出生時両立支援助成金とは? 申請先、申請期限

出生時両立支援助成金は、男性が育児休業を取りやすい職場風土づくりを支援する助成金です。出生時両立支援助成金とは一体どんなものでしょうか。その詳細について解説します。

1.出生時両立支援助成金(出生時両立支援コース)とは?

出生時両立支援助成金(出生時両立支援コース)とは、男性が育児休業を取得しやすい職場風土づくりを目的として、男性社員が育児休業を取得する支援を行った企業が受け取れる助成金のこと。

育児休業は、育児・介護休業法第2条第1号に規定している育児休業を指します。有期契約労働者が入社後1年を経過する前に申し出た育児休業法を上回る休業も、一定の条件で助成金の対象となります。

出生時両立支援助成金(出生時両立支援コース)とは、男性社員の育児休業取得支援を行った企業が受け取れる助成金のことです

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは?

・1on1の進め方がわかる
・部下と何を話せばいいのかわかる
・質の高いフィードバックのコツがわかる

効果的に行うための1on1シート付き解説資料をダウンロード⇒こちらから


【人事労務業務を効率化し、担当者の負担をグッと減らす】

カオナビならコストを抑えて労務管理・タレントマネジメントを効率化!

●紙やExcelの帳票をテンプレートでペーパーレス化
給与明細の発行や配布がシステム上で完結できる
年末調整の記入や書類回収もクラウドで簡単に
●人材情報の一元化・見える化で人材データを活用できる
●ワークフローで人事評価の運用を半自動化できる

詳しくはこちらから

2.両立支援等助成金とは?

両立支援等助成金は、出生時両立支援コースを含めて計4つのコースで構成されています。一体どんなコースなのか、各コースの持つそれぞれの特徴と共にお伝えします。

共通の要件

両立支援等助成金を構成する4つのコースに共通する要件を見ていきましょう。

受給できる要件

両立支援等助成金を受給するには、下記3つの要件を満たす必要があります。

  1. 雇用保険適用事業所の事業主である
  2. 支給または不支給決定のための審査に必要な書類を整備、保管、提出など、審査に関する管轄労働局等からの求めに協力すること。また、管轄労働局などの実地調査を受け入れる
  3. 期間内に申請する

受給できない要件

両立支援等助成金を受給できない要件として挙げられるのは、下記を含む計9項目です。

  1. 平成31年4月1日以降に雇用関係助成金を申請して不支給決定または支給決定の取り消しを受けてから5年を経過していない事業主
  2. 支給申請日の前日から起算して1年前の日から支給申請日の前日までに労働関係法令の違反があった事業主
  3. 支給申請日または支給決定日の時点で倒産している事業主

介護離職防止支援コース

介護離職防止支援コースとは、介護休業の実施や介護両立支援制度の実施に取り組んだ企業に支給される助成金で、下記に対して審査の上で助成されます。

  • 介護支援プランを策定し、プランに基づき労働者の円滑な介護休業の取得・職場復帰に取り組んだ中小企業事業主
  • 介護のための柔軟な就労形態の制度(介護両立支援制度)を導入し、利用者が出た中小企業事業主
  • 介護離職防止支援コースでは、助成金支給の要件として、下記両方に関する介護支援プランの作成が求められます。
  • 介護休業の実施
  • 介護両立支援制度の実施

育児休業等支援コース

育児休業等支援コースとは、育休取得と職場復帰、育休取得時の代替要員確保、職場復帰後支援といったさまざまな支援を行った企業に対して助成金が支給されるコースのことで、下記の場合、中小企業事業主に対して助成金が支給されます。

  • 育休復帰支援プランを作成し、プランに基づき労働者の円滑な育休取得・職場復帰に取り組んだ
  • 育休取得者の代替要員を確保し育休取得者を原職復帰させた
  • 復帰後、仕事と育児の両立が特に困難な時期の労働者の支援に取り組んだ

育児と仕事の両立は、核家族化や労働者不足など社会問題解決の一助となるため、この助成金の活用が期待されています。

再雇用者評価処遇コース(カムバック支援助成金)

再雇用者評価処遇コース(カムバック支援助成金)は、再雇用制度の規定や再雇用制度の対象者を定められた期間雇用といった条件を満たして、対象となる労働者を雇用した事業主に支給される助成金です。

妊娠や出産、育児や介護、配偶者の転勤などを理由に退職した労働者が復職に利用できる再雇用制度を導入して、再就職の希望者を採用した事業主に対して助成されます。企業はこれにより、助成金のサポートを受けながら即戦力となる労働者を雇用できるでしょう。

両立支援等助成金には、「出生時両立支援コース」「介護離職防止支援コース」「育児休業等支援コース」「再雇用者評価処遇コース」の4つがあります

入社手続き、年末調整、人事評価、スキル管理など時間が掛かる人事業務を効率化。
タレントマネジメントシステム「カオナビ」でリーズナブルに問題解決!
【公式】https://www.kaonavi.jp にアクセスしてPDFを無料ダウンロード

3.出生時両立支援助成金の目的

出生時両立支援助成金の目的は、「職業生活と家庭生活の2つを両立するための支援」「女性の社会での活躍推進の支援下記に取り組んでいる事業主をサポートする」少子高齢化で労働力が不足する日本社会では、このような取り組みが急務になります。

「家庭との両立を図りながら仕事を続ける女性のサポート」「男性社員の育休取得を促進して男性による育児と仕事の両立の推進」男女を問わず、家事と育児の両立を目指すことが、出生時両立支援助成金の目的です。

出生時両立支援助成金の目的は、職業と家庭を両立するための支援や女性の社会での活躍推進の支援に取り組む事業主をサポートすることです

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

4.出生時両立支援助成金①男性労働者の育児休業取得

出生時両立支援助成金①男性労働者の育児休業取得とは、男性労働者が育児休業を取得した場合、事業主に対して支給される助成金のこと。対象事業主の要件、助成金額、申請期限、申請先、必要書類について詳しく解説します。

対象となる事業主

支給対象事業主の要件は4つあり、それらすべてに該当しなければなりません。

  1. 特定の取り組みを実施
  2. 育児休業の取得
  3. 短時間勤務制度の規定
  4. 一般事業主行動計画の策定

①特定の取り組みを実施

特定の取り組みとは、平成28年4月1日以降に男性が育児休業を取得しやすい職場風土づくりのための3つの取り組みのことです。

  • 男性労働者を対象にした育児休業制度の利用を促進するための資料等の周知
  • 管理職による、子が出生した男性労働者への育児休業取得の勧奨
  • 男性労働者の育児休業取得についての管理職向けの研修の実施

②育児休業の取得

要件は、雇用保険の被保険者として雇用している男性労働者に、子の出生日を含んで子の出生後8週間以内に開始する育児休業を取得させたこと。ここでいう育児休業とは、連続14日以上、中小企業の場合は連続5日以上となる育児休業のことです。

同一の子については、育児休業を複数回取得している場合でも、支給対象となるのは1回のみとなります。

③短時間勤務制度の規定

「育児・介護休業法第2条第1号に規定している育児休業の制度」「同法第23条第1項に規定する育児のための短時間勤務制度(対象育児休業取得者が育児休業を開始する前に規定)」について労働協約または就業規則に規定することです。

④一般事業主行動計画の策定

一般事業主行動計画の策定とは、下記の3つです。

  • 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定する
  • 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定した旨を都道府県労働局長に届け出ている
  • その一般事業主行動計画を公表し、労働者に対して周知するための措置を講じている

助成金額

出生時両立支援助成金①男性労働者の育児休業取得の助成金額は、以下の通りです。

1人目の育休取得

1人目の育休取得は、

  • 中小企業の場合57万円
  • 中小企業以外の場合28.5万円

ただし、別途生産要件を満たすと下記のようになります。

  • 中小企業の場合72万円
  • 中小企業以外の場合36万円

2人目以降の育休取得

2人目以降の場合、中小企業では育休が、

  • 5日以上で14.25万円
  • 14日以上で23.75万円
  • 1カ月以上で33.25万円

中小企業以外の場合、

  • 14日以上で14.25万円
  • 1カ月以上で23.75万円
  • 2カ月以上で33.25万円

別途生産性要件を満たした場合、中小企業は、

  • 5日以上で18万円
  • 14日以上で30万円
  • 1カ月以上で42万円

中小企業以外は、

  • 14日以上で18万円
  • 1カ月以上で30万円
  • 2カ月以上で42万円

申請期限や申請先、必要書類

出生時両立支援助成金①男性労働者の育児休業取得の申請期限・申請先・必要書類は、以下の通りです。

申請期限

出生時両立支援助成金の申請期限は、

  • 1人目の育休取得:育休開始日から数えて14日(中小企業は5日)を経過する日の次の日から2カ月以内
  • 2人目以降:特定区分内期間を経過する日の次の日から2カ月以内

ただし、支給申請期間は、育児休業期間にかかわらず育児休業開始日から所定の期間を経過する日の翌日から2カ月間。大企業にて1カ月の育児休業を取得する男性労働者が生じた場合などは、育児休業期間中に支給申請期間が開始する場合もあります。

申請先

申請先は、申請事業主の本社等(人事労務管理の機能を有する部署が属する事業所)の所在地を管轄する都道府県労働局雇用環境・均等部です。

必要書類

申請に必要となる書類は、以下の9種類です。

  1. 「両立支援等助成金支給申請書」の原本
  2. 労働協約または就業規則の写し
  3. 取り組み内容を証明する書類の写し
  4. 対象育児休業取得者の育児休業申出書の写し
  5. 対象育児休業取得者の育児休業前1カ月分および育児休業期間中の就労実績が確認できる書類の写し
  6. 対象育児休業取得者の雇用契約期間の有無などが確認できる書類の写し
  7. 対象育児休業取得者に育児休業に係る子がいることが確認できる書類の写し
  8. 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定、届出、公表、周知の措置を講じていることが分かる書類
  9. 必要な場合には、受取人住所届および通帳の写し等、支払い口座番号が確認できる書類の写し

なお、生産性要件に該当する場合、追加で2つの書類の提出が必要になります。

出生時両立支援助成金①である、男性労働者の育児休業取得の申請要件や手続きをしっかりと押さえておきましょう

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

5.出生時両立支援助成金②育児目的休暇

出生時両立支援助成金②育児目的休暇とは、男性社員が配偶者の出産支援や育児のために取得できる育児目的休暇制度を導入し、就業規則などを規定した事業主に支給される助成金です。対象事業主の要件、助成金額、申請期限、申請先、必要書類などを解説します。

対象となる事業主

支給対象事業主の要件には、取り組み実績など計5つあり、それらすべてに該当しなければなりません。

①育児目的休暇制度の導入

対象は、新たに分割して取得できる育児や出産支援のための休暇制度を導入する事業主や労働協約または就業規則などに規定する事業主です。

要件は、

  • 男性労働者が子の出生前後に育児や配偶者の出産支援のために取得できる育児目的休暇の制度を新たに導入した
  • 新たに導入した育児目的休暇制度を労働協約または就業規則に規定している

②育児目的休暇を取得しやすい環境づくり

男性労働者が育児目的休暇を取得しやすい職場風土づくりのための取り組みを行った事業主が対象になっています。

  • 男性労働者を対象にした育児目的休暇制度の利用を促進するための資料等の周知
  • 管理職による、子が出生した男性労働者への育児目的休暇取得の勧奨
  • 男性労働者の育児目的休暇取得についての管理職向けの研修の実施

③育児目的休暇の取得

雇用保険の被保険者として雇用している男性労働者に対して、下記を行うことがが要件になります。すでに育児休業に入っている労働者が休業中に育児休暇制度を利用しても支給対象とはなりません。

  • 子の出生日も含む子の出生前6週間から出生後8週間以内に新しく導入した休暇制度に基づき、労働者1人につき合計して8日以上の育児目的休暇を取得させた
  • 中小企業事業主の場合は、5日以上の育児目的休暇を取得させた

④短時間勤務制度の規定

下記について、労働協約または就業規則に規定することが要件になります。なお、この短時間勤務制度の規定は、対象育児休業取得者が育児休業を開始する前に規定していなければ、支給対象事業主の要件を満たしたことにはなりません。

  • 育児・介護休業法第2条第1号に規定する育児休業の制度
  • 同法第23条第1項に規定する育児のための短時間勤務制度

⑤一般事業主行動計画の策定

次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、届出、周知を行った事業主が対象になります。

  • 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定する
  • 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定した旨を都道府県労働局長に届け出ている
  • 一般事業主行動計画を公表し、労働者に周知するための措置を講じている

助成金額

出生時両立支援助成金②育児目的休暇の助成金額は、

  • 中小企業は28.5万円
  • 中小企業以外は14.25万円

別途生産性要件を満たした場合には、

  • 中小企業の場合36万円
  • 中小企業以外の場合18万円

申請期限や申請先、必要書類

出生時両立支援助成金②育児目的休暇の申請期限、申請先、必要書類は以下の通りです。

申請期限

申請期限は、

  • 当該休暇の取得日数が合計8日の制度利用の最終日の翌日から2カ月以内
  • 中小企業の場合、育児目的休暇の取得日数が5日の制度利用の最終日の翌日から2カ月以内

一般企業と中小企業とでは、申請期限に違いがあり、申請期限に遅れると助成金の申請ができなくなります。漏れのないように申請してください。

申請先

申請先は、申請事業主の本社等(人事労務管理の機能を有する部署が属する事業所)の所在地を管轄する都道府県労働局雇用環境・均等部です。

必要書類

申請にあたり必要となる書類は計8種類です。

  1. 「両立支援等助成金支給申請書」の原本
  2. 労働協約または就業規則および関連する労使協定の写し
  3. 男性労働者が育児目的休暇を取得しやすい職場風土づくりの取り組み内容を証明する書類の写し
  4. 対象育児目的休暇取得者の育児目的休暇申出や取得実績が確認できる書類の写し
  5. 対象育児目的休暇取得者の育児目的休暇を取得した期間の所定労働日が確認できる書類の写し
  6. 対象育児目的休暇取得者に当該休暇取得に係る子がいることを確認できる書類の写し
  7. 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定、届出、公表、周知を講じていることが分かる書類
  8. 必要に応じて支払方法、受取人住所、支払い口座番号などが確認できる書類の写し

生産性要件に該当する場合、追加で2つの書類の提出が求められます。

出生時両立支援助成金②育児目的休暇の申請要件や手続きを事前にしっかりと押さえ、滞りなく進めましょう