ブラックボックス化とは?【原因と対策】わかりやすく解説

ブラックボックス化とは、特定の人しか業務プロセスや実態を把握できていない状態のことです。ブラックボックス化が起こるとさまざまなリスクが引き起こされ、最悪のケースでは業績や企業の信頼に悪影響を及ぼします。

今回は、ブラックボックス化とは何かをふまえて、原因や対策を詳しく解説していきます。

1.ブラックボックス化とは?

ブラックボックス化とは、ある業務プロセスを限られた人しか理解・対応しておらず、その実態がわからなくなること。黒い箱のなかで業務が行われているかのように詳細が見えず、周囲にその様子がわからないイメージからブラックボックス化と呼ばれています。

ビジネスにおいては、アウトプットを優先することで仕事の詳細が不透明になり、内部メンバーからわからなくなる状態を意味して使われる言葉です。

ブラックボックス化は、もとはプログラミング分野で古くから使われていた言葉ですが、今では業務内容やプロセスが不透明で外部から内部構造や状況を把握することが難しくなった状態において広く用いられています。

ブラックボックス化と属人化の関係

属人化とは、特定の人以外がその業務をできない、業務が特定個人に依存している状態のこと。その人が休んだり退職したりしてしまった場合、十分な引き継ぎやマニュアルがない状態では、今までどおりに業務が遂行できなくなる恐れもあります。

属人化は特定個人だけが業務プロセスを把握していないだけでなく、その人のスキルでしか対応できない専門性の高い業務の場合にも起こりうる状況です。

ブラックボックス化は属人化によって起こる状態であり、属人化によって業務の実態が周囲からわからなくなる状態をブラックボックス化といいます。

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2.ブラックボックス化がもたらすリスク

ブラックボックス化は、以下4つのリスクをもたらす可能性があります。

  1. 業務が遂行できなくなる
  2. 責任の所在がわからなくなる
  3. 不正に発展する恐れ
  4. 社内で連携できなくなる

①業務が遂行できなくなる

特定の人以外がその業務ができない・わからない状態では、急な休みや離職が発生すると業務が遂行できなくなってしまいます。とくに、離職は最もリスクが大きく、十分な引き継ぎがされていない場合、業務プロセスを1から構築し直す必要が出てきます。

また、スキル的な面で業務が遂行できなくなる場合、リソースを確保するのにコストがかかるほか、品質の低下を招く恐れもあるのです。

②責任の所在がわからなくなる

タスクや業務の責任の所在がわからなくなると「誰に確認すればいいかわからない」「誰かが対応すると思っていた」といったように混乱を招き、業務効率の低下やミスを引き起こす原因となります。

結果的に品質の低下や顧客からの信頼性低下により、売り上げ減少やコスト増加につながる恐れもあります。

③不正に発展する恐れ

誰が何をしているかわからない状態では、不正にも気づけない環境です。なぜなら、自分以外に業務プロセスを知る人がいないため、不正しても気づかれず、重大なミスは誤魔化せるといった状態に陥るからです。

不正が起こると、不正内容によっては会社の信頼を失いかねない事態に発展します。とくに、金銭や重要な情報を扱う業務におけるブラックボックス化は、不正のリスクに要注意です。

④社内で連携できなくなる

ブラックボックス化している状況では属人化が起こっているため、自分の仕事に専念すればよい状態となり、周囲と連携する必要性がなくなってしまいます。その結果、情報共有の頻度低下や報連相ができない状態に陥り、コミュニケーション不足に発展する恐れも。

また、業務内で課題が生じた時に連携が取れず、改善できないまま業務効率やパフォーマンスの低下を引き起こしてしまう恐れもあります。

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3.ブラックボックス化の原因

ブラックボックス化の原因には、下記5つが考えられます。原因を知っていけば、ブラックボックス化の防止にもつながるでしょう。

  1. ベテランや優秀な人に依存している
  2. 業務の専門性や難易度が高い
  3. マニュアルがない
  4. 人員が不足している
  5. リモートワーク環境が整備されていない

①ベテランや優秀な人に依存している

ベテラン従業員や優秀な従業員に業務を長く任せ続けることで属人化し、月日が経過するにつれてブラックボックス化を引き起こします。

ベテランや優秀な人に業務を任せておけば安心である点に間違いはないものの、特定の一人だけに任せっきりにしてはなりません。

専門性や難易度の高い業務ほどこうした状況になりやすいでしょう。ブラックボックス化を起こさないためには、手間や時間がかかってもノウハウの継承や育成が重要です。

②業務の専門性や難易度が高い

専門知識や高度なスキル、経験が求められる業務においてもブラックボックス化が起こりやすい傾向にあります。というのも、専門性や難易度が高い業務では、専門性や高度なスキルを持っている人の判断で業務を進めるケースが多いからです。

結果、業務プロセスを把握しているのは指示・判断の権限がある特定の人だけに絞られてしまいます。

また、そうした業務は「この人にしかできない」と社内で判断され、必然的に属人化が放置されてしまうケースもあります。本来は周囲の人にナレッジを共有し、後継人材を育成しなければなりません。

③マニュアルがない

マニュアルが整備されていないことでナレッジが共有できていない、あっても形骸化されていて運用されていない、内容が更新されていないままなどの状態はブラックボックス化を引き起こしかねません。

マニュアルがない業務は担当者や特定の人が独断で進めてしまう傾向が強く、情報共有がうまくいかない、引き継ぎが正しく行われないなどしてブラックボックス化が解消されない状況が構築されてしまいます。

これまで判断や進行を担当していた人が離職してしまうと、業務プロセスを1から構築しなければならない事態に陥ってしまうでしょう。

④人員が不足している

人員不足の状況ではマニュアルや業務内容を共有する人がいないがゆえに、そもそも業務の標準化ができない状況にあります。

一方従業員一人ひとりが目の前の自分の仕事に精一杯となってしまい、マニュアル作成や情報共有の時間が確保できないケースもあるでしょう。

さらに、個々に割り振られる業務が偏ることでも属人化が起こり、結果的にブラックボックス化を引き起こしてしまいます。

人員不足な状況下でブラックボックス化が起こると、一人の離職が与える影響もそれだけ大きくなるもの。目の前の業務を遂行することはもちろん重要で、そのなかでブラックボックス化を起こさない工夫も欠かせません。

⑤リモートワーク環境が整備されていない

コロナ禍によってリモートワークを進める企業が増加している一方、業務管理方法が整っていない状態でリモートワークを進めるとブラックボックス化が進行する恐れもあります。

リモートワークはただでさえ従業員の状態がわからない環境にあり、オフィスにいる時よりも情報共有や指導、育成がしにくい状況です。

個々で仕事が完結できてしまう点からも、ブラックボックス化が起こりやすい環境であることを念頭に、ブラックボックス化や付随するリスクが起こらないよう工夫や注意が必要です。

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4.ブラックボックス化を解消するメリット

ブラックボックス化を解消すると、下記のようなメリットが期待できます。ブラックボックス化は、企業にとっても大きなリスクを引き起こしてしまうもの。メリットも押さえた上で、解消するメリットと重要性を理解しましょう。

  1. 一定の業務クオリティが継続できる
  2. ナレッジを蓄積できる
  3. 業務効率が改善される
  4. 企業価値が向上する
  5. リモートワークに対応できる

①一定の業務クオリティが継続できる

ブラックボックス化が解消すれば、特定のメンバーが何らかの理由で欠けてしまっても、業務クオリティが維持できます。業務クオリティの維持は、企業の信頼を守るためにも重要です。

反対に、特定の人に依存している組織は、離職によって一気に業務クオリティが低下する恐れがあり、結果的に業績悪化を招きかねません。

②ナレッジを蓄積できる

ナレッジが蓄積できれば、業務クオリティを落とさずに誰が担当してもいつもどおり業務を遂行できます。また、新入社員や中途社員、異動してきた社員に対してもナレッジがスムーズに継承できるでしょう。

一方、特定の人に依存した状態では、その人が離職したときにナレッジも消滅しかねません。ナレッジは企業の財産でもあるため、蓄積して継承することが大切です。

③業務効率が改善される

周囲の人が業務プロセスを把握できているため、業務が分担できるほか、課題を発見しやすくなるなど業務効率の改善につながります。

また、業務プロセスが見える化するため業務の偏りも発見しやすくなり、従業員の負担軽減やエンゲージメント向上にも役立つのです。

④企業価値が向上する

蓄積されたナレッジを正しく継承できるため品質向上・維持につながり、企業価値の向上に貢献します。さらに、さまざまな人にナレッジを共有できるため、新たな視点や考え方が得られ、革新的なイノベーションが生まれる可能性も期待できるのです。

また、関係者が業務プロセスを把握できていることで不正が起こりにくくなり、企業の信頼性も守られます。

⑤リモートワークに対応できる

リモートワークはただでさえ業務実態を把握しにくく、ブラックボックス化しやすい環境です。

しかし業務を標準化するとブラックボックス化が解消でき、リスクを抑えてリモートワークが行えます。多様な働き方に対応するためにはリモートワークの導入は必須といっても過言ではなく、働き方改革の推進にもつながるでしょう。

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5.ブラックボックス化の予防・解消方法

では、ブラックボックス化はどのように予防・解消すればよいのでしょう。ここでは、ブラックボックス化の予防・解消方法をご紹介します。

  1. 業務のマニュアル化
  2. フローチャートによる業務プロセスの明確化
  3. メンバーの細分化
  4. 業務可視化ツールの導入
  5. 組織図の作成
  6. 適切な監査と評価の導入

①業務のマニュアル化

業務の標準化には、マニュアルが有効です。マニュアルには業務の目的や手順、トラブルへの対処法や過去事例などを記載します。業務フローを可能な限り洗い出し、可視化することがポイントです。

マニュアルは作成して終わりではなく、運用しながら改善や変更をくわえてブラッシュアップしていきましょう。

②フローチャートによる業務プロセスの明確化

業務の流れや手順を簡潔に図式化するフローチャートで業務を標準化・見える化することも、ブラックボックス化の予防・解消に有効です。フローチャートはエクセルでかんたんに作成できるため、すぐに取り組める予防・解消方法といえます。

③メンバーの細分化

チームの人数が多くなると、細かい業務まで把握できずブラックボックス化しやすくなります。3〜4人規模の小チームになると役割が明確になり、ブラックボックス化の予防に効果的です。

ただし、マネジメントする立場はチームが増えるほど、かえってブラックボックス化する恐れがあるため注意しましょう。

④業務可視化ツールの導入

業務可視化ツールでは、フローチャートよりも詳細に業務プロセスを可視化できます。誰がどの業務にどれくらいの工数をかけているか、業務の詳細を分析するのも可能です。

こうした情報はエクセルでまとめることもできるでしょう。しかしツールのほうが効率面でメリットがあります。

⑤組織図の作成

組織図は、指揮命令系統の把握に役立ちます。また責任の所在も明確にでき、ブラックボックス化の予防に有効です。組織図もフローチャートと同様に、エクセルやパワーポイントなどのツールでかんたんに作成できます。

⑥適切な監査と評価の導入

定期的な監査や評価を実施し、業務プロセスや業績の透明性を確保すると、ブラックボックス化による不正リスクの予防に役立ちます。外部の専門家や独立した第三者による監査を導入することで、より透明性が確保できるのです。

第三者による監査は、ステークホルダーに対しても透明性をアピールでき、企業の信用確保にも有効といえます。