「多様な個性を持つ従業員」と「会社」をコネクトする。企業人事に求められる役割(後編)

株式会社オーティーエス
 | 管理部

蘆田 英資さん

2022.01.17

前編では、蘆田さんが企業の人事を目指したきっかけや、就任後のギャップについて話を聞きました。続く後編では「教育」「人材配置」というオーティーエスが抱える人事課題を詳しく聞くとともに、「素を見せる」「自分の言葉で話す」など採用におけるスタンスをお届けします。
前編はこちらから

PROFILE

蘆田 英資

株式会社オーティーエス

新卒で不動産会社の営業職を経験後、職場環境の改善や労務関連の知識に興味に持ち、社労士事務所に入社。その後、企業人事をやりたいという想いが強まり、株式会社オーティーエスへ。入社して以降、人事として採用面接や教育研修をメインで担う。

管理職まで育たない。教育課題の解決はハイパフォーマーの分析から

改めて今の業務内容を教えていただけますか?

「人事領域でいうと採用と教育研修に加え、総務も一部並行して担当しています」

カオナビの導入も蘆田さんが先導されたんですか?

「そうですね。元々、タレントマネジメントという言葉が世間で出始めた頃、何だろうと思って調べてみたんです。そのときに、この思想を会社で体現できたら、今以上に働きやすい環境になるだろうなと感じた。社長に『タレントマネジメントの実現を促すこんなシステムがあり、こういうことができるんですよ』と語ったら、じゃあ導入してみようという話になり。管理職以上の方たちにも話をして『やりましょうか』となったんです。当社の人事課題は、教育と人事配置。カオナビを使い、まずは現状を把握した上で課題を解決する施策を打っていこうという話になっています」

教育の課題とは具体的に?

管理職者と非管理職者とのギャップが埋まらないという話ですね。管理者になるための要件の客観的な振り返りが不足しており、教育の体系化に手をつけられていなかったんです。基本的には教育の負担を現場にお願いする形になっており、属人的になっていました。ですからカオナビを利用して、ハイパフォーマーはどういう特徴があるのかを可視化した上で、教育に落とし込みたいと考えています。同時にマネージャーになるには何が必要か、管理職者以上の方が言語化を行っているところです。カオナビで可視化したデータと言語化した定義とを組み合わせることで、教育の体系化に取り組んでいきたいと考えています」

教育の方針を変えたり、求める人物像の定義付けが発生したりすると、評価制度も変える必要性が出てきそうですね。

「そう思っています。ただ、まだまだ頭も体も追いついていないのが正直なところなので、まずは現状の把握と見える化から取り組むというのが、最初の一歩ですね。ただ、自分たちのやろうとしていることに対し、フィードバックを得る機会がないのは不安な要素です。その点、カオナビさんがやっているユーザー会のように、他社さんとつないでいただける場は、客観的なフィードバックを得られる良い機会だと感じますね。うちがやっている施策は本当に合っているか不安を抱くことがあるからこそ、相対的に見てどうなのかすごく知りたいんです」

それに社内であっても、人事担当者の数が少ないと、互いに悩みを相談し合うのもなかなか難しいですよね。

「そうなんですよ。社内だけの意見だと発信者のポジションで評価が下されてしまう。客観的な意見を聞ける場として、他社とつながれる機会は貴重だと思います」

会社も個人も、お互いが良かったねと思える配置を目指す

ではもう一つ、人材配置の課題は具体的にどういうものなんですか?

「多少なりとも改善してきたとは思うんですが、当社では人事配置があまり流動的ではないんです。異動が発生したとしても人員補填の意味合いが強く、会社や当人がステージアップするための色は薄かったです。ずっと同じ場にいると当然仕事内容が変わないので、自分のキャパシティが広がりにくい。能力も開花しにくいですよね。だからこそ、カオナビを導入することで、本人のキャリア志向に応じて合理的に人を動かしたいと考えています

流動性に課題があるからこそ、カオナビを使って根拠のある配置をしたいわけですね。

「はい。会社都合ではなく、従業員の方にとってもお互いが良かったねと言える配置を実現したいんです」

カオナビの導入にあたり、社内浸透での苦労はありませんか?

「カオナビ導入によるメリットを説明すると、言葉としては理解してもらえていると思います。でも、感情の部分では納得できていないんだろうな、とは感じますね。ここは、自分自身で触ってみて、メリットを理解してもらうしかないところもある。ただ浸透を待っているだけでは時間がかかりますから、育成や人材配置への活用方法を見出しながら、説明会などを通じてこちらからフォローする回数をとにかく増やさないといけないな、と感じます」

蘆田さんのその意志が、社内浸透では本当に重要だと思います。

「ありがとうございます。やはりサラリーマンとして会社から投資してもらっているという意識もあるので、結果を出さないといけない。そして、人事という立ち場としても、カオナビの導入や今後実施することになる教育や人材配置の施策を通じて、会社にポジティブな影響を与えていきたいですね」

面接の裏テーマは「学生の自己理解の場」

そんな人事の仕事をしていてやりがいに感じる部分はありますか?

「採用をやっていて、人の人生の岐路に立ち会えるのは、すごい責任が重いことだし、逃げたくなくなる瞬間もあります。その反面、採用した方が良い結果を出してくれたときに味わったことのない喜びを感じますね。例えると何だろう……子供を育てる感覚と言ったら大袈裟かもしれませんが、我が子がテストで100点を取ってきたような感覚です。求職者の方と真剣に話をできるのは、このポジションならでは。そこが、自分の中では一つのやりがいになっています」

例えば、学生さんと面接するときに意識して聞くことはあるんですか?

その方の良い部分を引き出すことを意識していますね。学生さん自身も、弱みなど少しネガティブな話はできればしたくないですよね。だからなるべくどうやったら話が盛り上がるのか、面接をしながら見定めるようにしています」

「自分をPRしてください」ではなく、学生さんにとって自己理解の場にもなるようにもしているんですかね?

「そこは裏テーマとしてありますね。面接って究極を言うとコミュニケーション能力がすごい高い人が一般的には受かりやすい傾向にあると思うんです。でも、それがイコール、この会社と合うか、本当に良い学生なのかにはつながらない。こちら側が、相手の良い面を引き出す作業は必要だと考えています。弱みについても絶対に駄目という認識はなく、そこは個性の範疇だと考えていますね。比較的、うちの社長自身も100人いたら100種類の考え方がある、という人なんです。例えばカオナビには『エニアグラム』という機能がありますよね。あれって話のネタとしてすごい使えると思っていて、これからは全社員に受検してもらおうと思っているんです。この人、こういうイメージだけど、エニアグラムの結果とも合っているねとか。何が良い悪いじゃない。先ほどの話につなげると、こうやって会社には多様な価値観の人がいるんだな、と従業員の方にも認識して欲しいんです」

採用は恋愛。ミスマッチを防ぐためにも面接では「素を見せる」

そういえば、オーティーエスに入社される方は最終的にどういう部分に魅力を感じる傾向にあるんですか?

「最終的には面接や職場体験などで感じた人の良さに惹かれ、入社してくれる方が多いですね。一度退職したものの、再びオーティーエスに戻ってくる方もいます」

それは、採用担当として矢面に立つ機会の多い蘆田さんの影響も大きいのでは?(笑)

「いやいや、そんなことないですよ(笑)。でも、採用をやっていると特に人事は見られる仕事だなって感じます。学生にとっても、企業の広報担当みたいなイメージがありますよね。ただ、見られているからこそ、飾ろうとはせずに、何よりもリアルな姿を伝えたいと思っています。採用として僕は何が一番嫌かというと、ミスマッチによる早期退職なんです。だから、本当に良いことも悪いこともちゃんと伝える。逆に言うと、学生にもちゃんと耳を傾けて欲しいなと思います」

なるほど。人事になったことで「見られている」という意識も芽生えたわけですね。

「はい。社労士事務所時代は、言い方はあんまり良くないですが、営業担当者というお面を被ってクライアントと接しているなと感じていました。でも、人事として求職者の方とお会いするようになってからは、素を見せる方に意識を向けています。もちろん僕の素がとても素晴らしいとは言えない。でもある程度、素を見せていかないと、下手をすれば会社の虚像を提供してしまうことになるし、求職者に対して誠意がないと思うんです」

今は蘆田さん個人を見せている。そんなイメージなんですね。

「まさに、そうですね。よく採用は恋愛や結婚と例えられますが、やはり会社との相性がありますよね。人間だって良い部分だけではなく、ある人にとっては相性が悪いと感じる部分もある。相手の良いところも悪いところも含め、総合的に判断してマッチングしますよね。それは会社と学生とのマッチングにも当てはまります。こちら側がまずはさらけ出し、良い点も悪い点もきちんと知ってもらった上で入社していただきたいと考えているんです」

素を出すこと以外、人事の仕事をするときに大事にしていることはあるんですか?

自分の言葉で喋ることですね。学生に語りかける言葉はもちろん、例えばカオナビを導入する話もそうですよね。『会社から言われているので』と話すのと、僕自身が『本当に必要性を感じて』では、説明の際に出てくる単語は同じでも熱量は変わってくる。そういう熱量を常に持っていたいなと思います。僕自身、結構人を見てしまうタイプで『この人、口ではこう言っているけど、本当に思っているのかな』と、敏感に感じてしまうんです。そういう評価を一度下してしまうと、相手の話が入ってこなくなることもある。そのため、僕自身も自分の言葉で話すことはすごく意識しています」

自分の言葉で話すのは、人事に限らず、どの職種の人にとっても心がけたいことですよね。最後に、これから目指す理想の人事の姿があれば教えていただけますか?

「はっきりこういうのが理想というのは、僕もまだ描けていません。ただ、人事って職種はハブみたいなところがあり、会社といろいろな個性を持つ従業員の方をコネクトさせ、パフォーマンスを最大化させていくことがミッションの一つだと考えています。もちろん人だけでなく、カオナビを導入したように、会社とツールをコネクトする役割もあったりする。会社や従業員の期待に応え続ける、ハブでありたいと考えています。また、コロナ前後で採用のかたちも変わる中、環境の変化に合わせて自分自身も柔軟に変化していける存在でありたいです」

編集後記

ミスマッチを防ぐために、面接では素を見せるようにしていると話す蘆田さん。「僕の素がとても素晴らしいとは言えないけど、それを出さないと嘘になる」という言葉や、照れ笑いを浮かべながら「もうずっと苦労しっぱなしです」と話す姿からも、感じ取ることができました。人の良さを理由に入社する人が多いという同社ですが、それは蘆田さんが面接で見せる素に惹かれる人も多いのかもしれません。本人は「そんなことないですよ」と謙遜されていましたが。

会社概要

社名 株式会社オーティーエス
設立 1986年
事業内容 ファッション物流に関する一切の業務
従業員数 833名(2020年9月現在)
会社HP
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新卒で不動産会社の営業職を経験後、職場環境の改善や労務関連の知識に興味に持ち、社労士事務所に入社。その後、企業人事をやりたいという想いが強まり、株式会社オーティーエスへ。入社して以降、人事として採用面接や教育研修をメインで担う。

ABOUT

『人事のヨコガオ』は、人事の方の「個性」にフォーカスしたメディアです。「社員一人ひとりの個性と向き合う人事の方個人にも個性がある」というコンセプトのもと、人事就任から現在に至る過程でぶつかった壁やその裏にある想いなど、等身大の姿を取材します。 気になる他社の人事の方が、どんな想いで施策に取り組み、これまでどう壁を乗り越えてきたのか。あまり知られていない”ヨコガオ”をお届けすることで、人事の方同士が学び合えるきっかけを提供していきます。