アンガーマネジメントとは? 自分の怒りタイプを診断して「怒り」の感情を理解しよう

アンガーマネジメントを身に付けると、職場の人間関係などに役立てることができます。6つの怒りタイプや企業においてアンガーマネジメントが求められる理由、その活用方法について、詳しく解説しましょう。

1.アンガーマネジメントとは?

怒りは、身の危険を感じたときなどに現れる一種の防衛感情で、決して悪いものではありません。怒りを悪しき感情と決めつけて無理矢理に抑え込むと、心身に悪影響を与えてしまうこともあります。

アンガーマネジメントとは、怒りをエネルギーやモチベーションに変えて、課題の解決や良好なコミュニケーションに役立てる心理トレーニングのこと。状況を客観的に把握する力を育てて、適切に問題を解決していく道筋を学びます。

1970年代のアメリカにおいて、人間関係が原因の職場トラブルが頻発したことから誕生しました。現在では日本企業の社員研修などでも広く導入されています。

怒りの感情を持つことが問題なのではなく、コントロールできないことが問題なのです。アンガーマネジメントはこの怒りをコントロールするためのトレーニングとなっています

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2.アンガーマネジメントの目的と効果

現代社会では価値観の多様化が進んでおり、職場でもそれぞれ違った価値観のために怒りが生じ、それがトラブルの原因になることも多々あります。アンガーマネジメントは、こうしたときの対処法として役立てることができるのです。

「怒らないこと」が目的ではない

アンガーマネジメントの究極の目的は、怒りが深刻な問題にならないよううまく制御して管理すること。

ここで大切なのは、感情を抑えたり怒りを表面化したりすることではありません。怒る必要のある事柄は相手にうまく伝え、怒る必要のない事柄は怒らないでいられるようになることなのです。感情的な対応ではなくきちんとしたコントロールが重要になります。

「怒り」と付き合う

怒りへの反応を訓練することで、怒りの感情が生まれたときにそのまま反応するのではなく、怒りは不要で不快なものだと感じることができるようになるのです。

また、

  • 怒りで後悔しない
  • 大きな怒りが発生したときでも気持ちを切り替えることができる
  • 怒りを客観的に分析できる

などもアンガーマネジメントの効果といえます。

アンガーマネジメントの目標は怒らないことではありません。怒る必要があるのかどうかを線引きして判断できるようになることです

3.怒りをセルフコントロールすることのメリット

生きていれば、怒りを感じることもあるのが人間です。しかし、感情をあらわにしても問題は解決しません。きちんとセルフコントロールすることが必要なのです。怒りをセルフコントロールすることで得られるメリットを3つ、ご紹介しましょう。

  1. 自分の感情を正しく知ることができる
  2. 人間関係が良好になる
  3. ストレスが減り、気が楽になる

①自分の感情を正しく知ることができる

1つ目は自分の内面に目を向けて奥深い感情と向き合うことにより、自分がどのようなことを感じたのかを正しく知ることができる点。自分がどんなことでどのように怒るのか、という傾向を知ることで怒りを感じる頻度が少なくなる可能性も高くなります。

②人間関係が良好になる

2つ目は周囲に対してむやみに怒りを感じることがなくなるため、人間関係が良好になるという点。また、根本にある感情を自覚できるようになるので、相手に自分の感情を正しく伝えられるようになります。

③ストレスが減り、気が楽になる

3つ目は許容範囲が広がることにより、イライラが減る点。これによりストレスが減って気持ちも軽くなり、怒りという感情が先行することも減っていくでしょう。これによって、負のループから抜け出すことができます。

怒りをセルフコントロールできるようになれば、気持ちも軽くなります。日々の生活や職場の中でたくさんのメリットが生じるでしょう

4.今、アンガーマネジメントが求められる理由

コミュニケーションのあり方や個々人の価値観の多様化も進むことにより、職場でトラブルが生じてしまうことも。

そんな今、自分の心のあり方を適切かつ客観的に捉えて、他者との円滑な関係をつくることが必要とされているのです。これを促進する手法としてアンガーマネジメントが多くの組織の中で支持されています。

ビジネスへの活用

アンガーマネジメントは主体的に自分をセルフコントロールできるという点から、ビジネスシーンにおいて活用が求められています。

さまざまな人が関わるビジネスでは、時として怒りの感情が生まれてしまうでしょう。しかし怒りの感情は往々にしてマイナスの結果を招いてしまうため、冷静な判断は必要不可欠です。

感情を表に出すことなく怒りをセルフコントロールする能力が身に付けば、スムーズに業務を進められることでしょう

5.感情を理解しよう!「怒り」の定義

怒りとは、人が持つ自然な感情表現の一つで、どんなに穏やかな人も必ず持ち合わせる取り除けない感情です。同時に、自分を守るための防衛感情でもあります。

リラックスしているときに敵が現れても逃げたり闘ったりすることは難しいため、アドレナリンのスイッチを入れて臨戦態勢になれるようにできているのです。ですから、怒りという感情を否定することはありません。

怒りが発生するプロセス

怒りは、3つのプロセスを経て生じます。アンガーマネジメントでは、怒りを爆発させる前に根本の感情を探して本当の感情を意識することが大切です。

  1. 期待や欲求への理解が得られない
  2. 不満が溜まってくる
  3. 怒りが表面化する

第一次感情

アンガーマネジメントでは、まず不安や悲しいなどネガティブな感情(第一次感情)が発生し、やがて怒りの感情(第二次感情)に変わるといわれています。

第一次感情は、心の中に空っぽのコップがあるとイメージすると分かりやすいでしょう。そのコップには、日常の中で不快に感じる出来事があるたびにネガティブな感情が注がれていきます。

ここに注ぐ、

  • 辛い
  • 不安だ
  • 悲しい
  • 虚しい

といった感情が第一次感情です。

第二次感情

第二次感情は、第一次感情のコップの中がネガティブな感情で一杯になってしまうようなイメージを持つと分かりやすいでしょう。

そして、表面張力までいっぱいになってしまったときに、何かのきっかけで一気に溢れ出てしまう、これが怒りです。このように、第一次感情といわれるネガティブな感情が、ある時外へ溢れ出てしまったことを怒りと表現しています。

具体例

たとえば夫婦がいて、奥さんのほうが「仕事と家事を両立しながらの毎日の中、夕食を作るか作らないかという問題は時間的にも肉体的にも負担が大きい」と思っていたとします。

しかし、献立を考えて材料を揃え、調理の時間を捻出して料理が出来上がった後、旦那さんから「その日は飲み会があるので夕食はいらない」という連絡が、夜遅くに来たらどうでしょう。

奥さんの側に虚しさと悔しさが混在したような怒りの感情が込み上げることは、容易に想像できます。

怒りの発生原因

怒りとは理想と現実のギャップから生み出されるものなのです。

先ほどの例を引用すると、「夕食を作ってもらっているのだからいらないときは早く連絡すべき」という理想に対し、現実では「遅い時間に連絡をしてきた」というギャップが生じたために怒りに発展しています。

もし、「連絡が遅く来るかもしれない」という心の準備があったら、怒りを感じることはなかったのではないでしょうか。

怒りはいきなり生じるのではなく前段階として第一次感情がある、ということを頭に入れておきましょう

6.マネジメントすべき4つの怒り

怒りは全部が同じ要因で発生するのではありません。マネジメントすべき4つの怒りのタイプがあるのです。ここでは、怒りを自分で自覚するためにはどうしたらいいのかということについて、4つのタイプに分けて見ていきます。

①強度が強い

日頃、ネガティブな感情を限界ギリギリまで溜め込んでしまっているため、怒りだすと歯止めが効かず激しい怒りをぶつけてしまうタイプです。このタイプは、怒りの感情をうまく表現できない人に多く、小さなことでも周りに相談できません。

②持続性がある

いつまでも怒りの感情が忘れられなかったり、思い出してまた再燃してしまったりと、怒りを表して鎮静化した後もいつまでも許せず怒りが持続してしまうタイプです。

このタイプも怒りをうまく表現できないため、一度で怒りを消化することができず後から次々と怒りが湧いてきてしまいます。

③頻度が高い

精神状態が不安定なため、怒りが頻発してしまうタイプです。些細なことでもすぐにカチンときてしまうので、目に入るもの耳で聞くものすべてが苛立ちの原因になってしまいます。常にイライラしていると考えると分かりやすいでしょう。

④攻撃性がある

相手や自分を力で攻撃するなど、怒りによって周りに恐怖を感じさせるタイプです。攻撃的な怒りにより物を壊してしまうこともあるでしょう。しかし冷静になると、壊れたものや傷ついた人を見て自分を責めてしまうため負のスパイラルにはまってしまいます。

どのタイプもアンガーマネジメントによる根本からの解決が必要です。それぞれ何らかの原因が潜んでいる点にも注目しましょう

7.アンガーマネジメントの方法

アンガーマネジメントでは、

  1. 衝動のコントロール
  2. 思考のコントロール
  3. 行動のコントロール

という観点から怒りにアプローチしていきます。3つの方法についてそれぞれ見ていきましょう。

①衝動のコントロール

衝動のコントロールでは怒りの感情のピークでもある最初の6秒をやり過ごすことが肝要です。人は怒りを覚えた際、最初の6秒でアドレナリンが強く出るといわれています。この6秒が過ぎれば大抵の怒りはコントロールできるのです。

6秒をやり過ごすためのコツ①カウントバック

6秒をやり過ごす方法としてお薦めなのは、心の中で1から順番に数をカウントし、気持ちを静めていくというもの。その反対に、100から3ずつ引いてカウントダウンするという方法も怒りから気持ちをそらすことに有効です。

6秒をやり過ごすためのコツ②コピーマントラ

心の中で「大丈夫、何とかなる」「気にしない」などの言葉を繰り返し何度もつぶやくことで、怒りから気持ちをそらすというのもよいでしょう。怒りにとらわれたままにせず、意識を違うところに向けると、意外と簡単に静めることができます。

6秒をやり過ごすためのコツ③タイムアウト

目の前に怒りの原因となる相手がいる場合、何か理由をつけてその場から離れ、深呼吸やストレッチをするのもよいでしょう。同じ空間にいないだけで気持ちのリセットにつながりますし、気分が落ち着くので怒りの感情も自然と収まるのです。

6秒をやり過ごすためのコツ④グラウンディング

席を外すことができない状況のときは、文具の形や色を細かく観察したり、スマートフォンで検索したりするなど、目の前にある物に意識を集中してみてください。怒りの感情にとらわれないことが重要です。

②思考のコントロール

思考のコントロールとは相手と自分との共通認識を整えて、相手に求める「~べき」の境界を広げてみること

私たちは、自分が考える「~べき」に対し、相手との認識のギャップに怒りを覚えます。そのため、相手の価値観は自分と異なることを再認識したうえで他者との違いを埋めていく努力が必要なのです。

「~べき」の考え方

三重丸を書いて、「~べき」のすり合わせをしてみましょう。これは他者と生活をする上でとても大切なことです。

  • 一番内側の1は許せるゾーンで、自分と相手は100%同じ認識
  • 二番目の2はまあ許せるゾーンで、自分の「~べき」と若干認識に違いがある
  • 一番外側の3は、許せないゾーンで、自分の「~べき」とは全く違う

2の範囲を増やすことで、許容範囲が広がり怒りが生じにくくなります。

③行動のコントロール

行動のコントロールとは最近怒った事柄について書き出し、それがいつどのようにどれくらい変わったら気が済むかを決めて、怒りをコントロールする方法のこと。

コントロールできないことはそのまま放置して受け止めます。

衝動・思考・行動という3つの有効な方法のうち、どの手法で対処するかを判断するのも訓練の一つです

8.企業がアンガーマネジメントを活用するポイント

怒りは誰もが感じる根本的な感情です。全く感じないことや取り除くことは不可能です。しかしコントロールできるようになれば、職場でも円滑な人間関係を築くことができますし、仕事の効率もアップするなど、良い循環を招きます。

アンガーマネジメント研修

アンガーマネジメントを企業研修に取り入れることに重要性を感じている企業も増えています。主に管理研修やコミュニケーション研修、パワハラ研修、メンタルヘルス研修などのプログラムに取り入れられることが多いようです。

怒りの感情は時にパワーハラスメントとして捉えられてしまいます。それによって、離職者や企業内不和が増えてしまっては、企業にとってもマイナスになってしまうでしょう。

職場のパワハラ防止対策

職場のパワハラ防止は、社員が健康で意欲的に働く上でとても重要な課題でしょう。しかし、何をもってパワハラというかの線引きも曖昧で人によってもその感じ方は異なるのです。

ますます増え続けるであろうパワハラ問題への対策として、アンガーマネジメントは今後も多くの職場に導入されていくでしょう。

社員のメンタルヘルス

普段の生活で感情のコントロールができるようになると、精神的な負担を感じることも少なくなります。

落ち着いた雰囲気は周りにも伝播し、家庭や職場での人間関係にも良い影響を及ぼすようになるでしょう。さらにこれが相乗効果となり、仕事面での成果や会社の業績に結び付くことも期待できます。

職場を形成しているのは人間です。それぞれの社員が自分で怒りをコントロールできるようになれば、自ずと働きやすく雰囲気の良い職場になるでしょう

9.あなたの怒りの癖は? アンガーマネジメント診断

それぞれが持つ怒り方の傾向や怒りを感じるツボなど、人によって異なる怒りのタイプを6つに分けて解説します。自分のタイプを知っておけば、自分の怒りの傾向を変えることもできるので、ぜひチェックしてみましょう。

【テスト】怒りタイプを知るための12の質問

怒りタイプを知るための12の質問は以下の通りです。まず以下の質問に対して、

  1. 全くそう思う
  2. そう思う
  3. どちらかというとそう思う
  4. どちらかというとそう思わない
  5. そう思わない
  6. 全くそう思わない

の6段階で答えてください。

  • Q1世の中には尊重すべき規律があり、人はそれに従うべきだ
  • Q2物事は納得いくまで突き詰めたいと思う
  • Q3自分に自信がある
  • Q4リーダー的な役割が自分の性に合っていると思う
  • Q5人の気持ちを間違って理解していたということがよくある
  • Q6簡単には解決できない強いコンプレックスがある
  • Q7たとえ小さな不正でも見逃されるべきではないと思う
  • Q8好き嫌いがはっきりしているほうだ
  • Q9自分はもっと評価されてよいと思う
  • Q10言いたいことははっきりと主張すべきだ
  • Q11自分で決めたルールを大事にしている
  • Q12人の言うことをそのまま素直に聞くのが苦手だ

6つの怒りタイプの特徴

診断結果は以下を参考にしてください。一番点数の高かったのがあなたのタイプです。

  • Q1+Q7が一番点数が高かったあなた…公明正大タイプ
  • Q2+Q8が一番点数が高かったあなた…博学多才タイプ
  • Q3+Q9が一番点数が高かったあなた…威風堂々タイプ
  • Q4+Q10が一番点数が高かったあなた…外柔内剛タイプ
  • Q5+Q11が一番点数が高かったあなた…用心堅固タイプ
  • Q6+Q12が一番点数が高かったあなた…天真爛漫タイプ

①公明正大(こうめいせいだい)

正義感が強く、ルールや道徳に外れたことを見聞きすると怒りを感じやすい傾向にあるタイプです。権利の有無にかかわらず人をジャッジしたり、曲がったことが許せなかったりと常に相手を正そうと介入しすぎてしまうところがあります。

②天真爛漫(てんしんらんまん)

自分の考えや感情を素直に表現することができるタイプです。一方で周りに意思表示がはっきりしない、思い通りに行動しない人がいるとイライラしてしまうことも。自立心が強くて自由に動きたいため、行動を制限されることも苦手です。

③威風堂々(いふうどうどう)

プライドがとても高く、周りからどう見られているかを気にしやすいタイプです。ネガティブな評価や扱いを受けるとストレスや怒りを感じやすい傾向にあります。思い通りにならないことがあると、イライラや不満を抱えやすいのもこのタイプの特徴です。

④博学多才(はくがくたさい)

向上心はあるものの、完璧主義なところがあるため物事に白黒をつけて片付けたいと考えるタイプです。そのため、自分にも周りにも厳しく当たってしまいます。また、優柔不断だったり適当な考えで行動したりする人に対してストレスを溜めやすいです。

⑤外柔内剛(がいじゅうないごう)

外見の柔らかさとは裏腹に、中身はとても頑固という誤解を受けやすいタイプです。自分の意見を重んじるあまり、意に則さない意見や価値観には目を向けないことも多々。そのため、我慢やストレスを溜め込みやすいです。

⑥用心堅固(ようじんけんご)

慎重で周りへの警戒心が強く自分の領域に踏み込まれるとストレスや怒りを感じてしまいます。人間関係そのものにストレスを感じやすく、自分にも周りに対しても固定観念を持ちやすいです。

自分の怒りのタイプは分かりましたか? 点数が同じタイプがある場合は、それぞれのタイプを参考にしてみてください