アカウンタビリティとは? 重要性、使い方、考え方のステップ

ニュースや業務の場でよく耳にするアカウンタビリティという言葉をご存じでしょうか?アカウンタビリティとは、業務の詳細や状況を他社に説明する義務のことです。

  • アカウンタビリティの意味
  • 必要性
  • 目的

などについて解説しましょう。

1.アカウンタビリティとは?

アカウンタビリティとは、自身が担当し権限を持つ事柄の状況やより詳細な内容を利害関係者に説明する義務のこと。日本では説明責任や説明義務とも呼ばれています。このことからも一定の重みがあると分かるでしょう。

たとえば株主総会では、株主に経営状況を説明しなければなりません。もともと、こういった場面での状況を指す言葉だったのです。

もとは経営用語(会計責任)

アカウンタビリティは経済学から派生した言葉のため、

  • 経営者が株主や投資家に対して、企業の経営状態や財務内容を報告する義務
  • 企業から他の利害関係者に状況を説明する責任

として使われることも多いです。

企業の株主は経営者ではないため、財務状況や経営に関する情報が少なく不安要素が多いです。それらのフォローのためにも、経営者はアカウンタビリティによって企業の情報を開示しなければなりません。

アカウンタビリティを日本語にする場合(訳語)

日本語では説明責任、答責性などと訳されます。アカウンタビリティは一般的に個人や企業などに関係なく担当や権限を持つ事柄について詳細な説明をするという意味で使われます。

権限を持っている人は責任があり、また責任を持っていることで、方針や考え方を説明する義務が生じます。

失敗やミスを防ぐ場面などで、利害関係者に納得してもらえるよう説明するのが説明責任なのです。今後の方針などを認識してもらうために行うものでもあります。

ビジネス上の意味を簡単に説明すると……

企業は利害関係者に対して、財務や経営の状況などを説明する義務があります。しかし義務だけでなく、企業が自らの行動・選択・決定のもととなる考えなどを明言する、という意味でも使われます。

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2.アカウンタビリティ=「説明責任」ではない?

説明責任と訳されることも多いアカウンタビリティですが、多様な意味を持つ言葉でもあります。

企業と利害関係にある場合では、責任の追及という意味で使われることが多いです。しかし事態への対応や改善に向けた取り組みとして使われるケースもあります。この場合は、関係者が前もって説明し、理解を得るために説得する行為、となるのです。

アカウンタビリティ・説明責任・情報開示責任の本来的な関係

前述の通りアカウンタビリティは、事態への対応や改善に向けた取り組みや方針、考え方として使われるケースもあります。

たとえば福井県での原発再稼働問題では、なぜ原発が必要なのか、エネルギー政策と原子力の関係に対する考え方、現在の政権の考え方などについて、国が説明し理解を得る行動を説明責任としています。

このように、

  • 情報を開示すること
  • 責任を持っている者が説明を行い納得してもらうこと

において使われることもあります。

現在の中心的意味:結果を説明するための責任

現状アカウンタビリティは、会計における財務関連の説明だけではなく、

  • 情報を開示する責任
  • 方針や考え方などに対して理解を得る責任
  • 結果を説明する責任

など多義的な概念を持っています。また説明時には、情報の質や量と共に説得力なども必要になります。

2種類の「責任」

責任には以下の2種類があります。

  • アカウンタビリティ(成果責任)
  • レスポンシビリティ(実行責任)

アカウンタビリティは成果の説明責任であり、レスポンシビリティは実行の説明責任です。この2種類について解説しましょう。

アカウンタビリティ(成果責任)

アカウンタビリティは成果責任、もしくは成果の説明責任です。

米国的なプロジェクトマネジメントの考え方では、アカウンタビリティはプロジェクトリーダーが持ちます。プロジェクトリーダーはアカウンタビリティを果たすために計画を立て、もし成果が不十分であった場合、責任を負います。

レスポンシビリティ(実行責任)

レスポンシビリティは実行責任を意味し、プロジェクトリーダーが立てた計画をメンバーが計画通りに実行します。

アメリカではレスポンシビリティはメンバーにありますが、アカウンタビリティはプロジェクトマネージャーに属します。そのため成果が十分でない場合に責任を取るのはプロジェクトリーダーと考えられています。

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3.アカウンタビリティの必要性・目的

社会は、企業や公共事業などが行う活動を正確に認識する必要があります。そのためには、企業などから情報を積極的に提供してもらうことが大切です。

またアカウンタビリティは、情報提供者が活動に対して正当な評価を求める方法でもあります。アカウンタビリティの必要性や目的について、また、アカウンタビリティを果たす理由を、対外的・内外的な意義や目的から踏まえて、解説しましょう。

アカウンタビリティが重要視される背景

企業の不祥事が発覚するたび、企業が弁解・謝罪する姿がマスコミの報道などから伝えられています。企業におけるアカウンタビリティの欠如がマスコミなどによって指摘され、それによって社会からも厳しい評価を受けているのです。

企業は説明責任において自社の健全性を訴えなくてはなりません。それは株主・社会的共に必要でしょう。これは、アカウンタビリティが重要視されるようになった一つの背景でもあります。

アカウンタビリティを果たすべき理由

経営者だけでなく管理者や従業員なども、自らの活動結果に関するアカウンタビリティを果たすことが求められます。経営の計画・戦略についての適切な報告は、企業の持つ健全性の維持や、社会的責任を全うする上で必要不可欠でしょう。

経営者は、戦略を立て部下に実施させます。しかし部下が実施した事柄だからといって、経営者に責任がないわけではありません。指示した企業経営の透明性を高めるためにも、適切なアカウンタビリティが求められるのです。

対外的な意義・目的

対外的には経営者やリーダーである責任者が、

  • 適正な財務諸表の開示
  • 有効な内部統制システムの構築
  • 監査の実施

などを行い、適切に報告することで、株主など利害関係者や社会に対するアカウンタビリティを果たす必要があります。

社内的な意義・目的

社内的に見ると、

  • 経営戦略を立案した経営者から実行や管理を任された
  • 権限委譲された管理者・従業員

などは、経営者に対するアカウンタビリティを果たすことが要求されます。報告は、戦略の実行を任された者の責任なのです。

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自社にもメリット

アカウンタビリティが与えるメリットは多くあります。

  • 透明性のある企業という点を明確にするため、社会から信用を得られる
  • そういった企業には人材がは集まりやすい
  • 働いているスタッフのモチベーションもアップ
  • 寄付金や企業からの協賛など、支援も拡大する

などです。

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4.コーポレートガバナンスとアカウンタビリティ

企業の不正行為は社会的に許されるものではありませんし、不祥事が発覚すれば社会から厳しい評価が下されます。企業のコーポレートガバナンス、アカウンタビリティの欠如を防ぐためにも、コーポレートガバナンス、アカウンタビリティについて、深い理解が必要です。

日本のコーポレートガバナンスとは?

日本のコーポレートガバナンスには、

  • 経営の透明性、健全性、遵法性の確保
  • 各ステークホルダーへのアカウンタビリティ(説明責任)の重視徹底
  • 迅速かつ適切な情報開示
  • 経営者並びに各層の経営管理者の責任の明確化
  • 内部統制の確立

といった要素が含まれています。経営者の暴走や不正を早期に発見し阻止するためにも役員含む全従業員がコーポレートガバナンスを常に意識して仕事をすることが重要です。

アメリカ:「モニタリング」

アメリカでは、経営や経営者を監視するという意味でモニタリングという言葉を使います。いかに企業を有効に機能させるかという目的のため、アメリカでは経営に対する視点、という意味を持っているのです。

ヨーロッパ:「アカウンタビリティ」

ヨーロッパでは、企業の関係者に対して経営者がどのように「アカウンタビリティ」を果たすのかという意味で用います。

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5.人事におけるアカウンタビリティの使い方

アカウンタビリティは、分野によって使われ方や内容が多少変わります。その一つが人事におけるアカウンタビリティでしょう。

個人の役割・職務などが明確になるに伴い、言動や個人に与えられた役割や職務を全うする責任が発生します。そのため役割や職務を全うすることについて説明する義務、といった意味でアカウンタビリティという言葉を使うのです。

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6.アカウンタビリティ実現のための考え方

アカウンタビリティは、目的意識を持つことが必要です。計画的に取り組むことで、アカウンタビリティの実現と自団体の発展が可能になるのです。アカウンタビリティの実現のために、考え方のステップ、説明者と被説明者の関係から考察をしてみましょう。

考え方のステップ

アカウンタビリティ実現のためのステップは以下の通りです。

  1. 得たい成果は何か?(目的)
  2. 成果に必要な結果は何か?(目標)
  3. 目標達成のための取り組みは何か?(行動)
  4. 必要な資源は何か?
  5. 想定されるリスク・対策は?
  6. よりよい計画のために、見直しの時期とポイントは?

①得たい成果(目的)を明確にする

まず得たい成果は何か?(目的)を明確にします。目的が明確でないと横道にそれ、修正もしにくくなるのです。無駄を省くためにも、得たい成果、目的をはっきりさせることは非常に大切でしょう。

② 成果に必要な結果(目標)を明確にする

成果を得るには結果が大切ですが、結果を得るためには何が必要でどのような条件があればいいのか、といった点が明確である必要があります。

また、結果が出ても成果につながるとは限りません。その場合、成果と結果の間に問題があったことが分かるでしょう。結果が出なかった場合は、どこに問題があったかを確認できます。

結果(目標)はできるだけ客観的にするとよいでしょう。

③目標達成のための取り組み(行動)を考える

3つ目のポイントは、目標達成のための取り組み(行動)を考えることです。

  • 担当者や責任者を決める
  • 期限を設ける
  • それぞれの担当者がやるべきことを決める
  • その内容と役割を説明する時間を設けたり、ミーティングをしたりする

担当者がいることで、行動がスムーズになります。担当者がいないと行動の実現は難しくなるでしょう。結果を出すには、このような取り組みが必要です。

④必要な資源を確認する

グループで行動するにはヒト、モノ、カネ、情報、時間などといった資源(リソース)が必要になります。

たとえば、NGOでは時間が最も使用される資源だと考えられています。時間がなくてできないという状況は、取り組みに必要な時間を把握できず、適切な時間を確保できなかった、ということです。

必要な資源を必要なだけ適切に用意・準備することが大切です。必要な資源について詳細・適切に把握しておきましょう。

⑤リスクを想定し、対策を練る

リスクマネジメントは、近年さまざまな分野において重要視されています。リスクは必ずしも表面化しません。しかし対策を講じておかなければ、取り返しのつかない場合を招くこともあるでしょう。

そうはいっても、過剰な対策をしてはコストがかかります。経験やノウハウからリスクを考察し、その情報を共有して、適切な対策を行いましょう。

⑥計画を見直す

計画を見直すことで、次回の計画がよりよいものになります。計画、実施、検証、改善の繰り返しが、活動の質を高めるのです。しかし、日々の業務で見直しを行うのは困難です。どの時点で、何を振り返るのかを決めておきましょう。

計画に、振り返りの時期を含めておくと、時間を無理なく確保できます。計画を見直す際には、そういったポイントを忘れないようにしましょう。

説明者と被説明者の関係

説明者と被説明者が明確でない場合もあります。たとえば学校教育では、誰が責任を持ち、改善を誰に求めればいいか、明確でない場合も多いです。学校だけでなく家庭や地域も一緒になって教育体制ができるという考え方もあるでしょう。

これらから、それぞれの責任範囲について議論されるものといえるのです。近年では大学も社会に対する説明責任を果たすことが求められています。

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7.教育・福祉分野のアカウンタビリティ

教育・福祉分野でのアカウンタビリティは、さまざまな方面に対して説明責任があるかたちといえるものです。

  • 教育(学校) 子どもや家庭、地域社会
  • 福祉 施設や地域社会

といったかたちでどちらも多くの方面に対して説明責任が必要になります。

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8.医療・看護分野のアカウンタビリティ

アカウンタビリティは、医療・看護分野においても当然必要とされます。患者は、医療に高い透明性を期待しますが、医療現場はとかく透明性が乏しいとされているのです。

たとえば、専門用語でしょう。難しく伝わりにくいにも関わらず、患者に専門用語で話をする医師も少なくありません。そのため、患者は意味を理解しないまま治療を受けてしまうこともあるのです。

医療・看護の分野でも、検査や治療の必要性、治療の内容や結果について分かりやすく説明することが必要となります。

インフォームドコンセントとの違い

医療の世界でインフォームドコンセントという言葉が浸透しつつあります。インフォームドコンセントは、医師が患者に検査結果や治療方針を説明し、同意してもらうものといった意味に捉えられているのが一般的です。

しかしアカウンタビリティはそうではありません。アカウンタビリティは、どのような治療をして、結果どうなったかをきちんと説明すること、また文書にすることとなります。

アカウンタビリティのQ&A

アカウンタビリティは「説明責任」「答責性」と訳され、利害関係者に対する説明義務を意味します。 もとは経済学から派生した単語で、経営者が株主や投資家に対し、企業の経営状態や財務内容を報告する義務をあらわしました。 ビジネスでのアカウンタビリティとは、会計における財務関連の説明だけではなく、「情報を開示する責任」「方針や考え方などに対して理解を得る責任」「結果を説明する責任」など、多義的な概念を持ちます。
ビジネスにおける説明責任には2種類があり、アカウンタビリティ(成果責任)と、レスポンシビリティ(実行責任)があります。 アカウンタビリティは成果の説明責任です。たとえばプロジェクトリーダーは、アカウンタビリティを果たすために計画を立て、もし成果が不十分であった場合、その責任を負います。 成果の説明責任は、組織やチームのトップにあります。なお、レスポンシビリティ(実行の説明責任)はメンバーにあります。
従業員は、職務が与えられると、その役割を全うする責任が発生します。そのため人事領域のアカウンタビリティとは、組織における役割や職務を全うすることに関する説明義務をあらわします。