ブラックバイトとは? 意味、ブラックバイトだったときの対処法について

ブラックバイトとは、非正規雇用者を違法に働かせることです。ここでは、ブラックバイトの対処法も含め、詳しく解説します。

1.ブラックバイトとは?

ブラックバイトとは、アルバイトやパートタイマーなどの非正規雇用者を違法な環境や条件で酷使すること。違法な環境や条件として挙げられるものは、下記のとおりです。

  • 違法な長時間労働
  • 残業代の不払い
  • 過剰なノルマ強要
  • 不合理な罰金請求
  • パワハラ

ブラックバイトは、ブラック企業に近いものとして位置付けられています。

ブラックバイトの背景

ブラックバイトの背景にあるのは、人件費削減を目的とした非正規雇用労働者の増加です。昨今の経済情勢により企業の多くが、「正規雇用を絞る」「非正規雇用を拡大」などの手法で、人件費の削減に取り組み始めました。

そのうち非正規雇用者には、「低賃金で雇える」「必要に応じて解雇できる」といった特徴があります。そのため正規雇用者が担う業務を非正規雇用者にシフトしている状況が多数発生し、それがブラックバイトにつながっているのです。

ブラックバイトとは、非正規雇用者を違法な労働環境・労働条件で酷使することです。「人件費削減」を背景とした社会問題といえます

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2.ブラックバイトの特徴

ブラックバイトとは、低賃金で必要なときだけ雇える非正規雇用者を違法な環境や条件で酷使する状況のことで、下記のような9つの特徴があります。

  1. 最低賃金より低い賃金
  2. 長時間労働
  3. 売れ残ったものの買い取り
  4. 強制的にシフトを決定
  5. 労災保険がない
  6. 辞めたくても辞められない
  7. 準備時間は賃金に反映されない
  8. 仕事で使う用具の費用を負担させられる
  9. 時間外労働分の賃金が支払われない

①最低賃金より低い賃金

最低賃金とは、使用者が労働者に支払わなければならない賃金の最低額のこと。「使用者が制度を知らない」「事業規模が小さい」というケースの場合、労働者に最低賃金より低い賃金しか支払われない場合があります。

②長時間労働

労働基準法では労働時間について、「1日8時間・週40時間の法定労働時間」「法定労働時間を超えての労働が認められるのは、36協定を結んだときのみ」と定めています。

しかしブラックバイトでは、36協定を結ばずに法定労働時間を超えた労働が強いられるのです。

③売れ残ったものの買い取り

販売ノルマを課され、もしそれが達成できない場合、売れ残った商品の買い取りを命じられる場合があります。よくあるのは、日用品や食料品、イベント関連商品などの販売ノルマが達成できなかったときなどに、買い取りを命じられるケースです。

④強制的にシフトを決定

個人的な希望を考慮してシフトを組まれる場合がほとんどです。しかしブラックバイトの場合、管理者が一方的にシフトを組んで勤務を強制します。それにより「個人的な予定に支障をきたす」「シフトを減らされ、収入が減少する」などの問題が生じるのです。

⑤労災保険がない

労災保険は、労働者を1人以上雇用している使用者の加入を義務付けている日本の公的保険制度で、加入していると労働者に業務災害・通勤災害が発生した際、保険給付が行われるのです。しかしブラックバイトでは、労災保険に未加入のケースが多く見られます。

⑥辞めたくても辞められない

非正規雇用者が自ら退職の意思を示しているにもかかわらず、会社を辞められない場合が存在します。たとえば「退職届が受理されない」「自分の代わりを用意するよう強要された」「損害賠償を請求するなど脅された」などです。

⑦準備時間は賃金に反映されない

ブラックバイトでは、業務上指示をされた準備時間や片付け時間に対する賃金が支払われません。「契約上の始業時刻から計算される」「準備時間が賃金に反映されない」といったケースです。

⑧仕事で使う用具の費用を負担させられる

労働基準法では、「会社が労働者に仕事上で使用する用具を負担させる場合、労働契約・就業規則にその旨を記載しなければならない」と定められています。

ブラックバイトでは、労働契約や就業規則に記載がないにもかかわらず、労働者に仕事で使用する用具の費用を負担させるケースがあるのです。

⑨時間外労働分の賃金が支払われない

労働基準法では使用者に対して、「時間外労働に対する賃金の支払い」を義務付けています。つまり使用者が労働者に時間外労働をさせた場合、所定の割増賃金率を乗じた賃金が労働者に支払わなければならないのです。

しかしブラックバイトでは、こうした時間外労働に対する賃金の支払いがなされないケースも多いとされています。

ブラックバイトには、9つの特徴があります。ひとつでも当てはまる場合、ブラックバイトの可能性が高いです

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3.ブラックバイトが多い職種3つ

ブラックバイトの多い職種として挙げられる3つの職種と特有の事例について、見ていきましょう。

  1. 塾の先生
  2. レストランなどの飲食店
  3. コンビニエンスストア

①塾の先生

塾の先生は、大学生を中心に高収入が得られると人気のアルバイトです。しかし、以下のような問題も浮上しています。

  • 講義1コマではなく、時給で設定されている
  • 講義以外の準備や片付け、親との面談といった時間は勤務時間として認められない
  • 講義に使用するテキストは自費で購入
  • 担当する講義数を勝手に減らされる
  • 人手不足を理由に、都合も聞かず担当する講義の数を増やす

②レストランなどの飲食店

飲食店は店舗数も多く分母が大きいため、多くのブラックバイトがあるとされています。そのなか、下記のようなケースが多く発生しているのです。

  • 休憩なしで6時間以上働かされる
  • メニューやマニュアルなどを覚えていたはじめの1週間は、無給で働かされた
  • 客が少ない時間のシフトを勝手に減らされ、収入が減った
  • 給与から、注文ミスをした金額が引かれた

③コンビニエンスストア

コンビニエンスストアは、非正規雇用者が主戦力となる職種です。そのため、ブラックバイトも多く発生しています。そんなコンビニエンスストアでは、以下のような問題が見らるのです。

  • 人手不足や繁忙期を理由に、勝手にシフトを入れられた
  • シーズンごとのイベント商品について販売ノルマが課せられたうえ、売れ残りを買い取らされた
  • レジの金額が合わなかったとき、当日働いていたバイトに不足金額分を支払わせた
  • 退職を申し出たが、人手不足を理由に辞めさせてくれない

ブラックバイトが多い職種には、「人手不足」「繁閑の差がある」「非正規雇用者が多い」といった特徴があります

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4.ブラックバイトかもしれないと思ったときの対処法

ブラックバイトかもしれないと思ったとき、どうしたらよいのでしょうか。ここではブラックバイトかもしれないときの対処法を、下記3つの観点から解説します。

  1. 法を理解する
  2. アルバイトを辞める
  3. 労働基準監督署や弁護士に相談する

①法を理解する

法の理解は、ブラックバイトへの対処法を考えるうえで、非常に重要です。正規雇用者や非正規雇用者などの労働者は、労働基準法を始めとするさまざまな労働法によって権利が守られています。

  • 労働時間の定義
  • 変則的な労働時間設定のルール
  • 時間外労働に対する割増賃金率
  • 賃金の支払いルール
  • パワハラの定義

など法律上の定めに関する正しい理解が、対処の基本となってくれるのです。

②アルバイトを辞める

「自分のアルバイト先はブラックバイトかもしれない」と思ったら、まずは「アルバイトを辞める」ことを視野に入れましょう。ブラックバイトに自身の時間を拘束されていては、次の働き先を探せません。

また心身を病んで動けなくなってしまう可能性も高いです。そうなる前に「まずはその場から離れる」「自分の身を守る」ことを考えましょう。

辞めるときの注意点は?

ブラックバイトを辞めるとき、何に注意したらよいのでしょうか。

たとえ職場がブラックバイトだったとしても、雇用契約を結んだ以上、「無断欠勤を重ねる」「当日に退職を申し出る」などはいけません。あくまでも、雇用契約に則った辞め方が必要です。

なかなか辞めさせてもらえない場合

退職を申し出ても、「退職届を受理してくれない」などなかなか退職できないケースもあります。なぜなら人手不足などの問題を抱えている場合があるからです。その場合は、次に説明する「労働基準監督署や弁護士への相談」を視野に入れましょう。

③労働基準監督署や弁護士に相談

労働基準監督署や弁護士への相談も対処法のひとつとなります。ブラックバイトの相談窓口として挙げられるのは、下記のとおりです。

  • 全国の労働局や労働基準監督署などにある総合労働相談コーナー
  • 労働基準監督署の閉庁する夜間および休日に、フリーダイヤルで相談できる労働条件相談ほっとライン

なお「パワハラなどによって生じたうつ病に対する慰謝料請求」「未払い賃金請求」といった内容については、弁護士などの専門家に相談できます。状況に応じて選びましょう。

証拠をそろえる

自分の職場がブラックバイトであると感じたら、証拠をそろえる方向で動きましょう。証拠があれば、第三者からの協力が得やすくなるからです。しかしどのようなものが証拠として使えるのでしょうか。証拠として挙げられるものの例は、下記のとおりです。

  • 求人票
  • 録音データ
  • 雇用契約書
  • 就業規則
  • タイムカードのコピー
  • 給与明細
  • 通話やメール履歴
  • LineやTwitter、FacebookなどSNSのログ
  • デジタルカメラやスマートフォンといった端末で撮影した内容
  • 罰金金額が分かるもの(メモなど)
  • シフト申請表や管理表

ブラックバイトへの対処法として挙げられるのは、「法を理解する」「アルバイトを辞める」「労働基準監督署や弁護士に相談する」の3つです

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5.ブラックバイト問題の解決は外部にサポートしてもらおう

ブラックバイトは、労働者ひとりで解決できない場合も多々。そんなときは、外部にサポートをお願いしましょう。ここでは、下記2つの外部機関について解説します。

  1. 労働組合に相談する
  2. ブラックバイトユニオンに相談する

①労働組合に相談する

労働組合とは、労働者の利益を守るために組織された組合のこと。全労連(全国労働組合総連合)は、労働者の利益を守る全国組織です。

なかでもパート・臨時労組連絡会は、非正規雇用者の問題(「労働条件の改善」「ハラスメント」「賃金補償」「解雇」)などに積極的に取り組んでいます。

労働組合に加盟するには?

労働組合に加盟する方法は、下記の4つです。

  • 情報労連の組合に入る、もしくは会社に情報労連の組合があるか探す
  • 働いている職場に新たに労働組合を作る
  • ひとりで労働組合に入る
  • 情報労連に加盟する

4つの方法は、それぞれ手続きや相談窓口が異なりますので、気を付けましょう。

労働組合に加盟するメリット

労働組合に加盟すると、下記のようなメリットが得られます。

  • 不満・苦情などを会社側に伝えやすくなる
  • 職場のルールや労働条件などについて話し合える
  • 制度が公になるため、透明性のある環境下で就労できる
  • 経営に関する情報が手に入りやすくなる
  • 専門知識と豊富な経験をもつ組合の力を借りられるため、会社との交渉力をアップできる
  • スケールメリットを生かした福利厚生や教育制度を利用できる
  • 顧問弁護士など専門家の協力を得られる

②ブラックバイトユニオンに相談する

ブラックバイトユニオンとは、2014年8月にNPO法人POSSEの相談スタッフ有志が立ち上げた組織のこと。NPO法人POSSEとは若年層の労働問題を扱うNPO法人で、下記のような特徴を持つのです。

  • 会員数約300人
  • 年間3,000件の相談に対応
  • 厚生労働省の基金や財団の助成金などで運営

ブラックバイトユニオンには、コンビニや外食チェーン、個別指導塾や小売店などで働くおよそ50人の学生が参加しています。

ブラックバイト問題は、ひとりでは解決しにくいもの。しかし外部機関や専門家の協力を得ていけば、スムーズに交渉できるかもしれません