クライシスマネジメント(危機管理)とは? リスクマネジメント・BCPとの違い

クライシスマネジメントとは、企業活動や企業の存続にかかわるような重大な危機に対処すること。ここでは対処の流れや事例などを含めて詳しく解説します。

1.クライシスマネジメントとは?

クライシスマネジメントは、企業の存続を脅かすような重大な危機に対処すること。Crisis(危機)とManagement(管理)を合わせた語で、日本語ではそのまま危機管理と呼ばれます。

主に想定されるクライシスは、自然災害や重大な事故、テロや感染症などさまざま。このようなクライシスが発生すると業務やサービスなどが停止する場合も多く、早急にこれらを復旧させなければなりません。

そのために企業は平常時から対応策を講じて準備を行っているのです。

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2.クライシスマネジメントの目的

目的は企業が重大な危機に直面した際、迅速かつ適切に一次対策を施してできるだけ早く平常状態へ復旧させること。これには事後の対処だけでなく、事前対策も含まれます。

たとえば避難訓練もクライシスマネジメントのひとつ。災害が発生したと想定し、そのときに人命救助や二次災害の防止といった事後策を知ることが目的なのです。

クライシスマネジメントは事後対応

クライシスが発生した際、まず行うのが一次対応です。クライシスマネジメントでは、一次対応でいかに被害を抑えられるかが重要なポイントになります。また最適な一次対応を講じておけば、そのあとの復旧もスムーズになるのです。

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3.リスクマネジメントとは?

事前に危機を防ぐ、つまり目的は予防や防止です。一方、クライシスマネジメントの目的は発生後の事後対応。ただしいずれも危機への対処が目的のため、両方を合わせて危機管理と見なしている企業も少なくありません。

クライシスマネジメントとリスクマネジメントの違い

国土交通省の運輸安全マネジメントの説明によるクライシスマネジメントは「既存のマニュアルでは対応できない重大事故に備えて対応すること」。

またリスクマネジメントは「事故やリスク情報の収集や分析、評価を行って、優先度が高いものから対応すること」。

リスクマネジメントでは平常時から想定される危機に対して備えるものの、それでも避けられない事故や災害が起こる可能性もあります。このとき被害を最小限に抑えて通常の状態へ復旧させるための対処、つまりクライシスマネジメントが必要なのです。

BCPとは?

企業が災害や事故により事業を継続できなくなった場合、早急に復旧するための行動計画のこと。Business Continuity Planの略で、事業継続計画とも呼ばれます。

クライシスマネジメントと似ていますが、BCPでは事業継続に特化して行動指針を示しているのです。たとえば「災害で従業員がオフィスに通勤できなくなった場合はどうするか」といった特定の状況にて、事業を再開させるための対処が挙げられます。

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4.クライシスマネジメントのプロセス

クライシスマネジメントに取り組む際、起こりうる危機を予測分析し、対応策を決めなければなりません。また担当者を決めて情報収集や監視、従業員への教育や訓練なども実施するのです。ここではクライシスマネジメントの進め方をご説明します。

STEP.1
準備
計画や体制づくりを行います。まずはCMP(災害などの危機における行動マニュアルのこと。クライシスマネジメントプラン)を作成し、危機が生じた時間帯や被害状況などに応じた行動計画を、事前に定めます。

CMPを作成したらSNSや業界ニュースなどをチェックし、被害やリスクにつながる情報をいち早く入手しましょう。

実際に災害や事故などが発生した際、動揺して計画どおりに動けない場合もあります。適切な対処を行うためにも、日ごろからリハーサルを行っておきましょう。

STEP.2
対処
問題が発生した際、まず先に行うのは全体像の把握。

「いつ、だれに、何が起こったのか、原因はどのようなものか、どれくらいの被害が出ているのか」などの現状を把握するためにも、従業員や関係者、ニュースやSNSなどから細かな情報を収集しましょう。ここでのスピードが復旧のカギとなります。

そして担当者間でこれらの情報を共有し、CMPで定めた対処を迅速に実施するのです。また問題発生から24時間以内に企業の対策をコメントします。どのような問題へのコメントでも、事実や正確な情報にもとづいているようにしましょう。

STEP.3
回復
事態が収束したあとは、企業の信頼回復に努めます。ここで行うのは、発生した問題の原因究明と再発防止策の検討。

とくに再発防止は部門や部署などの担当者に任せるのではなく、企業全体での対応が重要になります。発生原因によっては、事業内容の見直しや組織の再編などが必要になる場合もあるからです。

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5.クライシスマネジメントの実施事例

ニューヨークの同時多発テロや東日本大震災などがきっかけとなり、日本でもクライシスマネジメントに取り組む企業や団体が増えています。ここでは学校法人宮城学院とチロルチョコレートの事例を紹介しましょう。

学校法人 宮城学院

学校法人宮城学院では、クライシスマネジメント体制を整備しました。全学院緊急対策本部を設置し、危機管理責任者と担当者を決めています。

同時に危機管理基本マニュアルを策定。学生や教員の事故や事件、感染症や食中毒などの健康危機、自然災害や情報セキュリティ事故などを想定し、危機レベルごとに各担当者の行動計画を記載しているのです。

チロルチョコ事件

チロルチョコレートの製品「チロルチョコ」に幼虫が混入したというSNSの苦情に対し、わずか3時間で対応が完了した好事例。

同社はSNSに添付された写真から幼虫の孵化日や混入出荷日を割り出し、混入したのは出荷後だとわずか30分で確認したのです。

苦情から約3時間後にはSNSで公式見解を公表し、大きな被害を受けず事態は収束しました。スムーズに収束できた大きな要因は、担当者がリアルタイムでモニタリングしていた点と、真実を論理的に証明した点にあるでしょう。