ベネフィットとは?【メリットとの違い】使い方、具体例

ベネフィットとは、顧客が商品やサービスを利用したことで得られるポジティブな変化のこと。ここではメリットとの違い、使い方や具体例などを解説します。

1.ベネフィットとは?

ベネフィット(benefit)とは、物事から得られる利益のこと。金銭的な意味だけでなく 「恩恵」「便益」など、心理的・機能的な利益も含みます。

ほかにも企業の福利厚生といった、給与以外に受け取る手当や給付金もベネフィットのひとつです。まれにチャリティーコンサートの慈善興行を意味する言葉としても使われます。

ビジネスにおける意味

ビジネスでは、商品やサービスを体験した先にある利益や恩恵を指します。かんたんにいえば、顧客が購入した商品やサービスを利用したことで得られる嬉しい変化です。そのため顧客のベネフィットをアピールすると、購買意欲を高められます。

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2.ベネフィットとメリットの違い

ベネフィットと似た意味の言葉に「メリット」があります。2つには明確な違いがあるものの、いずれも利益を意味するため混同されがちです。

メリットとは?

物事において、肯定的に評価される要素を指す言葉です。英語の「merit」は「長所」「価値」を表し、日本語のメリットは「利点」「有利」「得」などの意味で使われます。たとえば「このサービスにはメリットが多い」「この商品のメリットは○○です」など。

ほかのものと比較したときに、差別化できる点はメリットといえます。

双方の違い

メリットは「商品やサービスの利点や長所」を指し、ベネフィットは「商品やサービスのメリットによって得られる恩恵」を指す点が異なります。

経済学者セオドア・レビット博士の言葉に、「人々が欲しいのは1/4インチのドリルではない。彼らは1/4インチの穴が欲しいのだ」というものがあります。かんたんに言うと、「希望どおり1/4インチの穴が開けられるのなら、ドリルでなくてもよい」という意味です。

つまりベネフィットは最終目標、メリットはそれを達成する選択肢のひとつといえます。

ベネフィットを提示して成功した事例

マーケティング戦略を立てる際、ベネフィットの提示は非常に重要です。スティーブ・ジョブズ氏は「iPod」を発売したときに「IPod。1,000曲をポケットに」とベネフィットを語り、人々を熱狂させました。

iPodのメリット(利点)としては、以下の点が挙げられます。

  • 小型で軽量
  • 5GBの大容量
  • 連続10時間再生可能

しかしこのような機能的メリットを説明しただけでは、iPodの魅力が伝わりません。そこでジョブズ氏は、「好きな音楽を大量に携帯できて、いつでもどこでも聴ける」というベネフィットを提示し、顧客の購買意欲を刺激したのです。

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3.ビジネスにおける3種類のベネフィット

経済学者のデビッド・アーカーはベネフィットを以下の3種類に分類しました。これらを使いわけると、顧客に商品やサービスの魅力を最大限に伝えられます。

  1. 機能的ベネフィット
  2. 情緒的ベネフィット
  3. 自己実現ベネフィット

①機能的ベネフィット

商品やサービスの機能によってもたらされるプラスの効果。具体的には「早い」「軽い」「安い」「かんたん」「おいしい」などが挙げられ、メリットと似た意味で使われます。

機能的ベネフィットを提示すると、「損をしたくない」という顧客の警戒心がやわらぎ、商品やサービスに興味を持つきっかけを作れるのです。購買までの心理的ハードルを下げたいときに役立ちます。

②情緒的ベネフィット

商品やサービスの利用によって得られる好意的な感情のこと。具体的には「安心感」「幸福感」「優越感」「楽しさ」などで、よい顧客体験をイメージさせます。

情緒的ベネフィットにはブランディング効果があり、購買意欲を高めるだけでなく、購入後も良い関係を築きやすくなるのです。ただし情緒的ベネフィットは人によって異なるため、顧客に合ったベネフィットを見極めて提示する必要があります。

③自己実現ベネフィット

商品やサービスの利用によって実現できる自分の姿のこと。具体的には「自分らしくいられる」「自分に自信が持てる」などです。

誰にでも「理想の自分に近づきたい」という自己実現欲求があり、「理想の自分に近づくためなら、ある程度の対価はやむを得ない」と考える人も一定数います。

そのような人に自己実現ベネフィットを提示すると、購買意欲を高められるのです。自己実現ベネフィットは、高額な商品やサービスの販売で用いられる傾向にあります。

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4.ベネフィットの類語と対義語

ベネフィットの意味をさらに深く理解するため、「類義語」と「対義語」をそれぞれ解説します。ただし類義語に関しては、業界や場面によっては「ベネフィット」以外に言い換えられない場合もあるので、注意しましょう。

類語

ベネフィットの類義語には、以下の3つが挙げられます。

  1. 便益(べんえき)
  2. プロフィット
  3. アドバンテージ

ベネフィットにもっとも近い意味を持つのは「便益」です。

①便益(べんえき)

便利で得になること。金銭的な得だけでなく、集団の幸福や福祉につながる得も指します。たとえば「産業の発達が地域に便益をもたらす」「このサービスの便益を実感してもらう」などです。

なお便益と似た語に「利益」があり、どちらも得になることを意味します。しかし以下のような違いがあるのです。

利益「ビジネスで出した得」

便益「利益があるだけでなく便利である」

②プロフィット

収入から費用を差し引いて残ったもの。たとえば「部品の改良でプロフィットが見込める」「プロフィットを得るためにイベントに出店する」のように使います。

ベネフィットが「心理的な利益」「機能的な利益」も含めるのに対し、プロフィットは「金銭的な利益」のみを意味する言葉。かんたんにいえば、プロフィットは「儲け」、ベネフィットは「満足」と表現できます。

③アドバンテージ

他社と比較した際の優位性。日本のビジネスシーンにおける例文として挙げられるのは、「B社の商品にはない我社のアドバンテージを探す」です。なお英語での本来の意味には「優位」のほかに「有益」「利益」「長所」などがあります。

またマーケティング用語には、「先行者利益」を意味する「ファーストムーバーアドバンテージ(First Mover Advantage)」という言葉があり、「先行者が持つ優位性」という意味で使われるのが一般的です。

対義語

ベネフィットの対義語には「損益」「損失」などが挙げられます。ここでは英語における対義語を3つご紹介しましょう。

  1. ダメージ(Damage)
  2. ロス(Loss)
  3. ディスアドバンテージ(Disadvantage)

①ダメージ(Damage)

「物事の価値を減らす損害や損傷」のこと。人間の心身や物品、組織などさまざまな事柄に対して使用できます。たとえば「紫外線は紙や肌にダメージを与える」「A社との取引中止は、我社にとって大きなダメージだ」「事故で車がダメージを受けた」などです。

なお軍事的な二次被害のことを「コラテラルダメージ(Collateral Damage)」と表します。

②ロス(Loss)

「喪失」や「損失」を意味し、主に時間や機会などを失うときに使われます。たとえば機会の損失を指す「チャンスロス」、時間の消費を指す「タイムロス」、食品廃棄を指す「フードロス」などです。

金融業界では、投資での金銭的な損失を「ロス」といい、「キャピタルロス」は「株式などの資産下落による損失」を意味します。

③ディスアドバンテージ(Disadvantage)

「不利」「劣勢」「不利益」などを意味する言葉です。上述したアドバンテージの対義語で「比較した際の不利な立場」を表します。たとえば「転職はかならずしもディスアドバンテージではない」などです。

また「社会的ディスアドバンテージ」という語もあります。これはある条件を満たす人が社会制度などによる不利益を被ることを指すのです。

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5.ベネフィットの使い方と具体例

ベネフィットは、業界によって別の意味で使われる語です。ここではマーケティングと医療の場面におけるベネフィットの意味と用例について説明します。

マーケティング

マーケティングにおけるベネフィットは顧客が商品やサービスを利用することで得られる恩恵のこと。それぞれの顧客に合ったベネフィットを提示すると、購買意欲を高める効果があります。

たとえば吸水性の高いタオルのベネフィットは、「髪にドライヤーをかける時間を短縮でき、忙しい朝でも余裕を持って支度ができる」といったものです。

医療

医療業界には「リスクとベネフィット」という言葉があります。ベネフィットは、医薬品や医療機器の利用で期待できる「症状の改善」「苦痛の軽減」「治療期間の短縮」などの効果、リスクは薬の服用や医療機器の使用で起こる可能性がある副作用などです。

また医療現場ではベネフィットを「安全性」という意味で使う場合もあります。たとえば「この薬はベネフィットが保証されている」という場合、「この薬の安全性は保証されている」ことを表すのです。

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6.会社経営に欠かせない「フリンジベネフィット」(Fringe Benefits)

フリンジベネフィット(Fringe Benefits)とは、企業独自の規定で従業員へ支払われる給与以外の報酬のこと。「交通費」「社員旅行」「社宅の利用」「保養所の利用」など、企業の福利厚生として提供される「非課税所得」が該当します。

ほかには残業代とは別に支払われる「残業食事代」や、「社外活動費」などのフリンジベネフィットを導入する企業もあるようです。

フリンジベネフィット/Fringe Benefitsとは?【意味を解説】
従業員に対する報酬が高くなれば、それだけ従業員のモチベーションも上がりやすくなりますし、雇用の面でも、良い人材が集まりやすくなります。とはいえ、企業の資金繰りを考えれば、無尽蔵に給与を増加させるわけに...

フリンジベネフィットの効果

フリンジベネフィットは従業員のモチベーション向上に寄与しますが、企業側にも大きなメリットがあります。

  1. 優秀人材の獲得効果
  2. 人材流出を防止
  3. 社内外のブランドイメージが向上

①優秀人材の獲得効果

フリンジベネフィットが充実している企業は、求職者に「従業員を大切にしている」という印象を与えるため、優秀な人材を確保しやすくなります。

近年、働きやすさを求める求職者が増え、企業選びにおいて福利厚生の充実が重視されるようになってきました。そのため企業が優秀な人材をより多く確保していくには、フリンジベネフィットの整備が必要なのです。

②人材流出を防止

バラエティーに富んだ魅力的なフリンジベネフィットを行うと、従業員の自社への愛着を高め、離職を防止します。転職が珍しくなってきた今、企業は既存従業員の流出を防がなければなりません。

従業員の満足度向上には、給与以外の報酬を出す方法があります。従業員が臨むフリンジベネフィットを充実させれば、人材の定着率を高められるでしょう。

③社内外のブランドイメージが向上

フリンジベネフィットの充実は、自社のイメージを高めます。

まず従業員の満足度が高まり、自社へのエンゲージメントが向上します。エンゲージメントの高まった従業員が自社のよいイメージを外部へ伝えるようになり、社外からの信頼が高まるという流れです。

フリンジベネフィットは、結果的にアウターブランディングの効果をもたらすのです。