基幹システムとは? 概要・意味、導入目的、事例について【各システムの違いを比較】

「基幹システム」という言葉について、単純に「業務システム」と同じ意味だと誤解している人も多いようです。近年、基幹システムは、ビジネスに必要不可欠な要素として、多くの企業で導入が進んでいます。

ここでは、そんな「基幹システム」の意味や導入目的、事例について学んでいきましょう。

1.基幹システムとは?

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「基幹」とは、「物事のおおもと、中心となるもの」という意味の言葉です。「基幹システム」とは、その名の通り、企業経営の主要な業務(基幹業務)を支えるシステムのこと。英語では”Mission-Critical System”と表記され、「もし障害が発生したら、企業のゴールに直接的に影響を及ぼすような、活動に支障をきたしてしまうシステムのこと」と定義されています。

基幹システムの機能別分類(例)

とはいえ基幹システムとは、それ自体が特定のシステムを表す言葉ではありません。基本的には、企業が事業を行う上で重要になる経営資源の管理に関わるシステムを指し、

  1. 在庫管理システム
  2. 仕入管理システム
  3. 販売管理システム
  4. 生産管理システム
  5. 会計管理システム
  6. 人事給与システム

などに分類されます。

①在庫管理システム

製造業にとって、在庫は流動的な資産。これを適切に管理しなければ、キャッシュフローが悪化したり、不良在庫が増えたりして、大きな損失につながる可能性があります。そのため、在庫管理は経営資源に大きく関わるシステムといえます。

②仕入管理システム

小売業の在庫を適切にコントロールする仕入管理システム。市場の状況を見極め、過剰在庫を防ぎ、適切に仕入れを行うことで、長期的な経営を可能にします。

③販売管理システム

商品やサービスを販売し、売り上げを計上することは、企業の基幹的な活動です。販売管理システムは、販売にまつわる見積りや、受注、商品・サービスの提供、納品、検収、請求、入金などの情報を統括し、業務の効率化を図ります。

④生産管理システム

生産管理システムとは、商品の生産フローを、無駄なく効率よく進めるために管理するシステムのこと。必要な商品を、納期までに必要なだけ納品できるよう、計画、工程、品質、原価などを総合的にマネジメントします。

⑤会計管理システム

企業のお金のやりとりを管理する会計管理システム。財務諸表を作成して企業の財務状況を明確化し、経営に役立つ資料を作るなどの機能があります。企業によって呼び方はさまざまで、財務管理システムや経理システムと呼ばれることもあります。

⑥人事給与システム

人材もまた、企業においての重要な経営資源。人事給与システムとは、一人ひとりの従業員の採用から退職までの情報や、給与情報を管理するシステムのことです。近年、この管理システムを導入し、人的資源を活用した経営戦略を進める企業が増えています。

基幹システム以外のシステム

企業に必要なシステムには、基幹システム以外に「業務システム」「情報系システム」などがあります。基幹システムと混同しないためにも、それぞれの定義を理解しておきましょう。

「業務システム」の定義の範囲

業務システムとは、本来「業務を円滑に遂行するためのシステム」を意味します。つまり、広い意味では、基幹システムも業務システムの内に入るということです。しかし、近年基幹システムという言葉が浸透したのに伴い、基幹システムは「経営上不可欠なシステム」、業務システムは「それ以外のシステム」を意味することが多くなっています。具体的には、顧客管理システム、営業支援システム、ドキュメント管理システムなどが挙げられます。

「情報系システム」と基幹システムの違い

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参考 基幹システムとはBOXIL

「情報系システム」とは、業務・サービスに直接関係はないものの、重要であるシステムです。

たとえば、オンラインでの会議やチャット、スケジュール管理などを行う「グループウェア」。必ずしもなければ経営が回らないというわけではないですが、組織内のコミュニケーションを円滑化し、生産性を上げることが可能です。

また、基幹システムが全社的なものであるのに対し、情報系システムは部門単位であるという点も基幹システムとの違いとして挙げられます。

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実際に社員の配置を動かしてシミュレーションし、計画を立てられます。シミュレーションデータは保存が可能で、会議のときにパッと開けます

顔写真付きだから現場の雰囲気がイメージしやすいのが特徴です。

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2.ERPとは?(意味)

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ERPとは、「Enterprise Resources Planning」の略称で、企業経営の基本となる資源を適切かつ効果的に管理するシステムを意味します。「基幹系情報システム」を指すことが多く、企業の情報戦略に欠かせない機能として注目を集めています。対象となる資源とは、ヒト、モノ、カネ、情報など。これらを一つのシステムで管理することで、よりスムーズに状況を把握することが可能となります。

ERP導入のメリット

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ERP導入のメリットは、情報が一元管理できること。これによる効果は多岐にわたります。

まず、情報を共有するためのコストが削減でき、情報を処理するために従来必要とされていた人手と手間も削減できます。

企業内のあらゆる情報を一カ所に集めると、企業全体の状況を正確かつ迅速に把握することが可能になり、経営戦略・戦術に反映させることができます。これらは結果的に、顧客満足度の向上にもつながっていくでしょう。

概念図

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参考 今さら聞けない基幹系システム徹底解説と主な製品IT Koala Navi

従来の基幹システムは、販売管理、在庫管理、人事給与などのシステムをそれぞれ独立したデータベースによって管理しています。ERPはこれを一つのシステムに統合することから、「総合基幹(業務)システム」とも呼ばれます。

従来の基幹システムの問題・デメリット

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従来の基幹システムには、分断化と老朽化という問題があります。

かつて、部門ごとに最適化されたシステムを使うことが効率的だった時代がありました。しかし近年、インターネットの普及によって、企業が取り扱う情報量が爆発的に多くなったことで、同じ情報を別々のシステムが取り扱わなければならない分断化への問題が生じました。

また、システムが時代のニーズに合わなくなり、生産性向上のために作られたはずの基幹システムが逆に足かせになるという老朽化の問題も出てきました。

ERPの役割と必要性

このような状況の中、分断された複数の基幹システムと業務システムの連携を行うために登場したのがERPです。欧米諸国で登場したERPは、瞬く間に日本に上陸し、大企業を中心に大手ERPベンダーの製品が導入されていきました。

ERPでは、基幹システムと業務システムが初めから統合されているため、連携や互換性についての心配がなく、簡単に統合環境を整えることができます。当初は海外企業向けの製品が多かったものの、現在は国産ERPやカスタマイズ可能な海外ERPが増えてきたため、大企業だけではなく、中小企業での導入も進んでいます。

主な形態の種類

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ERPには、下記のようにさまざまな種類があり、企業の目的に合わせた導入形態を選択することができます。

  • すべての業務一式をカバーするタイプ(全体最適型)
  • 単独業務のみをソフト化するタイプ(業務ソフト型)
  • 追加・拡張が可能なタイプ(コンポーネント型)
  • クラウドERP

すべての業務一式をカバーするタイプ(全体最適型)

企画や受注体制、在庫管理などのプロセスを総合的に改善することを「全体最適」といいます。全体最適型のERPは、これらの経営に必要な業務をトータルでカバーするオールインワンタイプのシステムです。

単独業務のみをソフト化するタイプ(業務ソフト型)

会計業務や販売業務などの単独業務をアプリケーション、ソフトウエア化し、最適化を行うのが業務ソフト型ERPです。他の形態より費用が安く、すぐに導入できることから、小規模な企業でも気軽に活用することができます。

追加・拡張が可能なタイプ(コンポーネント型)

「コンポーネント」とは、一つの製品・サービスを構成する最小単位の部品や成分のこと。コンポーネント型のERPでは、生産管理、会計管理、人材管理、在庫管理などの中から必要な要素だけをピックアップして組み合わせることができます。

クラウドERPとは?

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上記のように、自社で一からシステムを構築し、カスタマイズをしながら更新していくタイプのERPを「オンプレミス型ERP」と呼びます。

一方で、近年は、オンライン上で企業データを管理できるクラウドサービスの製品も登場してきています。クラウドサービスとは、利用者が自身のコンピューターで利用・管理していたデータをインターネット上で管理できる仕組みのこと。クラウドタイプのERPには、オンプレミス型とは異なるさまざまな特長があります。

オンプレミス型ERPとの違い

オンプレミス型ERPは自社で独自のシステムを構築することができるため、使い勝手が良い一方で、初期の導入やシステムを保守するためのコストが高いというデメリットがありました。

これに対して、クラウドERPは一括でアプリケーションを購入する必要がなく、企業側がシステムのメンテナンスをする必要がありません。つまり、クラウドERPは、オンプレミス型の最大のデメリットを払拭してくれるのです。

クラウドERPのメリット・デメリット

クラウドERPは、先述の通り、導入・メンテナンスのコストを抑えることができるため、小規模な企業でも手軽に導入しやすいというメリットが魅力です。

一方で、インターネットが使える環境でなければデータベースにアクセスできないというデメリットもあります。また、情報漏洩のリスクはオフラインで利用できるERPに比べて高いといえるでしょう。ERPで扱うのは企業の機密情報であるため、リスクを恐れてクラウドERPの導入を躊躇する企業もあります。

3.企業が基幹システムを導入する主な目的

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企業が基幹システムを導入する主な目的は、概ね以下のようなものに集約されるでしょう。

業務の効率化・標準化

手動で行っていた業務プロセスを自動化することで、業務の効率化および人的ミスの削減を実現します。また業務の順番やデータの入力、管理方法等のプロセスを統一することで、業務の属人化を防ぎ、プロセスや業務品質の標準化を図ります。

経営情報の可視化・スピードアップ

経営に必要な数値データを一元的に管理し、瞬時に抽出する。部門ごとのデータ集計や、その後のデータ統合作業のステップを不要なものとし、迅速な経営判断につなげます。

4.基幹システムの導入(再構築)事例

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近年、最新技術を取り入れ、従来の基幹システムを導入・再構築している企業も多く見られます。富士通と共同開発を行い、独自の最新システム「ヤマザキ基幹システム」を稼働した山崎製パンの導入事例を参考に見ていきましょう。

山崎製パンの「ヤマザキ基幹システム」

山崎製パンでは、過去30年にわたって、工場ごとのホストで基幹システムを分散して管理していました。しかし2013年、「ヤマザキ基幹システム」の稼働をスタート。、各工場の業務に合わせて設計されていた受注や発注、物流、売上システムを整理し、全データを一元で管理・利用することが可能となりました。これにより、生産や配送業務の効率化、経営判断に必要な情報の可視化、コスト削減などのメリットも生まれました。

システム概要図と説明

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参考 山崎製パン、基幹システムをSOA基盤上に刷新@IT

サービス指向アーキテクチャ(SOA:Service-Oriented Architecture)を基盤とした「ヤマザキ基幹システム」により、販売を担当する小売店での受注情報、製造を担当する工場間の生産調整、物流の配分・配送にまつわる情報を一元化。本社が現場の情報を把握しやすくなり、適切な経営判断につながりました。また、広域災害を想定したBCP(事業継続計画)にも対応。大阪に設置したバックアップセンターとの同期も行うことができます。

基幹システムを用いた将来のビジョン

将来的には、市場データを短時間で処理できるCEP(複合イベント処理)や大規模データの蓄積・分析を行うHadoop(分散処理技術)、BRM(ビジネスルール管理)基盤を活用し、リアルタイムで収益の「見える化」を行い、生産計画や物流コントロール、需給調整などに生かすなど、ビッグデータの情報活用を目指しています。

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参考 山崎製パン、基幹システムをSOA基盤上に刷新@IT

5.失敗しないERPの選び方・製品比較の方法

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ひと口にERPといっても、さまざまな種類の製品があります。長期的な視点を持ち、コスト面や運用面で失敗しないためには、どのようなポイントに気を付けて選ぶことが必要なのでしょうか。自社に最も適したERPを選ぶための方法について解説しながら、具体的な製品も例として紹介していきます。

日本のERP市場と開発の歴史

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欧米諸国で誕生したERP。日本に上陸した当初は、大企業を中心とした企業がOracleやSAPといった大手ERPベンダーの製品を導入していました。

しかし、当時のERPは、海外の商習慣に合わせて作られていたため、日本での導入はうまくいかないケースも散見されました。そこで、日本の企業が、日本の企業のニーズに合わせたERPを開発。さらに、海外製品もそれぞれの企業の商習慣に合わせてカスタマイズできるものが続々と登場していきました。

導入する前に検討すべきこと・進め方

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失敗しないERPの選び方のポイントは、自身の組織や部門にとって、基幹システムを導入する目的の本質が何かを改めて熟考することです。そのためには、下記のステップに従って検討を進めていきましょう。

  1. 導入目的を明確にする
  2. 適用範囲を決定する
  3. 適用範囲に対する機能性を確認する

①導入目的を明確にする

ERP導入において最も大切なのは、ERPシステムを導入する「目的」の明確化です。自社の問題点をどのように解決するのかを再確認することが、ERPシステムを選択する上での重要な判断基準になります。

間違っても、ERPの導入そのものを目的にしてはいけません。自社・自部門の基幹となる情報は何なのか。その情報をどのようにIT化するのが望ましいのか。機能を把握することに気を取られることなく、事業を円滑化するためにERPを活用できるよう、これらのことを事前にしっかり固めておくことが大切です。

②適用範囲を決定する

商習慣は、企業によって異なります。このため、パッケージ型のERPシステムを導入する場合は、自社の商習慣に対応しているかどうかを調べる必要があります。

製品によっては、各システムを全体最適させるか、部門最適させるかを細かく設定できるものもあります。こうしたカスタマイズ性の高い製品を導入するためにも、事前にシステムを適用する範囲を明確にし、段階的導入の可能性を検討しておくことが求められます。

③適用範囲に対する機能性を確認する

商習慣だけではなく、必要なERPの機能にも、企業によって差異があります。また、企業の規模も機能の選択に影響します。つまり、
①自社に必要な機能が必要なレベルでパッケージされているもの
②柔軟にカスタマイズできるもの
のいずれかを選ぶことになります。

また、現在の状況だけではなく、将来的な展開や経営ビジョンも重要な検討材料です。事業形態が変化するたびに何度もERPシステムを変更するのは大きな負担となるため、長期的な視点を持ち、カスタマイズの可否や、拡張コストを事前に検討していきましょう。

注目のERP一覧

  • クラウドERP freee(フリー)
  • NetSuite
  • ZAC Enterprise

クラウドERP freee(フリー)の特長

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https://www.freee.co.jp/cloud-erp/

「クラウドERP freee」は、会計・人事労務に特化したERP。業務と経理を統合し、給与事務、労務、勤怠管理、マイナンバー管理までを連携させます。

クラウド会計ソフトの中で唯一、自動仕分け技術の特許を取得しており、金融機関やクレジットカード、その他の決済サービス、小売店のPOSや家計簿などを自動仕分けすることも可能です。

サポートプランは各成長フェーズに合わせて用意されており、創業期の企業も安心して利用できるライトプラン、拡大期・安定期に適したビジネスプラン、上場企業向けのエンタープライズプランがあります。

導入実績

野村ホールディングス株式会社は、「会計業務の品質を維持しつつ、経理業務を効率化するのに、freeeは最適なツール」と評価。そのほか、GMOペパボ株式会社、ソウルドアウト株式会社、スマートニュース株式会社などが導入しています。

NetSuiteの特長

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http://www.netsuite.co.jp/

4万を超える世界中の企業・組織が利用している「NetSuite」財務会計や顧客管理、Eコマースなどの基幹システムを運用します。

リアルタイムな分析機能を標準装備しており、ダッシュボードやレポートを通して組織の状況をリアルタイムに把握することができます。また、企業の成長フェーズに合わせて素早く簡単に拡張が可能。カスタマイズされた部分を含め、従来悩ましいとされていたバージョンロックを起こすことがないのも特長です。

導入実績

株式会社ディー・エヌ・エーは「従業員を管理するためのデータベースだけでなく、ワークフローや財務会計のモジュールが用意されていたので採用を決めた」とコメント。他にも、株式会社アシックス、全日空商事株式会社、オリンパス株式会社などが導入しています。

ZAC Enterpriseの特長

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https://www.oro.com/zac/

「ZAC Enterprise」は、プロジェクト型ビジネスに対応したERP。案件や契約、プロジェクト単位で業務を進行する業種の商習慣に対応したソリューションを提供します。

多数の機能パラメータを持ち合わせており、柔軟に組み合わせることで最適なシステムを構築。これにより、低コスト・短納期のシステム導入が可能になります。初めに一括してライセンスを購入する方式と、月額で利用料を支払う方式を選べるのもポイントです。

導入実績

住友林業情報システム株式会社が「今後10年間の使用に耐え得るシステム」と評価する「ZAC Enterprise」。その他、株式会社カヤック、株式会社JALインフォテック、株式会社京急アドエンタープライズなどが導入しています。

まとめ

現代のビジネスに欠かせないキーワードである基幹システム。コスト面・運用面で最適な管理システムを導入するためには、自社の理念や商習慣にしっかりと向き合うことが重要になります。

基幹システムをうまく統合・運用し、自社のビジネスをさらに発展させるために、上記のポイントを押さえ、検討していきましょう。