身元保証書とは? 意味、身元保証人や損害賠償、書式、書き方、ビザについて

身元保証書には、法的制限がありません。しかし、企業は、労働者の採用時に身元保証書の提出を求めます。その理由は、

  • 当該労働者が労働者としてふさわしいことを第三者に証明する
  • 雇用後企業に損害を与えた場合に補償を行う人をあらかじめ定めておく

からです。円滑な入社のためにも、労働者は可能な限り身元保証書を提出する必要があります。また企業も身元保証書の目的を丁寧に説明するとよいでしょう。採用時のトラブル防止になります。

1.身元保証書とは?

身元保証書は2つの意味を持ちます。

  1. 雇用しようとする人が労働者としてふさわしいことを第三者に証明する
  2. 労働者が雇用後企業に損害を与えた場合、補償を行う身元保証人を定める

労働者を採用する際に提出してもらうケースが多い書類です。

身元保証

一般的に身元保証は、雇用契約の締結と同時に行われます。身元保証が行われるケースの多くは、労働者が事業主に損害を与えた場合、その損害を第三者である身元保証人が担保するという旨の契約。

ここでいう損害は2種類です。

  1. 労働者の不法行為や債務不履行による損害賠償債務
  2. 病気や怪我といった故意過失に関係なく生じた損害

後者のように損害の一切を引き受ける人を、身元保証人と呼ぶこともあります。

身元保証人になる人は?

身元保証人の条件は、特段存在しません。当該労働者を雇用する企業側で、自由に身元保証人の条件を設定できます。

しかし、設定条件を複雑にすると、設定条件に該当する身元保証人の選定ができない場合も。すると、身元保証書の提出が困難になる場面も想定できるのです。

一般的には、2人の身元保証人を設定してもらうことが多いでしょう。たとえば、

  • 雇用しようとする者の親
  • それ以外の血縁者

など。

身元保証と法律

身元保証は、昭和8年に制定された「身元保証ニ関スル法律」にて契約期間等が法的に定められています。この法律が制定される以前、身元保証契約に関する期間の定めはありませんでした。そのため身元保証人には不利な契約が多かったようです。

身元保証の契約期間

「身元保証ニ関スル法律」は、身元保証人に不利な特約等はすべて無効とされる等、身元保証人を保護する内容になっています。

契約期間についても身元保証人保護の立場から、

  • 特段の期間を定めていない場合:契約成立の日から3年間
  • 商工業見習者:5年

としています。また期間を定めた場合でも5年を超えてはならないとされているのです。契約更新も可能ですが、その場合も5年を超える契約はできません。現在では、真摯に労働しているので身元保証契約の更新をしない、という場合が多いようです。

身元保証の法的制限

労働者に身元保証を求める状況に対する法的な制限はありません。しかし、企業が身元保証人の必要性があると判断した場合は別です。雇用しようとする労働者に身元保証人の選定を求めることができます。

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2.身元保証書が必要な理由と賠償範囲

企業が身元保証を求める理由

労働者が起業に身元保証書を提出することについて、法律における定めはありません、しかし企業としては、これから雇用する労働者の素性について気になる部分もあるでしょう。

労働者がまっとうな人物という点が第三者の視点から保証されていると、企業は安心できます。

面接や筆記テストなどである程度認識していても身元保証人がいることでさらに安心感が高まるともいえるでしょう。

また万が一、雇用後に企業へ損害を与えることがあっても、身元保証人に賠償してもらうことができます。

損害賠償の範囲

侵害賠償の範囲や考え方は企業ごとに異なるため事前に就業規則を確認し、賠償責任の範囲を調べておきましょう。

その際、就業規則を読むだけでは分かりにくい内容もあります。人事担当者等に今までの事例やそれぞれの賠償範囲を具体的に尋ねておくと、より把握しやすいかもしれません。疑問についても必ず確認し、理解を深めておきましょう。

また雇用後に、万が一のことがあっても、企業側からいきなりすべてを賠償してほしいと言われることはありません。裁判所が、損害が生じた件について、

  • 雇用された労働者にどこまで責任範囲があるのか
  • 企業側の落ち度はなかったのか

などを判断して範囲を決定するからです。

3.提出、拒否、身元保証人、身元保証書に関する悩み

身元保証書の提出を求められたら?

身元保証に関しての法的制限はないため、身元保証書を提出しなくてよいケースもあります。しかし、事前に採用条件で「身元保証書の提出」が明記されている場合、保証書の提出を拒否したことで解雇となる可能性も否定できません。

身元保証書の提出要求があった場合には、

  • 保証期間の定めがあるか
  • その期間は5年以内か
  • 身元保証契約の更新の有無

など内容をよく確認しましょう。また就業規則も併せて確認し、身元保証人として頼める人の条件を把握します。

もし、身元保証書の内容や提出に不安がある場合には、採用担当者に直接相談するとよいでしょう。たとえば、家庭の事情で身元保証書の作成や提出が指定期間内にできない場合。こういった状況の際は、そのことが分かった時点で速やかに説明・相談しましょう。

身元保証書の提出を拒否したら?

そもそも身元保証に関しての法的制限はありません。つまり、身元保証書の提出を拒否することも法的には可能です。中には、

  • 肉親に頼みにくい
  • 肉親以外に頼む人がいない

といった事情もあるでしょう。しかし、企業には「採用の自由」が認められており、採用する労働者の条件を自由に設定できます。

前述した通り、採用条件に身元保証書の提出に関する記載がある場合、提出拒否によって内定取り消しになる可能性もあるのです。もし、

  • 法律に基づいていない不適切な身元保証を理由に提出を拒んだ
  • 身元保証書の提出を拒んだことだけを理由に内定が取り消された

といったトラブルになったら、労働問題に詳しい弁護士等の専門家に相談しましょう。

身元保証人が立てられない場合は?

企業から身元保証人の要求があっても、家庭の事情で身元保証人が立てられないケースもあります。

たとえば、身元保証人となる人はいるけれど遠方に在住している場合。こういった際、事情をありのまま企業に相談して判断を仰ぎましょう。

  • 身元保証人として頼める人がいない
  • 身元保証人の条件に合致する人がいない

場合も同様です。身元保証人が、内定した労働者の安否確認にのみ使用される場合といった条件によっては、親族以外の友人等を保証人として認めてもらえるケースもありますし、中には提出期限を延長する等臨機応変な対応をする企業も。

まずは身元保証人が立てられない理由を速やかに企業側に報告・相談しましょう。

4.身元保証書の作成と書式(書き方)

身元保証書の書式

身元保証書の書式は、企業によって異なります。所定の用紙がない場合、身元保証書はテンプレートを参考にして作成するとよいでしょう。

最低限必要な項目は、

  • 雇用される本人の住所と氏名、生年月日と印鑑
  • 身元保証人の住所と氏名、生年月日と印鑑

です。タイトルに「身元保証書」を記載したのち、まず雇用される人の現住所、氏名、生年月日を記載します。本文には、

  • 雇用される労働者の就労に当たって就業規則および諸規則を遵守して誠実に勤務することを保証
  • 万が一の際本人と連帯して損害を賠償する責任を負担

などを記載します。保障期間の記載も忘れないようにしましょう。

そして、雇用される本人および、身元保証人の住所、氏名、生年月日を記載し、それぞれが押印すれば書類は完成です。身元保証書は、ボールペンなどを使って読みやすい字で書くようにします。

身元保証書のひながた、テンプレート

身元保証書を作成することになると慌てやすいです。そういった際にも役立つ身元保証書のテンプレートをご紹介しましょう。

身元保証書と印鑑

身元保証書は基本的に1通しか作成しません。雇用される労働者と身元保証人双方が署名・押印する箇所があり、その際の印鑑は、特段の指定がなければ認印でも構わないとされています。

企業から印鑑証明を求められた場合には応じましょう。また、提出した印鑑証明と印影が違う場合、意味がありません。実印が複数ある場合は注意しましょう。

印鑑証明書を求める場合

企業から身元保証人の印鑑証明を求められるケースがあります。雇用される人物が身元保証人の欄に架空の保証人を仕立てる不正を防ぐためです。

印鑑証明は、身元保証書と同様に提出義務はありません。しかし断りにくいのが本音でしょう。また、提出を拒んだ場合、採用自体が取り消しになる可能性もないとは言い切れません。

提出の際は、悪用防止のために印鑑証明書に「身元保証人用 ○年○月○日提出」など加筆してコピーを取り提出します。企業側も印鑑証明を求める際には、印鑑証明を求める理由を労働者にきちんと説明するとよいでしょう。

身元保証書の代筆

身元保証人が遠方に在住している場合等、期間内に身元保証人本人直筆の書面を作成することができない場合もあります。その場合、身元保証書へのサインは、身元保証人となる本人の承諾を得ていれば代筆でもよいとされているようです。

反対に、身元保証人の承諾を得ていない場合、サインや身元保証書そのものが無効になる可能性も高いようです。ケースバイケースもありますので、まずは企業の人事担当者に相談してみるとよいでしょう。

5.ビザと身元保証書

ビザにおける身元保証書の意味

外国人が日本に滞在するときに必要となるビザ。このビザにも、身元保証書の提出が求められます。

この場合の身元保証人とは来日する外国人の経済の保証や法令を遵守といった生活指導に関することを約束する人のこと。身元保証人が約束する相手は法務大臣となります。身元保証書に法的拘束力はありませんが、道義的責任を果たすものとする位置付けで提出を求められます。

身元保証人の責任

身元保証書には、法的制限はありません。当然、身元保証人に関しても法的責任はなく、あくまで道義的責任の範囲で責任が発生します。しかし、

  • 滞在費
  • 帰国旅費
  • 法令遵守

といった身元保証書が保証している保証事項を身元保証人が守らなかった場合、以降のビザ申請時、その人物が信頼されなくなるリスクがあります。

また、虚偽の身元保証書や印鑑証明などの書類を作成したり、テロリストの身元保証人になったりした場合、刑事的責任を問われかねません。法的責任がないからといって、安易に保証人になるべきではないでしょう。

身元保証書の書式

ビザの申請の身元保証書の書式には、

  1. 滞在費
  2. 帰国旅費
  3. 法令の遵守

3項目が記載されており、申請者は、3項目を保証してくれる身元引受人を探して署名捺印をしてもらうのです。身元保証人欄には、

  • 住所
  • 氏名
  • 職業
  • 生年月日
  • 電話番号
  • FAX番号
  • 申請人との関係

を記載する欄もあります。企業や団体が外国人を招へいする場合、担当者の所属先や担当者の氏名などを別途記載しましょう。

画像引用:外務省「身元保証書」https://www.mofa.go.jp