アノマリーとは? 投資スタイル、季節的・時期的な例

アノマリーとは、理論的根拠では説明できないものの経験的に観測できる変異性のことです。ここでは投資スタイルにおけるアノマリーや時期的なアノマリーの例について解説します。

1.アノマリーとは?

アノマリー(Anomaly)とは、具体的な根拠や倫理では説明しにくい経験則や仮説のこと。マーケットでは「変異性」と訳されます。

投資におけるアノマリーとは「なぜそう動くのか理論で説明はできないけれど、なぜかそうなると事前に決められていたかのように株式市場が動くこと」を意味しす。

実際の投資にアノマリーを使用している投資家も多いため、知識として仕入れておくと、パフォーマンスや投資成績の向上に役立つかもしれません。相場との相関関係について合理的に説明はできないものの、投資判断の参考にするのは可能です。

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2.アノマリーは投資スタイルのひとつ

「変な」「異質な」と訳されるアノマリーは投資スタイルのひとつです。ここでは代表的な3つの投資スタイルと、アノマリーの注目理由について説明します。

3つの投資スタイル

一般的に、投資スタイルの王道は「ファンダメンタル分析」と「テクニカル分析」といわれます。しかし「相場は生き物」と言われるほど、理屈や理論では説明できない事象が発生します。これが第三の投資スタイル「アノマリー」です。

  1. ファンダメンタル分析
  2. テクニカル分析
  3. アノマリー

①ファンダメンタル分析

財務状況や業績をもとに相場を分析する手法のこと。ファンダメンタルズ分析とも呼ばれます。

ファンダメンタルとは経済指標のこと。成長率や決算、収益率などから適切な株価を見出し、購入に値するかどうかを検討します。短期的なトレンドにとらわれず、長期投資で大きな利益を上げられることがファンダメンタル分析のメリットです。

②テクニカル分析

過去の株価値動きから一定の法則を見出して未来の株価を予想する分析方法のこと。分析した結果が早い段階で市場に反映されるため、短期的なトレードに向いているのです。

分析力次第で予測の精度を上げられる一方、実際の相場が必ず過去のパターンと合致するわけではありません。

③アノマリー

ファンダメンタル分析、テクニカル分析のどちらにも当てはまらない、どうしてそうなるのか説明できない動きを使った投資スタイルです。

既存の投資理論では説明できない価格形成や動きがあるものの、繰り返し決まった法則で起き、今後も同じ条件下で起こると予測できるという意味では、テクニカル分析に近いといえます。

アノマリーが広まるのはなぜ?

アノマリーの多くに理論的な根拠はありません。しかしアノマリーが広まり、多くの投資家がそれを信じるようになると、アノマリーの効果が高まります。アノマリーが広まるのは、この値動きをうまく利用すれば市場平均を上回る運用成果を目指せるからです。

なかには需給要因である程度説明のつくアノマリーも存在します。人間の行動や心理に照らし合わせるとある程度要因が見えてくる場合もあるため、一概に根拠のない手法だとは言い切れないのです。

投資家もアノマリーに注目している

「合理的な説明ができない=投資の参考にならない」わけではありません。

アノマリー投資を実践する投資家は、市場のサイクルはある一定の法則にもとづいて繰り返されると考えます。過去のデータや傾向、季節性にもとづいているからこそ、アノマリーを信じて投資するのです。

事実、米国で有名な株式相場の格言に「Sell in May(株は5月に売れ)」があります。これは過去の動きから10月や11月に買って4月から5月に売れば利益が出る、と分析した比較的メジャーな手法です。

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3.投資銘柄属性に関するアノマリー

アノマリーには投資銘柄の属性に関するものと、季節的、時期的なものがあります。ここでは投資銘柄の属性に関するアノマリーについて説明します。

  1. 小型株効果
  2. 割安株効果
  3. 配当アノマリー
  4. モメンタム効果
  5. リターン・リバーサル効果
  6. 低ボラティリティ効果

①小型株効果

時価総額の大きい大型株よりも、時価総額の小さい小型株のほうが多くの利益が得られること。

小型株、すなわち時価総額が小さく流動性の低い銘柄は、大型株に比べて機関投資家の複雑な需給が入りにくい傾向にあります。そのため個人投資家による優待取りの買いが入りやすく、ときには10倍以上の株価になるのです。

②割安株効果

割安株ほどリターンが高く、割高株ほどリターンが低くなる現象のこと。バリュー効果やバリューファクターとも呼ばれます。

特に日本株での有効性が高く、アノマリーのなかでもリターンの高い傾向にあるのです。一般的にPBRやPER、PCFRなどの指標を用いて割安性(本来の価値よりも安い価格が付いている可能性)を測ります。

③配当アノマリー

配当の権利落ち日に向かって株価が市場を上回る現象のこと。一般的に月末の3営業日前に向けてこの現象が起きるのです。

配当アノマリーでは、特に3月後半の権利付き最終売買日に向けて優待銘柄や高配当株の株価が市場を上回ります。単純な割に手堅いリターンが期待できるため、短期筋のヘッジファンドに利用されます。

④モメンタム効果

相場が一方向に進みやすい傾向にあること。株価が上昇している銘柄はさらに上昇し、値下がりしている銘柄はさらに下落する動きで「モメンタムファクター」とも呼ばれます。

⑤リターン・リバーサル効果

値上がり後に値下がりする、あるいは値下がり後に値上がりする相場の現象。とりわけ日本ではモメンタムよりもリバーサルの傾向が強いといわれています。

⑥低ボラティリティ効果

ボラティリティ(価格変動リスク)の低い銘柄に投資して、高いリターンを獲得しようとする手法のこと。

かつて投資の世界ではハイリスク、ハイリターンが当然と考えられてきました。ボラティリティの高い銘柄への投資は、高いリターンが得られる可能性の高さを示していたのです。

しかし近年、「ボラティリティの低い銘柄で構成されたポートフォリオのほうが、高いリターンを獲得できる」といった意見が見られるようになりました。そこで低ボラティリティ効果への注目が高まっています。

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4.季節的、時期的なアノマリー

季節的、時期的なアノマリーにはさまざまな種類があります。これらに関する知識が、有利な投資戦略につながるかもしれません。

  1. 1月効果
  2. 節分天井、彼岸底
  3. 4月に日本株か買われやすい
  4. 夏枯れ相場
  5. ハロウィーン効果
  6. 年末ラリー
  7. 大統領サイクル
  8. 月替わり効果
  9. 魔の水曜日
  10. 2日新甫(しんぽ)は荒れる
  11. 十二支のアノマリー

①1月効果

マーケットにおける1月の収益率が、ほかの月よりも高くなりやすい現象のこと。「年末に税金対策としての売りが出やすくなる」「年が明けると新たな資金流入がしやすくなる」などが原因といわれています。

②節分天井、彼岸底

「節分天井」とは、多くの国内企業で第三四半期決算が行われる2月上旬に株価が高値になる現象のこと。節分天井以降、3月中旬まで株価は下がりやすくなります。

3月中旬を過ぎると4月以降の株高を期待した資金が回ってくるため、3月中旬が底値になりやすいといわれており、これを「彼岸底」呼ぶのです。

③4月に日本株が買われやすい

新年度の配分が4月から5月にあり、また新年度で機関投資家からの買いが入るため、4月の日本株は買われやすいとされている内容のこと。

これは日本人投資家だけでなく外国人投資家も同様です。配当利回りが高く、外国人保有株比率の高い銘柄ほどこのアノマリーが当てはまりやすくなります。

④夏枯れ相場

7月から8月にかけての市場閑散期に出来高が縮小、株価軟調になりやすいアノマリーのこと。とりわけ8月になると取引参加者が減り、相場の動きが鈍ります。これは多くの日本人投資家が8月のお盆を中心に夏期休暇を取得するのが要因です。

⑤ハロウィーン効果

米国にある「10月に買って4月に売れ」というアノマリーのこと。毎年10月のハロウィーンシーズンがファンドの決算期にあたり、多くの機関投資家が株を売却するためです。

このハロウィーンシーズンに買いを仕込み「Sell in May(株は5月に売れ)」で売る流れが効率的といわれています。

⑥年末ラリー

文字どおり年末にかけて株価が上昇するというアノマリーのこと。年末、クリスマス休暇を取る市場参加者が増えてくると、売り圧力が弱まって株高になるため「サンタクロースラリー」とも呼ばれます。

⑦大統領サイクル

米国大統領選挙のサイクルと株価のあいだにも相互関係がある、と考えるアノマリーのこと。

「4年周期の選挙にともなって支持率を意識した政策が出される」「大統領選挙の年に向かって株価は上昇する傾向にある」などが要因といわれています。

⑧月替わり効果

月の変わり目に株価が上昇しやすいアノマリーのこと。「機関投資家のリバランスが月末に行われる」「給料日が月の後半に多い」などが要因として考えられます。

最終取引日から翌月はじめの3取引日(6日間あるいは月の前半とする意見も)に株式を保有すると、この効果が得られるといわれているのです。

⑨魔の水曜日

SQ値(先物取引やオプション取引で、決済最終日まで反対売買がなかった際の清算に適用される指数)の算出がある水曜日は、相場が軟調になりやすいというアノマリーのこと。魔の水曜日には相場が一方通行になりやすいため注意が必要となります。

⑩2日新甫(しんぽ)は荒れる

その月最初の取引日を「新甫」といいます。たとえば1日が休日の場合、取引所も休みで、最初の取引日は2日になるのです。このとき相場は大きく変動しやすい傾向にあるため「2日新甫は荒れる」というアノマリーが生まれました。

⑪十二支のアノマリー

干支(十二支)にまつわるアノマリーもあります。

最後の干支「亥(いのしし)年」には「亥(いのしし)固まる」という相場格言があります。これは株価急落や凍り付いて固まるという意味ではなく、最初の干支「子」に循環するためエネルギーを蓄えておくという意味です。

株式相場では次の段階へ進む根固め期間と考えており、事実過去には小幅な値動きにとどまる年もありました。

ただしリーマンショックの前年や原油価格高騰による世界株安などの影響を受けた年もあったため、実際の投資に有効と判断するのは難しいとする声もあります。

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5.アニメを用いたアノマリー

マーケットには投資銘柄の属性や時期的なものなどたくさんのアノマリーがあります。ここではアニメを用いたユニークなアノマリーについて説明します。

  1. サザエさん効果
  2. ジブリの法則

①サザエさん効果

毎週日曜日に放送されるテレビアニメ「サザエさん」にちなんだアノマリーです。サザエさんの視聴率平均がよい年は株価が下がり、悪い年は株価が上昇する傾向にあるためその名が付けられました。

これには個人消費の影響があるといわれています。高視聴率=景気が悪くて自宅にいるため消費の面で悪影響を与えている、と分析する声もあるほどです。

②ジブリの法則

日本テレビの「金曜ロードショー」でジブリ作品が放送されると、週明け相場が荒れるというアノマリーです。これはアメリカの雇用統計とジブリの放送日が重なる場合も多いため、と考えられています。