打切補償とは?【わかりやすく解説】労災、解雇、3年

業務上の事由、または労働時間内に従業員が負傷したり病気になったりした場合、企業は従業員に対して完治するまで必要な補償を行う責任があります(療養補償)。しかし、完治が見られない場合にどれくらいの期間、企業が補償を行い続けなければならないのでしょうか?ここで詳しく説明していきます。

「打切補償」とは?

「打切補償」とは、企業が療養補償を支払う期間が3年に達しても、従業員の負傷・疾病が完治しない場合に、平均賃金の1200日分を支給することで、それ以降の補償責任を免れる制度のことを指します。

労働基準法第75条の規定によって、従業員が業務中や通勤中にけがをしたり、病気にかかったりした場合、使用者である企業には補償責任が有されています。ちなみにこの補償責任の履行を迅速かつ安定的に実施するために、企業(個人経営の事業以外)には労働者災害補償保険法によって労働者災害補償保険への加入が義務づけられています。

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労災による療養中に解雇は可能?

労働基準法第19条で、労働者が業務上負傷、または疾病にかかり、療養のために休業する期間及びその後30日間は解雇してはならないという解雇制限が定められています。療養期間が長期にわたった場合にも解雇はできないのでしょうか?

実際は、解雇は可能です。療養が開始されてから3年が経過し、打切補償を行った場合には解雇制限が解除され、療養中の従業員であっても解雇することが可能になります。

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打切補償と傷病補償年金

打切補償の本来の条件である「平均賃金1200日分の支払い」は、企業にとってかなり高額なものになるため、打切補償を利用する代わりに「傷病補償年金への移行」という仕組みを利用する企業が多く見受けられます。

傷病療養が開始してから1年6カ月を過ぎても治癒しない場合には、所轄労働基準監督署が、従業員の傷病等級によって傷病補償年金の支給判断をします。支給が決定すると、受給していた補償は受給不可となり、傷病補償年金受給に切り替わります。また、療養が始まってから3年が経った時点で、従業員がこの傷病補償年金を受給している場合はその日に、または同日以降の受給が決まっている場合は、企業は「打切補償をした」とみなされます。

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療養のため休業している従業員が受けられる補償は?

労災が原因で休業せざるを得なくなったときに、その従業員が受けられる補償はどのようなものがあるでしょうか。治療費や大きな怪我・後遺症への給付などに加えて休業しなければならない時の休業補償分が労働者災害補償保健から支払われます。しかし、賃金の全額を受け取ることができる訳ではありません。賃金の8割です。

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退職後の療養補償

ちなみに、労働災害によって療養を余儀なくされ、療養補償を受けている従業員が会社を退職した場合、その後の補償はどうなるのでしょうか?

従業員の退職後も休業補償は続きます。金額が少なくなるといったこともありません。また、退職後に労災の影響で傷病状態などに陥った場合も労災の申請が認められています。

打切補償のQ&A

打切補償とは、企業が療養補償を支払う期間が3年に達しても、従業員の負傷・疾病が完治しない場合に、平均賃金の1200日分を支給することで、それ以降の補償責任を免れる制度のことを指します。
労働基準法第19条により、企業には解雇制限が定められています。労働者が業務上負傷、または疾病にかかり、療養のために休業する期間及びその後30日間は解雇してはならないという内容です。 ただし、療養が開始されてから3年が経過し、打切補償を行った場合には解雇制限が解除されます。療養中の従業員であっても解雇することは可能となります。
打切補償の条件である「平均賃金1200日分の支払い」は、企業にとって高額なものになるため、打切補償を利用する代わりに「傷病補償年金への移行」という仕組みを利用する企業が多く見受けられます。 傷病療養が開始してから1年6カ月を過ぎても治癒しない場合には、傷病補償年金の支給判断がされます。支給が決定すると、受給していた補償は受給不可となり、傷病補償年金受給に切り替わります。 また、療養が始まってから3年が経った時点で、従業員がこの傷病補償年金を受給している場合は、企業は「打切補償をした」とみなされます。