会社法および会社法施行規則とは? 会社の設立、運営、仕組みについて

会社法とは、会社の設立や運営、仕組みについて言及している会社運営に関する法律のこと。会社を法律に則って経営する場合、会社法の正しい理解が不可欠です。

  • 会社法とは何か
  • 会社法施行規則とは何か
  • 会社の設立、運営、仕組みについて

など会社法についての知識をまとめて解説しましょう。

目次

1.会社法とは?

会社法は法務省が所轄する会社の設立や運営、会社の仕組みなどについて定めたもので、平成18年に施行されました。また、会社法は固有の法律で、実質的意義は会社の組織およびその法律関係に関する私法、すなわち会社の利害関係者に対する利害調整です。

会社法の成り立ち(平成17年法律第86号)

会社法(平成17年法律86号)は、平成17年6月に国会で成立し、平成18年5月に施行されました。会社法ができる前まで、日本には会社法という名の独立した法律はなかったのです。

会社法ができるまでは、

  1. 商法の「第2編会社」
  2. 株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律
  3. 有限会社法

の3つを合わせたものを会社法と名付けていましたが、平成18年、会社法が施行されたのを機に会社に関する法律は一本化され、これら3つの法律はなくなりました。

商法とは?

商法は、形式上、明治32年法律48号の商法典のことを意味していますが、実質的には、商法典や商事に関する条約、特別法令、慣習法なども含めて商法だと考えられています。

商法に関する主な特別法には、

  • 手形法
  • 小切手法
  • 商業登記法
  • 国際海上物品運送法
  • 船主責任制限法

などがあります。商法は1899年の制定以来、約120年ぶりに改正され、2018年5月25日に公布されました。

平成18年に施行された会社法とは、
・会社の設立
・運営
・会社の仕組み
などについて定めている法律のことです

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2.会社法の役割

会社法の役割は、大きく分けて3つ。ここでは3つの役割について、簡単にまとめます。

  1. 会社の取引相手を保護する
  2. 利害関係者の利益を実現する
  3. 法律関係を明確にする

①会社の取引相手を保護する

1つ目は、会社の取引相手を保護すること。

  • 会社の法律関係や事実関係の明確化
  • 会社に対して法人格の付与
  • 必要な情報の開示

などの実施によって、取引相手の保護を図ります。

②利害関係者の利益を実現する

2つ目は、利害関係者の利益を実現すること。

  • 利害関係者の権利利益の保護
  • 会社制度に基づいて利益を得やすい仕組みの構築

は会社法の重要な役割です。

株式会社を例に考えると分かりやすいでしょう。株式会社には、利害関係者らの合意がある場合、定款の書き換えによって異なる定めができる規定が多く存在します。

会社法には、制度設計に柔軟さを持たせることで利害関係者の利益実現に大きく貢献するという目的があるからです。

③法律関係を明確にする

3つ目は、法律関係を明確にすること。

一例を挙げると、「会社の組織に関する訴え」(828~846条)の多くは、一定の期間内に訴訟をしなければ法的主張が困難になるように定められているのです。速やかな訴訟を促すこれらの条文からは、法律関係の早期安定化および明確化という意図が汲み取れます。

会社法の役割は、
・会社の取引相手を保護する
・利害関係者の利益を実現する
・法律関係を明確にする
の3つです

3.会社法の主な構成(条文)

会社法は、第1編「総則」から第8編「罰則」で構成されており、979条の条文から成り立っています。

  • 第1編 総則(第1条~第24条)
  • 第2編 株式会社(第25条~第574条)
  • 第3編 持分会社(第575条~第675条)
  • 第4編 社債(第676条~第742条)
  • 第5編 組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転(第743条~第816条)
  • 第6編 外国会社(第817条~第823条)
  • 第7編 雑則(第824条~第959条)
  • 第8編 罰則(第960条~第979条)

第1編 総則(第1条~第24条)

第1編は総則(第1条~第24条)で、会社法の全体に共通している一般的、包括的な規定や事項が記載されています。通常は法律の条文の冒頭部分に書かれており、総則の後に、個別事項の規定である各則が続きます。

第2編 株式会社(第25条~第574条)

第2編は、株式会社(第25条~第574条)についての各則です。

  • 株式会社の設立
  • 株式発行に関する手順
  • 会計方法
  • 取締役機関の設置や解散
  • 清算

といった株式会社経営に関する各種規定で構成されています。

第3編 持分会社(第575条~第675条)

第3編は、持分会社(第575条~第675条)についての各則です。

持分会社には、

  1. 合名会社
  2. 合資会社
  3. 合同会社

計3種があり、それぞれの会社形態に関して個別にさまざまな規定が盛り込まれています。

第4編 社債(第676条~第742条)

第4編は、社債(第676条~第742条)についての各則です。社債とは、会社が経営に必要となる資金を調達することを目的として、資金を投資する投資家からの金銭払い込みと引き換える形で起債する債券のこと。

第5編 組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転(第743条~第816条)

第5編は、組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転(第743条~第816条)についての各則です。

  • 会社組織の再編や変更、合併
  • 会社分割
  • 株式交換
  • 株式移転

といった、M&Aを実施する際の手続きに関わる規定が記載されています。

第6編 外国会社(第817条~第823条)

第6編は、外国会社(第817条~第823条)についての各則です。外国会社とは、日本で日本以外の国の法律に準拠する形で設立されている社団法人のこと。

会社法では、

  • 会社と同種のもの
  • 会社に類似するもの

も含めて外国会社と見なしています。

第7編 雑則(第824条~第959条)

第7編は、雑則(第824条~第959条)です。

  • 株式会社の解散命令
  • 訴訟
  • 非訟
  • 登記
  • 公告に関する規定
  • 損害賠償など起訴のルール
  • 会社の登記方法や登記期限

といった幅広い分野の規定が盛り込まれています。

第8編 罰則(第960条~第979条)

第8編は、罰則(第960条~第979条)に関する

  • 取締役等の特別背任罪
  • 代表社債者等の特別背任罪
  • 虚偽文書行使等の罪
  • 取締役等の贈収賄罪
  • 株主等の権利の行使に関する贈収賄罪

などが記載されています。

会社法は、第1編「総則」から第8編「罰則」の8編で構成されており、全979条の条文から成り立っています

4.会社法が規定している会社の種類

会社法第2条第1項で規定している会社の種類は、株式会社と持分会社である合同会社(LLC)、合資会社、合名会社、3種類の4つです。

  1. 株式会社
  2. 持分会社(合同会社、合資会社、合名会社)

①株式会社

株式会社とは、法人格を有している会社形態のこと。株式会社は営利目的で設立している社団法人で、

  • 不特定多数の投資家から多額の資金を調達する
  • 調達した資本金で大規模な事業を行うことを会社の目的とする
  • 資本と経営を分離する
  • 株主は出資義務を負い、会社債権者に何ら責任を負わない

といった特徴を持ちます。

株式とは?

株式会社の「株式」とは、株式会社における社員権のことで、ここでいう「社員」は、出資者のことです。つまり株式は、株式会社における出資者の権利を意味しています。

株式は、株式の種類ごとに均等に細分化されており、いわゆる割合的単位となっています。

ただし、株式を英語で考えた場合、

  • 証券という意味ではストック
  • 自己資本という意味ではエクイティ

と呼称が異なるのです。

②持分会社

持株会社には、信頼し合う出資者が集まる、出資者自身が利益配分といったさまざまな権限の決定権を持つ、出資者が業務を遂行するといった特徴があります。

株式会社は出資者と経営を分けて考えられていますが、持株会社は、資本金を出資した出資者全員が経営者です。

合同会社(LLC)

合同会社(LLC)とは、会社法によって新しく誕生した制度で出資の範囲内において責任が限定されている物的会社の安全性、内部規律の高い自由度といった人的会社において認められる自由の両方を併せ持った組織のこと。

現在、合同会社は、株式会社以外で最も多く選ばれています。

具体例

会社種類に合同会社を採用している企業には、

  • アップルジャパン
  • アマゾンジャパン
  • P&Gマックスファクター

などがあります。

合資会社

合資会社は有限責任社員と無限責任社員の2者から構成されている会社です。

  • 有限責任社員:会社が倒産といった場合、債権者に対して自己が出資した金額を上限として責任を負う
  • 無限責任社員:債権者に対して負債がなくなるまで支払い責任が生じる

合資会社設立には、無限責任社員が最低2名必要になる上、メリットがないことから近年ではほぼ設立実績がありません。

合名会社

合名会社はすべてが無限責任社員である会社です。個人事業主が1箇所に集まって一緒に事業展開しているという形態が近いでしょう。

合名会社も債権者に対して全額を支払う大きな責任を背負う必要があるにもかかわらず、それに見合うメリットはないことから、現在、設立するケースはほとんどありません。

有限会社制度が消失

会社法の施行に伴って消滅したのは、有限会社です。有限会社とは、有限責任社員のみが出資をし、出資額に応じて社員権を取得する形式の会社のこと。株式などといった社員権を表す有価証券の発行が認められていない、といった特徴があります。

会社法ができると同時に有限会社法が廃止されたことを受け、現在、有限会社の設立はできません。

会社法第2条第1項で規定している会社の種類は、
・株式会社
・合同会社(LLC)
・合資会社
・合名会社
の4つです

5.会社法における株式会社の運営の仕組み

会社法における株式会社は、

  1. 株主総会
  2. 取締役・取締役会
  3. 監査役・監査役会
  4. 会計参与・会計監査人
  5. 委員会

などさまざまな機関を持つといった運営の仕組みに特徴があります。

会社は、

  • 個々の機関設計に関する最低限の規律を遵守
  • 企業実態に応じた必要な機関を選択しながら組織を構成

といった運営を行っているのです。

① 株主総会

株主総会は、株式会社の中で最高意思決定機関の役割を担っており、株主は株式会社の所有者であり、財産分配請求権を持ちます。

株主が集まる株主総会は、

  • 株式会社の基本方針や重要事項の決定
  • 取締役の選任、解任
  • 監査役の選任、解任

など株式会社としての組織や運営、管理に関する重要課題を決定する最も重要な機関なのです。

②取締役・取締役会

取締役会は、

  • 重要な財産の処分および譲受け
  • 支配人その他の重要な使用人の選任および解任
  • 支店その他の重要な組織の設置、変更および廃止
  • 募集社債発行の決定
  • 譲渡制限株式の譲渡の承認および指定買取人の指定
  • 自己株式の取得価格等の決定

など、重要事項や業務についての意思決定を行う機関で、3人以上の取締役によって構成されています。

③監査役・監査役会

監査役会は、

  • 監査報告の作成
  • 常勤の監査役の選定および解職
  • 監査の方針、監査役会設置会社の業務および財産状況の調査その他の監査役の職務の執行に関する事項の決定
  • 監査役の職務の執行状況の報告を求める

といった、監査方針の決定や監査報告書の作成などを行っている機関で、3人以上の監査役(そのうち半数以上は社外監査役)によって構成されています。

④会計参与・会計監査人

会計参与は、取締役などと共同で、

  • 計算書類などの作成
  • 会計参与報告の作成
  • 会計帳簿等の閲覧請求権、会計報告請求権
  • 業務財産調査権

といった計算書類等の作成や監査にあたる機関で、会社法で新しく設定されました。

会計監査人の主要業務は、会社の計算処理に関する会計監査で、公認会計士または監査法人のみが就任できます。また会計監査人は、株主による責任追及等の訴えの提訴請求を受ける可能性がある立場でもあるのです。

⑤委員会

委員会は、大企業が機動的経営、実効的監督の両方を実現するために設けられた機関です。

  • 取締役の選任、解任に関する議案内容を決定する指名委員会
  • 会計監査人の選任および解任、不再任に関する内容を決定する監査委員会
  • 取締役および執行役の個人別の報酬内容を決定する報酬委員会

の3委員会で構成されており、平成26年の改正で、3委員会の代わりに監査等委員会のみの設置も認められました。

会社法における株式会社は、
・株主総会
・取締役会
・会計監査人
など、さまざまな機関を持っています

6.改正会社法のポイントと経営への影響(2015年5月1日改正)

2015年5月1日に改正された改正会社法のポイントや経営への影響を簡単にまとめます。

  1. 社外取締役、社外監査役の社外性要件厳格化
  2. 監査等委員会設置会社の創設
  3. 支配株主が変更する新株発行の規制
  4. 多重代表訴訟
  5. 会社株式の譲渡に親会社の株主総会特別決議が必要な場合が認められた
  6. キャッシュアウト制度の創設
  7. 組織再編行為の差し止め
  8. 債権者を害する会社分割等の規制

①社外取締役、社外監査役の社外性要件厳格化

改正会社法では、経営の健全性の維持、強化を目的として、社外取締役、社外監査役の社外性要件厳格化が行われました。

一例を挙げると、

  • 社外取締役や社外監査役の会社関係者ではないという社外性要件の厳格化によって、社外役員になれない人的範囲を拡大させる
  • 上場会社等である監査役会設置会社が社外取締役を設置していない場合、その設置が相当でない理由を株主総会で説明する義務を設ける

などがあります。

②監査等委員会設置会社の創設

改正会社法では、監査等委員会設置会社という、新しい会社統括形態が創設されました。監査等委員会設置会社とは、監査役会設置会社、委員会設置会社のどちらでもない組織です。

監査等委員会設置会社の監査等委員会には、

  • 他取締役と比較して、独立性の高い取締役で構成されている
  • 取締役会での議決権も有している
  • 監査等委員会は、監査役会設置会社の監査役会と同じような監査業務を行う

といった特徴があります。

③支配株主が変更する新株発行の規制

改正会社法は、支配株主が変更する新株発行の規制を設けています。

従来、すべてまたは一部の株式に株式譲渡制限を付帯していない公開会社は、株式の2分の1を超え所有する支配株主が変わる新株発行も、取締役会決議で行うことができました。

この場合、株主から委任を受けているだけに過ぎない経営陣が自己の保身を目的とした新株を発行できるため、健全経営を阻害する恐れが生じます。

そのため、平成26年改正会社法の中で

  • 支配株主が変わる新株発行の場合、既存株主に事前に知らせなければならない
  • 10分の1以上の議決権を有する株主が反対した場合は、原則として新株発行に株主総会決議を得なければならない

といった新株発行に関する新たな規制を設けたのです。

④多重代表訴訟

改正会社法では、多重代表訴訟の規定も創設しています。改正会社法が成立するまで、親会社の株主は子会社の取締役等に対して、株主代表訴訟を起こすことができませんでした。

しかし、今回の改正によって、

  • 完全親子会社
  • 親会社の100分の1以上の議決権を有する親会社の株主

の場合、子会社の取締役等に対して提訴請求に応じないのであれば原則として株主代表訴訟を提起できる、いわゆる「多重代表訴訟」ができるようになったのです。

⑤会社株式の譲渡に親会社の株主総会特別決議が必要な場合が認められた

改正会社法では、会社株式の譲渡に親会社の株主総会特別決議が必要な場合が認められました。従来の会社法では、会社が所有する子会社株式の譲渡を行う際、株主総会決議は不要だったのです。

しかし、もともと一定規模の事業譲渡には株主総会決議が必要とされていました。それを考慮し、

  • 親会社の資産評価の5分の1を超える子会社株式の譲渡
  • 譲渡によって子会社の支配を失う

といった場合には、親会社の株主総会特別決議が必要であることを明記したのです。

⑥キャッシュアウト制度の創設

改正会社法では、議決権を90%以上有する株主が、残りの株主全員に対して、株式全部を自分に売り渡すように請求できるキャッシュアウト制度が創設されました。

キャッシュアウト制度には、

  • 現金を支払うことで少数株主を追い出す
  • 完全な支配会社を創設しやすくする

という目的があります。

⑦組織再編行為の差し止め

改正会社法は、組織再編行為の差し止めにも言及しています。

今までの会社法では、

  • 子会社創設のための株式交換
  • 子会社創設のための株式移転
  • 合併
  • 会社分割

といった組織再編を行う際、法律に基づいた手続規制を厳守せずに実行しても、それを差し止める手段はありませんでした。

改正会社法では、組織再編の完了後にそれを無効とすると法律関係を錯綜させるため、合理性の観点から、組織再編の事前差止請求を可能としたのです。

⑧債権者を害する会社分割等の規制

改正会社法は、債権者を害する会社分割等の規制を新設しています。近年、濫用的会社分割と呼ばれる会社分割の濫用により、会社債権者を害する行為が頻繁に行われていました。

そのため、平成26年改正会社法では新たに債権者を害する会社分割等の規制を新設したのです。

その結果、債権者を害すると知っているにもかかわらず会社分割が成された場合、債権者は事業を承継した会社に対して一定範囲で債務の履行を請求できるだけでなく、事業譲渡にも会社分割と同様の規制を新設することが明記されました。

会社法は、今まで見過ごされてしまった部分にメスを入れるため、さまざまな角度から改正が成されました

7.人事部門が知っておくべき会社法のポイント

最後に、人事部門が知っておくべき会社法のポイントを見ていきましょう。

従来の会社法と改正会社法との大きな違いは、

  • 国内外の経済情勢に応じて、会社形態の多様化にも対応している
  • 各種手続きの簡素化
  • 内部統制といった経営の透明化、健全化を求めている

現代は、粉飾決算や法令違反など企業内部の不正に対して、社会から厳しい目が向けられています。

社内の不正は、

  • 一般投資家や銀行など機関投資家の不利益
  • 製品やサービスの欠陥
  • 一般消費者や関係各所への不利益

などに直結するため、企業の存続に関わる問題に発展しかねません。

上場、非上場を問わず企業にとって、内部統制への対応や経営の透明化や法令遵守は重要な課題となっているのです。

そのため人事部門やその他関連部門は、経営の透明性や内部統制について会社法施行規則を正しく理解し、社内の組織や制度設計、運用に反映させなければなりません。

企業内部の不正を防ぎ、社会的信用を失わないためにも、改正会社法を正しく理解し運営していく必要があります