アジリティ(Agility)とは|高め方、ビジネスでの活かし方

アジリティとは何でしょうか?

ここでは、

  • 「アジリティ」という用語の説明
  • ビジネスシーンで注目されている理由と背景
  • といった基本的なことから、
  • アジリティが高いとされている組織の特徴
  • 企業のアジリティを高める方法と人材育成
  • 経営者に必要とされるラーニングアジリティ
  • IT時代のアジリティの高いシステム

など経営におけるアジリティまで、多岐にわたって紹介します。

1.アジリティとは?

ビジネス用語としてのアジリティとは経営や組織運営において、目まぐるしい環境変化に即時に対応していく機敏性のこと。

情報化社会が進む昨今、目まぐるしいスピードで企業を取り巻いている状況は変化しています。そういったことから現在、アジリティの高さが強く企業に求められているのです。

Agilityの訳・用例

アジリティ(Agility)は、

  • 機敏さ
  • 素早さ
  • 敏しょう性

といった意味を持つ言葉で、サッカーやバスケットボールなどスポーツでもよく使われています。また「運動時に身体をコントロールする能力」という意味も持ち、能力を高めるためのアジリティトレーニングなどがあります。

アジャイル(Agile)とは?
「アジャイル」(Agile)とは、
  • 素早い
  • 身軽な
  • 機敏な

といった意味を持つ形容詞のこと。IT系などでよく使われている言葉で、迅速かつ適応的にソフトウェアの開発を行うときに用いられることが多いです。

犬の障害物競争
犬の障害物競走の名称に「アジリティ」の言葉が使われています。

これは、指導手と犬が息を合わせながら、制限時間内にコース上に設置された「ハードル」「トンネル」「シーソー」といった障害物を次々とクリアしていく競技のこと。

アジリティとは、機敏性といった意味を持つ言葉で、ビジネスでは環境変化に対応できる企業の能力のことをいいます

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2.アジリティが注目されている理由・背景

アジリティが注目されている理由として、

  • 企業を取り巻くビジネスのスピードが増した
  • あらゆる面で状況変化が頻繁に起こるようになった

などが挙げられます。

この数年は不確実性の時代に入ったとされ、「今後どのような事態が起きるか予測がつかない」ともいわれているのです。そういった背景から、企業の新たな指標としてアジリティが求められるようになりました。

不確実性が高く、不透明な時代(VUCA)

現在はVUCAの時代といわれています。

VUCAとは、

  • Volatility(激動)
  • Uncertainty(不確実性)
  • Complexity(複雑性)
  • Ambiguity(不透明性)

それぞれの頭文字をつなげた言葉で、予測がつかない不安定な状況という意味。1990年代後半のアメリカで軍事用語として使われていましたが、2010年代頃からビジネス業界でも使われるようになりました。

現在はどのようなことが起こるか予測がつかない不確実性の時代といわれ、アジリティが強く求められています

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3.機敏性(アジリティ)と俊敏性(クイックネス)の違い

クイックネス(俊敏性)とは、純粋なスピード能力を指す言葉のこと。

  • いかに早く動くことができるのか
  • 刺激に反応して素早く動けるのか

といった意味として使われています。

アジリティ(機敏性)とは、対応力の高さを表す言葉のこと。

  • 刺激や障害に対して、どのくらい的確に素早く対応できるか
  • 即座にその場に合った判断を下し、自分で行動できるか

といった意味で用いられています。

Speed(スピード)、Agility(アジリティ)、Quickness(クイックネス)

SAQとは、それまで簡単に「速さ」と片づけられていた能力を3種類に細分化したもの。

  • Speed(スピード):速度の速さ
  • Agility(アジリティ):物事に反応して動き出す際の速さ
  • Quickness(クイックネス):状況に対して判断する速さ

サッカーやフットボールなどのスポーツの世界においては、SAQそれぞれの要素を体系化させた漸進的なトレーニングが行われています。

「必要なのは俊敏性ではなく、敏しょう性」(ローランド・ベルガー日本法人会長 遠藤功)

経営コンサルタントであり、ローランド・ベルガー日本法人会長の遠藤功氏は、ビジネスシーンにおいて企業が伸び続けるために必要なのは、「俊敏性ではなく、敏しょう性だ」と説いています。(「THE21」2016年2月号より)※←引用箇所が雑誌のようですのでこのままの表記にいたしました。

  • 俊敏性:あらかじめ進路が決まっている中で、目的地に向かうまでの移動の速さ
  • 敏しょう性:複数の選択肢がある状況で、最適な判断ができて素早く行動できる能力

「俊敏性(クイックネス)」は純粋なスピード能力、「機敏性(アジリティ)」は状況に対応していく能力です

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4.経営におけるアジリティとは?

情報化社会が進む現在、企業を取り巻く環境は目まぐるしい速さで変化しています。

  • 世の中全体のニーズ
  • 取引先の動き
  • 現場のモチベーション
  • 従業員一人ひとりの能力

アジリティは企業活動のあらゆる面に対して最適に判断し、迅速に対処できる能力です。これからの時代の企業には、アジリティは強く求められています。

企業活動のアジリティの具体例

企業活動でどのような行動、意識がアジリティにつながっていくのか。その具体例を挙げていきましょう。

  • 組織のビジョンを明確に持つ
  • 素早く最適な判断力を持つ
  • フレキシブルな働き方に対応していく

経営におけるアジリティとは、目まぐるしく変化していく社会の中で、適時に判断を下し、迅速に対応していく能力のことです

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5.なぜ仕事はスピードが命なのか?

「成功者は、とてつもなく行動が速い」といわれています。仕事においてスピードが重要とされている理由は何でしょうか?「仕事はスピードが命」だとされている理由を以下に挙げていきます。

  • 素早く仕事をこなすことで現場はもちろん、取引先の信頼も増す
  • 結果を早く出すことで、すぐに次の行動へと移行できる
  • 新しい技術や情報などを、鮮度を保ったまま顧客に提供できる
  • 慌ただしい現場では、経験やスキルの高さよりも、迅速に仕事をこなせることが鍵となる

仕事が早いことで得られるメリット

  • 現場や取引相手に好印象を与えることができ、仕事を円滑に進めることができる
  • 確認作業に時間を割くことができるので、ミス防止にもつながる
  • 仕事を早く終わらせることで、空いた時間でリフレッシュできる
  • 空いた時間で勉強などができて、自分を磨くことが可能になる

仕事が遅いときのデメリット

  • 現場や組織内、取引相手との信頼を失ってしまう
  • 大した成果を挙げられず、仕事の効率が低下していく
  • 仕事に追われてばかりとなり、自分の時間をつくることができない
  • 自分の時間をつくれないため、リフレッシュや自分磨きができない

仕事ではスピードが命。早く仕事をこなすことで大きな結果や信頼が得られます。また仕事に費やす時間を短縮することで、空いた時間を有効に使えます

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6.アジリティのある組織とは?

アジリティ、つまり機敏性のある組織は、

  • 将来に適応するために「計画的に組織変革すること」
  • 今起こっている変化に「創発的に適応すること」

の両面を併せ持っています。

そういったことから組織の特徴として、

  • 組織内で行動指針となる価値観が共有されている
  • 経営陣が各部署と円滑なコミュニケーションが取れている
  • リスクについて思慮深く検討し、柔軟に対処できている
  • 経験から学んだことを応用できる力を持っている

といった点が挙げられているのです。

「組織のアジリティ」の定義

会社組織のアジリティは「課題解決の素早さ」だと定義されています。アジリティはコスト削減、環境改善といった面ばかりが注目されがちですが、

  • 従業員一人ひとりが問題点に気付き、自らの手で改善を行う
  • 業務遂行の品質がスパイラルアップされていく

といった意識が組織の根底にあるかどうかがポイントとなります。経営管理や経理、人事に限らず、あらゆる部署にあるさまざまな問題点を素早く解決していく意識と能力を備えていることが重要となるのです。

アジリティのある組織の特徴は、従業員一人ひとりが課題を速やかに解決していく意識と能力を持つこと、その結果、組織全体が状況変化に対応していけることの2つです

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7.アジリティの高い組織の特徴

アジリティの高い組織の特徴として、以下のポイントが挙げられます。

  • 組織のビジョンが明確で、従業員が目的意識を持っている
  • コミュニケーションが活発な現場
  • 組織の置かれている現状を把握する能力が高い
  • 従業員一人ひとりに柔軟な発想力と応用力がある
  • 状況に応じて適切な判断ができ、速やかに行動できる
  • リーダーシップを持つ従業員が多い
将来志向の戦略 組織の成り立ち(ミッション)ややるべきことが明確である
先々の変化を常に意識している
行動指針となる価値観が共有されている
環境を認知する能力 経営幹部が将来について考える時間を多く取っている
多くの従業員が外部と接することができる構造になっている
情報が共有され、組織内外で何が起こっているのか良く知っている
各経営陣が各階層とコミュニケーションをとることにかなりの時間を使っている
実践しながら創発する能力 リスクについて思慮深く検討し、その上で革新を推進している
資源配分が柔軟で、適切に活用できている
経験から学んだことを、応用することができる
改善し自己変革する能力 人材開発を重視している
報酬制度が柔軟で、タイムリーに評価している
誰もが必要に応じてリーダーシップを効果的に発揮することができる
組織の自己変革能力がある

アジリティの高い人材の特徴

アジリティの高い人材の特徴は、ただ行動が速いだけでなく、正確さを兼ね備えていること。

  • 問題を注意深く調べて、新たなつながりを見出すことができる
  • 自分自身の能力と立場をよく理解して、状況の変化に対応できる
  • モチベーションを維持したまま、事態に対処して結果を出すことができる

アジリティの高い組織の特徴とは、状況変化に対して柔軟な発想力で適切に対処できる人材を擁していること

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8.企業のアジリティを高める方法

変わりゆく時代に対応するには、組織のアジリティの向上が急務でしょう。

  1. IT環境を整備する
  2. 現場の裁量を大きくする
  3. 経営理念を従業員に浸透させる
  4. 情報共有やコミュニケーションに関するツールを導入する

①IT環境を整備する

アジリティの向上には、組織内で迅速に行動できる環境づくりが欠かせません。申請や連絡時に紙を用いていては、承認までの過程に時間がかかるでしょう。

IT環境を整えることで社内間での連絡事項の伝達が速やかに行われる、申請時の手間が省けるといったメリットが生まれます。

②現場の裁量を大きくする

個人の裁量が限定されていると、仕事を進められる範囲は狭くなるため、仕事を進めるスピードも遅くなります。

組織の方向性だけを従業員に示す、現場での行動は従業員の判断に任せるなど現場での裁量を大きくすることで、適切な判断力と柔軟な対応力が養われます。

③経営理念を従業員に浸透させる

現場の裁量を大きくすることでアジリティは向上します。しかし、経験と能力が伴っていない従業員に裁量を任せると、かえって組織の混乱を招いてしまうでしょう。

自社の経営理念や行動指針を明確にする、業務に必要な知識を現場で共有するなど、すべての従業員に経営理念とそれに基づく知識を浸透させることが重要です。

④情報共有やコミュニケーションに関するツールを導入する

「カオナビ」というツールは従業員の個性を一目で把握できる「人材管理システム」です。

従業員のスキルや評価履歴といった情報を一元管理、情報を共有し、それをもとに、課題解決に必要な従業員のスキルをマネジメントできるといったメリットが得られます。

「カオナビ」の柔軟なデータベースと機能はさまざまな局面で活用できるため、組織の活性化につながります。

「経営理念の明確化」「IT環境の整理」「現場での裁量を大きくする」この3つは、組織のアジリティの向上につながります

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9.アジリティを重視した人材育成の方法

自社の経営について大きな方針を立てて、従業員すべてにそのビジョンを浸透させることが重要です。

  • 対象者の現状と能力をよく見極めて納得できる計画を立てる
  • 現場ではある程度、対象者の裁量に任せて経験を積み重ねていく
  • 対象者の立場に立ったコミュニケーションを心掛け、定期的にフィードバックを行う
  • 組織全体で対象者の育成に取り組み、サポートしていく体制をつくる

などがポイントとなります。

アジリティを重視した人材育成をするには、まず自社の経営方針を明確にし、そのビジョンを組織全体に浸透させましょう

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10.経営者に必要とされるラーニングアジリティとは?

2016年10月10日の日本経済新聞に掲載された、人事コンサルティング企業であるコーン・フェリーのCEOゲーリー・バーニソン氏のインタビューによって、日本でも「ラーニングアジリティ(学習機敏性)」が浸透していきました。

  • 速やかに経験から必要な知識を学んでいく
  • 初めての環境でも、今までの経験を応用していく

企業を成功に導くためにも、「ラーニングアジリティ」は経営者にとって必要なスキルだといわれています。

ラーニングアジリティは、経験から素早く学び、どんな環境下でも成功に導くことができるという、経営者にとって欠かせないスキルです

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11.IT時代のアジリティの高いシステムとは?

経営方針の変更やニーズの変化に対して、機敏に対応できる柔軟な情報システムは不可欠です。

組織の機敏性を向上させる人材システム

かつては特定のベンダー製品のみで構築された汎用系の情報システムが採用されていました。これらは、トラブルが許されない金融系や基幹系などで、主に使われていましたが、

  • 開発や改修に時間がかかる
  • 他ベンダーの製品との連携に手間がかかる

といったデメリットがあるため、

  • システムの仕様変更による改修が容易になる
  • 他ベンダーの製品との連携も可能

といったメリットを持つオープン系のシステムが主流となりつつあるのです。

変化に対して機敏に対応できる情報システムは、アジリティの高いシステムとして、主流となりつつあります