定着する人事制度は「ネーミング」が重要!新制度を浸透させる工夫(後編)

株式会社島田電機製作所
 | 総務部

工藤 学さん

2022.05.16

社員や社長の人柄に惹かれて入社を決めた島田電機。後編では入社後、工藤さんが構築に関わったという自分らしい働き方を選んでもらうための新人事制度や、制度を社内に浸透させる工夫について話を聞きました。
【前編はこちらから】

PROFILE

工藤 学

株式会社島田電機製作所

予備校講師などを経て、大学院を修了後、税理士事務所に入社。その後、プラスチックの添加剤を製造する上場準備中のベンチャー企業を経て、島田電機へと転職。総務部長として経理や会計、キャリア人材の採用や新人事制度の構築など、総務全般を幅広く担当している。

「自分らしい」働き方を促すため、新制度では3つのコースを設定

島田電機に転職されてからは具体的にどんな仕事を担当されたんですか?

「経理を引き続き担当しました。また、資金繰りや銀行との折衝、後は決算業務などです。人事業務で言うと、キャリア採用などを担当。人事制度の構築にも、社長と協力しながら携わりました。私が島田電機に来てから最初の人事制度見直しのときは、非常に多かった評価項目をシンプルにしました。二枚にわたる内容を一枚にまとめたんです」

社長も人事制度の構築に携わられてるんですね。

「そうですね。人事制度は会社の理念や価値観を具現化していくための仕組みの一つですから、社長が携わるのはある意味当然だと思います。人事制度に関わらず、島田電機では、あらゆる施策に社長がぐっと入り込んで進めていきます。会社への思いに溢れている人なんです。社長がリードするので、私がそれに必死になって付いていくイメージです。最近も、新たに人事制度も見直したのですが、社長のように0から1を作り出す人をもっと増やしていこうという想いがこもった制度になっています」


島田電機ではバリューでも「創造的」を掲げています

具体的にはどんな制度なんですか?

「簡単に言うと、『自分を活かす』人事制度として働き方を『コアワーク』『エンワーク』『デベワーク』の3つに分けました。コアワークは技術力を軸に働きたい人。エンワークは丸いエンやエンゲージメント、和という意味から人とのつながりや調整など、人間力で仕事を回していく人を指します。そして、デベワークはデベロップメント(development)のデベをとり、会社をよりよくするための新しい企画を考えていきたい人。この3つのいずれかを自分たちで選び、追求していくことになります。定期的な見直しで、年に一回、自由にコースを選択できるようにしたいと考えています」

制度浸透のためにこだわるネーミング。ポイントは「短くて覚えやすい」こと

ホームページにも掲載されていますが、デベワークという名前はもちろん、△タイプや◯タイプなど、特徴を一言で表していて、伝え方がシンプルですよね。

「はい。社員にどうやったら伝わるか、いつも考えています。こういうふうに表現した方が、たぶん受け入れられやすいよねと。言葉の言い回しは社長もとくに意識しているところなんです。ただ制度を作るだけでなく、どうやったら社員に伝わるかまで考えて設計しているんです

制度のネーミングを考えるときに意識していることはありますか?

「口で言うと単純なのですが、短くて、覚えやすいことですね。いかに短いネーミングで制度を端的に表せるか、いつも頭を捻らせています。例えば先ほどの3つの働き方以外にも、『頑張り応援制度』という名で1on1を導入したほか、『成長応援制度』として、外部研修のために使える予算も用意しています。デベワークは20万円と、最も高い予算を用意しているのですが、新たな発想のためにはとくに外から情報を仕入れてこないといけないと、考えているためです。なるべくここの魅力を社員や求職者の方に伝えたいと思っているんです」

実務に直結する外部研修にはお金を使って良いよ、ということですね。

「いえ、20万の予算だとしたら、半分以上は実務に直結するところに使い、残りの部分は自分が興味ある分野の勉強はもちろん、趣味や自分磨きに使っても良いという方針です。人間として、どんどん豊かになっていくことで、それを会社に還元して欲しいからこそ、実務だけでなく人間的な成長も応援したいという意味で成長応援制度と言ってるんです。ただ、カオナビを使って、何に予算を使ったかは記録を残すようにしていますが」

島田電機では「会社の自分」と「プライベートの自分」を分けない

実務に直結する研修はもちろん、人間的な魅力を磨くための勉強や趣味にもお金を出すんですね!

「はい。島田電機では、会社の自分とプライベートの自分を分けないということを言っています。会社に来たら本当の自分じゃない自分で過ごさなきゃいけない。でも、ある意味で本当にそうなのかなという疑問から出発し、ありのままの自分を出すことで、それが会社のためになる。という考え方をしているんですよ。また、社員の健康も会社の財産だと考えているため、例えば新しく卒煙手当も作ろうとしているところです。タバコなどの煙から卒業しようというメッセージを込めた制度です。喫煙者は一日で500円ぐらいタバコ代を支払っている。毎月に換算すると、1万5000円ぐらい。もしタバコを辞めるのであれば1万5000円の節約となりますし、あわせてそれと同額の手当を付けますから、ダブルの経済効果が期待できるわけです。この手当も『ダブルでお得な卒煙手当』というキャッチーなネーミングを付けています

この話を聞いたら島田電機のことを本当に好きになりそうですね。

「そうなると嬉しいですね。個性をやっぱり尊重したいと思っているんです。仕事の優秀さだけではないと考えるからこそ、人間的な魅力の向上につながるような研修や趣味にも予算を使ってもらいたい。うちは評価に関しても実績や能力ではなく、自分が選択した役割に対する意識や行動も重視しているんです。一人ひとりが自分の良さを活かし、主体的に行動することを目指すからこそ、『自分らしい成長』を促し、応援するというコンセプトで人事制度を運用しています」

社内の方だけでなく、社外の方にとっても魅力的なメッセージですね。話は変わりますが、新しい人事制度の構築で苦労はありませんでしたか?

「いろいろな人の意見を集約させて制度に反映させるのが、本当に難しい作業でした。コンサルティング会社の方と、意見が真っ向から違うこともありますし、うちの会社は、社長もかなり入り込んで一緒に考えるタイプなので。とはいえ 、トップの想いを尊重しつつも、トップダウンですべてを作り上げていけるわけではないので、部署長などの意見もヒアリングし、どうすれば社員みんなのモチベーションにつながるかを考えながら進めていきました。2年以上の大掛かりなプロジェクトでしたが、外部の方や社長、そして社員の声を反映した制度になったと感じています。とはいえ、実際に運用する中で課題も出てくる可能性がありますから、作って終わりではなく改善を繰り返しながら、自社に合った制度へと磨き上げていきたいです」

ありがとうございました!最後に、これからやってみたいことがあれば教えていただけますか?

「島田電機では副業を認めているのですが、実際に副業している人間がいるのかというと、あまりいません。ただ、人生100年時代と言われ、働く期間が伸びることを考えると、定年後を見据えて、副業制度を活用して欲しいと考えています。デベワークやエンワークのように社内だけではなく、副業なども含め、自分らしい働き方を選んでもらいたい。それが結果的に、個人の幸せにつながると良いなと考えています」

編集後記

人柄に惹かれ、島田電機に入社したという工藤さん。それは今回、取材対応やオフィスの案内をしてくださった工藤さん・鈴木さんの笑顔や話し振りから、十二分に感じることできました。さらに今回の記事では詳しく紹介しきれませんでしたが、無料で利用できる「ボタンちゃんbar」 やリフレッシュルーム、面接時に持参するラブレターなど、ユニークな仕掛けや制度は、社員の方が自分らしくイキイキと働くきっかけになっているようでした。素敵な人に、素敵な制度。お話を聞き、実際にオフィスに足を運んだことで、工藤さんの娘さんが島田電機の大ファンだと言っていた理由が分かったような気がしました。

会社概要

社名 株式会社島田電機製作所
設立 1949年2月24日
事業内容 各種エレベーター、エスカレーター用操作盤、表示器の製造及び販売
従業員数 51名(2021年8月現在)
会社HP
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予備校講師などを経て、大学院を修了後、税理士事務所に入社。その後、プラスチックの添加剤を製造する上場準備中のベンチャー企業を経て、島田電機へと転職。総務部長として経理や会計、キャリア人材の採用や新人事制度の構築など、総務全般を幅広く担当している。

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『人事のヨコガオ』は、人事の方の「個性」にフォーカスしたメディアです。「社員一人ひとりの個性と向き合う人事の方個人にも個性がある」というコンセプトのもと、人事就任から現在に至る過程でぶつかった壁やその裏にある想いなど、等身大の姿を取材します。 気になる他社の人事の方が、どんな想いで施策に取り組み、これまでどう壁を乗り越えてきたのか。あまり知られていない”ヨコガオ”をお届けすることで、人事の方同士が学び合えるきっかけを提供していきます。