにあたって多くの労力と時間を費やした結果、エンゲージメントの毀損を招きました。この会社ではひとつの投資決定を行うのに、最低でも9回の説明を行う必要があったのです。

一般的に企業では、上位になればなるほど決めるべき事象の抽象度が上がり、意思決定に必要な情報も要点を抑えたものだけになります。しかしこの会社では反対のことが起きていました。

細かい事項も役員レベルでしか決められず、上位になればなるほど詳細な情報を欲したのです。これにより社員は、説明資料作りに追われました。事業に貢献しないと感じる仕事が増えた結果、エンゲージメントの低下を招いてしまったといえるでしょう。

戦略を変えるというのは、何かを選択すると同時に何かを捨てることです。日本の企業は取るものは取る一方、捨てる判断が苦手な傾向にあるといわれています

5.働き方改革における社員のエンゲージメント

叫ばれるようになって久しい改革のひとつに「働き方改革」があります。働き方改革が目指すのは、企業と従業員とのあり方をエンゲージメントという概念で見直し、労働生産性と労働意欲を共に高めていくこと。

  1. 働き方改革を進める
  2. エンゲージメントを高めて従業員の成長を促す
  3. 結果として企業価値を高める

3つのうちどれかひとつでも欠けてしまえば、最大限のパフォーマンスを発揮することはできないのです。

働き方改革が求めるのは、企業と人との在り方をエンゲージメントという概念で見直し、働くのが楽しいと感じられるような社会を作ることです

6.エンゲージメント向上によって経営課題を解決するには?

エンゲージメントの向上は、経営課題や事業課題の解決を含んでいます。

エンゲージメントに悩む経営者のリアルな声からも分かるとおり、人材を含む経営資源投入の優先順位を決めたり顧客に対する提供価値を定めたりすることは、経営課題や事業戦略そのものにつながります。

従業員エンゲージメントの向上は、目先の業績向上に直結するものではありません。中長期的に、また経営ビジョンや事業計画、社内コミュニケーションの在り方まで、ありとあらゆる要素を結び付ける、徹底的な取り組み姿勢が重要になってくるのです。

一昔前の厳格な規律は、もはや有効ではありません。会社と社員との関係性を変え、エンゲージメントの向上を超えて事業課題や経営課題の解決に結び付けましょう