暗黙知とは?【意味をわかりやすく】形式知、例、見える化

暗黙知とは経験や勘に基づく知識のこと。暗黙知と関わりのあるナレッジマネジメントを含めて解説します。

1.暗黙知とは?

暗黙知とは、「経験や勘、直感などに基づく知識」「簡単に言語化できない知識」「言語化しても、その意味すが簡単には伝わらない知識」「個々人が言葉にされていないものとして保持している知識」のことで、経験的知識とも呼ばれるのです。

対極にあるのは文章や数式、図形や表などによって説明できる形式知で、こちらは明示的知識ともいわれます。

ナレッジマネジメントでは、暗黙知と形式知がセットで語られます。

暗黙知とは、経験や勘、直感などに基づく知識・簡単に言語化できない知識のこと。対極にあるのは形式知です

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2.暗黙知の意味とナレッジマネジメント

経験や勘などを基にした言語化できない知識である暗黙知をより深く理解するために、語源や具体例を解説します。また、暗黙知はナレッジマネジメントと密接な関係があるため、ナレッジマネジメントも併せてご紹介しましょう。

暗黙知の語源

暗黙知の語源は、1966年にハンガリーの物理化学者であり社会科学者のマイケル・ポラニーが発表した『暗黙知の次元』にあるといわれています。

その中でマイケル・ポラニーは、暗黙知を科学哲学上の概念としました。語源はポラニーの発言ですが、実際に暗黙知を社会に広めたのは経営学者である野中郁次郎なのです。

野中は後述するSECI(セキ)モデルの中で、暗黙知と形式知が相互に作用し合って生まれる相互変換について言及しています。

暗黙知の具体例

暗黙知の具体例は、日本の企業文化です。日本企業は、長年の経験やノウハウ、熟練職人の勘やコツを代々受け継いできたため、職場のOJTや業務外の宴席などで図られるコミュニケーションなど、暗黙知を継承する場が複数存在したのです。

しかし、経営統合や事業売却、非正規雇用の拡大など企業の外部環境の変化や時代の流れにより、日本の企業文化は大きく変わりつつあります。そのため今後は、暗黙知をいかに形式知化していくかが求められているのです。

形式知化するナレッジマネジメント

ナレッジマネジメントとは、個人の暗黙知を形式知に変換して、作業の効率化や知識の共有などを行うこと。昨今、企業を取り巻く環境の変化により、企業ごとの暗黙知である、経験・ノウハウ・勘などの文化継承が困難になりつつあります。

そこで、「個々の従業員が持つ暗黙知を形式知化する」「形式知化して視覚化された暗黙知を全社的に共有する」というナレッジマネジメントが注目を集めているのです。

企業を取り巻く環境の変化により、個々の従業員が持っている暗黙知を形式知化するナレッジマネジメントが注目を集めています

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3.ビジネスにおけるナレッジマネジメント

ビジネスの世界では、ナレッジマネジメントが登場する場面が多くあります。そんなナレッジマネジメントのさまざまについて解説しましょう。

ビジネスで使われる機会の多いナレッジ

ナレッジには、「経験や体験を通して得ることができた知識」「企業にとって有益な情報」「付加価値のある知識や認識」といった意味があります。そんなナレッジをビジネスシーンで使う具体例は、下記の通りです。

  • ネットワークシステムを活用して、知識の共有化を図ることを示すナレッジシェアリング
  • 業務を通して得た知識を会社全体で共有することを意味するナレッジマネジメント
  • 業務に関する知見をまとめたデータベースを指すナレッジベース

ナレッジを共有するメリット

企業全体でナレッジを共有すると、下記のようなメリットが得られます。

  • 業務の効率化
  • 社内のコミュニケーションの円滑化や活性化
  • 業務上の問題点や改善点の発見
  • 業務上の問題点の改善策立案

また社内全体でナレッジを共有すると、下記の実現が可能です。

  • ナレッジに対して、より多様な意見を集約する
  • ナレッジを共有して、社内の共通意識を構築する

ナレッジを蓄積化・共有化する方法

ナレッジを会社全体で蓄積化、共有化する方法は、下記の2つです。

  1. 社内のナレッジをマニュアル化する
  2. 言語化できない、あるいはされていない暗黙知を、形式知として言語化していく

電話応対、来客応対、営業手法などをマニュアル化すると同時に、個々人の経験や勘にゆだねられていた暗黙知を社内で共有できるよう形式知に変換します。これにより、ナレッジを社内で蓄積化、共有化できるのです。

ナレッジマネジメントの目的

ナレッジマネジメントの目的は、企業としての価値を高めることで、ナレッジとは、「経験や体験を通して得た知識」「企業にとって有益な情報」「付加価値のある知識や認識」です。

優秀な人材が持つナレッジを社内で共有できれば、従業員の能力やレベルが向上し、企業の業績や価値の向上が期待できるでしょう。

ナレッジは、企業にとって有益な情報や経験を通して得た知識のことです。ナレッジの共有は、自社の企業価値向上につながります

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4.ナレッジマネジメントを構成する4つの要素

ナレッジマネジメントには、それを構成する4つの要素があります。またナレッジマネジメントは、SECIモデルという名の手法を用いるのです。SECIモデルと4つの構成要素について解説しましょう。

SECIモデル

SECIモデルは、「共同化」「表出化」「結合化」「内面化」という4つのフェーズから成り立つもので、下記のような役目を担っています。

  • グループなどでの暗黙知の共同化および、新しい暗黙知の創造
  • グループが保有している暗黙知を形式知として表出化させる
  • 形式知化した暗黙知を結合させることで、新しい知識を創造する
  • 新しい知識を組織の内面に浸透させ、新しい暗黙知として習得する

場のデザイン

「場」とは、会社などの組織における暗黙知や形式知が形成、醸造されるところのことで、ナレッジマネジメントの場の具体例として挙げられるのは、「社内SNS」「休憩室」「喫煙所」「業務後の宴席」などです。

業務を行うオフィスに限らず、雑談によってさまざまな意見交換が自由闊達にできる場所をデザインする、これは、ナレッジマネジメントに不可欠な要素です。

知識資産としての継承

ナレッジマネジメントの要素には、ナレッジを知識資産として継承することも重要になります。なぜなら、下記を実施するとナレッジマネジメントの効率化が進むからです。

  • ナレッジマネジメントを知的な資産として捉える
  • 知的な資産を社内で蓄積する
  • 蓄積された知的な資産を次世代に継承していく

ナレッジを知識資産として継承するためにも、といった準備を行う必要があります。

  • 企業理念を明確化
  • ナレッジの共有化

ナレッジリーダーシップ

ナレッジリーダーシップとは、ナレッジリーダーに求められるリーダーシップで、ナレッジマネジメントの結果を左右します。またナレッジリーダーは、SECIモデルに沿ってナレッジマネジメントを行うリーダーで、下記のようなリーダーシップが求められます。

  • 知識ビジョンを掲げてナレッジマネジメントができる場を多く作る
  • SECIモデルの4つのフェーズに沿ったプロセスを使ってリードする

ナレッジマネジメントでは、「SECIモデルの活用」「場のデザイン」「知識資産の継承」「ナレッジリーダーシップ」に取り組みます

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5.ノウハウの共有を効率化するツール

ナレッジマネジメントのノウハウ共有を効率化できるツールがあります。一体どんなものか、特徴やメリット、基本的な機能について解説しましょう。効率化ツールを導入する際の参考にしてください。

ナレッジマネジメントツールの特徴

ナレッジマネジメントツールは、ナレッジマネジメントを効率化するためのサポートツールで、下記の4種類があります。

  • 質問の多い項目をデータベース化する「ヘルプデスク型」
  • 社内のデータベースにアクセスし、より満足度の高い回答を共有する「業務プロセス型」
  • 社内の優秀な人材の行動思考パターンを形式知化する「ベストプラクティス型」
  • 改善点や成功事例から学べることは何かという視点で捉える「経営資産・戦略策定型」

ツールを活用するメリット

ナレッジマネジメントツールを活用すると、下記のようなメリットが得られます。

  • 社員のスキルを全社的に底上げできる
  • 業務の中の手間を削減し、効率化を推進できる
  • 社内のデータ統合が容易になる
  • ナレッジをリコメンデーションできる

ナレッジマネジメントツールを使うと、進行や判断、決定にスピード感が生まれるため、これらメリットをより早く享受できるようになると考えられているのです。

ツールに備わっている基本的な機能

ナレッジマネジメントツールに備わっている基本的な機能は、下記の通りです。

  • ヘルプデスク(FAQ)
  • ファイル共有
  • 検索
  • グループウェア
  • eラーニング
  • SNS

ナレッジマネジメントシステムは、暗黙知を形式知にして情報共有することに長けています。たとえば、「ナレッジを絞り込んで検索する」「ナレッジごとにタグやコメントを付ける」「閲覧頻度を管理する」などで必要なナレッジを効率的に可視化できるのです。

さまざまな機能を持つナレッジマネジメントツールを活用すれば、暗黙知を形式知化する作業が効率よく進むでしょう