コーピングとは?ストレスへの対応策?種類や実践方法も解説

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コーピングとは、ストレスの原因やそれに伴う感情にうまく向き合い、心身への負担を軽くするための意識的な対処法を指します。仕事のプレッシャーや職場の人間関係、将来への不安など、現代社会においてストレスは避けられません。

ストレスの原因や感じ方、反応に応じて適切に対処すれば、心身の負担を減らしパフォーマンスを保てます。また、企業にとってもコーピングは、生産性の向上・離職防止・心理的安全性の確保といった組織の健全な運営に欠かせない重要な取り組みです。

この記事では、コーピングの基本的な考え方や種類、実践の仕方、そして企業として導入すべき取り組みまでをわかりやすく解説します。

この記事のポイント
コーピングとは、ストレスに対処するための意識的な思考や行動を指します。無意識に働く防衛機制と異なり、意図的に行う点が特徴です。
コーピングには、問題の根本解決を目指す「問題焦点型」と、感情を和らげる「情動焦点型」の2種類があります。ストレスの要因や自分の対処力を評価し、状況に応じた対処法を選ぶことで、ストレス反応を軽減できます。
リスト化や振り返りを通じて、自分に合った方法を見つけることが大切です。

1.コーピング(coping)とは?

コーピング(coping)とは、英語の「cope(対応する、対処する)」に由来する心理学用語です。ストレスを感じたときに心身への悪影響を防ぐために意識して行う思考や行動を指します。

私たちは日常生活の中で、仕事のプレッシャーや人間関係など、さまざまなストレスに直面します。強いストレスが長引けば不調を招きますが、適度なストレスは集中とやる気を引き出す力になることもあります。

大切なのは、ストレスと上手に付き合うこと。コーピングのスキルを身につければ、心身の健康を保ちながら、ストレスを成長や成果につながる力へと変えることができます。

ストレスコーピングとは?

ストレスコーピングとは、ストレスのかかる出来事や状況に対して、意識的に取り組む対処法のことです。アメリカの心理学者ラザルスが提唱した理論に基づいており、単なる気分転換のような一般的なストレス解消とは異なります。

具体的には、

  • ストレスの原因そのものに働きかけて問題を解決する
  • 物事の受け止め方を見直して心の負担を軽くする

といった前向きな行動・思考によってストレスを克服する点が特徴です。

適応機制(防衛機制)との違い

コーピング同様、人間がストレス反応に対処するための能力に、「適応機制(防衛機制)」があります。

適応機制は、辛い環境やストレスから精神を守るために、本能的に働く心の防衛反応です。コーピングとの違いは、無意識のうちに行われるということ。コーピングは意識的に行うものですから、似ているようですが少し異なります。

コーピング(coping/対処)の語源

コーピングの語源は、「問題に対応する、切り抜ける」という意味の「cope」という英単語で、英語表記は「coping」です。

もともとは、ラザルス(Lazarus, RS)という心理学者が提唱したメンタルヘルス用語でしたが、企業での取り組みなどでストレスコーピングが広まったことから、一般的にも使われるようになりました。

ラザルスの定義によると、コーピングは「個人と環境とが影響し合った結果、個人の資源を脅かすと判断された場合に個人がとる認知行動的努力」となっています。

R・S・ラザルスのストレス理論

ストレス理論の研究者であったラザルスが定義した心理的ストレスモデルは、現在もストレス研究の基本となっています。

ラザルスは、日常の小さな苛立ちを「デイリーハッスル」と名付けました。人間がデイリーハッスルに対してどう感じているかについて、非常に興味を持っていたようです。

ラザルスが行った研究によって、人間のストレスに対する認知評価はまずストレッサーに対しての認知(一次的認知評価)、次にストレス反応についての認知(二次的認知評価)と2段階で行われることが明らかになりました。これがコーピングへとつながったのです。


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2. コーピングの重要性

ビジネスの現場では、コーピングの実践は生産性、従業員定着率、メンタルヘルスに直接的な影響を与えます。個人任せにせず、組織として学び、支援する仕組みを整えることが求められます。

ここでは、コーピングの重要性を詳しく見ていきましょう。

◆ コーピングの重要性 ◆

  • メンタルヘルス不調の予防
  • 生産性の向上
  • 離職率の低下

メンタルヘルス不調の予防

従業員のメンタルヘルス不調は、突然発生するものではありません。日々の小さなストレスが積み重なり、適切に対処されないまま放置されることで、徐々に深刻化していきます。

早い段階でストレスに気づき、自分に合ったコーピング手法で適切に対処できれば、うつ病や適応障害といった精神疾患の発症リスクを抑えることができます。組織としてコーピングを学ぶ機会や相談しやすい環境を用意することで、予防効果が高まり、安心して働ける職場づくりにもつながるでしょう。

生産性の向上

過度なストレスは、集中力や判断力の低下を招き、仕事のミスや効率の悪化を引き起こします。コーピングによって精神的な安定を保てれば、従業員は本来の力を発揮し、高い集中力で業務に取り組むことができるでしょう

たとえば、大きなプレッシャーのかかるプロジェクト中に「短い休憩をこまめにとる」「気持ちを整理する時間をつくる」といった工夫をすることで、集中力を維持しやすくなります。

さらに、ストレスを受け流すスキルがあれば、人間関係のトラブルも減り、チームの協力体制がスムーズになります。こうした積み重ねが組織全体のパフォーマンスを高め、結果的に企業の成果向上にもつながっていくのです。

離職率の低下

従業員のストレス対処能力を高めることは、離職率の大幅な改善につながります。

厚生労働省の「令和5年労働安全衛生調査(実態調査)」によれば、過去1年間にメンタルヘルス不調を理由に1か月以上休業、または退職した労働者がいた事業所の割合は13.5%にのぼりました

また、公益財団法人日本生産性本部の調査では、10~20代の43.9%が心の病を抱えているという結果が示されており、メンタルヘルス対策の必要性が浮き彫りになっています。

効果的なコーピング教育を取り入れることで、こうした不調による離職を防ぎ、人材の定着率向上が期待できるでしょう

出典:厚生労働省「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要_事業所調査」/公益財団法人 日本生産性本部「第11回「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果を公表「心の病」増加企業が急伸、世代別では10~20代が過去最高

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3. ストレスを生み出す要因

私たちが「ストレス」と感じる状態は、どのようなメカニズムで生じるのでしょうか。ストレスは単一の原因で発生するものではなく、次の3つの要素が相互に影響することで生まれます。

  • ストレッサー
  • 認知
  • ストレス反応

ストレッサー

ストレッサーとは、ストレスの原因となる外部または内部からの刺激を指します。つまり、人がストレス反応を起こす「きっかけ」となる要因です。ストレッサーは大きく分けて、以下の4種類に分類されます。

  • 物理的ストレッサー
  • 化学的ストレッサー
  • 生物的ストレッサー
  • 心理・社会的ストレッサー

個人がどのようなストレッサーに影響を受けやすいかを把握し、それに応じたコーピングを実践することがポイントです。

ストレッサーの分類(GLOBIS知見録から引用)

物理的・科学的・肉体的なもの 労働環境、労働時間、VDT作業(Visual Display Terminals:ディスプレイ・キーボード等の機器を使用したデータ入力、検索、編集等の作業)、病気、栄養の偏り、喫煙、飲酒、睡眠不足、寒さ、暑さ、騒音、人ごみ、薬物、毒、甘さ、辛さ、重さ、運動
心理的なもの 怒り、悲しみ、不安、恐れ、歓び、焦り
社会的・人間関係的なもの 人間関係トラブル、評価、時間、解雇、降格、昇格、転職、退職、ノルマ、目標、恋愛、離婚
変化 寒いから暑い、安心から不安、安定から解雇
参考 第5回ストレスを理解するGLOBIS知見録

物理的ストレッサー

物理的ストレッサーとは、温度、騒音、照明、湿度、振動など、身体に直接影響を与える環境要因を指します。これらは心理的な刺激とは異なり、五感を通じて身体に働きかけるため、無意識のうちにストレス反応を引き起こすことが特徴です。

たとえば、以下のような環境では、集中力が下がり、イライラや疲労感が増す原因となります。

  • オフィスの空調が極端に寒い、または暑い
  • 照明がまぶしすぎる、または暗すぎる
  • 周囲の騒音が常に気になる

さらに、こうした不快な感覚が長期間続くと、自律神経の乱れや睡眠障害といった身体的・精神的な影響にもつながりかねません。

化学的ストレッサー

化学的ストレッサーとは、人体に有害な化学物質や刺激性物質によって引き起こされるストレス要因です。具体的には、公害物質、薬物、酸素の欠乏や過剰、一酸化炭素、たばこの煙、排気ガス、食品添加物などが挙げられます。

これらは空気や食物、皮膚接触などを通じて体内に取り込まれ、自律神経やホルモンバランスに影響を与えることがあります。

生物的ストレッサー

生物的ストレッサーとは、ウイルスや細菌、花粉、ダニ、カビなど、体に入ることで免疫反応を起こすものをいいます。風邪やインフルエンザといった感染症はもちろん、花粉症やアレルギー症状も代表的な例です。

これらは身体に直接的な負担を与えるだけでなく、体調不良による業務効率の低下や欠勤、長期休職など、組織運営にも影響を及ぼします。さらに、感染症流行期には従業員同士の不安感が高まり、それ自体が心理的ストレスを増大させる要因ともなります。

心理・社会的ストレッサー

現代社会で多くの人が直面しているのが「心理・社会的ストレッサー」です。人間関係のトラブル、過度な業務量や納期のプレッシャー、昇進や評価への不安、家庭と仕事の両立、経済的な悩みなどが代表例です。

物理的な要因と異なり、本人の受け止め方によって影響の大きさが変わるのが特徴で、同じ状況でも「挑戦」と捉える人もいれば「負担」と感じる人もいます。

加えて、職場文化やマネジメントの在り方も影響し、心理的安全性の低い環境ではストレスが溜まりやすくなります。

認知

ストレッサーが存在しても、それだけで必ずストレス反応が起こるわけではありません。ポイントになるのは、その出来事をどう「認知」するかです。

たとえば、上司から新しい仕事を任されたとき、「成長のチャンスだ」と前向きにとらえる人もいれば、「自分には無理かもしれない」と不安や脅威に感じる人もいるでしょう。

このように、受け止め方の違いが、ストレス反応の程度や強度を左右します。

ストレス反応

ストレッサーを脅威として認識したときに、心身に生じるさまざまな変化を「ストレス反応」と呼びます。

ストレス反応は大きく心理面・身体面・行動面の3つに分けられます。心理面では不安やイライラ、気分の落ち込みが見られ、身体面では頭痛や不眠、食欲不振などの症状が現れるでしょう。

さらに行動面では、飲酒量の増加や仕事でのミスの多発、遅刻や欠勤といった形で表れることもあります。これらはストレスから身を守ろうとする防御反応の一種ですが、長く続くと心身の健康を損なう原因となります。

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4. コーピングの種類

コーピングは、大きく分けて3つに分類されます。

  • 問題焦点型コーピング
  • 情動焦点型コーピング
  • ストレス解消型コーピング

それぞれ、ストレスの原因そのもの(ストレッサー)に対処するのか、受け止め方(認知)を変えるのか、心や体に出る反応(ストレス反応)を和らげるのか、という点でアプローチの対象が異なります。そのため、状況に合わせて使い分けることが大切です。

問題焦点型コーピング

問題焦点型コーピングとは、ストレスの原因に直接働きかけ、状況を改善することでストレスを軽減する方法です。ストレスを形成する3つの要素のうち「ストレッサー」に直接アプローチする点が特徴です。

この方法は、自分がコントロール可能な課題に対して特に有効で、実際に改善が実感できるため、達成感や安心感が得られやすいという利点があります。

一方で、自分の努力だけでは変えられない外的要因に対して無理に問題焦点型コーピングで対応しようとすると、逆にストレスが増すリスクもあります。

そのため、この手法を用いる際は「何が自分で変えられる範囲か」を正しく見極めることが重要です。さらに、問題焦点型コーピングは「問題焦点型」と「社会的探索支援型」の2種類に分けられます。

問題焦点型

問題焦点型とは、ストレッサーを回避したり、距離を置くことで、ストレスの原因そのものを取り除き、状況を改善する方法です。

具体的には業務量が多すぎてストレスを感じている場合に、ほかの担当者に業務を分担する、仕事の進め方を見直して効率化を図る、といった対応が挙げられます。

解決すべき課題がストレスの原因となっている場合には、問題解決型コーピングが有効です。

具体例

たとえば、以下のような方法が問題焦点型コーピングに該当します。

  • 人前で話すことが苦手だが、「スキルアップにつながることだから」という考え方に修正する
  • 問題の解決方法について調べたり人に聞いたりする
  • 仕事で担当内容を変えてもらう

問題焦点型のデメリット

問題焦点型コーピングの注意点は、

  • 原因解消のために無理に考えを変えようとするあまり疲れてしまう
  • 対処方法が分かっても実行に移せず、そのこと自体がストレスになる

などです。特に、対処方法が分かっているのに実行が難しいという状況は、皆さんも経験があるのではないでしょうか。

加えて、ストレスフルな環境を改善するために周囲の人を巻き込むケースもあります。それがきっかけで人間関係を悪化させてしまうこともあるでしょう。

社会的探索支援型

社会的探索支援型は、問題解決のために、他者からの支援を求めるアプローチです。自分一人で抱え込まず、同僚や上司、家族、友人などに相談して、具体的なアドバイスや協力を得ようとします。

難しい課題に直面した際、経験豊富な先輩に助言を求めたり、チームメンバーへ協力を仰ぐ行動がこれに該当します。

情動焦点型コーピング

情動焦点型コーピングは、ストレスの根本に直接働きかけるのではなく、それに対する自分の感じ方や考え方を変えることで、感情的な苦痛を和らげるアプローチです。

ストレスを構成する3要素のうち「認知」に働きかける手法で、自分の力ではどうにもならない外部環境や、変えられない過去の出来事に対して特に効果的です。

具体例

たとえば、次のような方法が情動焦点型コーピングに該当します。

  • 仲の良い友人や同僚に辛い気持ちを話してガス抜きする
  • マッサージやヨガ、アロマテラピーなどでリラックスする
  • 趣味や旅行などで発散
  • 頭を悩ませている問題から少し遠ざかり、落ち着く時間をつくる

情動焦点型のデメリット

情動焦点型コーピングは、根本的な解決ではありません。そのため常にストレスと向き合っていかなければならないのです。

気の持ちようで解決するような問題であれば、このデメリットは生じませんが、そうでない場合、いくらコーピングスキルを上げても根本的な解決には至りません

。その場合、問題焦点型コーピングも取り入れながら、環境改善と精神的苦痛の緩和を併せて取り組むことが必要でしょう。

情動焦点型コーピングを詳細に見ていくと「情動処理型」と「認知的再評価型」の2つに分けられます。

情動処理型

情動処理型は、ストレスによって生じたネガティブな感情を、誰かに話したり、文章に書き出したりと、心の中から外に出して処理する方法です。信頼できる友人や家族に悩みを話す、日記に感情を書き出すといった行動が代表例です。

誰かに話すことで共感を得られ、孤独感がやわらぐだけでなく、気持ちを整理するきっかけにもなります。また、文章にすることで自分の感情を客観的に見直せるようになり、冷静に状況を捉え直すことで心の負担を軽くできるのが特徴です。

認知的再評価型

認知的再評価型とは、ストレス要因そのものを変えるのではなく、自分の捉え方を意識的に変えることで心理的負担を軽減するアプローチです。

たとえば、プレゼンで厳しい質問を受けた際に「失敗した」と考えるのではなく「成長のためのフィードバックが得られた」と受け止めることがこれに当たります。

出来事の意味づけをポジティブに修正することで、ネガティブな感情に支配されることを防ぎ、前向きな行動につなげやすくなります。

ストレス解消型コーピング

ストレス解消型コーピングは、ストレスの原因や不快な感情から一時的に意識をそらし、気分を切り替えることで心身の緊張を緩和する方法です。

根本的な解決には直結しませんが、ストレス反応で疲れた心身を回復させ、再び問題に向き合う力を取り戻すために有効です。

ストレスの3要素のうち「ストレス反応」が出た後に活用するアプローチで、「気晴らし型」と「リラクゼーション型」の2種類に分けられます。

気晴らし型

気晴らし型は、自分の趣味や娯楽に没頭することで、ストレスの原因から意識を逸らし、気分転換を図る方法です。文字通り「気を晴らす」ための行動で、その種類は個人の趣味や嗜好によって多岐にわたります。

たとえば、友人との食事やショッピング、好きな音楽や映画を楽しむことが挙げられます。

また、旅行やスポーツ観戦など、普段の環境から離れて非日常的な体験をすることも効果的です。自分なりの気晴らしの選択肢を多く持っておくことで、ストレスと適切に付き合うことができるでしょう。

リラクゼーション型

リラクゼーション型は、意識的に心と体の緊張をほぐし、リラックスした状態をつくることでストレスを発散する方法です。

深呼吸や瞑想、ヨガといった手軽にできるものから、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる、アロマの香りを楽しむ、マッサージを受けるなど、五感を刺激する方法までさまざまあります。

これらを日常に取り入れることで自律神経が整い、心身を落ち着かせることができます。ストレスケアとして無理なく続けられるのが大きな特徴です。

【問題焦点型】コーピング 【情動焦点型】コーピング
ストレッサーや、ストレスと感じる環境を改善、変革することで、ストレスに対処しようとする方法 ストレッサーそのものに対してではなく、それによってもたらされる反応を統制・軽減することで、ストレスに対処しようとする方法
ストレッサーへの働きかけ ストレス反応への働きかけ
参考 福祉教科書 社会福祉士・精神保健福祉士 完全合格テキスト 共通科目Amazon.co.jp

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5. コーピングの実践方法

コーピングは知識として理解するだけではなく、実際に日常生活や職場で実践することが重要です。自分がどのような場面でストレスを感じやすいのか、そしてそのときにどんな方法が有効なのかを整理しておくことで、いざというときに冷静に対処できます。

ここでは、効果的にコーピングを実践するための具体的な3つのステップを紹介します。

  1. コーピングリストを作成する
  2. ストレスを感じたときの反応をモニタリングする
  3. ストレスを発散する

① コーピングリストを作成する

ストレスに直面したとき、冷静に対処法を考えることは容易ではありません。そこで、あらかじめ自分に合ったコーピングを一覧にするした「コーピングリスト」を作成しておくことをおすすめします。

事前にリスト化しておくことで、強いストレスに直面して冷静な判断が難しいときでも、選択肢を確認しながらすぐに行動に移せます

コーピングリストの作成手順

コーピングリストを作る手順と活用の流れを、具体的に整理してみましょう。

  1. 「これをすると気分が楽になる」「安心できる」「楽しい」と感じることを思いつくままに書き出してリスト化する
  2. ストレスを感じたときに、その中から合いそうな方法を選んで実践する
  3. 実践後に、ストレスが軽くなったかどうかを振り返り自己評価する
  4. あまり効果がなかった方法は見直して修正し、使えるものだけを残す

この流れを繰り返しながら、自分に合ったコーピングリストへとブラッシュアップしていきましょう。

コーピングリストの例

コーピングリストの例をいくつか紹介します。

【すぐできること】

  • 深呼吸を3回する
  • 温かいお茶を飲む
  • 好きな音楽を聴く
  • 席を立ってストレッチする

【少し時間があるとき】

  • 同僚とランチに行く
  • 15分ほど散歩する
  • 書店に立ち寄る

【休日にできること】

  • 友人と会って話す
  • 映画を観る
  • 温泉に行く
  • 一日中好きなことをして過ごす

【問題解決に繋がること】

  • 上司に相談する時間を設定する
  • 関連書籍を読んで知識をつける

自分にとって実際に効果があると感じられる方法を具体的にリスト化することが大切です。

② ストレスを感じたときの反応をモニタリングする

自分がどのような状況でストレスを感じ、そのときにどのような心身の反応が起こるのかを客観的に把握することも、コーピングの効果を高めるうえで重要です。

セルフモニタリングを通じて、自分のストレスパターンを理解し、より効果的な対処法を見出すことができます。

日記やアプリなどを活用し、「いつ、どこで、何があったか」「どう感じたか」「体にどんな変化があったか」「どう対処したか」「結果どうなったか」を記録してみましょう。

こうした記録を続けることで、自分のストレスの傾向と、どのコーピングが特に有効かが明確になり、対処の精度が上がります。

③ ストレスを発散する

ストレスを感じたときには、根本的な原因を対処するだけでなく、まずは発散することが大切です。次のような活動はストレスホルモンを減らし、幸福感を高める脳内物質の分泌を促すといわれています。

  • 栄養バランスの良い食事を心がける
  • 運動やスポーツで体を動かす
  • カラオケで思いっきり声を出す
  • 自然の中でリフレッシュする
  • 趣味や創作活動に集中する

ただし、過度な飲酒やギャンブルのように一時的には気がまぎれても、依存や健康被害につながる行動は避けるべきです。健全な方法で発散することで、心身の調子を整え、長く安定したパフォーマンスを維持できるようになります。

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6. 【企業向け】コーピングによるストレス対応策

従業員が個々の力だけでストレスに対処するには限界があります。そのため、企業がコーピングを支援し、従業員が安心して働ける環境を整備することが不可欠です。

ここでは、企業が主体となって導入できる具体的なストレス対応策を6つ紹介します。

  • 1on1を実施する
  • メンター制度を導入する
  • 研修やe-ラーニングを行う
  • ストレスチェックを実施する
  • カウンセリング窓口を設置する
  • 職場環境を改善する

1on1を実施する

1on1とは、上司と部下が定期的に仕事やキャリア、心身の状態について話し合うミーティングです。形式的な評価面談とは違い、部下が安心して本音を話せる場をつくることが目的です。

悩みやストレスを言葉にすることで気持ちを整理でき、上司は課題を早期に把握して支援につなげられます。

たとえば「業務量が多い」という声があれば、タスクの見直しやリソースの追加など具体的な対応が可能です。導入にあたっては、単なる実施ではなく、管理職に傾聴や適切なフィードバックのスキルを身につけさせることも欠かせません。

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メンター制度を導入する

メンター制度とは、年齢や社歴が近い先輩社員(メンター)が、新入社員や若手社員(メンティー)をサポートする仕組みです。仕事の進め方だけでなく、職場での悩みやキャリアに関する相談にも応じられるため、ストレスを抱え込みにくい環境づくりにつながります。

上司には話しにくいことでも、メンターには気軽に相談できることが多く、心理的な安心感が高まります。たとえば「部署の人とうまくなじめない」という場合でも、メンターが橋渡し役となって関係構築を助けることが可能です。

制度を導入する際は、適切な人材の選定やメンターへのトレーニングを行い、信頼関係を築ける仕組みを整備することが大切です。

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研修やe-ラーニングを行う

従業員がコーピングを理解し、日常で活用できるようにするには、体系的な教育の場が必要です。研修やe-ラーニングを通じて、コーピングの基本や種類、セルフケアの重要性、具体的な実践方法を学ぶことで、従業員のストレス対処能力を高められます。

さらに管理職には、部下の変化に早く気づき、適切に声をかけたり対応したりするための「ラインケア研修」を行うことが効果的です。これらを組み合わせることで、個人と組織の両面からストレスに強い職場づくりが実現できます。

ストレスチェックを実施する

ストレスチェックは、従業員が自分のストレス状態を客観的に把握するための有効な仕組みです。労働安全衛生法により、従業員50人以上の事業場では実施が義務化されており、令和10年度からは50人未満の企業も含め、すべての事業場での実施が義務となります。

従業員にとっては、自身のストレスに気づく機会になり、企業にとっては組織全体のストレス傾向を把握することが可能です。集団分析を行えば、部署ごとの傾向を明らかにし、高ストレス者が集中している要因を客観的に把握できます。

その情報をもとに、業務量の調整や職場環境の改善、コミュニケーションの活性化など、具体的で効果的な対策を打ち出すことが可能になります。

出典:厚生労働省「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案の概要

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カウンセリング窓口を設置する

職場の人間関係や家庭の問題など、社内では相談しにくいデリケートな悩みに対応するには、専門家による相談窓口の設置が有効です。

産業医や精神保健福祉士などが対応する外部相談窓口(EAP:従業員支援プログラム)を導入すれば、従業員はプライバシーを守りながら安心して悩みを相談できます。

企業がこうしたセーフティネットを整備していること自体が、従業員に大きな安心感を与える効果もあります。ただし、窓口を設けるだけでは十分ではなく、従業員に広く周知し、気軽に利用できる環境を整えることが重要です。

こうした工夫により、従業員が心の不調を早期にケアできる体制を築くことができます。

職場環境を改善する

職場環境を整えることは、従業員のストレスを根本から減らす効果的な方法の一つです。長時間労働や役割分担の不明確さ、コミュニケーション不足、不快なオフィス環境などは、慢性的なストレスの原因となります。

これに対し、労働時間の見直しやリモートワークの導入、オフィスのレイアウトや空調改善といった取り組みは、直接的なストレス軽減につながります。

また、心理的安全性を高める組織文化の醸成も不可欠です。自由に意見を言える環境や失敗を許容する雰囲気は、従業員の安心感を支えます。

さらに、ストレスチェックや従業員サーベイを活用し、課題の多い部署に重点的に施策を行うことで、組織全体のストレスマネジメント力を高められるでしょう。

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7. まとめ|コーピングを取り入れて健康な組織を実現しよう

コーピングは、個人がストレスに対処するための大切なスキルであると同時に、企業が従業員の健康や生産性を守るための土台でもあります。

重要なのは、①従業員が自分に合った方法を習得すること、②企業が制度や環境を整えて実践を支援すること、この2つを両立させる点です。

安心して働ける職場づくりは、従業員のエンゲージメントや定着率を高め、組織の安定的な成長につながります。

本記事で紹介したコーピングの考え方や実践方法を取り入れ、企業文化として根づかせることで、心身ともに健康で持続可能な職場を実現できるでしょう。


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